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自らに負わせる作為症

執筆者:

Joel E. Dimsdale

, MD, University of California, San Diego

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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作為症(虚偽性障害とも呼ばれます)では、明らかな外的要因がない状況で、身体症状や精神症状があるふりをしたり、それらの症状を作り出したりします。

  • 原因は不明ですが、ストレスや重度のパーソナリティ障害が影響している可能性があります。

  • 症状が劇的で説得力がある場合もあります。

  • 治療を求めて患者が医師や病院をわたり歩くこともあります。

  • 他の病気の可能性が否定された後、症状が偽りであることの証拠が認められれば、この病気と診断されます。

  • 明らかに効果的な治療法はありませんが、精神療法が役立つことがあります。

自らに負わせる作為症は、以前はミュンヒハウゼン症候群と呼ばれていました。作為症が他者に負わされることもあります(他者に負わせる作為症を参照)。

自らに負わせる作為症の患者は、何らかの病気がある状態を繰り返し装います。実際に病気がある場合は、その症状を大げさに説明したり、症状について嘘をついたりして、実際よりも病状や障害が重いふりをします。しかし、この病気は単なる不誠実では片付けられない複雑なものであり、重大な情緒的問題が関わる精神障害の一種です。

自らに負わせる作為症の原因は不明ですが、ストレスや重度のパーソナリティ障害(境界性パーソナリティ障害が最も多い)が関係していることがあります。患者が幼少期に情緒的虐待や身体的虐待を経験していたり、小児期に重い病気を患ったことがあったり、近親者に重篤な病気の人がいたりした場合があります。患者には自己同一性または自尊心に関わる問題、また不安定な人間関係が認められるようです。病気を装うのは、人間関係や仕事上の問題を病気のせいにしたり、一流の医師や医療機関と関係をもったり、自分が特別な人間、英雄的な人間、あるいは医学知識をもつ洗練された人間であるかのように見せたりすることで、自尊心を高めたり維持しようとしたりするための方法である可能性があります。

この病気のある人は、その行動が意識的かつ意図的であるため、詐病者と似ています。しかし、詐病者とは異なり、作為症の人は外的な報酬(保険金の支払いや病気休暇を得るなど)を動機としているわけではありません。

症状

自らに負わせる作為症の患者は、心臓発作に似せた胸痛など、特定の病気を疑わせる身体症状を訴えることがあります。また血尿、下痢、発熱などの多様な病気により生じることのある症状を訴えることもあります。患者はしばしば、自分が装っている病気について熟知しています(例えば、心臓発作による痛みは胸部から左腕や顎に広がることがあるなど)。診療記録を改変して、病気の証拠にすることもあります。ときに、自分の体に何らかの細工をして、実際に症状を出現させることもあります。例えば、針で指を刺して、尿サンプルに血液を入れることがあります。あるいは皮膚の下に細菌を注入して、発熱やただれを引き起こすこともあります。

この病気のある人は、通常かなり知的で機知に富んでいます。説得力をもって病気を真似る方法を知っているだけでなく、高度な医療の知識ももっています。言葉巧みに入院にもちこみ、精密検査や治療、ときには大手術が必要な患者だと思わせることができます。虚偽は意識的に行われているものですが、その動機や人の注意を引きたいという欲求の大半は無意識のものです。しばしば、治療を求めて多くの医師や病院をわたり歩きます。

自らに負わせる作為症は、生涯にわたって続くことがあります。

診断

  • 医師による評価

医師はまず、徹底的な病歴聴取、身体診察、検査を行うことで、身体的な病気や精神障害がないか調べます。ほとんどの場合、患者による症状の説明には説得力があり、ときに医師の判断を誤らせることもあります。しかし、医師は以下の点に基づいてこの病気を疑います。

  • 病歴が劇的であるが、一貫性がない。

  • 治療を行っても症状が軽減せず、むしろ悪化する。

  • 陰性の検査結果が戻ってきたり、一群の症状に対する治療を終えたりすると、また別の症状が現れたり、治療を求めて別の病院に移ってしまう。

  • 患者が医療について幅広い知識をもっている。

  • 診断検査や外科的処置を受けるのに前向きまたは熱心である。

  • 多くの医師や病院を頻繁に受診した病歴がある。

  • 医師が家族や過去に治療を受けた別の医師と話をすることに抵抗する。

自らに負わせる作為症の診断は、以下の基準をすべて満たした場合に下されます。

  • 他の病気の可能性が否定されている。

  • 症状の誇張、偽り、嘘、自己誘発、または病歴の改変の証拠を医師が確認する。

  • 偽りの症状を演じたり、症状を誇張したりすることに対して、その動機となりうる明らかな外的要因が認められない。

医師が患者を精神科医などの精神医療従事者に紹介することもあります。

この病気が早期に診断されれば、リスクを伴う侵襲的な検査、外科的な処置、不要な治療を回避することができます。

治療

  • 明らかに有効な治療法はない

明らかに有効な治療法はありません。患者が偽っている病気に対して治療を受けると、患者は一時的に楽になったと感じることもありますが、典型的にはその後にしばしば別の症状を訴え、さらなる治療を求めます。不要な治療を回避することが、治療の重要な部分となります。

精神療法(特に認知行動療法)が役立つことがあります。そこでは、患者の思考や行動を変化させることに重点が置かれます。また作為症の原因になっている基礎的な問題を患者が特定し、対処することに役立つこともあります。

他者に負わせる作為症

他者に負わせる作為症は、他者について身体疾患または精神障害の症状を装ったり、作り出したりする精神障害です。通常は養育者(典型的には親)が世話をしている相手に対して行います。

この病気は、以前は代理人による虚偽性障害や代理ミュンヒハウゼン症候群と呼ばれていました。

他者に負わせる作為症は、自らに負わせる作為症と似ていますが、患者(通常は養育者、典型的には親)が世話をしている相手(通常は子どもで、養育者である患者の嘘に異議を唱えることも、患者に負わされたけがを説明することもできない)について意図的に身体または精神症状を装ったり、作り出したりする点が異なります。

養育者である患者は、実際には健康であるのに子どもが自宅で熱を出した、嘔吐したなどと虚偽の説明をすることにより、子どもの病歴を偽ります。薬物などを使って子どもの健康を故意に害したり、検査用の尿の中に血液や細菌などを混入させたりすることで子どもの病気を装う患者もいます。患者は子どものために医療機関を受診し、深く心配し、保護しているようにみえます。典型的には、子どもに頻繁な入院歴がみられ、通常その理由は特徴のない様々な症状ですが、確定的な診断は下されていません。このような子どもは、養育者である患者が病気を装おうとすることで、実際に重い病気になることがあり、ときに死亡することもあります。

自らに負わせる作為症と同様に、養育者である患者には、その行動の動機となりうる明らかな外的要因が認められません。例えば、患者は小児虐待の徴候を隠そうとしません。

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