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特発性頭蓋内圧亢進症

(良性頭蓋内圧亢進症;偽性脳腫瘍;偽脳腫瘍)

執筆者:

Stephen D. Silberstein

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2018年 6月
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特発性頭蓋内圧亢進症は、頭蓋骨内部の圧力(頭蓋内圧)の上昇を特徴とします。この病気の誘因は不明です。

  • 頭痛が毎日のように起こり、ときに吐き気、かすみ目、複視を伴います。頭の中で雑音が聞こえることもあります。

  • 頭蓋内圧が上昇する原因がほかにないかを調べるため、頭部の画像検査と腰椎穿刺を行います。

  • 適切な治療を行わないと、視力が失われる可能性があります。

  • 減量や、脳内の液体を減らすための利尿薬の投与、減圧を目的とした定期的な腰椎穿刺が役立つことがありますが、手術が必要になる場合もあります。

頭痛の概要も参照のこと。)

特発性頭蓋内圧亢進症を発症する人は、およそ10万人に1人とわずかで、通常は妊娠可能年齢の女性です。ただし、過体重の若齢女性では20倍多くみられます。過体重の人が多くなるにつれて、この病気の患者も増えてきています。

原因

頭蓋内圧を上昇させる原因は分かっていません。しかし、脳から血液を排出する太い静脈(静脈洞)が他の人と比べると細いために、この病気にかかりやすい人もいます。このような人では、脳からの血液の排出が遅れ、脳や頭蓋内に血液がたまりやすくなります。

過体重が頭蓋内の圧力(頭蓋内圧)の上昇にどのように寄与するかは、正確には分かっていません。しかし、腹部に過剰な脂肪があると胸部の圧力が高まる可能性があり、そうなると、頭から胸部にうまく血液が流れないことがあります。こうして、頭蓋内圧が上昇することがあります。

この病気における頭蓋内圧の上昇は、腫瘍、感染、血栓、または髄液(脳の周囲を流れている体液)の正常な排出を妨げる閉塞によるものではありません。

ほとんどの場合、特発性頭蓋内圧亢進症の引き金となった特定の事象をつきとめることはできません。小児では、コルチコステロイドの使用を中止した後や、成長ホルモン製剤を使用した後に、特発性頭蓋内圧亢進症が起こることがあります。ときに、テトラサイクリン系抗菌薬または大量のビタミンAを服用した後に、この病気が発生することがあります。

症状

特発性頭蓋内圧亢進症で通常最初にみられる症状は、ほぼ毎日のように起こる両側の頭痛です。頭痛は、最初は軽度であっても、強さが変化し、次第にひどくなることがあります。頭痛に、吐き気、複視、かすみ目を伴ったり、脈拍に一致して頭の中で雑音(拍動性耳鳴[じめい]と呼ばれます)が聞こえたりすることもあります。少数ですが症状がまったくない人もいます。

頭蓋内圧の上昇によって、眼球の近くにある視神経が腫れることがあり、これを乳頭浮腫と呼びます。医師が検眼鏡で診察すると、眼球の奥が腫れているのが分かります。

視覚障害の最初の徴候は、周辺部の視野の欠損です。患者は当初は視力障害に気づかないため、特に理由もなく、物にぶつかったりします。病気が進むと目がかすんできて、急速に失明します。3分の1もの人が片眼または両眼の視力を部分的または完全に失います。いったん失われた視力は、たとえ脳圧が下がっても元には戻りません。人によっては、病気が慢性化するとともに進行性に悪化し、失明のリスクが高まることがあります。しかし、注意深くモニタリングすれば、視力障害は予防できます。

特発性頭蓋内圧亢進症は、約10~20%の人で再発します。

診断

  • 医師による評価

  • 画像検査

特発性頭蓋内圧亢進症は症状と身体診察の結果から疑われます。ときに、検眼鏡を用いた通常の診察中に乳頭浮腫が偶然見つかり、この病気が疑われることもあります。

特発性頭蓋内圧亢進症が疑われる場合、医師は周辺視野を含め視野(左右の眼から見える全体の範囲)の確認を行います。また、まだ行っていなければ、検眼鏡で眼の内部を観察します。

画像検査、通常はMRI検査を行います。MRI検査の一種(磁気共鳴静脈造影検査)を行えば、脳から血液が流れ出す太い静脈(静脈洞と呼ばれます)の画像を撮影できます。磁気共鳴静脈造影検査により、静脈が狭くなっているかどうかが分かります。特発性頭蓋内圧亢進症の人では、しばしばこの静脈が狭くなっています。

結果が正常であった場合は、腰椎穿刺を行い、髄液の圧力を測定し、その成分を分析します。特発性頭蓋内圧亢進症では、髄液の圧力が(しばしば大きく)上昇しています。通常、髄液の組成は正常です。腰椎穿刺により髄液が排出されると、すぐに頭蓋内の圧力が低下し、静脈洞が広がり、脳から流れ出す血流が増える可能性があります。その結果、頭痛は軽快します。

このような検査は、頭蓋内圧を上昇させる他の異常(静脈洞を閉塞する脳腫瘍など)を特定または否定するのに役立ちます。

治療

  • 痛み止め、または片頭痛の治療薬

  • 必要であれば、体重の減量

  • 頭蓋内圧を下げる手術

特発性頭蓋内圧亢進症は、ときに治療しなくても消失することがあります。

特発性頭蓋内圧亢進症の治療では、以下に重点が置かれます。

  • 症状の緩和

  • 頭蓋内圧の軽減

  • 視力の維持

テトラサイクリンのように、この病気の引き金となることが分かっている薬剤は、使用を中止すべきです。

アスピリン、アセトアミノフェン、または片頭痛の治療薬(特にトピラマート— 片頭痛の治療に用いられる薬剤)によって、頭痛を軽減できます。トピラマートは、減量や頭蓋内圧の減圧にも役立ちます。

頭蓋内圧の軽減

過体重の人は、減量によって頭蓋内圧が下がる可能性もあるため、減量すべきです。特発性頭蓋内圧亢進症は、体重を10%減らすだけで治ることがあります。しかし、減量プログラムが不成功に終わることもよくあります。

医師は、頭蓋内圧の減圧を補助するため、しばしばアセタゾラミドを処方します。この薬剤は、以下の2つのメカニズムによって、頭蓋内圧の減圧を補助します。

  • 利尿薬として、腎臓からの水分の排出を促し、体内の水分量を減らす

  • 脳内における髄液の産生量を減らす

腰椎穿刺を毎日あるいは毎週行って髄液を抜くことの有用性については、議論があります。腰椎穿刺を行った場合は、患者を注意深くモニタリングして、圧力が下がるか否かを判定します。

視力の維持

患者の気づかないうちに周辺視野が失われるため、定期的に眼科医が診察を行い、自動視野計と呼ばれるコンピュータ制御式装置を用いて、周辺視野を含む視野に異常がないかを確認します。この装置は、光の点などの視覚刺激を発生させ、それに対する患者の反応を記録します。検査結果は非常に正確で、この検査を定期的に行うことで、視力障害が起こってもできるだけ早く特定できます。

これらの対策にもかかわらず視力障害が進んだ場合は、頭蓋内圧を下げる手術が必要になることがあります。手術によって視力を保てる場合もあり、具体的には以下のような方法があります。

  • 視神経鞘開窓術

  • シャント術

  • ステント

視神経鞘開窓術では、眼球の裏にある視神経を覆う膜に切れ目を入れます。この切れ目から、髄液が眼の周辺の組織に流れ出て、そこで吸収されます。

シャント術は、合成樹脂製のチューブで恒久的な排液路を作ることです。外科的にチューブを留置して髄液が除去されるようにします。シャントは、脳内の隙間か、腰部の脊髄のすぐ下にある隙間に留置されます。このチューブを皮膚の下に通して、もう一方の端を通常は腹部まで到達させ、そこで過剰な髄液が排出されるようにします。

ステント術では、ステント(網目状のワイヤーでできた筒)を狭くなった静脈洞に挿入し、静脈洞を広げます。

減量手術

患者が肥満で他の方法が有効でない場合は、体重を減らす手術が行われることもあります(胃バイパス術などの肥満外科手術)。減量が成功すると、この病気も治ることがあります。

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