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脊髄性筋萎縮症(SMA)

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, New York Presbyterian Hospital-Cornell Medical Center

レビュー/改訂 2022年 4月
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脊髄性筋萎縮症は、脊髄と脳幹に由来する神経細胞が変性して、進行性の筋力低下と萎縮が起こる遺伝性疾患です。

  • 脊髄性筋萎縮症には主要な病型が5つあり、それぞれ筋力低下と筋萎縮の程度が異なります。

  • 病型によっては、車いすでの生活を余儀なくなれ、余命が短くなることもあります。

  • 脊髄性筋萎縮症は症状から疑われ、その診断は家族歴、筋肉と神経の機能の検査、異常遺伝子を検出するための血液検査の結果に基づいて下されます。

  • 根治的な治療法はありませんが、理学療法と装具の使用が助けになることがあります。

脊髄性筋萎縮症には主要な病型が5つあります。

SMAの症状

脊髄性筋萎縮症の主要な病型のうち最初の4つでは、乳児期や小児期に最初の症状が現れます。

脊髄性筋萎縮症0型は、最重症の病型で、出生前の胎児の段階で影響を及ぼし始めます。そのような胎児は妊娠後半に期待されるほど体を動かしません。出生すると、乳児には重度の筋力低下がみられ、筋緊張がみられません。反射がみられず、関節の運動は制限されています。顔面の両側が麻痺しています。心臓の先天異常もみられます。呼吸を制御する筋肉の筋力が非常に弱いです。十分な呼吸ができないため、 呼吸不全 呼吸不全 呼吸不全は、血液中の酸素レベルが危険なほど低くなったり、血液中の二酸化炭素濃度が危険なほど高くなる病気です。 呼吸不全の原因としては、気道をふさぐ病気、肺組織を損傷する病気、呼吸を制御する筋肉を衰えさせる病気、呼吸を促す仕組みが抑制される病気などがあります。 激しい息切れ、皮膚の青みがかった変色、錯乱または眠気などの症状がみられることがあ... さらに読む を起こし、しばしば生後数カ月で死亡します。

脊髄性筋萎縮症I型(乳児脊髄性筋萎縮症またはウェルドニッヒ-ホフマン病)では、しばしば出生時または生後数日以内に筋力低下が明らかになります。生後6カ月までには、ほぼ必ず筋力低下が明らかになります。乳児では筋緊張と反射がなく、吸うこと、飲み込むこと、そして最終的には呼吸も困難になります。生後1年までに95%の患児が、4歳までにすべての患児が、通常は呼吸不全により死亡します。

脊髄性筋萎縮症II型(中間型またはデュボビッツ病)では、典型的には生後3~15カ月の間に筋力低下が起こります。座ることができるようになるのは患児の4分の1以下です。這ったり歩いたりすることはできません。反射はみられません。筋力が低下し、飲み込むことが困難になります。ほとんどの場合は、2~3歳までに車いすでの生活を余儀なくされます。早期に死亡することも多く、その原因は通常、呼吸障害です。しかし、一部の小児は生き延び、筋力低下は生涯残るものの悪化が止まります。この場合は、しばしば脊椎に重度の弯曲がみられます(脊柱側弯症)。

脊髄性筋萎縮症III型(若年型またはクーゲルベルク-ウェランダー病)は、生後15カ月から19歳までの間に発症し、ゆっくり悪化していきます。そのため、この病型の人は通常、I型またはII型脊髄性筋萎縮症の人と比べて余命が長いです。健康な人と同じくらい生きる人もいます。筋力の低下と筋肉の萎縮は股関節部と太ももから始まって、後に腕、足、手へと広がります。患者の余命は、呼吸器に問題が起きるかどうかに左右されます。

脊髄性筋萎縮症IV型では、通常は30~60歳の成人期に最初の症状が現れます。主に股関節部、太もも、肩の筋力がゆっくり低下し、筋肉が萎縮します。

SMAの診断

  • 医師による評価

  • 筋電図検査と神経伝導検査

  • 血液検査による異常遺伝子の検出

  • ときに筋肉の生検

医師は通常、幼児で原因不明の筋力低下と筋肉の萎縮がみられた場合に脊髄性筋萎縮症の検査を行います。これらの病気は遺伝性であるため、家族歴も診断の手がかりになります。

ときに筋肉の生検も行われます。

SMAの治療

  • 理学療法と作業療法

  • 装具と補助具

  • 筋肉の機能を改善し、身体障害の発生と死亡を遅らせる可能性がある薬

脊髄性筋萎縮症には根治的な治療法がありません。

理学療法と装具が役立つことがあります。小児は自分で食べたり、書いたり、コンピュータを使ったりできるよう、理学療法士や作業療法士から適切な補助器具を紹介してもらうことができます。

ヌシネルセンは、筋肉の動きをわずかに改善する可能性があり、身体障害の発生と死亡を遅らせる可能性もあります。ヌシネルセンは、脊髄周囲の空間へ注射します。薬剤を注射する前に、少量の局所麻酔で注射部位を麻痺させることがよくあります。そして、 腰椎穿刺 腰椎穿刺 病歴聴取と 神経学的診察によって推定された診断を確定するために、検査が必要になることがあります。 脳波検査は、脳の電気的な活動を波形として計測して、紙に印刷したりコンピュータに記録したりする検査法で、痛みを伴わずに容易に行えます。脳波検査は以下の特定に役立つ可能性があります。 けいれん性疾患 睡眠障害 一部の代謝性疾患や脳の構造的異常 さらに読む 腰椎穿刺 の施行時と同様、脊柱の下の方にある2つの椎骨の間に針を刺します。ヌシネルセンは最初は2カ月間にわたって4回投与します。その後は、4カ月間隔で定期的に投与します。

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