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解離性とん走

執筆者:

David Spiegel

, MD, Stanford University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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解離性とん走では、過去の記憶の一部またはすべてを失い、通常は家族や仕事を残して普段の居場所から姿を消してしまいます。(「とん走」とは「脱走」や「逃避」を意味します。)

解離症の概要解離性健忘も参照のこと。)

解離性とん走は、まれな解離性健忘の一種です。

解離性とん走の持続時間は、数時間の場合もあれば、数カ月間、ときにはさらに長期間にわたる場合もあります。とん走の期間が短いと、職場に遅刻したり、帰宅が遅くなったりしただけのように見えることがあります。とん走が数日以上続く場合は、自宅から遠く離れた土地におもむき、自分の人生の変化に気づかないまま、新たな自己同一性を形成し、新たな仕事を始めることもあります。

とん走の多くは、隠された願望の充足や、強いストレスや困惑から逃れることのできる唯一の方法と考えられます。例えば、財政的に困窮している経営者が多忙な生活を逃れて、田舎で農夫として暮らす場合などが挙げられます。

このため、しばしば詐病(さびょう)と間違えられることがありますが、それはどちらの場合にも、患者に自分の責任から逃れたい(耐えがたい結婚生活など)、自己の行動に対する責任を回避したい、あるいは戦闘などの既知の危険にさらされたくないといった理由が存在するからです。しかし、詐病とは異なり、解離性とん走は無意識のうちに起こるものであり、演技ではありません。詐病者の場合は、典型的には自分の症状を誇張して大げさに話し、記憶障害を演技するための明らかな経済的、法的、または個人的理由(仕事を避けるなど)があることから、医師は通常、両者を見分けることができます。

症状

とん走の期間中は、本人の外見や行動は正常であったり、軽く混乱しているように見えたりする程度で、周囲の注意を引くことはありません。しかし、とん走が終わると、本人は突然知らない状況に置かれていて、そこにどうやってたどり着いたのか、自分が何をしていたのかを思い出すことができません。この時点で患者の多くは、何が起こったのか思い出せないことで恥ずかしく思ったり、狼狽したりします。恐怖を感じる人もいます。混乱している状態では、医療機関や法的機関の目にとまる場合もあります。

とん走が終われば、多くの患者はとん走が始まるまでの過去の自己同一性と人生を思い出します。しかし、記憶の回復に時間がかかり、徐々に記憶を取り戻す人もいます。過去の一部をまったく思い出せない人もいます。ごく少数ですが、以降の生涯にわたって、自分の過去について何も思い出せない人や、ほとんど思い出せない人もいます。

診断

  • 医師による評価

自己同一性に関する混乱や過去の記憶について困惑がみられる場合、あるいは新たな自己同一性や自己同一性の欠如について葛藤がみられる場合に、解離性とん走が疑われます。

ときに、とん走前の自己同一性を突然取り戻し、見慣れない環境にいることに困惑する状況になるまで、解離性とん走とは診断されない場合もあります。

通常、解離性とん走の診断は、医師が患者の経歴を調べ、家出をする前から、とん走中、そして別の生活が確立されるまでの経緯について情報を収集した後に下されます。

治療

  • 精神療法(心理療法)

  • ときに催眠または薬物を利用した面接

解離性とん走が生じている場合は、とん走中の出来事を思い出す助けとなるように、催眠または薬物を利用した面接(鎮静薬を静脈から投与した上で行う面接)と組み合わせて、精神療法を行うことがあります。しかし、その努力が功を奏さないこともよくあります。

それでも、精神療法家は患者がとん走の引き金となった状況、葛藤、感情の対処法を探り、その後に患者がうまく対処できるより良い方法を見つける手助けをすることができます。このようなアプローチは、とん走の再発を予防するのに役立ちます。

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