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ベル麻痺

(顔面神経麻痺)

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, Weill Cornell Medical College

最終査読/改訂年月 2017年 1月
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ベル麻痺(顔面神経麻痺の一種)は、第7脳神経(顔面神経)の機能不全を原因とする、顔の片側の筋肉に起こる突然の筋力低下または麻痺のことです。顔面神経は顔面の筋肉を動かし、唾液腺と涙腺を刺激し、舌の前方3分2の部分で味覚を感じることを可能にし、聴覚に関わる筋肉を制御しています。

  • 原因は、ウイルス感染症または自己免疫疾患によって顔面神経が腫れることです。

  • 最初は耳の後ろに痛みが感じられ、その後、顔の片側に筋力低下または完全な麻痺が生じ、舌の同じ側の前方部分で味が感じられなくなることがあります。

  • 診断は通常、症状に基づいて下されます。

  • 神経の腫れを軽減するためにコルチコステロイドを使用します。

  • 治療をしてもしなくても、ほとんどの人は数カ月以内に完全に回復します。

脳神経の概要も参照のこと。)

顔面神経が麻痺した場合(顔面神経麻痺と呼ばれます)、医師は約半数のケースで原因(ライム病やサルコイドーシスなど)を見つけることができます。明らかな原因がなければ、ベル麻痺と診断されます。

ベル麻痺の原因は不明(特発性)と考えられていましたが、近年、一部のケースでは原因(顔面神経の腫れを引き起こすウイルス感染症や自己免疫疾患など)を特定できることを示唆する科学的証拠が報告されています。

ベル麻痺の一般的な原因には、以下のものがあります。

その他のウイルス、例えば、コクサッキーウイルス、サイトメガロウイルスのほか、流行性耳下腺炎、風疹、単核球症、またはインフルエンザの原因ウイルスなども、ベル麻痺の原因になることがあります。感染症にかかると、神経が腫れます。神経が腫れると、神経が通る頭蓋骨の細い通路の壁に押しつけられて圧迫を受けます。

顔面神経麻痺の原因になる病気はほかにもあります。ライム病は顔面神経麻痺を引き起こしますが、ベル麻痺と異なり、顔の両側に影響が出ます。アフリカ系アメリカ人では、サルコイドーシスが顔面神経麻痺の一般的な原因の1つとなっています。ときに腫瘍や頭蓋骨骨折が顔面神経麻痺を引き起こすこともあります。

症状

ベル麻痺では、最初の症状として耳の後ろに痛みが現れることがあります。顔の筋力が突然(通常は数時間以内に)低下します。筋力低下の程度は軽度のものから完全な麻痺まで様々です。筋力低下は48~72時間後に最もひどくなります。影響を受けるのは顔の片側だけです。

顔面神経麻痺(ベル麻痺を含む)では、顔が平坦になり、表情がなくなります。しかし、顔の片側だけに影響が出る場合、表情を作るたびに、正常な側の筋肉が顔をそちら側に引っぱる傾向があるため、しばしば顔がねじれたように感じられます。額にしわを寄せる、まばたきをする、顔をしかめる、などの動作が困難または不可能になることがあります。たとえ正常な感覚が残っている場合でも、ほとんどの人が顔面にしびれ感や重さを感じます。

筋力低下が起こった側の眼を閉じるのが困難になることがあります。眼を完全に閉じることができなくなり、まばたきの回数が減少することもあります。眼を閉じると眼球が上方に回転する傾向があります。

唾液や涙の分泌が阻害されることもあります。眼や口腔が乾燥したり、よだれが垂れたりすることがあります。涙の分泌量が少なくなり、まばたきの回数が減るため(まばたきは眼の表面にうるおいを与えます)、眼が乾燥して、痛みや損傷が生じます。眼の損傷は通常は軽度ですが、何らかの方法で眼に水分を補給し眼を保護しなければ、重篤な状態になることがあります。

舌の麻痺が生じた側の前方部分で、味が感じられなくなることがあります。麻痺が生じた側の耳では、鼓膜を伸展させる筋肉が麻痺するために、音が異常に大きく聞こえるようになることがあります(聴覚過敏)。この筋肉は内耳の中にあります。

知っていますか?

  • 顔面神経麻痺は、しばしば口唇ヘルペスまたは帯状疱疹の原因ウイルスによって引き起こされます。

  • ライム病では、ベル麻痺に似た顔面神経麻痺が起こることがあります。

ときとして、顔面神経が治癒するときに異常な接続が形成され、そのためいくつかの顔面筋に予想外の動きが現れたり、唾液の分泌中に眼に涙がたまる「ワニの涙」と呼ばれる現象が発生したりします。顔面神経が長期間使われなくなるため、筋肉の恒久的な硬直(拘縮)が起こることがあります。

診断

  • 症状

  • ときに、疑われる原因に応じた様々な検査

顔面神経麻痺は、通常は症状に基づいて診断を下すことができます。例えば、脳卒中による筋力の低下は、顔全体ではなく顔の下側だけに起こるため、顔面神経麻痺と区別できます。脳卒中が起こった場合は、眼を固く閉じることや、眉を寄せることはできます。また、脳卒中では、片側の腕や脚にも筋力低下が起こるのが典型的です。

通常は、顔面神経麻痺の原因としてあまり一般的でない病気(腫瘍、ライム病、その他の感染症、サルコイドーシス、糖尿病、頭蓋骨骨折など)と、ベル麻痺とを区別することもできます。そのようなその他の病気では、一般に異なる症状がみられ、またこれらのうち多くのものでは、症状がよりゆっくりと発生します。そのため、原因がベル麻痺であると断定できない場合や、症状がゆっくりと発生した場合は、検査を行います。具体的な検査としては以下のものがあります。

  • 血液検査

  • X線検査

  • 脳のMRIまたはCT検査

例えば、ライム病の有無を確認するためには血液検査、サルコイドーシスの有無を確認するためには血液検査と胸部X線検査が行われます。医師は通常、患者の症状やこれらの検査結果に基づいて、他の原因の可能性を否定します。

予後(経過の見通し)

顔面の麻痺が部分的な場合は、治療の有無にかかわらず、ほとんどの人が数カ月以内に完全に回復します。

完全な麻痺がある場合、結果は様々です。回復の可能性の予測に役立てるために、検査(神経伝導検査と筋電図検査)が行われることがあります。完全に回復しない人も多く、顔の筋力低下が残り、顔が垂れ下がることもあります。

治療

  • ときにコルチコステロイド

  • 角膜を保護するための点眼薬または眼帯

症状の発生から48時間以内である場合は、神経の腫れを軽減するため、プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドを服用します。コルチコステロイドを服用すると、動きの回復がやや速くかつ良好になる可能性があります。

抗ウイルス薬が役立つかどうかは不明で、ベル麻痺の一般的な原因(単純ヘルペスウイルスや帯状疱疹の原因ウイルス)に効果的な抗ウイルス薬(アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビルなど)でさえ、効果の有無が分かっていません。しかし、ときにコルチコステロイドに加えて抗ウイルス薬が処方されることもあります。この組合せがコルチコステロイド単独より効果的であるかどうかは、明らかにされていません。

眼を完全に閉じられない場合は、眼の損傷のリスクを減らすために眼を乾燥から保護しなければなりません。人工涙液または生理食塩水を含む点眼薬を、眼が完全に閉じられるようになるまで使用し続けます。時間帯を決めて(特に睡眠時)眼帯を装着する必要が生じることもあります。まれに、重症の場合は、上下のまぶたを縫い合わせることがあります。

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