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ヨウ素

執筆者:

Larry E. Johnson

, MD, PhD, University of Arkansas for Medical Sciences

最終査読/改訂年月 2018年 11月
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体内のヨウ素のほとんどは甲状腺にあります。甲状腺のヨウ素は、甲状腺ホルモンの形成に必要です。

ヨウ素は海水中に存在しています。海水から少量のヨウ素が大気に入り、雨を介して海の近くの地下水や土壌に入ります。

米国を含む多くの地域で、十分な量をとるためにヨウ素(結合したヨウ化物として)が食卓塩に添加されています。

ヨウ素欠乏症

ヨウ素が食卓塩に添加されている地域では、ヨウ素欠乏症はまれです。しかし、世界的にはヨウ素欠乏症は多くみられます。海から離れた地域や標高が高いところに住む人は、海の近くと違って環境中にほとんどヨウ素が含まれていないため、ヨウ素欠乏症になるリスクが特に高くなります。

症状

ヨウ素が欠乏すると、甲状腺ホルモンの分泌に必要なヨウ素をより多く取り込もうとして甲状腺が腫大し、甲状腺腫を形成します。甲状腺の機能が低下し、甲状腺ホルモンがほとんど分泌されなくなります(甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの分泌が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 (甲状腺の概要も参照のこと。) さらに読む 甲状腺機能低下症 )。妊よう性が低下します。成人では、甲状腺機能低下症によって、皮膚の浮腫、声がれ、精神機能障害、皮膚が乾燥しうろこ状になる、毛髪が硬く薄くなる、寒さに耐えられない、体重増加といった症状が生じることがあります。

妊婦がヨウ素欠乏症になると、流産と死産のリスクが増大します。胎児の成長が遅くなることがあり、脳の発達に異常が現れることもあります。生まれてすぐに治療を受けないと、知的障害と低身長を引き起こす病気(クレチン症)が発生します。クレチン症の新生児は耳が聞こえずものが言えないことがあります。先天異常や甲状腺機能低下症がある場合もあります。

知っていますか?

  • 妊娠中にヨウ素が不足すると、流産や死産、新生児の知的障害や先天異常のリスクが増大します。

診断

  • 血液検査

  • 甲状腺腫がある(成人の場合)

ヨウ素欠乏症の診断は、血液検査で甲状腺ホルモンの血中濃度が低いか、もしくは甲状腺刺激ホルモン(TSH)の濃度が高いことが示されていること、または甲状腺腫があること(成人の場合のみ)に基づいて下されます。

医師は、すべての新生児について、甲状腺機能低下症(ヨウ素欠乏症を原因とするものを含む)がないか確認するために血液検査を行います。

甲状腺の大きさを測定し異常の評価を行うため、超音波検査や甲状腺シンチグラフィーなどの画像検査が行われることがあります。

予防と治療

  • 妊婦と授乳中の女性に対して、妊婦用ビタミン剤

  • ヨウ素のサプリメントおよびときに甲状腺ホルモンのサプリメント

妊婦はヨウ素の摂取量が不十分なことがよくあります。そのため、妊婦と授乳中の女性は、250マイクログラムのヨウ素を含む妊婦用ビタミン剤を毎日服用するべきです。

ヨウ素欠乏症の乳児、小児、成人には、ヨウ素のサプリメントの服用で治療を行います。乳児には甲状腺ホルモンのサプリメントも数週間投与され、ときには一生投与されることもあります。小児および成人にも、甲状腺ホルモンのサプリメントが投与されることがあります。

ヨウ素過剰症

ヨウ素の過剰摂取はまれです。通常は、長期間のヨウ素欠乏症を治療するためにヨウ素のサプリメントを摂取することで起こります。ときに、日本の北部で多くみられるように、海の近くに住む人が大量の魚介類や海藻を食べ、ヨウ素を多く含む水を飲むためにヨウ素の摂取量が過剰になることがあります。

ヨウ素を過剰に摂取しても、通常は甲状腺機能への影響はありませんが、ときに影響が出ることもあります。甲状腺の働きが過度に活発になって、過剰な量の甲状腺ホルモンがつくられてしまうことがあり(甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が上昇します。 バセドウ病は甲状腺機能亢進症の原因として最もよくみられます。 心拍数と血圧の上昇、不整脈、過剰な発汗、神経質や不安、睡眠障害、意図しない体重減少などの症状がみられます。 診断は血液検査により確定されます。 甲状腺機能亢進症の管理には、チアマゾールまたはプロピルチオウラシルが用いられます。 さらに読む 甲状腺機能亢進症 )、これは特にこれまでヨウ素の摂取量が少なすぎた人でよくみられます。しかし、ときに過剰なヨウ素によって甲状腺ホルモンの分泌が低下することがあります(甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの分泌が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 (甲状腺の概要も参照のこと。) さらに読む 甲状腺機能低下症 )。結果として、甲状腺が腫大して甲状腺腫が形成されます。(甲状腺腫は甲状腺機能が低下するか過剰に活発になった場合に形成されることがあります)

極めて大量のヨウ素をとると、口の中で金属の味がしたり、唾液の量が増えることがあります。ヨウ素が消化管を刺激したり発疹を起こすこともあります。

診断

  • 医師による評価

  • 血液検査

  • 画像検査

医師は症状に基づいて過剰なヨウ素による甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症を疑い、ヨウ素のサプリメントを服用していると報告している人では特に疑います。

甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン(TSH)の濃度を測定するための血液検査が行われます。画像検査も行われることがあります。

治療

  • 食事の変更

  • ときに甲状腺ホルモン

患者はヨウ素が添加されていない塩を使用し、魚介類、海藻、ヨーグルト、牛乳など、ヨウ素を含む食品の摂取量を減らすように指導されます。

ヨウ素の過剰摂取による甲状腺機能低下症の場合は、ヨウ素の摂取量を減らすことでしばしば治癒しますが、生涯にわたって甲状腺ホルモンを服用しなければならない人もいます。

甲状腺機能亢進症の場合は、甲状腺が正常に機能するのを助けるために薬の投与が必要になる場合があります。

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