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振戦

執筆者:

Hector A. Gonzalez-Usigli

, MD, HE UMAE Centro Médico Nacional de Occidente;


Alberto Espay

, MD, University of Cincinnati

最終査読/改訂年月 2016年 9月
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振戦とは、手、頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえです。振戦は、筋肉の収縮と弛緩が繰り返されたときに起こります。

振戦の種類

振戦には以下の種類があります。

  • 正常(生理的)なもの

  • 病気または薬剤によって引き起こされる異常(病的)なもの

振戦は通常、いつ起こるかに応じて分類されます。

  • 安静時振戦:主に筋肉が安静な状態にあるときに起こる

  • 動作時振戦:身体の一部を能動的に動かしたときに起こる

動作時振戦には以下の種類があります。

  • 企図振戦:ある目標物へ向かう動きが引き金となって起こる(例えば、眼鏡をとろうとするとき)

  • 運動時振戦:ある目標物へ向かう動きの最後の部分で起こる。

  • 姿勢時振戦:腕または脚をある位置に保持していっぱいに伸ばすことが引き金となって起こる

振戦は原因によって以下のように分類されることもあります。

  • 生理的(誰にでもある程度起こる正常な振戦)

  • 本態性(よくある病気で、ほかにほとんど症状を伴わない)

  • 小脳性小脳の損傷に起因する)

  • 二次性(病気や薬剤に起因する)

そのほかに重要な振戦の特徴として、以下のものがあります。

  • ふるえの速さ(振動数):遅い~速い

  • 動きの細かさ(振幅):細かい~粗い

  • 振戦が起こる頻度:間欠的~持続的

  • 重症度

  • どの程度速く現れるか:突然~緩徐

生理的振戦

生理的振戦は、誰にでもある程度みられる正常な振戦です。例えば手をいっぱいに広げたままにすると、たいていの人で、手がかすかにふるえます。このようなかすかで速いふるえは、筋肉が神経によって一瞬毎に精密に調節されているために現れる現象です。たいていの人では、かろうじて気づく程度の振戦ですが、特定の状況下では、正常な振戦がより顕著になるため、心配する人もいます。例えば、以下のような状況下では、振戦がより顕著になります。

  • ストレス、不安、疲れ、眠気を感じているとき

  • 飲酒をやめたり、鎮静薬(ベンゾジアゼピン系薬剤など)やオピオイドの使用をやめたとき

  • カフェインを摂取したとき

  • 特定の薬剤、例えばテオフィリンやサルブタモール(いずれも喘息や慢性閉塞性肺疾患[COPD]の治療に用いられます)、コルチコステロイド、レクリエーショナルドラッグ(コカインやアンフェタミンなど)を使用したとき

  • 甲状腺機能亢進症(甲状腺の活動が過剰になった状態で)など、他の症状も引き起こす特定の病気がある

本態性振戦

本態性振戦は、神経系の異常が原因で起こりますが、この振戦のある人に、神経系の機能障害を示すその他の症状(神経学的障害)がみられることはまれです。原因は不明ですが、しばしば家族内で遺伝します。

本態性振戦は主に成人期の初期に発症しますが、どの年齢層でも起こりえます。加齢に伴い、振戦は徐々に目立つようになります。このため、老人性振戦という間違った呼び方がされることがあります。この振戦は通常、腕や手にみられますが、ときに頭にみられることもあります。頭に振戦が起こると、あたかもうなずいているかのように見えたり、首を振って何かを断っているかのように見えることがあります。通常、このような振戦は、腕または脚を動かしたり、(重力に抵抗して)いっぱいに伸ばしたりすると悪化します。

通常、本態性振戦は軽度で、ひどくなることはありませんが、煩わしい思いをしたり、人前で恥ずかしい思いをすることがあります。字を書きづらい、食器をうまく扱えないなどといった不便が生じることもあります。一部の人では、時間の経過とともに振戦が徐々に悪化し、最終的に生活に支障をきたします。パーキンソン病の症状に似ていることもあるため、本態性振戦はときにパーキンソン病と誤診されます。まれにパーキンソン病の人に本態性振戦がみられることもあります。

安静時振戦

この振戦は、筋肉が安静な状態にあるときに起こります。完全にリラックスした状態であるにもかかわらず、腕や脚がふるえます。症状が出ている筋肉を動かすと、振戦は目立たなくなったり、なくなったりします。安静時振戦のふるえは、多くの場合、ゆっくりとした粗い動きです。

安静時振戦は、大脳基底核と呼ばれる脳の部位にある神経細胞群が侵害されて起こります。(大脳基底核は、筋肉が滑らかに動けるようにしている脳の領域です。)このような障害は通常、以下によって起こります。

しかし、抗精神病薬や、吐き気の緩和に用いられる一部の薬剤などが大脳基底核に影響を与えることで、安静時振戦が起こることもあります。

安静時振戦があると、人前で恥ずかしい思いをすることがあるかもしれませんが、何かをしようとする(水を飲もうとするなど)と症状が消えるため、一般に日常生活に支障をきたすことはありません。

企図振戦

この振戦は、意図的な動作の最中(物に手を伸ばしているときなど)に起こります。振戦のために、取ろうとしたものが取れないことがあります。目標物に近づけば近づくほど、企図振戦は悪化します。この振戦は、比較的ゆっくりとした粗大な動きです。

企図振戦は、小脳や、バランスと協調運動をつかさどる脳の部位の損傷によって起こることがあります。したがって、企図振戦と小脳振戦は同義語として使用されることがあります。

一般的な原因としては以下のものがあります。

小脳の機能不全をもたらし、企図振戦を引き起こす病気は、ほかにもあります。具体的には以下のものがあります。

知っていますか?

  • ある程度の振戦は誰にでも起こります。

  • 振戦が軽度であれば、物をつかむときは体の近くに保持するなど、簡単な工夫で機能を改善できます。

姿勢時振戦

この種の振戦は、腕や脚を重力に抵抗する位置(例えば、腕をいっぱいに伸ばした状態)に保持したときに最も顕著になります。

最も一般的な姿勢時振戦は以下のものです。

  • 本態性振戦

  • 生理的(正常な)振戦

複合振戦

複合振戦(complex tremor)は、複数の種類の振戦の特徴が混在するものです。

複合振戦の一般的な原因は以下のものです。

振戦の原因

様々な病気が振戦の原因になります。

最もよくみられる振戦は以下のものです。

  • 生理的振戦(全体で最も多い)

  • 本態性振戦

  • パーキンソン病によるもの

  • 運動を制御する脳の部位に影響を及ぼす脳卒中または多発性硬化症によるもの

  • 小脳に影響を及ぼす遺伝性疾患、例えばフリードライヒ運動失調症脊髄小脳失調症によるもの

  • 心因性振戦(心理的な要因によるもの)

ときに、振戦が複数の原因によって引き起こされている場合があります。例えば、同じ人が本態性振戦とパーキンソン病の両方を併発することもあります。

振戦の評価

以下では、どのようなときに医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

以下の症状には注意が必要です。

  • 唐突に始まる振戦

  • その他の神経症状、例えば、精神状態の変化、筋力低下、歩き方の変化、発話困難などがある

  • 心拍数の上昇や興奮

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる人は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

警戒すべき徴候がない患者は、できるだけ早く医師の診察を受ける必要がありますが、1週間程度の遅れが(振戦が数カ月から数年みられる場合はもう少し遅れても)問題になることは通常ありません。

50歳未満の患者で振戦の家族歴がない場合、何らかの病気や薬剤が原因でないかを確かめるため、医師による評価を受けることが重要です。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問し、次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、原因と必要になる検査を推測することができます( 振戦の主な原因と特徴)。

医師は振戦について以下のことを質問します。

  • 振戦が徐々に始まったか、突然始まったか

  • 体のどの部位に症状があるか

  • 誘因となるものは何か(動き、安静、起立など)

  • 症状を軽減または増悪させる要因は何か(飲酒、カフェイン、ストレス、不安など)

知っていますか?

  • 少量のアルコールはある種の振戦の緩和に役立つ可能性がありますが、慢性アルコール中毒は振戦を引き起こす脳損傷の原因となる可能性があります。

振戦が突然始まった場合、その引き金となった出来事(最近のけがや新しく始めた薬剤など)について尋ねられることもあります。

医師は患者の既往歴を確認し、振戦を伴う病気がないかを探します。医師は近親者の振戦についても尋ねます。さらに使用している薬剤を確認し、カフェインとアルコールの摂取やレクリエーショナルドラッグの使用についても(特に最近このような薬剤や物質の使用を中止したかどうかについて)質問します。

医師はまた、特に神経学的診察(歩き方の観察など)に重点を置いて、身体診察を行います。その際、体のどの部位に振戦が起こるかを確認するほか、以下のような様々な状況におけるふるえの速さを観察します。

  • 振戦のある部位が完全に支えられていて、安静な状態(例えば、手を膝に置いている状態)

  • 特定の姿勢を維持している状態(腕をいっぱいに伸ばした状態など)

  • 歩いているとき、または振戦のある体の部位を使って作業をしているとき

ある音を長く発声しているときの患者の声の質を評価することもあります。

通常は、振戦の特徴と病歴や身体診察の結果から振戦の種類を特定することができます。例えば、振戦が徐々に生じてきた場合は、生理的振戦または本態性振戦です。姿勢時振戦が突然始まった場合は、原因として、心理的要因、毒性物質、病気(甲状腺機能亢進症など)、飲酒や薬剤(鎮静薬など)使用の中止、または振戦の原因になる薬剤の使用などが考えられます。

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振戦の主な原因と特徴

原因

特徴*

検査

姿勢時振戦(腕や脚をいっぱいに伸ばした状態で起こる振戦)

飲酒または鎮静薬(ベンゾジアゼピン系薬剤など)の使用を中止したとき

最後の飲酒またはベンゾジアゼピン系薬剤の使用から24~72時間後に始まる興奮や細かい振戦

ときに、高血圧、心拍数の上昇、または発熱(特に入院患者における)

医師の診察

以下のような薬剤

  • アミトリプチリン

  • ベータ作動薬(喘息の治療に使用される)

  • コカイン

  • ハロペリドール

  • リチウム

  • SSRI

  • タモキシフェン

  • バルプロ酸

薬剤使用歴

薬剤の使用を中止して、振戦がなくなるか確かめる

脳に影響を及ぼすホルモン異常、代謝異常、有害物質

  • 酸素の欠乏による脳の損傷(無酸素性脳症)

  • 肝不全(肝性脳症と呼ばれる脳機能障害を引き起こす)

  • 甲状腺機能亢進症(甲状腺の活動が過剰になった状態)

  • 腎不全(尿毒症性脳症と呼ばれる脳機能障害を引き起こす)

  • 副甲状腺機能亢進症(副甲状腺の活動が過剰になった状態)

  • 鉛などの重金属、その他の毒性物質

振戦に加えて以下のうち少なくとも1つ

  • 昏睡または嗜眠(脳機能障害を示唆する)

  • 素早い、稲妻のような筋肉の収縮(ミオクローヌスと呼ばれる)

  • 甲状腺機能亢進症などの基礎疾患の症状

甲状腺機能亢進症:暑さに耐えられない、大量発汗、食欲亢進、体重減少、眼球の突出、頻回の排便

血液検査など、原因を特定するための検査

  • 肝臓、甲状腺、腎臓、副甲状腺がどの程度機能しているかを評価する

  • 血糖値を測定する

  • 毒性物質を特定する

本態性振戦

以下に当てはまる、ゆっくりとした粗大または微細な振戦

  • 数年かけて徐々に悪化する

  • 通常は両腕、ときに頭や声にもみられる

  • しばしば、振戦の家族歴のある人にみられる

神経系の機能不全を示すその他の症状を伴わない

医師の診察

生理的振戦

以下に当てはまる細かく速い振戦

  • 健康な人にみられる

  • 特定の薬剤の使用または中止、ストレス、不安、疲労、眠気などによって顕著になることがある

  • 通常は、少量の飲酒または低用量の鎮静薬によって軽減する

医師の診察

安静時振戦

薬剤によるパーキンソニズム(特定の抗精神病薬や吐き気の緩和に用いられる薬)

薬剤使用歴

薬剤の使用を中止して、振戦がなくなるか確かめる

ゆっくりと行ったり来たりする動きを伴う振戦が、

  • しばしば、親指と人差し指で小さな物を丸めているかのような動きとしてみられる(丸薬丸め振戦と呼ばれる)

  • ときにあごや脚にもみられる

  • 通常は左右どちらかに始まる

  • 筋肉のこわばり、字がふるえて小さくなる、動作の緩慢化、足を引きずって歩くなどの他の症状を伴う

たいてい、パーキンソン病の家族歴も、振戦の家族歴もなく、飲酒後に軽減することもない

医師の診察

レボドパを使用して、症状が改善するか確かめる

ときに粗い振戦、ぎこちない動きの振戦

中年の患者で下を見たり(頻度は下がるが)上を見たりすることが困難になる、筋肉のこわばり(筋強剛)、動きにくさ、認知症

医師の診察

企図振戦

以下に当てはまるゆっくりとした振戦

  • 通常は体の左右どちらかに起こる

  • 協調運動障害を伴う(特に目標物に触れようとしたりつかもうとしたとき、または素早く交互に入れ替わる動きをするとき)

  • 発話に用いられる筋肉に生じ、声がふるえる

小脳の病気(フリードライヒ運動失調症や脊髄小脳失調症など)の家族歴がある人にみられることもある

脳のMRI検査

以下のような薬剤

  • アルコール

  • 抗てんかん薬(フェニトインやバルプロ酸など)

  • ベータ作動薬

  • シクロスポリン

  • リチウム

  • タクロリムス

薬剤使用歴

薬剤の使用を中止して、振戦がなくなるか確かめる

複合振戦(complex tremor)

脳と脊髄以外の多くの神経に影響を及ぼす病気(多発神経障害):

以下に当てはまる振戦

  • 様々な速さと振幅で起こる

  • しばしば、物をとろうとするときに起こり、目標物に近づくにつれ悪化する

  • 腕または脚をいっぱいに伸ばすと悪化する

  • 筋力低下、チクチクする感覚、感覚消失など、その他の神経損傷の症状を伴う

筋電図検査(筋肉を刺激して電気的活動を記録する検査)

心因性振戦(心理的な要因によるもの)

以下に当てはまる振戦

  • 突然起こる、またはそれと同じくらい突然止まる

  • 様々な速さと振幅で起こる

  • 気が紛れると軽快する

医師の診察

*この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。

MRI = 磁気共鳴画像;SSRI = 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(ある種の抗うつ薬)。

検査

以下に該当する場合、MRIまたはCT検査による脳画像診断が行われます。

  • 脳卒中、腫瘍、多発性硬化症などの脳疾患を示唆する他の神経症状がみられる

  • 突然始まったり、急速に進行する振戦

姿勢時振戦のある人には、疑われる原因の有無を確認するため、血液検査が行われることもあります。検査には以下のものがあります。

  • 血糖値の測定

  • 甲状腺や副甲状腺、肝臓、腎臓がどの程度機能しているかを評価する検査

筋電図検査(筋肉を刺激して電気的活動を記録する検査)が行われることはまれですが、神経の損傷が原因と考えられる場合に行われます。

振戦の治療

具体的な原因があれば、できるだけ治療します。例えば、振戦の原因になる薬剤を使用していれば中止し、甲状腺機能亢進症があれば治療します。パーキンソン病はレボドパやその他の薬剤で治療できます。

軽度の振戦であれば、治療の必要はありません。振戦が煩わしくなった場合は、簡単で有用な対処法がいくつかあります。

  • ものをしっかりつかみ、落とさないように体の近くで持つ

  • 無理な姿勢を取らないようにする

  • 上記以外で振戦の引き金になる状況を避ける(カフェインの摂取、睡眠不足、疲労など)

  • 人前でスープを飲まない

  • 作業療法士の指導を受けて、補助器具を使用する

補助器具としては、ロッカーナイフや持ち手の大きい食器などのほか、特に振戦が重度のときは、ボタンエイド(ボタンをかけるための補助器具)、マジックテープ(ボタンや靴ひもの代わりに使用する)、ジッパータブ(ファスナーを引くための補助器具)、ストロー、靴べらなども使用できます。

生理的振戦と本態性振戦

振戦の引き金になる要因を排除するか最小限に抑えることで、振戦が軽減することがあります。例えば、カフェインを避けたり、十分な睡眠をとったり、ストレスを最小限に抑えることが役立つ可能性があります。

適量の飲酒により、振戦が軽減するという人もいますが、医師がこの方法を勧めることはありません。大量に飲酒した後に突然飲酒をやめると振戦が悪化します。

日常的な活動(食器を使って食事をする、コップで飲みものを飲むなど)の多くが困難な場合や、仕事上、手がふるえると困る場合は、薬物療法が有用となる場合があります。例えば、ベータ遮断薬が使用されることがあります。

本態性振戦の場合、振戦のコントロールに必要であれば、抗てんかん薬(プリミドン、トピラマート、またはガバペンチン)が使用されることもあります。

生理的振戦と不安がある人には、ロラゼパムなどの低用量のベンゾジアゼピン系薬剤(鎮静薬の一種)が有益となる可能性があります。しかし、それらの薬剤はときおり使用するくらいに留めるべきです。

ベンゾジアゼピン系薬剤は、他の薬剤が効かない場合に、本態性振戦の治療に使用されることがあります。

企図振戦

企図振戦の治療は困難ですが、原因になっている病態が是正されれば、振戦は起こらなくなります。

異常を是正できない場合は、振戦を抑えるために手首や足首におもりを取り付ける方法や活動中に腕や脚に力を入れるよう指導する方法を試します(どちらも理学療法士や作業療法士の指示の下で行われます)。これらの方法はときに役立ちます。

脳深部刺激療法

微小な電極を、振戦に関与している脳領域—すなわち大脳基底核(筋肉の動きを滑らかにしている神経細胞の集まり)—に留置します。振戦を引き起こしている大脳基底核の特定の領域に電極から微弱な電気を送ることで、症状の軽減を促します。

脳深部刺激療法は、振戦が重度で日常活動に支障をきたしていて、薬剤でコントロールできない場合に用いられることがあります。本態性振戦、パーキンソン病やその他の病気による振戦では、ときにこの治療が必要になります。この治療は専門施設でのみ行われています。

高齢者での重要事項:振戦

高齢者の多くは、振戦が起こるのは正常な老化現象であると考え、医療機関を受診しようとはしません。しかし、高齢者は主治医の診察を受け、問診や身体診察を通して振戦の原因を確認してもらうべきです。そうすると、振戦を軽減する工夫を勧めてもらったり、ときに薬剤を処方してもらうことができます。

また、高齢者は振戦を引き起こす薬剤を使用している可能性が高く、そのような薬剤の副作用にも敏感になっています。そのため、医師がそのような薬剤を高齢者に処方する際は、効果が得られる最低限の用量を処方しようと努めます。その場合、より若い成人に処方される用量よりも少ない用量が処方されることがあります。

振戦は高齢者の生活の質を著しく下げ、生活に支障をきたします。高齢者に身体障害または精神障害がある場合はさらに厄介です。高齢者は生活の質を維持する上で、理学療法士や作業療法士に振戦に対処する簡単な工夫を勧めてもらい、補助器具を紹介してもらうとよいでしょう。

要点

  • 振戦は、いつ起こるかに応じて分類されます。筋肉が安静な状態にあるときに起こるものを安静時振戦、動いているときに起こるものを動作時振戦といい、動作時振戦の中でも、目標物に向かう動きの最後の部分で起こるものを運動時振戦、目標物に向かって動いているときに起こるものを企図振戦、腕や脚をいっぱいに伸ばしているときに起こるものを姿勢時振戦といいます。

  • ほとんどの振戦は生理的(正常な)振戦ですが、本態性振戦や何らかの病気が原因で起こる振戦もあります。

  • 筋肉が安静な状態にあるときに起こる振戦は、たいていの場合、パーキンソン病によるものです。

  • 通常は、病歴と身体診察の結果から原因を特定することができます。

  • 振戦が突然起こったり、その他の神経症状を伴う場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

  • 50歳未満の人に振戦がみられ、振戦の家族歴がない場合は、医師の診察を受ける必要があります。

  • 可能であれば振戦の原因に対する治療を行いますが、それが可能でない場合は、いくつかの簡単な対策(振戦の引き金になる状況を回避するなど)や、ときに薬剤が振戦のコントロールに役立ちます。

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