適切で十分な栄養をとるには、様々な栄養素(体に栄養を与える食物中の物質)が含まれる健康的な食事をする必要があります。健康的な食生活を送ることにより、人は望ましい体重と体の組成(体脂肪と筋肉の比率)を維持し、体を動かしたり頭を働かせたりなどの日常生活を送ることができます。
食物を過剰に摂取すると、 肥満 肥満 肥満とは、体重が過剰な状態です。 複数の要因が組み合わさって肥満に影響を及ぼします。複数の要因が組み合わさった結果、体に必要な量よりも多くのカロリーを摂取することになります。 そうした要因には、運動不足、食事、遺伝子、生活習慣、民族的背景、社会経済的背景、ある種の化学物質への曝露、特定の病気、特定の薬の使用などがあります。... さらに読む になることがあります。特定の栄養素(通常は ビタミン ビタミンの概要 ビタミンは健康的な食事に不可欠です。ほとんどのビタミンについて、健康な人の大半が健康を維持するのに必要な1日当たりの量を表した推奨量(RDA)が設定されています。一部のビタミンには、安全な上限量(耐容上限量)が決められています。この上限を超えて摂取すると、有害な影響(毒性)が出るリスクが高まります。... さらに読む か ミネラル ミネラルの概要 体の細胞が正常に機能するには、ミネラルが必要です。体は、以下のものを比較的大量に必要とします。 カルシウム 塩化物 マグネシウム リン さらに読む )を大量に摂取すると、有害な影響(毒性)が現れることがあります。十分な量の栄養素を摂取しないと、 低栄養 低栄養 低栄養とは、カロリーまたは1つ以上の必須栄養素が不足している状態です。 低栄養は、食べものを手に入れたり調理したりできない、食べものを食べたり吸収したりしにくくなる病気がある、またはカロリーの必要量が大幅に増えているということが原因で発生することがあります。 低栄養は、多くの場合、見た目にも明らかです。低体重で、しばしば骨が突き出ており、... さらに読む
が生じる可能性があり、結果として栄養欠乏による障害につながることがあります。
栄養状態の評価
摂取している栄養素の量が適切かどうか調べるために、医師は食習慣や食事の内容について尋ね、身体検査を行って体の組成と機能を評価します。
身長と体重が測定され、BMI(ボディマスインデックス)が算出されます。BMIは、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った値です。米国では男女ともBMIが19~24であれば正常とされます。米国や他の先進国では、BMIが24を超える人が多数います。
身体組成には体脂肪の割合などが含まれ、これは皮下脂肪の厚みの測定や生体電気インピーダンス法を行うことで推定します。この割合をより正確に測定する方法として、水中で体重を測定する静水計量や二重エネルギーX線吸収法(DXA法)などがありますが、これらの方法は簡単ではなく、費用がかさむこともあり、いつでもすぐに利用できるわけではありません。これらは主に研究で用いられています。
多くの栄養素の濃度は、血液中と、ときに組織中で測定できます。例えば、血液中の主なタンパク質であるアルブミンの濃度の測定は、タンパク質が不足しているかどうかを判定するのに役立ちます。栄養摂取が不十分だと、栄養素の濃度が低下します。
食事の構成要素
一般に、栄養素は次の2つに分類されます。
多量栄養素:毎日多くの量を摂取する必要がある栄養素です。 タンパク質 タンパク質 炭水化物、タンパク質、脂肪は、食物の乾燥重量の90%を占め、食物のエネルギーの100%を供給しています。3つともエネルギー(単位はカロリー)を供給しますが、1グラム当たりのエネルギーの量は次のように異なります。 炭水化物とタンパク質は1グラムにつき4キロカロリー 脂肪は1グラムにつき9キロカロリー... さらに読む 、 脂肪 脂肪 炭水化物、タンパク質、脂肪は、食物の乾燥重量の90%を占め、食物のエネルギーの100%を供給しています。3つともエネルギー(単位はカロリー)を供給しますが、1グラム当たりのエネルギーの量は次のように異なります。 炭水化物とタンパク質は1グラムにつき4キロカロリー 脂肪は1グラムにつき9キロカロリー... さらに読む 、 炭水化物 炭水化物 炭水化物、タンパク質、脂肪は、食物の乾燥重量の90%を占め、食物のエネルギーの100%を供給しています。3つともエネルギー(単位はカロリー)を供給しますが、1グラム当たりのエネルギーの量は次のように異なります。 炭水化物とタンパク質は1グラムにつき4キロカロリー 脂肪は1グラムにつき9キロカロリー... さらに読む 、一部のミネラル、水などが含まれます。
微量栄養素:毎日少量(1日に数マイクログラムから数ミリグラム)を摂取する必要がある栄養素です。体が多量栄養素を消費するために必要となるビタミンや特定のミネラルなどが含まれます。このようなミネラルは、体が必要とする量が非常に少ないことから、微量ミネラルと呼ばれています。
水は消費エネルギー1キロカロリー毎に1ミリリットル、1日におよそ2.5リットル必要です。水を飲む以外にも、多くの食品に含まれている水分、フルーツジュース、野菜ジュース、カフェインの入っていないコーヒーや茶などで水分の必要量を満たすことができます。アルコール飲料やカフェイン入りのコーヒー、茶、炭酸飲料は排尿を増やすことがあるため、あまり有用ではありません。
1日の食事で食べる食物の中には10万種類もの物質が含まれています。しかし、栄養素として分類されているのはそのうちの300種類ほどだけで、さらに必須栄養素として分類されているのはわずか45種類で、以下のものがあります。
アミノ酸(タンパク質の構成成分)の一部
脂肪酸(脂肪の構成成分)の一部
必須栄養素は体内では合成できず、食物から摂取する必要があります。
食物にはほかにも、セルロース、ペクチン、ガム質などの 食物繊維 食物繊維 食物の中には、かたい複合炭水化物である繊維を含むものがあります。食物繊維には以下のものがあります。 部分的に水溶性の繊維:水溶性繊維は水に溶け、体がその一部を消化することができる場合があります。 不溶性繊維:水に溶けず、体も消化することができません。 不溶性繊維を食べすぎると、特定のビタミンやミネラルの吸収が阻害されることがあります。... さらに読む をはじめとする多くの有用な成分が含まれています。
また食物には、食品の生産、加工、貯蔵、包装に使用する 添加物 食品添加物と汚染物質 保存料、乳化剤、酸化防止剤、安定剤といった物質が、以下の目的のためによく食品に添加されています。 加工処理を容易にするため 食品を長持ちさせ、腐りにくくするため 微生物による汚染を防いで、食中毒を防ぐため 味を良くしたり、色を添加したり、香りを強くしたりして、よりおいしそうにするため さらに読む (保存料、乳化剤、酸化防止剤、安定剤など)も含まれています。