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ハンチントン病

(Huntington病;ハンチントン舞踏病;慢性進行性舞踏病;遺伝性舞踏病)

執筆者:

Hector A. Gonzalez-Usigli

, MD, HE UMAE Centro Médico Nacional de Occidente;


Alberto Espay

, MD, University of Cincinnati

最終査読/改訂年月 2016年 9月
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概要
本ページのリソース

ハンチントン病は遺伝性疾患で、初期には不随意な筋肉のひきつりまたはけいれんがときおり起こり、進行すると顕著な不随意運動(舞踏運動とアテトーゼ)と精神機能の低下が現れ、死に至ります。

  • 動作を滑らかにして協調させている脳領域に変性が生じます。

  • 動作が遅くなって協調運動が難しくなり、自制や記憶などの精神機能が低下します。

  • 診断は症状および家族歴と脳の画像検査および遺伝子検査の結果に基づいて下されます。

  • 薬剤によって症状を軽減できますが、病気は進行性であり、最終的には死に至ります。

ハンチントン病の罹患率は10万人に1人未満で、男女差はありません。

この病気は通常、かすかな症状で始まります。発症年齢は一般に35~40歳ですが、成人前に発症することもあります。

ハンチントン病の原因は、尾状核と線条体と呼ばれる大脳基底核の小さな部位で徐々に起こる変性です。大脳基底核は、脳の奥深く、大脳の基底部にある神経細胞の集まりです。大脳基底核には、筋肉の動きを滑らかにして調整する働きがあります。

大脳基底核の位置

大脳基底核は、脳の奥深くにある神経細胞の集まりです。以下のものが含まれます。

  • 尾状核(後方に向かって先細る形をしたC字型の構造物)

  • 被殻

  • 淡蒼球(被殻の下にある)

  • 視床下核

  • 黒質

大脳基底核には、筋肉の動きを滑らかにして姿勢を調整する働きがあります。

大脳基底核の位置

症状

ハンチントン病の初期には、顔面、体幹、四肢が意図せず急速に動くことがあります。初めは、こうした異常な不随意運動を意図的な動作の中に組み込むことができるため、異常な動きはほとんど気づかれません。しかし、時間が経つにつれ、動きが顕著になります。

筋肉が短く急速に収縮し、腕や別の部位が突然ビクッと(ときに何回か続けて)動くことがあります。

操り人形のように、軽く弾むような、あるいは過剰にはつらつとした歩行がみられます。しかめ面をする、腕や脚が弾むように動く、まばたきが頻繁になるなどの症状も現れます。協調運動が難しくなり、動作が遅くなります。最終的には全身に影響が及び、歩く、静かに座っている、食べる、話す、服を着るなどの動作が極めて困難になります。

多くの場合、異常な動きの発生前または発生と同時期に精神的な変化が生じますが、最初は目立ちません。徐々にいらだちや興奮が生じやすくなります。普段行っていた活動への興味が失われることもあります。衝動を抑えられない、怒りっぽい、発作的に落胆する、分別がなくなるなどの症状もみられます。

病気が進行すると行動が無責任になり、しばしばあてもなく徘徊するようになります。数年経過すると、記憶が障害され合理的な思考ができなくなります。重度の抑うつが生じて自殺を試みることもあります。

病気が進行すると、重度の認知症が生じ、寝たきりになります。24時間の介助か介護施設への入所が必要になります。多くの人は発症してから13~15年後に亡くなります。

診断

  • 医師による評価と遺伝子検査による確定

  • CTまたはMRI検査

初期のハンチントン病は、症状がわずかで気づかれにくいことがあります。ハンチントン病は、症状と家族歴に基づいて疑われることがあります。精神的な問題がある人や、神経疾患または精神障害(パーキンソン病や統合失調症など)と診断された人が近親者にいる場合は、医師に伝えるべきです。これは、ハンチントン病でありながら、ハンチントン病と診断されていない可能性があるからです。

医師はCT CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度から撮影された一連のX線画像であり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとはcomputed... さらに読む CT(コンピュータ断層撮影)検査 またはMRI検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるような強力な磁場の中に置かれると、磁場... さらに読む MRI(磁気共鳴画像)検査 を行って、大脳基底核やこの病気でよく侵される脳の領域に変性がないかを調べるとともに、他の病気の可能性を否定します。

ハンチントン病の遺伝子検査

ハンチントン病の原因になる遺伝子の突然変異は、4番染色体上にあります。遺伝子をコードしているDNA内の特定の部位に特徴的な反復がみられます。

ハンチントン病の遺伝子は優性遺伝します。つまり、両親のどちらかから異常な遺伝子を1つ受け継ぐだけで、この病気を発症するということです。ハンチントン病の人のほとんどは、この異常遺伝子を1つだけもっています。このような人の子どもが異常遺伝子を引き継いでハンチントン病になる確率は50%です。

自分の親か祖父母にハンチントン病がある人は、遺伝子検査を受ければ、この病気の遺伝子を受け継いでいるかどうかが分かります。検査では、血液のサンプルを採取して分析します。このような条件に当てはまる人には、自分が遺伝子を引き継いでいるかを知りたい人もいれば、知りたくない人もいます。遺伝子検査を受ける前には、遺伝カウンセリングの専門家に相談するべきです。

診断を確定するために遺伝子検査が行われます。症状が現れる前に子どもができる可能性も高いため、ハンチントン病の家族歴があっても症状がない人にとって、遺伝子検査とカウンセリングを受けることは重要です。そのような人は、遺伝子検査を受ける前に遺伝カウンセリングを受けるべきです。その場合、複雑な倫理的・心理的問題に対処できる専門施設への紹介が行われます。

治療

  • 抗精神病薬やその他の薬剤による症状の軽減

ハンチントン病を治せる治療法はありません。しかし、異常な動きや興奮などの症状の緩和には一部の薬剤が役立つことがあり、例えば抗精神病薬 抗精神病薬 統合失調症は、現実とのつながりの喪失(精神病)、幻覚(通常は幻聴)、妄想(誤った強い思い込み)、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、精神機能(認知機能)の低下、日常生活(仕事、対人関係、身の回りの管理など)の問題を特徴とする精神障害です。 統合失調症は、遺伝的な要因と環境的な要因の双方によって起こると考えられています。... さらに読む (クロルプロマジン、ハロペリドール、リスペリドン、オランザピンなど)やドパミンの量を減らす薬(テトラベナジンや降圧薬のレセルピンなど)が用いられることがあります。

うつ病があれば、その治療のために抗うつ薬を使用できます。

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