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進行性多巣性白質脳症(PML)

執筆者:

John E. Greenlee

, MD, University of Utah Health

医学的にレビューされた 2020年 7月
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進行性多巣性白質脳症は、JC(John Cunningham)ウイルスが原因で起こる、まれな脳の感染症です。

  • この病気に特にかかりやすいのは免疫機能が低下している人です。

  • 動きがぎこちなくなったり、話すのが難しくなったり、部分的な失明が生じたりすることがあり、精神機能が急速に低下します。

  • 通常は9カ月以内に死に至ります。

  • 頭部の画像検査と腰椎穿刺が行われます。

  • 免疫系の働きを弱めている病気の治療が、余命の延長に役立つことがあります。

進行性多巣性白質脳症の原因はJCウイルスの感染です。多くの場合、JCウイルスの感染は小児期に起こります。ほとんどの成人はJCウイルスに感染していますが、この病気を発症しません。

JCウイルスは、免疫系の機能低下などがきっかけで再び活性化して増殖できるようになるまで、不活性状態のままでいると考えられています。したがって、この病気は主に、 白血病 白血病の概要 白血病は、白血球または成熟して白血球になる細胞のがんです。 白血球は骨髄の幹細胞から成長した細胞です。ときには成長がうまくいかずに、染色体の一部の並びが変化してしまうことがあります。こうして異常となった染色体により正常な細胞分裂の制御が失われ、この染色体異常がある細胞が無制限に増殖するようになったり、細胞がアポトーシス(不要になった細胞が... さらに読む リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫とは、リンパ系および造血器官に存在するリンパ球のがんです。 リンパ腫は、 リンパ球と呼ばれる特定の白血球から発生するがんです。この種の細胞は感染を防ぐ役割を担っています。リンパ腫は、Bリンパ球やTリンパ球のいずれの細胞からも発生する可能性があります。Tリンパ球は免疫系の調節やウイルス感染に対する防御に重要です。Bリンパ球は、いくつ... さらに読む リンパ腫の概要 エイズ 後天性免疫不全症候群(エイズ) ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む 後天性免疫不全症候群(エイズ) などの病気や、免疫系の働きを抑える薬(免疫抑制薬 免疫系の抑制 移植とは、生きて機能している細胞、組織、臓器を体から摘出して、同じ人間の別の部分、または別の人間の体に移し替えることをいいます。 一番よく行われている移植は 輸血です。毎年、何百万人もが治療として輸血を受けます。しかし、一般には移植というと臓器(実質臓器移植)や組織の移植を指します。... さらに読む )または免疫系の働きを調整する薬(免疫調節薬)によって免疫機能が低下している人に起こります。そのような薬としては、移植した臓器の拒絶を抑えるために用いられるものや、 全身性エリテマトーデス 治療 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ 炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 診断を下すため、血液検査のほか、ときにその他の検査を行います。 全身性エリテマトーデスの全患者でヒドロキシクロロキンが必要であり、損傷を引き起こし続けている全身性エリテマトーデス(活動性の全身性エリテマトーデス)の患者には、コルチコステロイドな... さらに読む 治療 多発性硬化症 免疫系の制御を補助する薬 多発性硬化症では、脳、視神経、脊髄の髄鞘(ずいしょう)(ほとんどの神経線維を覆っている組織)とその下の神経線維が、まだら状に損傷または破壊されます。 原因は解明されていませんが、免疫系が自分の体の組織を攻撃する現象(自己免疫反応)が関与していると考えられています。 多発性硬化症の患者のほとんどは、健康状態が比較的良好な期間と症状が悪化する期間を交互に繰り返しますが、時間の経過とともに、多発性硬化症は徐々に悪化していきます。... さらに読む などの 自己免疫疾患 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がしばしば使用されます。 さらに読む やがんを治療するために用いられるものがあります。具体的には、モノクローナル抗体であるナタリズマブやリツキシマブ、がん細胞を標的にした特定の 抗体 抗体 体の防御線( 免疫系)の一部には 白血球が関わっており、白血球は血流に乗って体内を巡り、組織に入り込んで微生物などの異物を見つけ出し、攻撃します。( 免疫系の概要も参照のこと。) この防御は以下の2つの部分に分かれています。 自然免疫 獲得免疫 獲得免疫(特異免疫)は、生まれたときには備わっておらず、後天的に獲得されるものです。獲得のプロセスは、免疫系が異物に遭遇して、非自己の物質(抗原)であることを認識したときに始まります。そして、獲... さらに読む 抗体 に抗がん剤を結合させたブレンツキシマブ ベドチンなどがあります。

症状

JCウイルスは、再活性化するまで、症状を引き起こさないと考えられています。

進行性多巣性白質脳症の症状は、徐々に現れることがあり、通常は進行性に悪化していきます。現れる症状は、脳のどの部分が侵されたかによって異なります。

最初の症状は、ぎこちなさ、筋力低下、発話や思考の困難などです。病気が進行するにつれて、多くの人が認知症を発症して話すことができなくなります。視力が損なわれることもあります。進行性多巣性白質脳症の患者は、やがて寝たきりになります。まれに頭痛やけいれん発作が(主にエイズの人で)起こります。

一般的には発症後1~9カ月以内に死に至りますが、それ以上(約2年)生存する例も少数ながらあります。

免疫系を抑制する薬(ナタリズマブなど)の服用中に進行性多巣性白質脳症を発症した人は、薬を中止すれば回復することがあります。しかし、多くの患者では感染症に関連した問題が持続します。

診断

  • MRI検査

  • 腰椎穿刺

免疫機能が低下している人に、原因不明で次第に悪化する症状がみられる場合は、進行性多巣性白質脳症が疑われます。

頭部のMRI(磁気共鳴画像)検査が行われます。通常はMRI検査により、この病気を示唆する異常を検出できます。

治療

  • 免疫系の機能低下が原因であれば、原因の治療

免疫抑制薬または免疫系の機能に影響を与えるその他の薬(ナタリズマブなど)を服用している場合は、薬の使用を中止すると、進行性多病巣性白質脳症が沈静化することがあります。その場合、 血漿交換 血漿交換 アフェレーシスという方法では、血液をいったん体から取り出して、その中から物質を除去し、再び体内に戻します。 アフェレーシスは以下の目的で使用できます。 供血者から健康な血液成分を採取し、病気の人に 輸血する。 病気の患者の血液から有害物質や過剰な血球を除去する(治療としてのアフェレーシス) 分離できる血液の成分として、以下のものがあります。 さらに読む により、血液中から薬を除去することがあり、特に薬がナタリズマブ(多発性硬化症の治療に用いられる)の場合はこの方法が行われます。

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