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ギラン-バレー症候群(GBS)

(ギラン-バレー症候群;急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー;急性特発性多発神経炎)

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, New York Presbyterian Hospital-Cornell Medical Center

医学的にレビューされた 2019年 10月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

ギラン-バレー症候群は、筋力低下を引き起こす多発神経障害の一種で、筋力低下は通常は数日から数週間かけて悪化し、その後ゆっくりと自然に回復します。治療を行えば、もっと早く回復します。

  • ギラン-バレー症候群は、自己免疫反応によって引き起こされると考えられています。

  • 通常、筋力低下は両脚で最初に起こり、それから体の上の方に広がります。

  • 筋電図検査と神経伝導検査が診断の確定に役立ちます。

  • ギラン-バレー症候群では、症状が急速に悪化する可能性があるため、患者は直ちに入院させられます。

  • 免疫グロブリン製剤の静脈内投与または血漿交換を行うと、回復速度が速まる可能性があります。

  • 髄鞘(神経を取り巻く組織で、神経を信号が伝わる速度を速める働きを担っています)

  • 情報を伝える神経の部分(軸索 神経細胞の典型的な構造 神経細胞の典型的な構造 と呼ばれます)

神経線維を絶縁する組織

脳の内外のほとんどの神経線維は、脂肪(リポタンパク質)でできた何層もの組織(ミエリンといいます)に包まれています。それらの層は髄鞘と呼ばれる組織を形成しています。髄鞘は電気ケーブルを包んでいる絶縁体のような役割を果たしていて、その働きによって、電気信号が神経線維に沿って速やかに伝わるようになっています。

髄鞘が損傷すると、信号が神経を正常に伝わらなくなります。

神経線維しんけいせんいを絶縁ぜつえんしている組織そしき

症状

通常、ギラン-バレー症候群の症状はまず両脚に現れ、上方に広がって腕に達します。ときに、腕や頭部に始まり、下方に広がることもあります。

症状としては筋力低下、チクチクする感覚、感覚消失などがみられます。異常感覚より筋力低下が顕著に現れます。反射は減弱または消失します。ギラン-バレー症候群の90%の人では、症状が始まってから3~4週間後に筋力低下が最も重症化します。5~10%の人では、呼吸を制御している筋肉が非常に弱くなるため、人工呼吸器が必要になります。

重症化すると、半数以上の患者では、顔面の筋肉と嚥下に関わる筋肉の筋力が低下します。それらの筋力が低下すると、食事の際にむせたり、脱水や栄養不良に陥ったりします。

ミラー-フィッシャー症候群と呼ばれる変異型では、眼球運動の麻痺、歩行不安定、正常な反射の消失など、いくつかの症状だけが現れます。

診断

  • 医師による評価

  • 筋電図検査と神経伝導検査、MRI検査、血液検査、腰椎穿刺

通常は、症状のパターンからギラン-バレー症候群と診断できます。しかし、診断を確定するために検査を行います。ギラン-バレー症候群は急速に悪化して、呼吸に関わる筋肉の働きを妨げる可能性があるため、医師がギラン-バレー症候群を疑った場合、患者は入院して検査を受けることになります。呼吸の評価が頻繁に行われます。

以下のような検査が行われます。

これらの検査は、ギラン-バレー症候群に似た重度の筋力低下を引き起こす他の病気を否定するのに役立ちます。例えば、MRI検査は、 圧迫による脊髄の損傷 脊髄の圧迫 外傷や病気により脊髄に圧力が加わると、背部痛や頸部痛、チクチク感、筋力低下などの症状が起こります。 脊髄の圧迫は、骨、血液(血腫)、膿(膿瘍)、腫瘍(良性または悪性)、椎間板の破裂または椎間板ヘルニアなどが原因で起こります。 症状としては、背部痛や頸部痛、異常な感覚、筋力低下、排尿障害、排便障害などがみられ、軽度の場合もあれば重度の場合もあります。 診断は、症状と身体診察および画像検査(MRI検査など)の結果に基づいて下されます。... さらに読む (例えば、腫瘍または膿瘍によるもの)や 横断性脊髄炎 急性横断性脊髄炎 急性横断性脊髄炎は、脊髄の幅全体に(横断性に)炎症が起こり、脊髄を行き来する神経信号が遮断される病気です。 急性横断性脊髄炎は、多発性硬化症、視神経脊髄炎、ライム病、全身性エリテマトーデスなどの特定の病気の人、または特定の薬剤を使用している人に起こります。 突然背中に痛みが生じ、患部を帯状に締めつけられるような感じがします。その後、ときに麻痺などの重度の症状が現れることがあります。... さらに読む (脊髄の炎症)の可能性を否定するのに役立ちます。

髄液の検査でタンパク質が増加しているにもかかわらず白血球が少ないかまったくなく、筋電図検査で特有の波形がみられれば、ギラン-バレー症候群が強く疑われます。

予後(経過の見通し)

損傷の進行は8週間以内に止まります。ギラン-バレー症候群の人の大半は、治療を受けなくても、数カ月かけてゆっくり回復していきます。しかし早期治療ができれば回復は非常に早く、数日から数週間で回復します。

成人患者の約30%では発症から3年経っても筋力低下が残り、小児ではその割合はさらに高くなります。平均的な死亡率は2%未満です。

治療

  • 入院と支持療法

  • 必要であれば、人工呼吸器による呼吸の補助

  • 免疫グロブリン製剤または血漿交換

ギラン-バレー症候群は急速に悪化することがあるため、緊急の治療を要します。発症した人は直ちに入院して治療を受ける必要があります。適切な治療を開始するのが早いほど、良好な治療結果が期待できます。症状からギラン-バレー症候群が強く疑われる場合、通常は検査結果を待たずに治療が開始されます。

支持療法

病院では、必要なときに人工呼吸器で呼吸を補助できるよう、綿密なモニタリングが行われます。

筋力低下のために動くことができないと、 床ずれ 床ずれ 床ずれ(褥瘡[じょくそう]とも呼ばれます)とは、長時間の圧迫によって皮膚に十分な血液が流れなくなることで、その部分に損傷が生じた状態です。 床ずれは、圧迫に加えて、皮膚を引っ張る力、摩擦、湿気などの要因が組み合わさって発生する場合が多く、特に骨のある部分の皮膚でその傾向が強くみられます。... さらに読む 床ずれ になったり、筋肉が硬く永久に短くなったり(拘縮)するなど、多くの問題が発生する可能性があります。そのため、床ずれとけがを防止するために、柔らかいマットレスを使い、筋力低下が重症であれば2時間毎に体位交換を行うなどの予防措置が取られます。

拘縮を予防し、関節と筋肉の機能を保ち、歩行能力を維持するために理学療法を開始します。理学療法を行いやすくするため、温熱療法を行うことがあります。理学療法は、理学療法士が患者の四肢を動かす運動(他動運動)から始めることもあります。筋力低下が治まったら、患者が自分で四肢を動かす運動(自動運動)を行う必要があります。

免疫グロブリン製剤または血漿交換

ギラン-バレー症候群で選択すべき治療は、免疫グロブリン製剤(複数のドナーから採取した多くの様々な抗体を含む溶液)を早い段階で5日間にわたって静脈内に投与することです。

これらの治療は比較的安全で、入院日数を短縮し、回復を早め、死亡や恒久的な身体障害のリスクを減らします。

血漿交換を行うと、血液から免疫グロブリンも除去されてしまうため、血漿交換と免疫グロブリン製剤の投与を同時には行うことはありません。血漿交換は、この薬剤を投与した日から最低でも2~3日経過してから行います。

その他の治療

コルチコステロイドは役に立たず、ギラン-バレー症候群の症状を悪化させることがあります。

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