(痛みの概要 痛みの概要 痛み(疼痛ともいいます)とは、体に損傷が起こったこと、あるいは起こった可能性があることを知らせる不快な感覚のことです。 痛みは医療機関の受診理由として最も多い症状です。 痛みには、鋭い痛みや鈍い痛み、間欠的な痛みや持続的な痛み、拍動性の痛みや一定した痛みなど、様々な種類があります。ときに、非常に説明が難しい痛みもあります。痛みは1カ所に限... さらに読む も参照のこと。)
ほとんどの痛みは侵害受容性疼痛です。侵害受容性疼痛は、組織の損傷を感知する痛みの受容器(侵害受容器)への刺激に起因する痛みで、侵害受容器は大半が皮膚と内臓に分布しています。この損傷には、切り傷、挫傷、骨折、挫滅創(ざめつそう)、熱傷など、組織が傷つくものがすべて含まれます。
典型的な侵害受容性疼痛は、うずくような痛み、鋭い痛み、またはズキズキする痛みですが、鈍い痛みであることもあります。内臓が閉塞すると、通常は、深いところでけいれんするような痛みが発生しますが、痛みの正確な部位は特定しにくいことがあります。しかし、軟部組織(内臓を覆う組織など)に損傷が起きた場合には、鋭い痛みになり、容易に部位を特定できることがあります。
手術後にほぼ必ず経験される痛みも侵害受容性疼痛です。痛みは持続的なこともあれば間欠的に起こることもあります。多くの場合は、体を動かしたり、せきをしたり、笑ったりしたとき、あるいは深呼吸したときや、手術の傷口を覆った包帯を交換するときに、痛みが強くなります。
がんによる痛みも、そのほとんどが侵害受容性疼痛です。腫瘍が骨や臓器に広がる(浸潤する)と痛みが生じます。これは、軽い不快感の場合もあれば、耐えがたい激痛の場合もあります。手術や放射線療法などの一部のがん治療も、侵害受容性疼痛の原因になることがあります。
通常は、オピオイドなどの痛み止め(鎮痛薬)が効果的です。