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精神障害の治療

執筆者:

Michael B. First

, MD, Columbia University

医学的にレビューされた 2020年 3月
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やさしくわかる病気事典
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精神障害の治療は大きな進歩を遂げています。その結果、多くの精神障害に関する治療成績が身体的な病気に近い水準まで向上してきています。

精神障害に対する治療法の大半は、以下のいずれかに分類できます。

  • 身体的な治療法

  • 精神療法(心理療法)

身体的な治療法としては、薬物療法と電気けいれん療法のほか、脳を刺激する治療法(経頭蓋磁気刺激療法や迷走神経刺激療法など)などがあります。

精神療法的な治療法としては、精神療法(個人療法、集団療法、家族療法、夫婦療法)、行動療法(リラクゼーション訓練や曝露療法など)、催眠療法などがあります。

主な精神障害では、薬物療法と精神療法を併用することで、一方を単独で用いるより高い治療効果が得られることが、多くの研究によって示されています。

精神障害の治療を行うための訓練を受けた精神医療従事者は、精神科医だけではありません。米国では医師以外の医療従事者として、臨床心理士、上級実践看護師、ソーシャルワーカーなどがいます。ただし、このうち薬を処方する資格をもっているのは精神科医(と一部の州では精神科ナースプラクティショナー)だけです。医師以外の精神医療従事者は、主に精神療法を行います。多くの場合、かかりつけ医や他の分野の医師も精神障害の治療薬を処方します。

薬物療法

有効性の高い向精神薬がいくつかあり、精神科医だけでなく、他科の医師にも広く使用されています。この種の薬は多くの場合、主な処方対象となる病気に従って分類されます。例えば、うつ病の治療に使用されるものを抗うつ薬といいます。

その他の種類の抗うつ薬としては以下のものがあります。

クロルプロマジン、ハロペリドール、チオチキセンといった従来の 抗精神病薬 抗精神病薬 統合失調症は、現実とのつながりの喪失(精神病)、幻覚(通常は幻聴)、妄想(誤った強い思い込み)、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、精神機能(認知機能)の低下、日常生活(仕事、対人関係、身の回りの管理など)の問題を特徴とする精神障害です。 統合失調症は、遺伝的な要因と環境的な要因の双方によって起こると考えられています。 症状は様々で、奇異な行動、とりとめのない支離滅裂な発言、感情鈍麻、寡黙、集中力や記憶力の低下など、多岐にわた... さらに読む は、統合失調症などの精神病性障害や特定の行動面の問題に対する治療に役立ちます。新しい世代の抗精神病薬(非定型または第2世代抗精神病薬と呼ばれています)は、現在では初期治療用の薬として広く使用されています。新しい世代の抗精神病薬としては、アリピプラゾール、アセナピン、カリプラジン(cariprazine)、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンなどがあります。他の抗精神病薬が効かない患者に対しては、クロザピンの使用が増えてきています。

SSRI、 抗不安薬 不安症の治療に用いられる薬剤 不安症の治療に用いられる薬剤 (クロナゼパム、ロラゼパム、ジアゼパムなど)、その他の抗うつ薬は、パニック症や恐怖症といった不安症の治療薬として使用されています。

リチウム リチウム 双極性障害(以前の躁うつ病)では、抑うつ状態と躁状態または軽躁状態(軽度の躁状態)が交互にみられます。躁状態は、過度の身体活動や、置かれた状況と著しく不釣り合いな高揚感を特徴とします。 双極性障害の発症には、おそらく遺伝も一部関与しています。 抑うつ状態と躁状態は、別々に生じることもあれば、同時に生じることもあります。 過度に気持ちがふさぎ込んで人生に興味がなくなる時期と、気分が高揚し、極端に活動的になって、しばしば易怒性を示す時期とが... さらに読む 、カルバマゼピン、バルプロ酸、ラモトリギン、トピラマートなどの気分安定薬は、双極性障害の治療に使用されています。また、双極性障害の治療にはいくつかの抗精神病薬も使用できます。具体的には、アリピプラゾール、アセナピン、カリプラジン(cariprazine)、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンなどがあります。

電気けいれん療法

電気けいれん療法は、電極を患者の頭部にあてて、麻酔下で脳に電気ショックを与えることで軽い発作を誘発する治療法です。これは重度のうつ病に最も有効な治療法であることが一貫して示されています。電気けいれん療法を受けた人の多くは、一時的な記憶障害を経験します。しかし、メディアでの取り上げられ方とは異なり、電気けいれん療法は安全な治療法であり、一時的な記憶障害以外の合併症はまれにしか発生しません。現在は、麻酔薬や筋弛緩薬が使用されるようになり、あらゆるリスクが大幅に低下しています。

その他の脳刺激療法

反復経頭蓋磁気刺激療法や 迷走神経刺激療法 迷走神経刺激療法 けいれん性疾患では、脳の電気的活動に周期的な異常が生じることで、一時的に脳の機能障害が引き起こされます。 多くの人では、けいれん発作が始まる直前に感覚の異常がみられます。 コントロールできないふるえや意識消失が起こる場合もありますが、単に動きが止まったり、何が起こっているか分からなくなったりするだけにとどまる場合もあります。... さらに読む など、脳を刺激する他の治療法も研究が進められており、それらは薬物療法や精神療法で効果が得られないうつ病患者に役立つ可能性があります。これらの治療法では、磁気を発生させる装置や迷走神経を刺激するインプラントによって脳を直接活性化ないし刺激します。刺激された細胞から化学伝達物質(神経伝達物質)が放出され、それが気分の調節に役立つことで、うつ病の症状が緩和されるのではないかと考えられています。

精神療法(心理療法)

対話療法とも呼ばれる精神療法の分野は、近年になって大きな進歩を遂げています。精神療法家は、共感的かつ受容的な雰囲気をつくり出すことで、患者が直面している問題の原因に患者自身が気づき、対処法を自分で考え、それを実行できるよう手助けします。精神療法を通じて得られる感情的気づきと洞察によって、しばしば患者の態度や行動に変化が生じ、以前より充実し、満足のいく生活を送れるようになります。

精神療法は様々な状態に適し、効果的です。精神障害がない人でも、就職先が見つからない、大切な人との死別、家族が慢性の病気を患っているといった問題に対処するときには、精神療法が役立つことがあります。グループ精神療法、夫婦療法、家族療法も広く行われています。

大半の精神医療従事者は、6種類ある精神療法のいずれかを業務として行っています。

  • 行動療法

  • 認知療法

  • 対人関係療法

  • 精神分析

  • 精神力動的精神療法

  • 支持的精神療法

行動療法

行動療法では、適応行動を学習しつつ、それまでの不適応行動の習慣を消すことができるように考案されたいくつかの介入を行います。しばしば恐怖症の治療に利用される 曝露療法 治療 も、行動療法の一例です。曝露療法では、その人が怖いと思う対象や活動、または状況に、安全な環境の中で直面させます。その目的は、恐怖を減らして、恐怖の対象を避けないようにすることです。

行動療法は、認知療法と関係のある治療法で、これら2つを組み合わせた認知行動療法も用いられています。行動療法は学習理論を基礎とし、異常な行動は誤った学習から生じるものとみなします。

認知療法

認知療法は、患者が自分の考え方の歪みを認識し、それらの歪みが自分の人生の中にある問題にどのように結びついているかを理解できるように導くものです。例えば、人は全か無かの考え方をすることがあります(「完全な成功以外は、完全に失敗だ」)。人の感じ方や振る舞い方は経験をどう解釈するかによって決まるという考えが前提になっています。自分の根本にある信念や思い込みを認識することで、自分が経験したことについてそれまでと違った考え方ができるようになり、症状が軽減され、行動や感情に改善がもたらされます。

対人関係療法

対人関係療法は、当初はうつ病に対する短期の精神療法として考案されたもので、うつ病患者の対人関係の質を高めることを意図しています。以下の問題に焦点が置かれます。

  • 未解消の悲嘆

  • 自分の期待と異なる役割を果たさなければならないことで生じる葛藤(例えば、専業主婦の母親になることを期待して結婚したのに、一家の主要な稼ぎ手にならなければならないことが分かった場合など)

  • 社会的役割の移行(第一線で働いていた人が定年退職するなど)

  • 他者とのコミュニケーション上の支障

精神療法家は患者に対し、社会的な孤立を克服し、他者に対する普段の振る舞いを改めるなど、対人関係の様々な面を改善するよう指導します。

精神分析

精神分析は、最も古い形態の精神療法であり、20世紀初頭にジークムント・フロイトが考案したものです。対象者は週に4~5回、精神療法家の診療所に置かれた寝いすに横たわり、心に浮かぶことをすべて話すようにします(これを自由連想法といいます)。過去の人間関係のパターンが現在どのように繰り返されているかを、対象者本人に理解してもらうことに焦点が置かれます。ここでは患者と精神療法家の関係が重要な要素となります。過去が現在にもたらしている影響を理解することが、人間関係や職場環境に適応し、役割を果たしていく新たな方法を見つけ出す助けとなります。

精神力動的精神療法

精神力動的精神療法は、精神分析と同様に、現在の思考、感情、行動における無意識のパターンを認識することに重点を置くものです。ただし、対象者は寝いすに横たわるのではなく、通常はいすに座り、行う回数は週に1~3回です。また、患者と精神療法家との関係には、精神分析ほど重点が置かれていません。

支持的精神療法

支持的精神療法は、最もよく利用されているものですが、その成否は患者と精神療法家との間の共感的かつ支持的な関係にかかっています。自己の感情を表現するよう促すとともに、精神療法家が問題解決の手助けをします。支持療法の一種である「問題解決に焦点を置いた精神療法」は、かかりつけ医によって効果的に行える場合があります。

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