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ナルコレプシー

執筆者:

Karl Doghramji

, MD, Jefferson Sleep Disorders Center, Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2016年 2月
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ナルコレプシーは、日中の過度の眠気や、通常起きている時間帯に自分では制御できない眠気が繰り返し起こることを特徴とする睡眠障害で、突然の筋力低下(情動脱力発作)を伴います。睡眠麻痺、鮮明な夢、幻覚が、入眠時または覚醒時に起こることもあります。

  • 診断を確定するには、睡眠ポリグラフ検査と睡眠潜時反復検査など、睡眠検査室での検査が必要です。

  • 覚醒状態を維持し、他の症状をコントロールするために薬剤を使用します。

ナルコレプシーが起こる割合は、米国と欧州では2000人に1人未満です。男女ともに等しくみられます。遺伝的に生じる症例もありますが、環境的な要因も関わっているようです。原因は不明です。脳のある領域の神経細胞を破壊する自己免疫反応(免疫系が自己の体を攻撃すること)がナルコレプシーの原因であることを示唆する科学的証拠もあります。

ナルコレプシーが医学的に重篤な状態に至ることはありませんが、生活や仕事に支障をきたし、自動車事故やその他の事故のリスクが大きくなります。ナルコレプシーは生涯続きますが、余命への影響はありません。

ナルコレプシーは、レム睡眠のタイミングとコントロールの異常を部分的に反映しています。その症状の多くは、レム睡眠中に起こる現象に似ています。すなわち、ナルコレプシーでみられる筋力低下、睡眠麻痺、幻覚は、レム睡眠中にみられる筋緊張の低下、麻痺、鮮明な夢と似ています。

ナルコレプシーの症状

通常、症状は青年期から若年成人期にかけて現れ、その後は生涯続きます。すべての症状が現れるナルコレプシーの患者は全体の約10%に限られ、大部分の人はいくつかの症状が出るだけです。日中の過度の眠気(EDS)はすべての人に生じます。

日中の過度の眠気

ナルコレプシーの患者には日中の過度の眠気があり、多くの場合、長期間にわたって過分な睡眠をとっても眠気が軽減しません。多くの人は、時刻を問わず前触れもなしに生じる、コントロールできない突然の眠気(睡眠発作)に襲われます。眠らずにいようとしても、ごく短時間で眠りに落ちてしまいます。発作は1日に何度も起こることもあれば、2、3回しか起こらないこともあります。1回の発作の持続時間は通常2~3分以下ですが、数時間続くこともあります。目覚めるときは、通常の睡眠と同じく、すぐに目覚めます。たとえ2~3分しか続かない発作でも、目が覚めるとすっきり感じられるのが典型的です。しかし、その数分後には、また眠りに落ちてしまうことがあります。

発作が最も起こりやすいのは、退屈な会議や高速道路で長時間運転しているときなど、単調な状況におかれたときですが、食事中、会話中、何かを書いているときにも起こることがあります。夜の睡眠は満足のいくものではなく、覚醒と、鮮明な怖い夢によって周期的に中断されることがあります。

情動脱力発作

日中起きているときに、怒り、恐怖、喜び、笑い、驚きなどの突発的な感情が引き金となって、意識消失を伴わない突然の筋力低下が起こることがあります(情動脱力発作と呼ばれます)。急にぐにゃりと腰が抜けたり、持っているものを落としたり、地面に倒れたりします。顎が垂れ下がり、顔の筋肉がひきつり、眼が閉じ、うなづくように頭が動きます。話し方が不明瞭になることもあります。

この状態は、正常な人でレム睡眠中にみられる筋肉の麻痺と似ていて、また「笑って力が抜けた」状態にもやや似ています。

情動脱力発作がみられるのは、ナルコレプシーの患者うち4人中3人未満です。

睡眠麻痺

ときに、入眠の前後や起床直後に、体を動かそうとしても動かせなくなることがあります。睡眠麻痺と呼ばれるこの体験は恐ろしく感じられることもあります。誰かに体に触れてもらうと麻痺が治まることがあります。そうでなくとも、麻痺は数分後で自然に治まります。

睡眠麻痺は、ナルコレプシーの患者の約4人に1人にみられます。ときに健康な小児や、頻度は下がりますが健康な成人にもみられることがあります。

幻覚

寝入る前後や、頻度は下がりますが目覚めるときに、実際には存在しない映像や音が鮮明に見えたり聞こえたりすることがあります。これらの極めて鮮明な幻覚は、正常な夢に似ていますが、もっと強烈です。この幻覚は次のように呼ばれています。

  • 入眠時幻覚(寝入りばなに起こるもの)

  • 出眠時幻覚(目が覚めたときに起こるもの)

入眠時幻覚は、ナルコレプシー患者の約3分の1にみられます。健康な小児でもよくみられ、ときに健康な成人にみられることもあります。

合併症

ナルコレプシーは日常生活に支障をきたし、患者は集中力が低下します。やる気も失われ、抑うつ状態になることもあります。家族関係などが損なわれることもあります。患者はけがをしやすく、例えば運転中に眠り込んでしまった場合などは特に危険です。

ナルコレプシーの診断

  • 睡眠ポリグラフ検査

  • 睡眠潜時反復検査

日中の過度の眠気がある患者に、筋力低下の発作がみられる場合、医師はナルコレプシーを疑います。しかし、同様の症状を引き起こす他の病気もあるため、症状だけに基づいて診断することはできません。睡眠麻痺と、ナルコレプシーのような幻覚は、健康な成人、睡眠不足の人、睡眠時無呼吸症候群やうつ病の人でも起こることがあります。これらの症状は特定の薬剤を服用したときにも生じます。したがって、睡眠検査室での検査が必要です。

睡眠検査室における睡眠検査として、一晩かけて睡眠ポリグラフ検査を行い、次の日に睡眠潜時反復検査を行います。これらの検査では、脳、心臓、呼吸、筋肉、眼の活動をモニタリングし、記録します。四肢の動きなど他の様々な身体機能もモニタリングし、記録します。

通常、ナルコレプシーの原因になる異常は、CTやMRIなどの画像検査では検出できません。

ナルコレプシーの治療

  • 一般的な対策

  • 覚醒状態を維持する薬剤

ナルコレプシーに対する根治的な治療法はありません。しかし多くの人は、治療を継続することで通常の生活に戻れます。

夜に十分な睡眠をとるように心掛け、毎日同じ時間(典型的には午後)に(30分未満の)短い仮眠をとるようにします。軽度の症状ならこれらの対策で十分です。

それ以外の場合は、モダフィニル(または、ときにアルモダフィニル[Armodafinil]、デキストロアンフェタミン[dextroamphetamine]、もしくはメチルフェニデート)など、覚醒状態を維持する薬剤を使って、眠気を軽減します。イライラ、過活動、吐き気、頭痛、体重減少などの副作用が起こらないように用量の調整が必要になることがあります。薬物治療の間、医師は患者の状態を注意深くモニタリングします。デキストロアンフェタミン(dextroamphetamine)やメチルフェニデートは中枢刺激物質であり、興奮、高血圧、心拍数の増加、気分のむらを引き起こします。これらの薬剤は習慣性を生じることもあります。モダフィニルやアルモダフィニル(armodafinil)は、デキストロアンフェタミン(dextroamphetamine)やメチルフェニデートとは作用の仕組みがわずかに異なり、他の薬剤より副作用が少なく、習慣性を生じにくい可能性があります。

ガンマ-ヒドロキシ酪酸ナトリウムは、就寝時とその後夜間に服用する薬剤で、通常は日中の過度の眠気と情動脱力発作を軽減することができます。副作用には吐き気、嘔吐、めまい、尿失禁(意図せず尿を漏らすこと)、眠気などがあります。

クロミプラミン、プロトリプチリン(protriptyline)、ベンラファキシン、フルオキセチンなどの抗うつ薬は通常、情動脱力発作、幻覚、睡眠麻痺の軽減に役立ちます。

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