脳、脊髄、神経が侵される病気を神経疾患と呼びます。
神経症状とは、神経系の一部または全体が侵された結果起こる症状のことで、神経系は非常に多くの身体機能を制御しているため、該当する症状は多岐にわたります。症状には、 頭痛 頭痛の概要 頭痛とは、頭部のいずれかの部分(頭皮、首の上部、顔面、頭部の中を含む)に生じる痛みのことです。頭痛は医療機関の受診理由として最も多いものの1つです。 頭痛は仕事や日常生活に支障をきたすこともあります。頭痛が頻繁に起こる人もいれば、めったに起こらない人もいます。 頭痛は重症化して苦痛になることもありますが、重篤な病気が原因であることは多くあ... さらに読む や 腰痛 腰痛 腰や 首の痛みは、外来受診の理由として最も多いものの1つです。通常、これらの痛みは、 筋骨格系の問題、なかでも脊椎の骨(背骨、すなわち椎骨)、椎間板、それを支持する 筋肉や 靱帯など、脊椎に関係する問題から生じます。ときとして、筋骨格系を侵さない病気によって腰痛が生じることがあります。... さらに読む など、あらゆる種類の痛みが含まれます。筋肉の運動、皮膚の感覚、特殊感覚(視覚、味覚、嗅覚、聴覚)が正常に機能するためには、神経の機能が正常でなければならないため、筋力低下、協調運動の不調、皮膚感覚の異常、視覚、味覚、嗅覚、聴覚の障害なども神経症状に含まれます。
神経の異常によって睡眠が妨げられることもあり、そうなると就寝時に不安になったり興奮したりする結果、日中に疲労や眠気がみられるようになります。
神経症状には、軽微なもの(足のしびれなど)もあれば、生命を脅かすもの(脳卒中による昏睡など)もあります。
神経疾患の診断では、症状の特徴と発生パターンが参考になります。医師は 神経学的診察 神経学的診察 神経の病気が疑われる場合、医師は身体診察を行って、すべての器官系の評価を行いますが、特に神経系に重点が置かれます。神経系の診察(神経学的診察)では、以下の要素が評価されます。 精神状態 脳神経 運動神経 感覚神経 さらに読む を行うことによって、脳、脊髄、その他の部位の神経(末梢神経)の病気を見つけることができます。
末梢神経 末梢神経系の概要 末梢神経系とは、中枢神経系以外の神経系、すなわち脳と脊髄以外の神経のことを指します。 末梢神経系には以下のものが含まれます。 脳と頭部、顔面、眼、鼻、筋肉、耳をつなぐ神経( 脳神経) 脊髄と体の他の部位をつなぐ神経(31対の脊髄神経を含む) 体中に分布している1000億個以上の神経細胞 さらに読む には以下のものがあります。
脊髄と体の他の部位をつなぐ神経(31対の脊髄神経)
全身に張り巡らされている神経
ある種の末梢神経(感覚神経)は、感覚情報(痛み、温度、振動、匂い、音などに関する情報)を、脊髄を経由して脳に伝えます。別の種類の末梢神経(運動神経)は、筋肉の動きを制御する電気信号(インパルス)を、脳から脊髄を経由して筋肉まで伝えます。さらに別の種類の末梢神経(自律神経 自律神経系の概要 自律神経系は、血圧や呼吸数など、体内の特定のプロセスを調節している神経系です。意識的な努力を必要とせず、自動的(自律的)に機能するのが特徴です。 自律神経系の病気は、体のあらゆる部分とあらゆるプロセスに影響を及ぼす可能性があります。また、自律神経系の病気には、可逆性のものと進行性のものがあります。... さらに読む と呼ばれます)は、体内や外部環境に関する情報を、血管、胃、腸管、肝臓、腎臓、膀胱などの臓器に伝えます。その情報に反応して臓器の働きが変化することで、自律神経は臓器を刺激したり抑制したりします。これらの神経は、意識的な努力を必要とせず、自動的(自律的)に機能するのが特徴です。
運動神経が損傷すると、筋力の低下や麻痺が生じます。感覚神経が損傷すると、異常な感覚が生じたり、触覚や視覚、その他の感覚が失われたりすることがあります。自律神経が損傷すると、その自律神経に調節されている臓器が機能不全に陥ることがあります。例えば、人が立ち上がると、正常な状態では血圧が上昇しますが、それが起こらなかったり、 めまい 立ちくらみ 一部の人、特に高齢者では、上体を起こしたり、立ち上がったりすると、血圧が極度に低下することがあります(起立性低血圧や体位性低血圧と呼ばれます)。立ち上がると(特にベッドで寝ていた後や長時間にわたって座っていた後に)数秒間から数分間にわたって気が遠くなる、ふらつき、めまい、混乱、かすみ目などの症状が起こり、横になるとそれらの症状は速やかに消... さらに読む を覚えたりすることがあります。