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寄生虫による脳感染症

執筆者:

John E. Greenlee

, MD, University of Utah School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 1月
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世界の一部の地域では、蠕虫(ぜんちゅう)などの寄生虫による脳感染症がよくみられます。それらの感染症は、発展途上国や農村地域でよくみられ、米国ではあまりみられません。

脳の感染症の概要も参照のこと。)

神経嚢虫症

嚢虫症は、有鉤条虫の幼虫が感染することで発生します。脳感染症を引き起こすすべての蠕虫のうち、有鉤条虫は、西半球における脳感染症の原因として圧倒的に最多のものです。

人間が条虫の卵に汚染された食べものを摂取すると、胃液の刺激によって条虫の卵が孵化して幼虫になります。幼虫は血液中に入り、血流に乗って脳を含む体のいたるところに運ばれます。幼虫は嚢胞(幼虫の集団が保護壁に閉じ込められたもの)を形成します。(嚢胞による感染は嚢虫症と呼ばれ、脳に嚢胞が形成された場合は神経嚢虫症と呼ばれます。)形成された嚢胞は、最初はほとんど症状をもたらしませんが、嚢胞が変性して幼虫が死ぬと、炎症と腫れが起こり、頭痛、けいれん発作、人格の変化、精神機能障害などの症状が現れます。

脳室内の髄液の流れが嚢胞によって遮られ、脳に圧力が加わることもあります。この状態は水頭症と呼ばれます。脳にかかる圧力が上昇すると、頭痛、吐き気、嘔吐、眠気が起こります。

嚢胞が破裂して内容物が髄液中に流れ出すことで、髄膜炎が発生することもあります。

医師は、発展途上国に住んでいる人や発展途上国から来た人に典型的な症状がみられる場合に、神経嚢虫症を疑います。多くの場合、MRI(磁気共鳴画像)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査で嚢胞を確認できます。しかし、診断を確定するには、血液検査を行うほか、腰椎穿刺によって髄液のサンプルを採取しなければならない場合も多くあります。

感染症の治療にはアルベンダゾールやプラジカンテル(駆虫薬と呼ばれ、蠕虫による感染症の治療に使用される薬)が使用されます。また、幼虫が死んだときに起こる炎症を軽減するために、コルチコステロイドが投与されます。けいれん発作は抗てんかん薬で治療します。

ときとして、過剰な髄液を除去して水頭症を緩和するために、排液用の管(シャント)を設置する手術が必要になります。シャントは合成樹脂製のチューブで、一方の端が脳内の空間に留置されます。このチューブを皮膚の下に通して、もう一方の端を通常は腹部まで到達させ、そこで過剰な髄液が排出されるようにします。脳から嚢胞を摘出する手術が必要になることもあります。

その他の感染症

エキノコックス症(包虫症)と共尾虫症は、別の種類の条虫類の幼虫による感染症です。エキノコックス症では、脳の内部に大きな嚢胞が形成されます。共尾虫症でも嚢胞ができ、嚢虫症と同様に、脳周囲の髄液の流れが遮られることがあります。

住血吸虫症は、住血吸虫による感染症です。住血吸虫症の患者の中には、炎症を起こした細胞が凝集した病変(肉芽腫)が脳内に形成されることがあります。

エキノコックス症、共尾虫症、住血吸虫症は、嚢虫症と同じように、けいれん発作、頭痛、人格の変化、精神機能障害などの症状を引き起こします。エキノコックス症または共尾虫症による症状は、現れるまでに数年かかることがあります。

これらの感染症は通常、MRI検査やCT検査の結果から診断できますが、ときに腰椎穿刺が必要になることもあります。髄液を調べると、白血球の一種である好酸球が大量にみられることがあります。

これら3つの感染症は、通常はアルベンダゾール、メベンダゾール、プラジカンテル、パモ酸ピランテルなどの薬で治療します。しかし、エキノコックス症や共尾虫症では、手術で嚢胞を摘出しなければならないことも多くあります。

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