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頭蓋頸椎移行部疾患

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, Weill Cornell Medical College

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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頭蓋頸椎移行部疾患(とうがいけいついいこうぶしっかん)とは、頭部と頸部(首)をつないでいる骨の病気です。(頭蓋は頭部の骨、頸椎は頸部の骨のことです。)

  • この種の病気は、生まれたときから存在する場合もあれば、生後に起きたけがや病気の結果生じる場合もあります。

  • たいていの場合、頸部痛(首の痛み)や頭痛がありますが、脊髄または脳の下部(脳幹)に影響が及んでいる場合、振動、痛み、温度を感じにくかったり、筋力低下、めまい、視覚障害がみられたりすることもあります。

  • 医師は症状からこの病気を疑い、MRIまたはCT検査によって診断を確定します。

  • 脳、脊髄、または神経にかかる圧迫を軽減するため、医師は牽引を行ったり頭部の位置を動かしたりし、それから首を固定しますが、ときに手術が必要になる場合もあります。

頭蓋頸椎移行部は、頭蓋骨の底部の骨(後頭骨)と、脊椎の上から2つの骨である環椎と軸椎(どちらも頸部にあります)で構成されています。後頭骨の底にある大きな開口部(大後頭孔と呼ばれます)には、重要な構造物が通っているため、この部位に影響を及ぼす病気には特に注意が必要です。大後頭孔を取っている構造物としては、脊髄につながる脳の下部(脳幹)や、一部の神経と血管などがあります。

頭蓋頸椎移行部疾患では、以下のような骨の異常がみられることがあります。

  • 骨の癒合

  • 骨の形の異常または未発達

  • 骨の位置のずれ(アライメント異常)

骨の位置は完全にずれて分離している場合(脱臼)もあれば、部分的にずれているだけの場合(亜脱臼)もあります。

頭蓋頸椎移行部疾患が起きると、脳の下部、脊髄の最上部、または付近の神経に圧迫がかかります。その結果、重篤な症状が現れることがあります。例えば、脊椎の上から2つの骨にずれ(環軸関節亜脱臼または脱臼)があると、脊髄が圧迫されます。その結果、麻痺、筋力低下、感覚消失をきたすことがあります。

原因

頭蓋頸椎移行部疾患には、出生時から存在するもの(先天性)と、出生後に発生するもの(後天性)があります。

先天性

この種の病気の中には、頭蓋頸椎移行部だけを侵すもの(孤立性の病気)もある一方、他の多くの部位にも影響を及ぼす病気(全身性の病気)の結果として生じるものもあります。

孤立性の病気としては以下のものがあります。

  • 扁平頭蓋底:頭蓋骨の底部の骨(後頭骨)が平坦になった状態。

  • 頭蓋底陥入症:後頭骨の一部に奇形があるため、首が短くなり、脳、神経、脊髄の一部が圧迫される状態。

  • 環椎癒合:後頭骨と脊椎の最初の骨が癒合している状態。

  • 環軸関節亜脱臼または脱臼:脊椎の最初の骨と2番目の骨がずれている状態。

  • 環椎低形成:脊椎の最初の骨の発達が不完全である状態。

  • クリッペル-ファイル奇形:脊椎の最初の2つの骨が癒合しているため、首の動きが制限されますが、通常は他に問題はありません。

  • キアリ奇形:後頭骨の開口部から、小脳(平衡感覚を制御する脳の部位)が突き出ている状態。突き出た小脳によって、脳幹や脊髄が圧迫されることがあります。

  • 歯突起骨:脊椎の2番目の骨が部分的に異常な骨に置き換わっていること。

全身性の病気でも、孤立性の場合と同じ異常がみられることがありますが、それらの異常は以下のような一群の異常の一部として起こります。

  • 小児期に骨の形成を妨げる病気(軟骨無形成症):これらの病気では、新しく発達するすべての骨、特に腕や脚の長い骨に奇形があり、それらの骨が異常に短いために低身長症の原因になります。これらの病気でも、後頭骨の開口部が狭くなったり、後頭骨と脊椎の最初の骨が癒合したりして、脳幹や脊髄が圧迫されることがあります。

  • ダウン症候群ムコ多糖症(体内で炭水化物を処理する能力が障害されるまれな遺伝性疾患)、または骨形成不全症(骨がもろくなるまれな遺伝性疾患):これらの病気は様々な症状を引き起こし、具体的には脊椎の最初の2つの骨のずれなどがあります。

後天性

頭蓋頸椎移行部疾患は、生後に発生する場合もあります。その場合は、けがや特定の病気が原因で起こります。

けがの場合は、骨、靱帯、またはその両方が損傷します。そのようなけがは通常、自動車やバイクまたは自転車の事故、転倒・転落のほか、しばしばダイビングによって起こります。なかには直ちに死に至るけがもあります。

頭蓋頸椎移行部の構造物が侵される最も一般的な病気は以下のものです。

腫瘍も頭蓋頸椎移行部の構造物を侵すことがあります。腫瘍が首の骨に広がると(骨転移)、脊椎の最初の2つの骨がずれることがあります。脊索腫と呼ばれる、ゆっくり増殖するまれな骨腫瘍が頭蓋頸椎移行部に発生して、脳や脊髄を圧迫することもあります。

症状

一般的に、頭蓋頸椎移行部疾患の人には頸部痛(首の痛み)がみられるほか、頭の後方から始まる頭痛をしばしば伴います。症状は軽い首のけがをした後に始まることもあれば、はっきりした理由なしに始まることもあります。頭を動かすと、通常は頸部痛や頭痛が悪化し、せきをしたり前かがみになったりすると、痛みが誘発されます。

脊髄が圧迫されると、腕や脚に脱力を覚えたり、腕や脚を動かしにくくなることがあります。腕や脚がどこにあるのか分からなくなったり(位置覚の消失と呼ばれます)、腕や脚に振動を感じられなくなることもあります。首を前に曲げると、電気ショックのような衝撃またはチクチクした感覚が背中を駆け下りることがあり、その感覚が脚まで達することもしばしばあります(レルミット徴候)。ときに、痛みや温度に対する手足の感覚が鈍くなります。

具体的な病気に応じて、首が短い、翼状頸、首が異常な向きにねじれる、といった状態を伴うことがあります。頭部の動きが制限されることもあります。

脳または脳神経(脳から直接頭部、頸部、体幹の様々な部位へ伸びる神経)の一部が圧迫されると、眼球の運動に影響が現れることもあります。複視がみられたり、特定の向きに眼球を動かせなかったり、眼振と呼ばれる特定の不随意な眼球運動が現れたりします。声がれや嚥下(えんげ)困難が生じることもあります。話し方が不明瞭になることもあります。協調運動障害が起きることもあります。睡眠時無呼吸症候群を発症する人もいます。この重篤な病気では、睡眠中に繰り返し呼吸が止まり、しばしば呼吸が停止している時間が長くなる結果として、一時的に血液中の酸素の量が減少し、二酸化炭素の量が増加してしまいます。

頭の位置が変わると、動脈が圧迫され、頭部への血流が遮断されることがあります。そのため、気を失ったりふらつきを覚えるほか、錯乱または脱力を感じることがあります。回転するような感覚に陥ることもあります(回転性めまい)。ときに視覚や眼球運動に影響が現れることもあります。

キアリ奇形の患者の中には、脊髄の中に空洞が形成される人もいます(脊髄空洞症と呼ばれます)。そのような患者では、首や上腕、背中の一部で痛みや温度を感じる能力が失われることがあります。筋力低下を感じたり、筋肉が麻痺したりすることがあります(特に手の筋肉)。

診断

  • 画像検査

症状が突然現れた場合や突然悪化した場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。直ちに診断を下し、頭蓋頸椎移行部疾患の治療を開始することが極めて重要で、それにより症状が消失したり、恒久的な身体障害を予防できることがあります。

以下の症状があれば、頭蓋頸椎移行部疾患が疑われます。

  • 頸部または後頭部の痛みに加え、脳の下部または脊髄上部への圧迫によって起こる症状

  • 特定の不随意な眼球運動(眼振)

診断は、画像検査(通常はMRIまたはCT検査)によって確定できます。症状が突然起こった場合や突然悪化した場合、直ちに画像検査が行われます。CT検査は、MRI検査に比べ、骨の描出に優れ、緊急時により容易に行える可能性があります。MRI検査やCT検査が利用できない場合、単純X線検査が行われます。

MRI検査やCT検査の結果がはっきりしない場合、CTを利用した脊髄造影検査が行われることもあります。これは造影剤(X線画像に写る物質)を脊髄の周囲に注入した後、X線画像を撮影する方法です。

MRIまたはCT検査で血管の異常が示唆された場合、より詳細な血管の画像を描出できる検査(血管造影検査)が行われます。MRアンギオグラフィー検査(X線の代わりに強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いる検査)、CT血管造影検査(造影剤を注射してからCT撮影を行う検査)、または従来の血管造影検査(造影剤を注射してからX線撮影を行う検査)が行われることもあります。

治療

  • 異常な構造物の整復、牽引、固定

  • 手術が行われる可能性もある

  • 原因に応じたその他の治療法

頭蓋頸椎移行部の構造物により、脳、脊髄、または神経が圧迫されている場合、医師は牽引を行ったり、頭部を別の位置に動かしたりして、構造物を正常な位置に戻すこと(整復)を試みます。そのような手技により圧迫を軽減できることがあります。整復を行った後、頭部と頸部を固定します。

整復には通常、牽引が必要です。一般的に牽引には、頭部の周囲に固定する器具(ハローリングまたはハロークラウンと呼ばれます)が使用されます。この器具を装着したまま5~6日間過ごさなければならない場合もあります。整復を行った後、体幹に取り付けた装具にハローリングを接続します。この装具はハローベストと呼ばれ、頸部の固定に用いられます。この状態で8~12週間過ごす必要があります。ハローベストを装着した後、X線撮影を行い、構造物が正しい配置にしっかり保たれているかを確認します。

牽引または頭部の位置を動かすことで効果がなければ、手術によって減圧、構造物の安定化、またはその両方を試みます。原因が関節リウマチである場合は、手術が必要になるのが通常です。骨が癒合して安定するまで構造物をしっかり固定するため、金属プレートやボルト付きの棒など、様々な器具が用いられます。

骨腫瘍が原因の場合は、放射線療法や硬性カラー(首の装具)による頸部の固定がしばしば役に立ちます。

原因が骨パジェット病であれば、ビスホスホネート系薬剤(骨密度を上昇させる)やカルシトニンなどの薬が役立つことがあります。

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