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統合失調症

執筆者:

S. Charles Schulz

, MD, University of Minnesota Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 11月
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統合失調症は、現実とのつながりの喪失(精神病)、幻覚(通常は幻聴)、妄想(誤った強い思い込み)、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、精神機能(認知機能)の低下、日常生活(仕事、対人関係、身の回りの管理など)の問題を特徴とする精神障害です。

  • 統合失調症は、遺伝的な要因と環境的な要因の双方によって起こると考えられています。

  • 症状は様々で、奇異な行動、とりとめのない支離滅裂な会話、感情鈍麻、寡黙、集中力や記憶力の低下など、多岐にわたります。

  • 統合失調症の診断は、考えられる他の原因の可能性を検査で否定した後に、症状に基づいて下されます。

  • 経過の良し悪しは、患者が処方された薬を指示通り服用するかどうかに大きく左右されます。

  • 治療としては、抗精神病薬、トレーニングプログラムと地域支援活動、精神療法、家族への心理教育などを行います。

統合失調症は世界中で健康上の大きな問題となっています。自立した生活を確立していく年代の若年者に発症するのが典型的で、日常生活への支障とそれに伴う偏見が生涯続く可能性があります。患者の人生に及ぼす影響と経済的な損失からみて、統合失調症は人類を苦しめている最悪の病気の1つとされています。

統合失調症は、世界的に人々の日常生活に支障をきたす主要な原因の1つとなっており、人口の約1%が発症します。統合失調症の発生率に男女差はありません。米国では、統合失調症は社会保障制度上の障害日数の約5分の1を、また医療費全体の2.5%を占めています。統合失調症は、アルツハイマー病や多発性硬化症より多くみられる病気です。

統合失調症は、症状があまり知られておらず、治療の開始が年単位で遅れる場合もがあるため、発症時期の特定が難しい場合がよくあります。平均発症年齢は、男性では20代前半から半ば、女性ではそれよりやや後の年齢です。統合失調症が小児期に発症することはまれですが({blank} 小児と青年における統合失調症)、青年期以降になると発症がみられるようになります。

社会的機能の低下は、物質乱用、貧困、路上生活の原因になります。治療を受けない統合失調症患者が家族や友人との接触を失って、大都市で路上生活を送っている場合もよくあります。

知っていますか?

  • 統合失調症は、アルツハイマー病や多発性硬化症より多くみられる病気です。

  • 甲状腺の病気、脳腫瘍、けいれん性疾患、他の精神障害など、様々な病気が統合失調症と似た症状を引き起こすことがあります。

統合失調症の原因

統合失調症の正確な原因は不明ですが、最新の研究では、遺伝的な要因と環境的な要因が組み合わさって発症することが示唆されています。しかし、根本的には生物学的な問題(脳の変化が関わる)であり、不良な養育環境や精神衛生上不健全な環境での成長が原因で起こる精神障害ではありません。

統合失調症を発症しやすくなる要因としては、以下のものがあります。

  • 遺伝的な素因

  • 妊娠の第2トリメスター(訳注:日本の妊娠中期にほぼ相当)の母親のインフルエンザ感染、分娩中の酸素欠乏、低体重での出生、母体と乳児の血液型不適合など、出産前後や分娩中に発生した問題

  • 脳の感染症

一般の人々での発生リスクが1%であるのに対し、統合失調症の親や兄弟姉妹をもつ人では、発生リスクが約10%となります。一卵性双生児の1人が統合失調症の場合、もう1人の発生リスクは約50%になります。これらの統計データから、この病気には遺伝的な要因が関わっていることが示唆されます。

統合失調症の症状

統合失調症は、突然発症する場合もあれば、数日から数週間かけて発症する場合もあり、また何年かけて徐々に発症していく場合もあります。統合失調症による症状の重症度と種類は患者毎に異なりますが、通常は仕事、対人関係、身の回りの管理に関する能力に支障をきたすほどの重い症状が現れます。

しかし、ときに最初に軽い症状がみられる場合があります(前駆症状と呼ばれます)。引きこもり、支離滅裂、疑い深いなどの印象があるだけの場合もあります。医師がそれらの症状を統合失調症の始まりと認識できる場合もありますが、ときに後になって初めてそれと判明する場合もあります。

統合失調症は精神病症状を特徴とする病気ですが、そのような症状としては、妄想、幻覚、支離滅裂な思考や発言、奇妙な行動や不適切な行動などがあります。精神病症状には、現実との接触の喪失がみられます。

統合失調症の人の一部では、精神(認知)機能の低下がみられ、ときに発症後ごく早期からみられます。こうした認知障害により、注意を払うことや、抽象的な思考、問題解決などに支障をきたします。統合失調症患者における全般的日常生活障害の程度は、大部分が認知障害の重症度によって決まります。統合失調症患者の多くは職についておらず、家族や他者との接触はまったくないか、ほとんどありません。

失業や失恋などストレスになるライフイベントが引き金となって、症状が現れたり、悪化したりすることがあります。マリファナなどの薬物使用も、発症の引き金や症状悪化の原因になることがあります。

全体として、統合失調症の症状は大きく4つに分類されます。

  • 陽性症状

  • 陰性症状

  • 解体症状

  • 認知障害

一部の種類の症状だけがみられる場合もあれば、すべての種類の症状がみられる場合もあります。

陽性症状

陽性症状は、正常な精神機能が過度に高まったり、歪みが生じたりしたものです。具体的には以下のものがあります。

  • 妄想は、通常は知覚や体験の間違った解釈を伴う誤った思い込みです。また、明らかに矛盾する証拠があっても、患者はその思い込みを捨てようとしません。妄想には多くの種類があります。例えば、統合失調症では、困らされている、後をつけられている、だまされている、見張られているなどの被害妄想が起こることがあります。関係妄想といって、本、新聞、歌詞などの1節が明確に自分に向けられていると思い込むこともあります。他者に自分の心が読まれている、自分の思考が人に伝わっている、外部の力によって思考や衝動が自分の中に吹き込まれているなどと思い込む思考奪取や思考吹入という妄想もあります。統合失調症で生じる妄想は奇妙なものもあれば、そうでないものもあります。奇妙な妄想は明らかに信じがたい内容で、普通の人生経験から生じるものではありません。例えば、誰かに傷あとを残さずに内臓を抜き取られたと信じているなどです。奇妙でない妄想は、後をつけられている、配偶者やパートナーに裏切られるなど、現実にも起こりうる内容のものです。

  • 幻覚は他の誰も経験しないものを聞いたり、見たり、味わったり、身体的に感じたりすることです。圧倒的に多いのは音の幻覚(幻聴)です。自分の行動に関して意見を述べたり、互いに会話したり、批判的、侮辱的なことを言う声が頭の中で聞こえたりすることがあります。

陰性症状

陰性症状は、正常な精神機能が低下したり、失われたりしたものです。具体的には以下のものがあります。

  • 感情表現が減少する(感情鈍麻)ことで、感情がみられなくなります。顔の表情から動きがなくなります。人と目を合わさなくなります。話す際に手や頭を使って感情を強調することがなくなります。本来なら笑ったり泣いたりするような出来事があっても、何の反応も示しません。

  • 発語が乏しくなると、言葉数が少なくなります。質問に対する返答は1語か2語と短く、心の中が空虚な印象を与えます。

  • 快感消失という状態では、喜びを感じられなくなります。以前やっていた活動にほとんど興味を失い、目的のない活動に時間を費やすようになります。

  • 非社交性という状態では、他者との関わりに興味を失います。

これらの陰性症状は、しばしば全般的な意欲喪失、目的意識の欠如、目標の喪失を伴います。

解体症状

解体症状では、思考障害や奇異な行動がみられます。

  • 思考障害とは、思考が支離滅裂になることを意味し、話にとりとめがなく、話題が次々に変わることで明らかになります。話す内容が多少混乱している程度の場合もあれば、完全に支離滅裂で理解できない場合もあります。

  • 奇異な行動は、子どもじみた行為、興奮、不適切な外見、不衛生、不適切な行為などの形で現れます。その極端な形態の1つが緊張病という状態で、硬直した姿勢を崩さず、周囲の人が体を動かそうとすると強く抵抗したり、対照的に無作為に動き回ったりします。

認知障害

認知障害とは、集中力、記憶力、整理能力、計画能力、問題解決能力などに問題が生じた状態をいいます。集中力が欠如しているために、本が読めなかったり、映画やテレビ番組の話の筋が追えなかったり、指示通りに物事ができなかったりします。また、注意が散漫になり、1つのことに集中できない人もいます。その結果、細部への注意が必要な仕事、複雑な作業、意思決定などができなくなります。

自殺

統合失調症患者の約5~6%が自殺し、約20%が自殺を試み、さらに多くの患者が自殺を真剣に考えます。自殺は統合失調症患者における若年死の主因であり、統合失調症患者の平均余命が一般の人より10年短いことの主な理由の1つです。

統合失調症の若い男性では自殺のリスクが高く、物質乱用もみられる場合には特に高くなります。抑うつ症状や絶望感を抱えている人、失業している人、精神病症状が現れたばかり、または病院から退院したばかりの人でもリスクは高まります。

自殺のリスクは、人生の後半になって統合失調症を発症した人や、発症するまで支障なく日常生活を送れていた人で最も高くなります。そのような人は、発症後も悲嘆や苦悩を感じる能力が維持されていますので、自身の病気がもたらす影響を認識できるため、自暴自棄になる可能性が高くなるのです。一方で、そのような人たちは、回復の見込みが最も大きい人々でもあります。

知っていますか?

  • 統合失調症患者の約5~6%が自殺します。

暴力

世間一般の認識に反して、統合失調症患者が暴力行動を示すリスクはわずかに高くなるだけです。本当に危険な行動よりも、暴力をふるうという脅しや攻撃性の低い感情の爆発の方がはるかに多くみられます。重度の抑うつ状態にあり、孤立し、妄想を抱いているごく少数の患者では、自らの苦しみの唯一の原因とみなしている人(権威者、有名人、配偶者など)を攻撃したり、ときに殺害したりすることがあります。

重大な暴力行為を働く可能性が高い人の特徴として、以下のものがあります。

  • 薬物またはアルコールを乱用している

  • 迫害されているという妄想を抱いている

  • 暴力行為を命令する幻覚がある

  • 処方された薬を服用していない

しかし、医師が危険因子を考慮に入れて検討しても、ある統合失調症患者が暴力行為を起こすかどうかを正確に予測することは困難です。

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統合失調症に類似する病気

甲状腺疾患、脳腫瘍、けいれん性疾患、腎不全、薬物に対する中毒反応、ビタミン欠乏症など、全身性や神経性の病態が原因で、統合失調症に似た症状が引き起こされることがあります。

また、いくつかの精神障害にも統合失調症と共通する特徴があります。

  • 短期精神病性障害:この病気では、統合失調症に似た症状がみられますが、1日から1カ月程度しか持続しません。この短期的な精神障害は、もともとパーソナリティ障害がある人や、愛する人を失うなど強いストレスを受けた人によく起こります。短期精神病性障害はしばしば再発します。しかし、再発するまでの間は、一般的に支障なく日常生活を送ることができ、症状はあってもわずかです。

  • 統合失調症様障害:この病気では、統合失調症に似た特徴的な症状が1~6カ月続きます。この病気は回復することもあれば、双極性障害、統合失調感情障害、または統合失調症に進行することもあります。

  • 統合失調感情障害:この病気の特徴として、統合失調症の典型的な症状とともに、抑うつや躁状態など気分症状がみられます。

  • 統合失調型パーソナリティ障害この種のパーソナリティ障害では、統合失調症と共通する症状が現れますが、一般に症状はそれほど重くなく、精神病の診断基準を満たしません。この病気の患者は、自分は他者とは異なり、どこにも属していないと感じているため、他者との交流を好みません。また疑い深く、他者を信頼しようとしない傾向があります。統合失調症の人と同様に、奇妙な考え方や認識、コミュニケーションがみられますが、統合失調症の人のそれほど異常ではありません。

統合失調症の診断

  • 具体的な診断基準に基づく医師による評価

  • ほかの病気を否定するための臨床検査と画像検査

統合失調症の診断に決め手となる検査はありません。診断は、病歴と症状の総合的な評価に基づいて下されます。

以下の条件の両方に該当する場合、統合失調症と診断されます。

  • 特徴的な症状(妄想、幻覚、支離滅裂な発語、支離滅裂な行動、陰性症状)のうち2つ以上が6カ月以上続いている。

  • それらの症状のために仕事面、学業面、または社会的な機能が著しく悪化している。

家族、友人、教師などからの情報が、しばしば発症時期を特定するのに重要となります。

臨床検査を行って、精神病の症状を引き起こす可能性のある、物質乱用の有無や内科疾患、神経疾患、内分泌系の病気などが基礎にないかどうかを調べます。そのような病気の例として、脳腫瘍、側頭葉てんかん、甲状腺疾患、自己免疫疾患、ハンチントン病、肝疾患、薬の副作用などがあります。薬物乱用を調べる検査を行う場合もあります。

脳腫瘍の可能性を否定するために、CT検査やMRI検査など、脳の画像検査を行うこともあります。統合失調症の人の脳には、CTまたはMRI検査で検出できる異常が生じていることがありますが、その異常は、統合失調症の診断に役立つほど特徴的なものではありません。

予後(経過の見通し)

治療の開始が早いほど、治療の結果はよくなります。

統合失調症の予後は、主に患者が薬物療法の指示をきちんと守るかどうかにかかっています。薬物療法を行わない場合、70~80%の患者で診断から1年以内に症状が再発します。薬を継続的に服用すれば、再発率は約30%に下がり、大半の人では重症度が大幅に軽減します。退院後は、処方された薬を服用しない人では、1年以内に再入院する可能性が非常に高くなります。指示通りに服用すれば、再入院の可能性は大幅に低くなります。

このように、薬物療法の有効性が証明されているにもかかわらず、統合失調症の人の半数が処方された薬を服用しません。自分が病気であるという認識がないため服薬を拒む人や、不快な副作用が原因で服薬を中止してしまう人もいます。記憶の問題、解体症状、あるいは単に経済的理由から薬の服用をやめてしまうケースもあります。

服薬の妨げとなっている問題を取り除くことで、患者が薬物療法の指示に従う可能性が高まります。薬の副作用が主な問題となっている場合は、別の薬に替えることが有用です。医師や他の療法家との間に一貫した信頼関係ができると、自己の病気を受け入れやすくなり、薬物治療に従う必要性を認識するようになる患者もいます。

長期的にみた経過の見通し(予後)は様々ですが、おおむね以下のようになっています。

  • 3分の1の患者では、長期間持続する大きな改善がみられます。

  • 3分の1の患者では、いくらかの改善がみられますが、たびたび再発を繰り返し、後遺症が残ります。

  • 3分の1の患者では、重度かつ永続的な無能力の状態に陥ります。

統合失調症を発症する前と同じように日常生活を送れるようになる人は、統合失調症患者全体の約15%だけです。

予後(経過の見込み)が良好になる要因としては、以下のものがあります。

  • 症状の突然の出現

  • 高齢での発症

  • 発症前の能力や業績が高い

  • 認知障害が軽度

  • いくつかの陰性症状(感情表現の減少など)しかみられない

  • 最初の精神病エピソードから治療開始までの期間が短い

予後(経過の見込み)が不良になる要因としては、以下のものがあります。

  • 低年齢での発症

  • 発症前の社会的状況や仕事での役割の遂行に問題がある

  • 統合失調症の家族歴がある

  • 陰性症状が多くみられる

  • 最初の精神病エピソードから治療開始までの期間が長い

男性は女性より予後が不良です。女性は抗精神病薬による治療が効きやすいです。

統合失調症の治療

  • 抗精神病薬

  • 支援サービス

  • 精神療法(心理療法)

一般に、統合失調症の治療では以下を目標とします。

  • 精神病症状を軽減する。

  • 症状の再発とそれに伴う日常生活機能の低下を予防する。

  • 日常生活機能をできるだけ高い水準で維持できるように患者を支援する

治療の開始が早いほど、治療の結果はよくなります。

抗精神病薬、リハビリテーションと地域支援活動、および精神療法が治療の中心になります。家族に統合失調症の症状と治療について指導すること(家族に対する心理教育)が、家族の支えになると同時に、医療従事者が統合失調症患者とのコンタクトを維持するのに役立ちます。

抗精神病薬

妄想、幻覚、支離滅裂な思考などの症状を軽減または消失させるのには、抗精神病薬が有効です。急性の症状が治まってからは、抗精神病薬を継続的に使用することで、再発の可能性をかなり抑えることができます。しかし、抗精神病薬には、眠気、筋肉のこわばり、振戦(ふるえ)、体重増加、不穏など、重大な副作用があります。比較的新しい(第2世代)抗精神病薬は、筋肉のこわばりや振戦を引き起こす可能性が低く、最もよく処方されています。

また、遅発性ジスキネジアという(唇や舌をすぼめる、腕や脚をねじるなどの動作を主な特徴とする)不随意運動障害が生じる可能性もあります。遅発性ジスキネジアは薬の使用を中止しても治らないことがあり、遅発性ジスキネジアが長引く場合、効果的な治療法はありませんが、クロザピンやクエチアピンという薬で症状をわずかに軽減できる場合があります。抗精神病薬を長期間服用しなければならない人には、遅発性ジスキネジアの症状が現れていないか確認するために6カ月毎に評価を行います。

まれながら死に至ることのある抗精神病薬の副作用に、神経遮断薬による悪性症候群があります。この症候群は、筋肉の硬直、発熱、高血圧、精神機能の変化(錯乱、嗜眠など)を特徴とします。

抗精神病薬は以下の2種類に分けられます。

  • 従来型抗精神病薬(古いもの)

  • 第2世代抗精神病薬(新しいもの)

第2世代抗精神病薬の一部は、従来のものより副作用が少なくなっています。それらの薬による遅発性ジスキネジア、筋肉のこわばり、振戦(ふるえ)のリスクは、従来型抗精神病薬のそれより大幅に低くなっています。しかし、これらの薬の一部はかなりの体重増加を引き起こすとみられています。また、メタボリックシンドロームの発生リスクを高めるものもあります。メタボリックシンドロームでは、腹部に脂肪が蓄積し、中性脂肪(脂肪の一種)の血中濃度が上昇し、高比重リポタンパクコレステロール(HDL、「善玉」コレステロール)が減少し、血圧が上昇します。さらに、 インスリンの作用が弱くなり( インスリン抵抗性)、2型糖尿病の発生リスクが高まります。

第2世代抗精神病薬は、陽性症状(幻覚など)、陰性症状(感情喪失など)、および認知障害(精神機能の低下、注意持続時間の短縮など)を軽減します。しかし、従来の抗精神病薬と比べて、症状を軽減する効果がより高いかどうかや、副作用が少ないからといって処方どおりに服用される可能性が高いかどうかは、明らかではありません。

クロザピンは、最初に開発された第2世代抗精神病薬であり、他の抗精神病薬が効かなかった患者の最大半数に効果があります。ただし、けいれん発作や死に至ることもある骨髄機能(血球の生産など)の抑制といった、重篤な副作用を引き起こすことがあります。このような理由から、クロザピンは他の抗精神病薬が効かなかった患者にのみ使用されるのが通常となっています。クロザピンの使用に際しては、少なくとも最初の6カ月間にわたり白血球数を毎週測定する必要があり、白血球の減少を示す徴候が少しでもみられれば、直ちに服用を中止します。

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抗精神病薬

薬剤

主な副作用

備考

従来の抗精神病薬

クロルプロマジン

フルフェナジン

ハロペリドール

ロキサピン(loxapine

モリンドン

ペルフェナジン

ピモジド

チオリダジン(訳注:日本では販売中止)

チオチキセン

トリフロペラジン

口腔乾燥

かすみ目

けいれん発作

心拍数の上昇(頻脈)と血圧の低下

便秘

突然発生して、消失することの多い振戦と筋肉のこわばり(ときに硬直に進行する)

顔や腕の不随意運動(遅発性ジスキネジア)

筋肉の硬直、発熱、高血圧、精神機能の変化(神経遮断薬による悪性症候群)

高齢者、平衡感覚に異常のある人、重篤な身体的病気がある人では、副作用が起こる可能性がはるかに高くなる。

ハロペリドールとフルフェナジンには、作用時間の長い注射薬もある。

チオリダジン(訳注:日本では販売中止)の服用中は眼の診察と心電図検査の実施が推奨される。

新しい抗精神病薬

アリピプラゾール

アセナピン

ブレクスピプラゾール

カリプラジン

クロザピン

イロペリドン(iloperidone

ルラシドン

オランザピン

パリペリドン

クエチアピン

リスペリドン

ジプラシドン

眠気、体重増加(最も多い)、かなり強いこともある

ほかに考えられるものとして、腹部への脂肪の蓄積、血中コレステロール値の異常、高血圧、インスリンの作用に対する抵抗性(メタボリックシンドローム

新しい抗精神病薬は、振戦(ふるえ)、筋肉のこわばり、不随意運動(遅発性ジスキネジアなど)、神経遮断薬による悪性症候群などの副作用は少ないが、起こる可能性はある。

アリピプラゾール、オランザピン、リスペリドンには、作用時間の長い注射薬もある。

クロザピンは、骨髄抑制、白血球数の減少、けいれん発作を引き起こす可能性があるため、あまり使用されない。しかし、他の薬が効かない患者にはしばしば有効となる。

体重増加を引き起こす可能性は、クロザピンオランザピンで最も高く、アリピプラゾールで最も低い。

ジプラシドンは体重増加を引き起こさないが、心電図に異常を生じることがある。

アリピプラゾールブレクスピプラゾールカリプラジンジプラシドンは、メタボリックシンドロームを引き起こす可能性が低い。

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抗精神病薬が作用する仕組み

抗精神病薬は、幻覚、妄想、支離滅裂な思考、および攻撃性の治療に最も有効とみられている薬です。抗精神病薬は、統合失調症に対して処方されるのが最も一般的ですが、統合失調症、躁病、認知症、またはアンフェタミンなどの薬物使用に起因するものも含めて、これらの症状の治療に効果があるとみられています。

抗精神病薬は、脳内の神経細胞同士の情報伝達に影響を及ぼすことで作用を発揮します。成人の脳は100億以上のニューロンと呼ばれる神経細胞で構成されています。脳内の各ニューロンには、軸索と呼ばれる1本の細長く伸びた線維があり、そこから別のニューロンに情報が伝達されます({blank} 神経細胞の典型的な構造)。巨大な電話交換装置内で互いに接続された無数の回線のように、それぞれのニューロンが他の数千ものニューロンとつながっています。

情報は電気的信号として神経細胞の軸索を伝わります。信号が軸索の先端に達すると、神経伝達物質という化学物質が少量放出され、それにより次の神経細胞に情報が伝達されます。情報を受ける側の細胞にある受容体が神経伝達物質を感知すると、その細胞に新たな信号が発生します。

精神病の症状は、神経伝達物質であるドパミンを感知する細胞が活性化しすぎたために起きると考えられています。そのため抗精神病薬は、この物質が作用する部分(受容体)を遮断することにより、神経細胞のグループ間での情報伝達を抑制することで、その作用を発揮します。

様々な神経伝達物質をどの程度遮断するかは、抗精神病薬の種類によって異なります。有効とされている抗精神病薬は、いずれもドパミン受容体を遮断します。新しい抗精神病薬(アセナピン、クロザピン、イロペリドン[iloperidone]、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン)はセロトニン受容体も遮断します。専門家たちは、新しい抗精神病薬はこの特徴のためにより有効なのではないかと考えましたが、最近の脳画像診断の研究では、この考えは支持されていません。

クロザピンは、ほかにも多くの受容体を遮断する薬で、精神病症状に最も有効な薬であることが明らかにされています。しかし、重篤な副作用があり、血液検査によるモニタリングが必要であるため、あまり使用されません。

リハビリテーションプログラムと地域支援活動

職場訓練などのリハビリテーションと支援プログラムは、医療施設内ではなく、社会の中で患者が生きて行くために必要な技能を教えることを目的として行われます。それらの技能が身につけば、統合失調症の人も仕事、買い物、身の回りの管理、家事などができるようになり、人間関係も改善されます。

地域支援サービスでは、統合失調症の人ができる限り自力で生活できるようにするためのサービスが提供されます。このようなサービスとしては、スタッフが常駐して患者が薬を処方通り服用しているか確認したり、金銭面で支援を行ったりすることのできる、監督者付きの共同住宅やグループホームがあります。あるいは、スタッフが患者の自宅を定期的に訪問する場合もあります。

重度の再発を起こした場合は入院が必要になり、特に自傷・他害行為のおそれがあれば強制入院になることもあります。しかし、一般的な目標は患者を社会復帰させることです。

一部の統合失調症患者は、重い症状が長期間持続することから、あるいは薬物療法で効果が得られないために、自立した生活を送ることができません。そのような場合は、支援体制が整った安全な施設でのフルタイムのケアが必要です。

全米精神障害者家族会連合会(National Alliance on Mental Illness)などの支援団体が、しばしば家族の助けになります。

精神療法(心理療法)

一般に、精神療法で統合失調症の症状が軽減することはありません。しかし、精神療法は統合失調症患者と家族と医師の間に協力関係を築く上で役に立つ可能性があります。こうした関係の中で、患者は自分の病気のことを理解して対処し、処方通りに抗精神病薬を服用し、病状を悪化させる可能性があるストレスに対処する方法を学びます。医師と患者の間に良好な関係が築けるかどうかが、しばしば治療成功の鍵となります。

統合失調症の人が家族と一緒に生活する場合は、本人とその家族を対象として心理教育が勧められることがあります。これは、本人とその家族に、この病気に関する情報や病気に対する対処方法(例えば、対処技能を指導することなど)に関する情報を提供するための訓練です。この訓練は再発の予防に役立ちます。

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統合失調症と妄想性障害
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