(プリオン病の概要 プリオン病の概要 プリオン病は、現在のところ治療法がなく、最終的には死に至る、まれな進行性の脳(およびまれに他の臓器)の変性疾患であり、プリオンと呼ばれるタンパク質が異常な形態に変化することで発生します。 プリオンが発見されるまでは、クロイツフェルト-ヤコブ病などの海綿状脳症はウイルスが原因と考えられていました。プリオンはウイルスよりはるかに小さく、また、... さらに読む も参照のこと。)
致死性不眠症は次の2種類に分けられます。
家族性:この病型は、致死性家族性不眠症と呼ばれ、遺伝します。細胞性プリオンタンパク質(PrPC)と呼ばれる正常なタンパク質をコードする遺伝子の特定の変異に起因します。
孤発性:この病型は、遺伝子の変異を伴わず自然発生的に生じます。
致死性家族性不眠症と孤発性致死性不眠症では、その他の プリオン病 プリオン病の概要 プリオン病は、現在のところ治療法がなく、最終的には死に至る、まれな進行性の脳(およびまれに他の臓器)の変性疾患であり、プリオンと呼ばれるタンパク質が異常な形態に変化することで発生します。 プリオンが発見されるまでは、クロイツフェルト-ヤコブ病などの海綿状脳症はウイルスが原因と考えられていました。プリオンはウイルスよりはるかに小さく、また、... さらに読む と異なり、主に脳の一領域(視床)だけが優位に侵され、それによって睡眠が妨げられます。
致死性家族性不眠症では、20歳代後半から70歳代前半までにかけて(平均40歳代)症状が発生します。通常は症状が始まってから7~73カ月で死に至ります。孤発性致死性不眠症では発症時期がわずかに遅く、余命もわずかに長くなります。
症状
家族性では、初期の症状として、軽い入眠困難と睡眠継続困難、散発的に起こる筋肉のひきつり、れん縮、こわばりなどがみられます。睡眠中は、よく動いたり蹴ったりします。最終的にはまったく眠れなくなります。後に、精神機能が悪化し、協調運動障害(運動失調 協調運動障害 協調運動障害は、多くの場合、随意運動を協調させてバランスの制御を行う脳領域である小脳の機能不全が原因で起こります。 小脳の機能不全により、協調運動障害が起きます。 腕や脚をうまく制御できず、歩幅が大きくなって歩行が不安定になります。 診断は症状、家族歴、脳のMRI検査の結果のほか、しばしば遺伝子検査の結果に基づいて下されます。 可能であれば原因を是正しますが、それができない場合の治療としては、症状の緩和に重点が置かれます。 さらに読む )が起こります。心拍が速くなり、血圧が上昇し、おびただしい汗をかくようになることがあります。
孤発性では、初期の症状として、精神機能の急速な低下と協調運動障害がみられます。散発性の人からは、睡眠障害の報告がない可能性がありますが、睡眠の検査を行うと異常が見つかることがあります。
診断
医師による評価
睡眠ポリグラフ検査とPET(陽電子放出断層撮影)検査
家族性の場合、遺伝子検査
致死性不眠症は、精神機能の急速な悪化、協調運動障害、睡眠障害などの典型的な症状がみられる場合に、可能性のある診断として考慮されます。診断を確定するために以下の検査が行われます。
致死性家族性不眠症の診断は遺伝子検査によって確定されます。
治療
患者の支援
有効な治療法はありません。
症状を緩和し、できる限り不快感を取り除くことが致死性不眠症の治療の目標になります。眠気を催す対策が試されますが、効果は一時的です。