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自律神経系の概要

執筆者:

Phillip Low

, MD, College of Medicine, Mayo Clinic

最終査読/改訂年月 2017年 5月
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自律神経系は、血圧や呼吸数など、体内の特定のプロセスを調節している神経系です。意識的な努力を必要とせず、自動的(自律的)に機能するのが特徴です。

自律神経系の病気は、体のあらゆる部分とあらゆるプロセスに影響を及ぼす可能性があります。また、自律神経系の病気には、可逆性のものと進行性のものがあります。

自律神経系の解剖

自律神経系は、以下の2つに分けられます。

  • 交感神経系

  • 副交感神経系

自律神経系は、体内や体外の環境に関する情報を受け取って、体内プロセスを制御します。機能を刺激(促進)するには主に交感神経系、機能を抑制するには主に副交感神経系が使われます。

自律神経系の1本の経路には2つの神経細胞が関与しています。一方は脳幹または脊髄に存在し、もう一方は自律神経節と呼ばれる神経細胞の集まりの中に存在し、この2つは神経線維によって連結されています。神経節から伸びる神経線維は内臓につながっています。交感神経系の神経節の大半は、脊髄のすぐ外の左右両側に位置しています。副交感神経系の神経節は、それぞれ支配する内臓の付近または内部に存在します。

自律神経系の機能

自律神経系は、以下のような体内プロセスを制御しています。

  • 血圧

  • 心拍数と脈拍数

  • 体温

  • 消化

  • 代謝(そのため体重に影響を与えます)

  • 水分と電解質(ナトリウムやカルシウムなど)のバランス

  • 体液(唾液、汗、涙)の分泌

  • 排尿

  • 排便

  • 性的反応

多くの臓器は、交感神経系と副交感神経系のどちらか一方によって主に制御されていますが、1つの臓器に対して両方の神経系がそれぞれ反対の作用を及ぼしている場合もあります。例えば、交感神経系は血圧を上昇させますが、副交感神経系は血圧を低下させます。全体として、2つの神経系が協調して機能することで、体は様々な状況に対して適切に反応できるようになっています。

自律神経系

自律神経系

一般に、交感神経系には以下の機能があります。

  • ストレスの多い状況や緊急事態に際して体の状態を整える(闘争・逃走反応)

そのため交感神経系は、心拍数を増やし、心臓の収縮力を高め、呼吸がしやすくなるように気道を広げ(拡張し)ます。これにより、蓄えられたエネルギーが体から放出され、筋肉に大きな力が入るようになります。この神経系はまた、手のひらの発汗、瞳孔の散大、体毛の逆立ちなども引き起こします。その一方で、緊急時にあまり重要でない機能(消化や排尿など)を鈍らせます。

副交感神経系には以下の機能があります。

  • 日常的な状況下で体内プロセスを制御する。

副交感神経系には一般に、エネルギーを温存し、体を回復させる役割があります。副交感神経系は、心拍数を減らし、血圧を低下させます。また、消化管を刺激して、食べものの消化や不要物の排泄を促します。食べものから吸収されたエネルギーは、組織の修復や形成に利用されます。

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自律神経系における情報伝達には、以下の2種類の化学伝達物質(神経伝達物質)が利用されています。

  • アセチルコリン

  • ノルアドレナリン

アセチルコリンを分泌する神経線維はコリン作動性線維と呼ばれます。ノルアドレナリンを分泌する線維はアドレナリン作動性線維と呼ばれます。一般的に、アセチルコリンは副交感作用(抑制作用)、ノルアドレナリンは交感作用(刺激作用)を示します。ただし、アセチルコリンには一部の交感作用もあり、例えば、発汗を刺激したり、毛を逆立てたりすることがあります。

原因

自律神経系の病気は、自律神経や脳の特定の部分(体の仕組みの制御に関わっている部分)に損傷が起きる病気が原因で生じることもあれば、明らかな原因がなく、自然に発生することもあります。

自律神経系の病気の一般的な原因は以下のものです。

その他の比較的まれな原因としては、以下のものがあります。

症状

自律神経系の病気の初期症状として、男性では勃起の開始や維持が困難になることがあります(勃起障害)。

発汗量が少なくなったり、まったく汗をかかなくなったりして、暑さに耐えられなくなることもあります。眼と口が乾燥することもあります。

自律神経系の病気があると、胃から内容物が送り出されるペースが非常に遅くなるために(胃不全麻痺)、食事をしてもすぐに満腹感を覚えることがあり、嘔吐することさえあります。意図せず尿が漏れることもあり(尿失禁)、多くは膀胱の活動が過剰になることが原因で起こります。逆に膀胱の活動が弱まって、排尿が困難になる場合もあります(尿閉)。便秘になったり、排便を制御できなくなったりすることもあります。

光の変化に伴う瞳孔の散大や収縮が起こらなくなることがあります。

診断

  • 医師による評価

  • 特定の動作で血圧がどのように変化するかを調べる検査

  • 心電図検査

  • 発汗の検査

医師は、身体診察の際に、自律神経疾患の徴候がないか確認できます。例えば、横になった状態または座った状態で血圧と心拍数を測定した後、今度は立った状態で血圧と心拍数を測定して、姿勢が変わったときに血圧がどのように変化するかを確認します。

ティルト試験とバルサルバ法は、これらを併用することで、血圧の低下が自律神経系の病気によるものかどうかを医師が判断する手がかりが得られます。

瞳孔を診察し、光の変化に対する異常な反応がないか、反応が失われていないかも確かめます。

発汗の検査も行われます。ある方法では、内部をアセチルコリンで満たした電極を脚と前腕に付けることで汗腺を刺激します。次に、発汗量を測定して、汗が正常に分泌されているかを調べます。検査中に、軽い灼熱感(焼けるような感覚)を覚えることがあります。

温熱発汗試験と呼ばれる別の方法では、皮膚に染料を塗ってから、密閉された高温の部屋に入ってもらい、発汗を刺激します。発汗があると染料の色が変化します。さらに、発汗の減少のパターンを評価することができ、その結果は自律神経系の病気の原因を特定する手がかりになります。

自律神経系の病気につながりうる病気の有無を調べるため、その他の検査が行われる場合もあります。

治療

  • 原因が特定された場合は、それに対する治療

  • 症状の緩和

自律神経系の病気の一因となりうる病気がある場合は、その病気を治療します。ほかに病気がない場合や、あっても治療できない場合は、症状の緩和に重点が置かれます。

自律神経系の病気による症状の一部には、以下のような簡単な対策や、ときに薬剤の使用がその緩和に役立つことがあります。

  • 起立性低血圧:ベッドの頭側を10センチメートルほど高くし、ゆっくりと起き上がるようにします。腹帯や弾性ストッキングなどの圧迫帯やサポーターを着用することも助けになることがあります。塩分や水分の摂取量を増やすと、循環血液量が維持されるため、血圧の維持に役立ちます。ときに、薬剤が使用されることもあります。フルドロコルチゾンは、血液量と血圧を維持するのに役立ちます。ミドドリンは、動脈を細くする(収縮させる)ことで、血圧の維持に役立ちます。これらはいずれも経口薬です。

  • 発汗の減少または停止:汗の量が減った場合や汗が出なくなった場合は、温かい環境を避けることが有用です。

  • 尿閉:膀胱が正常に収縮できないために尿を排出できなくなった場合(尿閉)は、カテーテル(ゴム製の細い管)を尿道を通して膀胱内まで自分で挿入する方法を教わることができます。カテーテルを挿入すれば、たまった尿を排出できるため、症状が和らぎます。1日に数回カテーテルを挿入し、膀胱が空になったらカテーテルを抜きます。膀胱の緊張を高めて、排尿を補助するために、ベタネコールという薬剤が使用されることもあります。

  • 便秘:高繊維食(食物繊維を多く含む食事)をとり、便軟化剤を使用することが推奨されます。便秘が続く場合は、浣腸が必要になることがあります。

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