パーソナリティ障害(人格障害とも呼ばれます)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です。
自己愛性パーソナリティ障害の患者は、自分の価値を過大評価(誇大性と呼ばれる)しています。また患者は自尊心に問題を抱えています。優越感や自尊心を高めるために、患者は以下のことをします。
また患者は賞賛されることを望みます。
自己愛性パーソナリティ障害は一般の人の最大6%にみられます。男性により多くみられます。
他の病気もしばしばみられます。次のうち1つ以上の病気がみられます。
原因
症状
誇大性
特別であるという空想
賞賛を受ける必要性
自己愛性パーソナリティ障害の患者は過度の賞賛を受ける必要があるため、患者の自尊心は他者からよく思われることに依存しています。このため、患者の自尊心は通常は非常に壊れやすいものです。患者はしばしば他者が自分のことをどのように考えているかを注視しており、自分がどれだけうまくやっているかを吟味しています。
自己愛性パーソナリティ障害の患者は、他者による批判、また恥辱感や敗北感を味わう失敗に敏感であり、これらを気にしています。怒りや軽蔑をもって反応したり、荒々しく反撃したりすることがあります。または、自尊心を守るために、引きこもったり、表向きはその状況を受け入れたりすることもあります。患者は失敗する可能性のある状況を避けることがあります。
診断
パーソナリティ障害の診断は、通常は米国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)に基づいて下されます。
自己愛性パーソナリティ障害の診断を下すには、以下の5つ以上に示されるように、自分の価値についての過大評価、賞賛への欲求、共感性のなさが持続的に認められる必要があります。
また、症状は成人期早期までに始まっている必要があります。
治療
自己愛性パーソナリティ障害の一般的治療は、すべてのパーソナリティ障害に対するものと同じです。
精神力動的精神療法が有効となる場合があります。このタイプの精神療法では根底にある葛藤に焦点を当てます。
境界性パーソナリティ障害用に開発されたアプローチの一部が、自己愛性パーソナリティ障害の患者の治療用に改変して使用できる場合があります。具体的には以下のものがあります。
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メンタライゼーションに基づく治療(この治療では、患者が自分の心の状態[自分が何を感じており、その理由は何か]や他者の心の状態について考え、理解するのを支援します)
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患者と精神療法家の交流に重点を置く転移焦点化精神療法
このようなアプローチは、患者が自分と他者を感情的に経験する方法の問題に焦点を合わせます。
認知行動療法が自己愛性パーソナリティ障害患者にとって魅力的となる場合があります。患者の賞賛への欲求により、精神療法家が患者の行動を方向づけられる場合があります。