統合失調型パーソナリティ障害の患者は、自分が他者とは異なり、どこにも属していないように感じているため、他者と交流しないことを好む場合があります。
統合失調型パーソナリティ障害の診断は、親密な関係に対する強い居心地の悪さ、思考や知覚の歪み、奇妙な行動などの、特定の症状に基づいて下されます。
治療法としては、抗精神病薬、抗うつ薬、認知行動療法があります。
パーソナリティ障害 パーソナリティ障害の概要 パーソナリティ障害(人格障害とも呼ばれます)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です。 パーソナリティ障害は10種類あり、自己像(セルフイメージ)と他者やストレスに対する反応のパターンに、それぞれ特徴的な問題がみられます。... さらに読む (人格障害とも呼ばれます)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です。
統合失調型パーソナリティ障害の患者は現実との接触が弱く、思考や会話が他のパーソナリティ障害で生じるよりも解体しています。しかし、思考や行動は 統合失調症 統合失調症 統合失調症は、現実とのつながりの喪失(精神病)、幻覚(通常は幻聴)、妄想(誤った強い思い込み)、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、精神機能(認知機能)の低下、日常生活(仕事、対人関係、身の回りの管理など)の問題を特徴とする精神障害です。 統合失調症は、遺伝的な要因と環境的な要因の双方によって起こると考えられています。 症状は様々で、奇異な行動、とりとめのない支離滅裂な発言、感情鈍麻、寡黙、集中力や記憶力の低下など、多岐にわた... さらに読む ほど異常でも、現実との接触を失っているわけでもありません。
統合失調型パーソナリティ障害は米国の一般の人の約4%にみられます。男性で若干多くみられる場合があります。統合失調型パーソナリティ障害は、患者が歳を取っても、大半のパーソナリティ障害のように消失したり、軽減したりすることがありません。
他の病気もしばしば認められます。統合失調型パーソナリティ障害患者の半数以上は うつ病 うつ病 うつ病とは、日常生活に支障をきたすほどの強い悲しみを感じているか、活動に対する興味や喜びが低下している状態です。喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。 遺伝、薬の副作用、つらい出来事、ホルモンなど体内の物質の量の変化、その他の要因がうつ病の一因になる可能性があります。 うつ病になると、悲しみに沈み、動作が緩慢になり、以前は楽しんでい... さらに読む を1回以上経験しており、患者の30~50%で、統合失調型パーソナリティ障害が診断された際にうつ病が認められます。そのような人ではしばしば 物質使用障害 物質使用障害 物質使用障害は、一般に物質の使用により問題が生じているにもかかわらず、その使用を続ける行動パターンがみられるものです。 関係する物質は、以下のような物質関連障害の典型的な原因として知られる10種類の薬物のいずれかであることが多くなっています。 アルコール 抗不安薬と鎮静薬 カフェイン さらに読む も認められます。
原因
統合失調型パーソナリティ障害の発症には遺伝子が重要な役割を果たしていると考えられています。 統合失調症 統合失調症 統合失調症は、現実とのつながりの喪失(精神病)、幻覚(通常は幻聴)、妄想(誤った強い思い込み)、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、精神機能(認知機能)の低下、日常生活(仕事、対人関係、身の回りの管理など)の問題を特徴とする精神障害です。 統合失調症は、遺伝的な要因と環境的な要因の双方によって起こると考えられています。 症状は様々で、奇異な行動、とりとめのない支離滅裂な発言、感情鈍麻、寡黙、集中力や記憶力の低下など、多岐にわた... さらに読む または他の精神病性障害の患者の第1度近親者(親、兄弟、子ども)でより多くみられます。
症状
人間関係に及ぼす影響
統合失調型パーソナリティ障害の患者は、第1度近親者を除いて親しい友人や相談相手がいません。また人と関わることに強い居心地の悪さを感じます。必要があれば人と交流しますが、自分が他者とは異なり、どこにも属していないように感じているため、交流しないことを好みます。しかし、患者は人間関係がないために自分は不幸であると言うこともあります。患者は社会的状況、特に不慣れな状況で非常に不安になります。ある状況で過ごす時間が増えても患者の不安が和らぐことはありません。
この障害の患者は通常の社会的慣習を無視することがあり(視線を合わせないなど)、また通常の社会的手がかりを理解しないため、他者との交流が不適切であったり、よそよそしかったりします。
奇妙な思考と行動
統合失調型パーソナリティ障害患者には、奇妙な思考、知覚、会話がみられます。以下にいくつか例を挙げます。
関係念慮:関係念慮をもつ患者は、日常の出来事が自分にのみ特別な意味をもつと考えます。
魔術的思考:自分には他者を魔術的にコントロールできる力があると考えます。例えば、他者に通常の行為(イヌに餌を与えるなど)をさせているのは自分である、または魔術的儀式を行うことで害を防ぐことができる(手を3回洗うことで病気を防ぐことができるなど)と考えることがあります。
パラノイア:疑い深く、不信感に満ち、実際にはそうではないのに、他者が自分をやっつけたり、自分に害を及ぼそうとしたりしていると考えます。
超能力:自分に超能力があり、出来事が起こる前にそれを察知したり、他者の心を読んだりすることができると考えます。
話し方が奇妙になることがあります。抽象的になりすぎたり、具体的になりすぎたりし、また奇妙なフレーズを含んでいたり、フレーズや言葉を奇妙な形で使ったりします。奇妙な服を着たり、だらしない状態で着たり(合わない服や汚い服を着るなど)することがあり、奇妙な癖をもっていることもあります。
現実の知覚
統合失調型パーソナリティ障害患者では、知覚(見ること、聴くこと、感じること)が歪むことがあります。例えば、自分の名前をささやく声が聴こえたりします。
診断
具体的な診断基準に基づく医師による評価
パーソナリティ障害の診断は、通常は米国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版(DSM-5 精神障害の分類と診断 1980年に米国精神医学会が発行した『精神障害の診断と統計マニュアル第3版』(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders[DSM-III])は、標準化された定義と診断基準を用いて精神障害を診断しようとする初めての試みでした。2013年に発行された最新版であるDSM-5では、精神症状(考え方や感じ方を反映するものとしての患者の言動のこと)や病気の経過に基づいて、精神障害を各種... さらに読む )に基づいて下されます。
統合失調型パーソナリティ障害の診断を下すには、患者は親密な関係に対して強い居心地の悪さを感じていて、そのような関係がほどんどなく、また奇妙な思考や行動を示している必要があります。また、以下の5つ以上もみられる必要があります。
関係念慮
奇妙な信念または魔術的思考
歪んだ知覚
奇妙な思考および発話
疑念または妄想性思考
不適切な感情または感情表現の少なさ
奇妙、風変わり、または独特の行動や外見
第1度近親者を除き、親しい友人や相談相手がいないこと
慣れによって和らぐことがなく、主に妄想的恐怖に関連する過度の社交不安
また、症状は成人期早期までに始まっている必要があります。
治療
抗精神病薬や抗うつ薬
認知行動療法
統合失調型パーソナリティ障害の 一般的治療 治療 パーソナリティ障害(人格障害とも呼ばれます)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です。 パーソナリティ障害は10種類あり、自己像(セルフイメージ)と他者やストレスに対する反応のパターンに、それぞれ特徴的な問題がみられます。... さらに読む は、すべてのパーソナリティ障害に対するものと同じです。
統合失調型パーソナリティ障害の主な治療法は薬です。 抗精神病薬 抗精神病薬 統合失調症は、現実とのつながりの喪失(精神病)、幻覚(通常は幻聴)、妄想(誤った強い思い込み)、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、精神機能(認知機能)の低下、日常生活(仕事、対人関係、身の回りの管理など)の問題を特徴とする精神障害です。 統合失調症は、遺伝的な要因と環境的な要因の双方によって起こると考えられています。 症状は様々で、奇異な行動、とりとめのない支離滅裂な発言、感情鈍麻、寡黙、集中力や記憶力の低下など、多岐にわた... さらに読む (統合失調症の治療に使われます)により不安などの症状が軽減します。 新しい(第2世代)抗うつ薬 うつ病に対する薬物療法 うつ病とは、日常生活に支障をきたすほどの強い悲しみを感じているか、活動に対する興味や喜びが低下している状態です。喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。 遺伝、薬の副作用、つらい出来事、ホルモンなど体内の物質の量の変化、その他の要因がうつ病の一因になる可能性があります。 うつ病になると、悲しみに沈み、動作が緩慢になり、以前は楽しんでい... さらに読む も、統合失調型パーソナリティ障害患者の不安を和らげるのに役立つことがあります。
社会的技能の習得と不安への対処に焦点を当てた 認知行動療法 精神療法(心理療法) 精神障害の治療は大きな進歩を遂げています。その結果、多くの精神障害に関する治療成績が身体的な病気に近い水準まで向上してきています。 精神障害に対する治療法の大半は、以下のいずれかに分類できます。 身体的な治療法 精神療法(心理療法) 身体的な治療法としては、薬物療法と電気けいれん療法のほか、脳を刺激する治療法(経頭蓋磁気刺激療法や迷走神経刺激療法など)などがあります。 さらに読む が役立つことがあります。このような治療法により、自分の行動がどのように受け取られている可能性があるかについて患者の自覚を高めることもできます。
医師は、このパーソナリティ障害をもつ患者と感情的、好意的、支持的関係を築くよう努め、そうして他者とより適切な形で関わることを学ぶのを支援します。