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低栄養

執筆者:

John E. Morley

, MB, BCh, Saint Louis University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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低栄養とは、カロリーまたは1つ以上の必須栄養素が不足している状態です。

  • 低栄養は、食べものを手に入れたり調理したりできない、食べものを食べたり吸収したりしにくくなる病気がある、またはカロリーの必要量が大幅に増えているということが原因で発生することがあります。

  • 低栄養は、多くの場合、見た目にも明らかです。低体重で、しばしば骨が突き出ており、皮膚は乾燥して弾力がなく、毛髪が乾燥していて簡単に抜け落ちます。

  • 医師は通常、患者の外見、身長と体重のほか、患者の状況(食事と体重減少の情報など)に基づいて低栄養の診断を下すことができます。

  • 患者には食べものを少しずつ増やしながら与えます。可能な場合は口から食べさせますが、ときにチューブをのどから胃に通したり静脈に入れたりして栄養を与えることもあります。

低栄養は通常、主にカロリーの不足(全般的な食物摂取不足)またはタンパク質の不足と考えられています。ビタミンの不足ミネラルの不足は、通常は別の病気と考えられています。しかしカロリーが不足すると、ビタミンやミネラルも不足する傾向があります。低栄養はしばしば栄養障害と同じ意味で使われ、実際に栄養障害の一種でもあります。

栄養障害とは、体が必要とする栄養素と摂取する栄養素のバランスの崩れです。したがって栄養障害には、低栄養だけでなく栄養過多(過剰なカロリー摂取、またはタンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルなどの特定の栄養素やその他の栄養補助食品の過剰摂取)も含まれます。

国際連合食糧農業機関は、低栄養の人が世界全体で2015年の7億7700万人から、2016年には8億1500万人に増加したと報告しました。そのほとんどが発展途上国に住んでいます。

先進国では通常、低栄養がみられる頻度は栄養過多に比べてはるかに低くなります。しかし、一定の条件では低栄養のリスクが上昇します。そのような条件としては、以下のものがあります。

  • 非常に貧しい場合

  • ホームレスの場合

  • 精神障害がある場合

  • 重い病気の場合(病気の人は、食欲を失っていたり、体が必要とする栄養素が大幅に増えているために、十分な食物摂取ができていないことがあります)

  • 若年の場合(乳児や小児、青年は、成長するために多くのカロリーや栄養素を必要とするため、低栄養に陥るリスクがあります)

  • 高齢である場合

自宅で暮らす高齢者のおよそ7人に1人は、1日の摂取カロリーが1000キロカロリー以下で、十分な栄養摂取には足りません。入院中または長期療養施設に入っている高齢者の約半数が、十分なカロリーを摂取していません。

知っていますか?

  • 自宅で暮らす高齢者のおよそ7人に1人、また長期療養施設で暮らす高齢者の半数もの人が低栄養です。

  • アルコールの過剰摂取が低栄養を起こすこともあります。

カロリー摂取が十分でないと、体はまず自身の脂肪を分解してカロリーとして使います。これは家を暖かくしておくために家具を燃やすようなものです。蓄えた脂肪を使い切った後、体は筋肉や内臓組織などその他の組織を分解します。それにより深刻な問題が生じ、死に至ることもあります。

タンパク-エネルギー低栄養

タンパク-エネルギー低栄養(タンパク・エネルギー栄養障害)は、長期にわたって十分なタンパク質とカロリーをとらなかったときに起こる、タンパク質とカロリーが重度に欠乏した状態です。

発展途上国では、タンパク-エネルギー低栄養が小児に多くみられます。死亡する小児の半数以上で死亡の一因となっています(例えば、生命を脅かす感染症を発症するリスクが高まる、発症した場合に重症度が高まるなどによります)。しかし、この病気は食物供給が不十分であれば、年齢にかかわらず誰でも発症する可能性があります。

タンパク-エネルギー低栄養には、主に次の2種類があります。

  • マラスムス

  • クワシオルコル

マラスムス

マラスムスとはカロリーとタンパク質の重度の欠乏です。乳児と非常に年少の小児に起こる傾向があります。一般的には、体重減少、筋肉と脂肪の減少、脱水を起こします。母乳を与えることで、通常はマラスムスを予防できます。

クワシオルコル

クワシオルコルは、カロリーよりもタンパク質が重度に欠乏した状態です。クワシオルコルはマラスムスほど多くありません。この言葉は、「第1子と第2子」という意味のアフリカの言葉に由来しています。2人目の子が生まれて最初の子に代わって母乳を与えられるようになると、最初の子がしばしばクワシオルコルを発症するからです。クワシオルコルは離乳後の小児が発症する傾向があるため、クワシオルコルの小児は通常、マラスムスの小児より年長です。

クワシオルコルは世界的に見て、主食や離乳食に含まれているタンパク質が不足している(たとえカロリーは炭水化物として十分に供給されているとしても)地域だけでみられる傾向があります。こうした食品の例としては、ヤムイモ、キャッサバ、米、サツマイモ、グリーンバナナがあります。しかし、炭水化物中心の食事をしていれば、誰でもクワシオルコルになる可能性があります。クワシオルコルになると体に水分がたまり、むくんだり腫れたりしているように見えます。クワシオルコルが重度の場合、腹部が突き出ることがあります。

飢餓状態

飢餓はタンパク-エネルギー低栄養の最も極端な形態です。これは、必須栄養素の一部または全部の欠乏が長期間続いたときに起こります。一般的には、食物が入手できない場合(例えば、飢饉の間)に起こりますが、食物が入手できる場合(例えば、断食しているときや、神経性やせ症の場合など)にみられることもあります。

原因

低栄養は以下の原因で起こることがあります。

  • 食物の入手手段の欠如

  • 栄養素の摂取、処理(代謝)、または吸収を妨げる病気または薬

  • 必要カロリー量の大幅な増大

経済的な余裕がない、店に行く手段がない、あるいは身体的な問題から買い物をすることができないなどの理由で、食物の入手が制限されることがあります。世界のいくつかの地域では、戦争、干ばつ、洪水や他の要因により食物供給が不十分です。

吸収不良を引き起こす病気などいくつかの病気は、ビタミンやミネラルの吸収を妨げます。消化管の一部を切除する手術で同様の影響がみられることがあります。エイズがんうつ病などいくつかの病気では、食欲が減退し、食べる量が減少することで、低栄養が起こります。

特定の薬の服用が低栄養の一因となることがあります。薬は以下のような影響を及ぼすことがあります。

  • 食欲が減退します。高血圧の治療(利尿薬など)や心不全の治療(ジゴキシンなど)、がんの治療(シスプラチンなど)に使用される薬がその例です。

  • 吐き気が生じ、それによって食欲が減退します。

  • 代謝を増やし(サイロキシンやテオフィリンなど)、その結果、カロリーと栄養素の必要量が増加します。

  • 腸での特定の栄養素の吸収を阻害します。

さらに、特定の薬(抗不安薬や抗精神病薬など)やアルコールは、使用を中止すると体重が減少することがあります。

アルコールは、カロリーはあっても栄養価がほとんどなく、飲みすぎると食欲が減退します。アルコールは肝臓に損傷を与えるため、栄養素の吸収と利用も妨げることがあります。アルコール依存症はマグネシウム、亜鉛、特定のビタミン(チアミンなど)の欠乏症の原因となることがあります。

喫煙すると味覚や嗅覚が鈍り、食べものがおいしそうに感じなくなります。また喫煙によって、低体重の一因になる別の体の変化も生じると考えられています。例えば、交感神経系を刺激し、身体のエネルギー使用を増加させます。

いくつかの特定の病態では、必要カロリー量が大幅に増えます。これには感染症、けが、甲状腺の活動が過剰になった状態(甲状腺機能亢進症)、広範囲の熱傷、長期間の発熱などがあります。

高齢者では、加齢に伴う体の変化などの多くの要因が、複合的に働いて低栄養を起こします( 加齢に関連する注意点:低栄養)。

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低栄養の原因

原因

食物の入手手段の欠如

飢饉(ききん)

食物を入手できない(運搬手段がない、身体に障害があるなど)

貧困

食べるものの量または種類が制限される状態

流行のダイエット法

一部の菜食主義または完全菜食主義の食事

意図的なカロリー制限(厳しい食事量制限、断食など)

栄養素の摂取、代謝、または吸収を妨げる状態

薬物乱用

精神機能障害(認知症など)

炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎など)

ときに、減量を促すための手術(肥満外科手術

栄養素の摂取、代謝、または吸収を妨げる薬

不安、高血圧、心不全、甲状腺機能低下症(甲状腺の活動が不十分になった状態)、喘息、またはがんの治療に使用される薬の一部

必要カロリー量が大幅に増える状態

リハビリテーションや運動競技のトレーニングなど激しい運動

けが、例えば熱傷(やけど)など

高熱

広範囲または重度の感染症

乳児期、小児期、青年期の成長と発達

甲状腺機能亢進症(甲状腺の活動が過剰になった状態)

妊娠と授乳

手術

症状

カロリー不足の最も明らかな徴候は、体脂肪(脂肪組織)の減少です。

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飢餓はどのように体に影響するか

影響を受ける体の部位

影響

消化器系

胃酸の産生の減少

胃の萎縮

頻繁で、しばしば致死的な下痢

心血管系(心臓と血管)

心臓のサイズの縮小、送り出される血液量の減少、心拍数の減少、低血圧

最終的に心不全

呼吸器系

遅い呼吸および肺の容量の減少

最終的に呼吸不全

生殖器系

卵巣および精巣のサイズの縮小

性欲(リビドー)の減退

月経の停止

神経系

無関心と易怒性

小児で、ときに知的障害

精神機能障害(特に高齢者)

しびれまたはチクチク感(特に手足)

筋肉

筋肉量と筋力の減少、それによる運動能力または仕事の能力の低下

血液

貧血

代謝(体が食物をエネルギーに変換したり必要な物質を合成したりするプロセス)

低体温(低体温症)

腕、脚、腹部の体液貯留

脂肪の消失

皮膚および毛髪

薄く、乾燥した、弾力のない皮膚

乾燥して薄くなり、簡単に抜け落ちる毛髪

あざができやすい傾向

免疫システム

感染に抵抗し、傷を修復する能力の低下

約1カ月間飢餓状態でいると、体重の約4分の1が失われます。飢餓がそれより長く続くと、成人では体重が半分にまで落ちることもあり、子どもではそれ以上に減少することがあります。骨が出っ張り、皮膚は薄くなって乾燥し、弾力がなくなって青白く冷たくなります。最終的に、顔の脂肪が失われて頬がこけ、目がくぼんで見えます。毛髪が乾燥し薄くなり、簡単に抜け落ちてしまいます。

筋肉と脂肪組織の重度の消耗は悪液質と呼ばれます。悪液質は、感染症やがん、エイズなどの病気に対する反応として免疫システムによってつくられる、サイトカインという物質が過剰につくられた結果生じると考えられています。

その他の症状としては、疲労、冷え、下痢、食欲減退、易怒性、無関心などがあります。非常に重い場合は、患者が反応しなくなることもあります(昏迷といいます)。筋力が低下したように感じ、通常の活動ができなくなります。女性では、月経が不規則になったり止まったりすることがあります。低栄養が重度の場合は、腕、脚、腹部に体液がたまることがあります。

一部の種類の白血球数が減少しますが、これはエイズの患者に起こるものと似ています。その結果、免疫システムが弱まり、感染のリスクが高まります。

カロリー不足が長期間にわたって続くと、肝不全や心不全、呼吸不全が発生することがあります。まったく何も食べない完全な飢餓状態が続くと、8~12週間で死に至ります。

重度の低栄養の小児では、正常な成長が妨げられることがあります。行動の発達が著しく遅れることがあり、軽度の知的障害が発生して少なくとも就学年齢まで持続することがあります。小児では、治療を行っても低栄養の影響が長期間続くことがあります。知的能力の障害や消化器の問題が長引くことがあり、ときには生涯にわたって持続します。

成人では、治療を行えばほとんどの場合完全に回復します。

診断

  • 医師による評価

  • ときに血液検査

医師は通常、食事と体重減少について質問し、身体診察を行うことで低栄養を診断できます(栄養状態の評価も参照)。長期間にわたる重度の低栄養は、通常は患者の外見と病歴に基づいて診断できます。

医師はさらに、食料を購入して調理する能力、その他の病気の有無、薬の使用、気分、精神機能について質問することもあります。関連する情報を得る助けとして、標準化された質問票が用いられることがあります。これらの質問に対する答えが、特に低栄養があまり明確でない場合に、診断を確定して原因を特定する助けとなることがあります。小児では、原因の特定が特に重要です。

身体診察の一環として、医師は以下のことを行います。

  • 身長と体重を測定します。

  • ボディマスインデックス(BMI)を算出します。

  • 上腕周囲長、および左腕の二の腕の背中側の皮膚の厚さ(上腕三頭筋皮下脂肪厚)を測定することで、上腕中央部の筋肉と脂肪の量を推定します。

  • 低栄養を示すことがある他の症状がないかを確認します(皮膚と毛髪の変化や腕、脚、腹部の体液貯留など)。

得られた所見が、低栄養の診断を確定し、低栄養の程度を判定するために役立ちます。

検査

検査が行われるかどうかは、上腕周囲長によって決まります。例えば、原因が明らかで是正できるものの場合は、通常は検査は必要ありません。

最もよく行われる検査は血液検査で、血液中のアルブミン濃度(タンパク質の摂取不足で低下します)を測定します。医師は、特定の種類の白血球の数(低栄養が悪化すると減少する)を測定することもあります。

免疫システムの機能の状態を確認するために、皮膚テストが行われることがあります。抗原を含む物質(正常であれば免疫反応を引き起こす)を皮膚の下に注射し、一定時間内に反応が起これば、免疫システムは正常に機能しています。反応が遅れていたり反応がなかったりすると、低栄養が原因の可能性がある免疫システムの問題が示唆されます。

医師がビタミンかミネラルの欠乏症を疑う場合は、その栄養素の値を測定する血液検査が通常行われます。

医師が別の病気が原因であることを疑う場合は、原因特定の助けとするためにその他の検査を行うこともあります。例えば、重度の下痢があるか治療を行っても下痢が持続する場合は、医師は感染症を引き起こす微生物がないか便のサンプルを確認します。感染していないか確認するために、尿検査や胸部X線検査などの検査が行わることがあります。

加齢に関連する注意点:低栄養

高齢者の低栄養は、骨折、手術後の問題、床ずれ、感染症のリスクを増大させるため、深刻です。これらの問題のいずれかが発生する場合、低栄養の患者ではより重度である可能性が高くなります。

高齢者には多くの理由で低栄養のリスクがあります。

加齢に伴う体の変化:高齢者の体では、ホルモン(成長ホルモン、 インスリン、アンドロゲンなど)の分泌とホルモンに対する感受性が変化します。その結果、高齢者では筋肉組織が失われます(サルコペニアという病気)。低栄養と運動量の減少によって、この筋肉組織の喪失に拍車がかかります。さらに、加齢に伴う筋肉組織の喪失は、感染症リスクの上昇など、高齢者の低栄養に伴う合併症の多くの原因になっています。

高齢者は、満腹感を覚えるのが早く食欲が少ない傾向があります。そのため、食べる量が減ることがあります。また、加齢に伴って味覚や嗅覚が低下して食事の楽しみが減るために食べる量が減ることもあります。一部の栄養素を吸収する能力が低下します。

高齢者の中には、唾液の分泌が減少することで、歯科疾患が生じたり飲み込みが困難になる人もいます。

病気:低栄養の一因になる多くの病気が、高齢者でよくみられます。

  • うつ病によって食欲不振になることがあります。

  • 脳卒中振戦があると、ものをかんだり飲み込んだりしにくくなったり、料理をするのが難しくなったりすることがあります。

  • 関節炎やその他の身体的な障害によって動く能力が低下し、買い物に出かけたり料理をすることが難しくなることもあります。

  • 吸収不良を引き起こす病気は栄養素の吸収を妨げます。

  • がんは、食欲を減退させ、体が必要とするカロリーを増加させることがあります。

  • 認知症によって、食べることを忘れたり、料理ができなくなったりすることがあり、それによって体重が減少します。認知症が進行していると、自分でものを食べられなくなり、食べさせようとすると抵抗する人もいます。

  • 歯科疾患(合わない義歯、歯周病など)があると、ものをかむことや食物を消化することが困難になることがあります。

  • 神経性やせ症を長期間患っている場合は、配偶者やパートナーの死や加齢への恐怖など、人生の後年の出来事によって悪化することがあります。

薬:うつ病、がん、心不全、高血圧など、高齢者によく起こる病気の治療に用いられる薬の多くが、低栄養の一因となる可能性があります。薬によって、体が必要とする栄養素が増加したり、体が栄養素を用いる過程が変化したり、食欲が減退したりすることがあります。一部の薬には、下痢を引き起こすものや、吐き気や便秘など、食べることを妨げる副作用をもつものがあります。

生活状況:一人暮らしの高齢者は、食事を作って食べる意欲が少ないことがあります。経済的に限られていることがあり、購入する食品が安く栄養価の低いものとなったり、全体の量が減ったりします。身体的な問題から食料品を買いに外出することができなかったり、外出に不安を感じたり、または食料品店に行く交通手段がない場合もあります。

施設で暮らす高齢者の場合、十分な栄養をとるための障壁はさらに多くなります。

  • 錯乱が生じていて、空腹であることや自分の食べたいものを伝えることができない場合があります。

  • 食べたいものを選べない場合もあります。

  • 自分で食事ができないこともあります。

  • 食べるのが遅いと、特に施設のスタッフの介助が必要な場合、十分な食事をとらせるのに必要な時間をスタッフがとれないこともあります。

入院している高齢者も、ときに同じ問題を抱えていることがあります。

予防と治療:もっと食べるように高齢者に勧めたり、食事をもっと魅力的なものにすることで、状況を改善することが可能です。例えば、減塩食や低脂肪食よりも、しっかり味付けしたものや好みのものを提供することができます。

高齢者は病気(腎不全や心不全など)があるために特別な食事療法(減塩食など)を行っていることがあります。しかし、そうした食事はときに、魅力がなく味気ないことがあります。そうであれば、十分に食べない可能性があります。その場合、患者にとっておいしく、必要とされるものに合う食事を作る方法を、本人や家族から栄養士や医師に話すべきです。

食料品の買い物や食事に介助が必要な高齢者には、より多くの介助を行うようにします。例えば、食事を宅配する必要があるかもしれません。

ときに、患者が食欲を刺激する薬(ドロナビノール[dronabinol]など)や筋肉組織の量を増やす薬(ナンドロロンやテストステロンなど)を投与されていることがあります。

うつ病などの病気がある場合には、それを治療するべきです。そうした病気を治療することで、食べることに対する障壁がいくらか取り除かれることがあります。

施設で暮らす高齢者の場合、食堂をより魅力的にして、食事時間をより長くすることによって、より多く食べられるようになる可能性があります。

治療

  • 栄養補給(通常は口からの補給)

  • 原因の治療

  • ときに経管栄養や静脈栄養

  • 重度の低栄養に対しては、ときに薬の使用

大半のケースでは、摂取するカロリー量を徐々に増やすことで低栄養を治療します。栄養価の高い食事を少量ずつ何回かに分けて食べるのが最も良い方法です。例えば、飢餓状態が続いている人には、まず少量の食物を多くの回数(1日6~12回)与えます。その後、徐々に量を増やしていきます。小児に下痢がある場合、下痢が悪化しないように、食事を与えるのを1日か2日遅らせることがあります。この期間中は、液体を与えます。

固形食の消化が困難な人には、液体のサプリメントや流動食が必要になる場合もあります。乳糖を含まないサプリメント(ヨーグルトベースのサプリメントなど)がしばしば用いられますが、その理由としては、多くの人が乳糖(乳製品に含まれる糖)の消化に問題があり、低栄養によってその問題が悪化する可能性があるためです。そのような人が乳糖を含む食品を摂取すると、通常は下痢が生じます。

必要なすべての栄養素を確実に摂取するために、総合ビタミン剤も与えられます。

低栄養の一因となりうる病気(感染症など)がある場合は、その病気を治療します。一部の専門医は、重度の低栄養の小児には、感染症にかかっていることが明らかではない場合でも、全員に抗菌薬を投与することを推奨しています。

低栄養が重度の場合には入院が必要になることもあります。

重度の低栄養の後に、あまりにも急速に食事を与えると、下痢のほか、体内の水分、ブドウ糖、その他の栄養素のバランスの崩れといった合併症が生じることがあります。これらの合併症は、通常は食事のペースを落とせば治ります。

栄養素は、可能な限り口から摂取します。口から栄養をとることができない場合、以下のいずれかの方法で栄養が与えられることがあります。

  • 消化管にチューブを挿入する(経管栄養)

  • 静脈にチューブ(カテーテル)を挿入する(静脈栄養)

経管栄養

経管栄養(経腸栄養)は、消化管は正常に機能している人で、必要な栄養量を満たすのに十分な量を口から食べることができない場合(重度の熱傷を負った人など)や、ものを飲み込めない場合(脳卒中を起こした人など)に用いられます。

経管栄養のためには、合成樹脂製の細いチューブ(経鼻胃管)を鼻から入れ、のどを通して胃または小腸まで挿入します(経鼻胃管挿入と呼ばれます)。経管栄養が長期間必要な場合には、腹部を小さく切開し、胃または小腸へ栄養チューブを直接挿入します。

チューブを介して与えられる食物には、必要な栄養素がすべて含まれている必要があります。水分補給が制限されている場合など、特別なニーズがある人のための、特別な栄養液もあります。または、固形の食品をミキサーにかけ、経鼻胃管を通して与えることもできます。経管栄養は、ゆっくりと継続的に与える場合もあれば、まとまった量(ボーラスと呼ばれる)を数時間毎に与える場合もあります。

経管栄養は以下のように様々な問題を引き起こし、その問題が生命を脅かすこともあります。

  • 食物が肺に入る(誤嚥):高齢者にとって、経管栄養による最も多い問題は、誤嚥です。食物の誤嚥は肺炎を引き起こすこともあります。栄養液をゆっくり与えることと、経管栄養後1~2時間ベッドの頭側を高くすることで、食物の誤嚥の可能性を低下させ、食物が逆流してしまうリスクを減らすことができます。

  • 下痢および腹部不快感:栄養液を変えるか、よりゆっくり与えることで、これらの問題が軽減される可能性があります。

  • 組織への刺激:チューブが鼻、のど、または食道の組織に刺激を与え、ただれが生じる可能性があります。組織が刺激された場合、通常は栄養チューブを外して、種類の異なるチューブを使って栄養補給を続けることができます。

静脈栄養

静脈栄養は、消化管が十分に栄養素を吸収できない場合(例えば吸収不良を生じる病気がある場合)に用いられます。一時的に食物を消化管に入れてはならない場合(例えば重度の潰瘍性大腸炎や重度の膵炎の患者など)にも用いられます。

静脈から与えられる栄養補給は、栄養所要量の一部を補給する部分的静脈栄養の場合もあれば、全部を補給する完全静脈栄養の場合もあります。完全静脈栄養には太い点滴チューブ(カテーテル)が必要で、鎖骨の下にある鎖骨下静脈などの太い静脈に挿入します。

静脈栄養は次のような問題を起こすこともあります。

  • 感染症:通常はカテーテルが長期間にわたって挿入され、それを通る溶液には細菌の繁殖を促進してしまうブドウ糖が多量に含まれているため、常に感染症のリスクがあります。完全静脈栄養を受けている人は、感染症の徴候がないか綿密にモニタリングされます。

  • 水分の過剰(体液量過剰):水分を与えすぎると、肺に体液がたまり、呼吸困難が起きることがあります。そのため、医師は患者の体重と排泄される尿の量を定期的にモニタリングします。栄養補給の開始前に必要な水分量を算出することで、リスクを減らせる場合もあります。

  • 栄養バランスの崩れおよび栄養欠乏:まれに、特定のビタミンやミネラルの欠乏が起こることがあります。医師は特定の栄養バランスの崩れを特定するために、血液中に溶解しているミネラル(電解質)、ブドウ糖、尿素(腎機能の尺度)を定期的に測定します。それにより、測定結果に従って栄養液を調整することができます。

  • 骨密度の低下:一部の人では、完全静脈栄養を約3カ月続けると、骨密度が低下する場合があります。理由は分かっておらず、最良の治療法はこの種の栄養補給を一時的または永久にやめることです。

  • 肝臓の異常:完全静脈栄養によって肝機能不全が起こることがあり、これは未熟児で最もよくみられます。肝機能をモニタリングするために血液検査が行われます。栄養液の調整が有用である場合があります。

  • 胆嚢の問題:胆石が生じることがあります。治療としては栄養液を調整し、可能な場合には口からの摂食や栄養チューブを用いて食物を与えます。

重度の低栄養の人には、ドロナビノール(dronabinol)やメゲストロール(megestrol)などの食欲を増進させる薬、または成長ホルモンやタンパク同化ステロイド(ナンドロロン、テストステロンなど)などの筋肉量を増加させる薬が投与される場合があります。

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