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けいれん性疾患

執筆者:

Bola Adamolekun

, MD, University of Tennessee Health Science Center

最終査読/改訂年月 2017年 1月
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けいれん性疾患では、脳の電気的活動に周期的な異常が生じることで、一時的に脳の機能障害が引き起こされます。

  • 多くの人では、けいれん発作が始まる直前に感覚の異常がみられます。

  • コントロールできないふるえや意識消失が起こる場合もありますが、多くの場合は、単に動きが止まったり、何が起こっているか分からなくなったりするだけにとどまります。

  • 診断は症状に基づいて下されますが、通常は原因を特定するために、脳の画像検査、血液検査、および脳波検査(脳の電気的活動を記録する検査)が必要になります。

  • 必要であれば、薬剤を使用することで通常は発作を予防できます。

脳が正常に機能するためには、電気信号が正しい順序で整然と発生し、信号同士の協調がとれている必要があります。それらの電気信号のおかげで、脳と脊髄、神経、筋肉との情報交換や脳内での情報交換が可能になっています。けいれん発作は脳の電気的活動が乱れたときに発生し、

成人の約2%が生涯に1回はけいれん発作を経験します。そのうちの3分の2は1回しか発作を経験しません。けいれん性疾患は幼児期か成人期後期に発症するのが一般的です。

けいれん発作の種類

けいれん発作は以下のように記述されることがあります。

  • てんかん性:この種のけいれん発作は、明らかな誘因が認められず(すなわち、誘発されません)、繰り返し発生します。「けいれん性疾患」や「てんかん」とも呼ばれます。てんかん発作の原因は多くの場合不明です(特発性てんかんと呼ばれます)。しかし、構造的異常、脳卒中、腫瘍などの様々な脳疾患が原因となることもあります。このような病態は症候性てんかんと呼ばれます。

  • 非てんかん性:この種のけいれん発作は、脳を刺激する可逆的な病気または病態(感染症または薬剤への反応など)によって誘発されます。小児では、発熱によって非てんかん性のけいれん発作(熱性けいれん)が誘発されることがあります。

特定の精神障害では、けいれん発作と似た症状が起きることがあり、心因性非てんかん性発作と呼ばれます。

原因

最も一般的な原因は、けいれん発作が始まった年齢によって異なります。

  • 2歳未満:高熱または一時的な代謝異常(糖[ブドウ糖]、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB6、またはナトリウムの血中濃度の異常など)によって、1回または複数回のけいれん発作が誘発されます。発熱や異常が解消されれば、けいれん発作も止まります。上記のような誘因なしにけいれん発作が再発する場合は、原因として分娩時に起きた損傷、先天異常、遺伝性の代謝異常または脳疾患の可能性が高くなります。

  • 2~14歳:多くの場合、原因を特定できません(小児のけいれん発作も参照)。

  • 成人:頭部外傷、脳卒中、または脳腫瘍によって脳組織に損傷が起こり、けいれん発作の原因になることがあります。アルコール離脱症状(突然の断酒によって起こる現象)も、けいれん発作の一般的な原因の1つです。しかし、この年齢層でも、およそ半数は原因を特定することができません。

  • 比較的高齢の成人:脳腫瘍または脳卒中が原因となることがあります。

原因を特定できないけいれん発作は、特発性けいれん発作と呼ばれます。

脳を刺激する病態(けが、特定の薬剤、睡眠不足、感染症、発熱など)や、脳の酸素欠乏または栄養欠乏につながる異常(不整脈、血中酸素レベルの低下、血糖値の極度の低下など)があると、けいれん性疾患の有無に関係なく、単発のけいれん発作が誘発されることがあります。このような刺激によって生じたけいれん発作は、誘発性のけいれん発作(非てんかん性発作の一種)と呼ばれます。

けいれん性疾患がある人は、身体的または精神的に過度なストレスがあるとき、酔っているとき、睡眠不足のとき、あるいは飲酒または鎮静薬の使用を突然やめたときに、けいれん発作が起こりやすくなります。このような状況を回避することが、発作の予防に役立ちます。

まれに、反復音、点滅する光、コンピュータゲーム、さらには体の特定部分に触れることだけで、けいれん発作が誘発される場合もあります。このような病態は反射性てんかんと呼ばれます。

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けいれん発作の原因

原因

高熱

感染症

脳の感染症

ウイルス性脳炎

代謝性疾患

糖またはナトリウムの血中濃度の上昇

糖、カルシウム、マグネシウム、またはナトリウムの血中濃度の低下

その他の病気

腎不全または肝不全(脳の機能障害[脳症]につながる可能性)

副甲状腺機能低下症

ビタミンB6欠乏症(新生児の場合)

脳への酸素供給の不足

窒息

脳の構造的な損傷

脳腫瘍(良性または悪性)

頭蓋内出血(頭蓋骨内部への出血)

脳卒中

出生前から存在した異常や出生時に発生した異常

先天異常

遺伝性の代謝性疾患(テイ-サックス病フェニルケトン尿症など)

分娩時に起きた損傷

脳内の水分の蓄積(脳浮腫)

処方薬*

ブスピロン(不安症の治療薬)

カンフル(樟脳[しょうのう])

*クロルプロマジン(統合失調症の治療薬)

シプロフロキサシン(抗菌薬)

クロロキン(chloroquine)(マラリアの治療薬)

クロザピン(通常は統合失調症の治療薬)

シクロスポリン(臓器移植時の拒絶反応を予防および治療するための薬)

イミペネム(抗菌薬)

*インドメタシン(痛みと炎症を軽減するための薬)

*ペチジン(鎮痛薬)

*フェニトイン

テオフィリン(喘息などの呼吸器疾患の治療薬)

三環系抗うつ薬

レクリエーショナルドラッグ

コカイン(過剰摂取の場合)

薬物の大量使用からの離脱

全身麻酔(手術時)

鎮静薬(睡眠薬を含む)

毒性物質への曝露

ストリキニーネ

*過量投与した場合には、様々な薬剤がけいれん発作の原因になる可能性があります。使用するとけいれん発作が起こりやすくなる薬剤もあります。

けいれん性疾患の治療に使用されるフェニトインは、過量投与すると、逆にけいれん発作を引き起こす可能性があります。

症状

けいれん性疾患をもつ人の約20%では、発作に先行して前兆(異常な感覚)がみられます。前兆としては以下のものがあります。

  • 異常な匂いや味

  • そわそわする感覚

  • 既視感(デジャブ)またはその反対の状態—すなわち、見慣れているはずのものを初めて見たような感覚(未視感[ジャメブ])

  • 発作が始まりそうだという強い感覚

ほぼすべてのけいれん発作は、持続時間が比較的短く、数秒から数分間で終息します。大半は1~2分間です。

発作が終わった後には、頭痛、筋肉痛、通常と異なる感覚、錯乱、深い疲労感などがみられることもあります。発作後にみられるこのような異常は、発作後もうろう状態と呼ばれています。人によっては、体の片側だけの筋力が低下し、その筋力低下がけいれん発作より長く続く場合もあります(この現象はトッド麻痺と呼ばれています)。

けいれん性疾患がある人の大部分は、発作と発作の間は見た目も行動も正常です。

出現する症状は、神経細胞の異常放電が脳のどこで起こるかによって変わり、以下のように様々な症状があります( および 部位別にみた脳の機能障害)。

  • 島と呼ばれる大脳の領域で異常放電が起こった場合には、強烈な美味または強烈に不快な味を感じます。

  • 後頭葉で異常放電が起こった場合は、幻視(抽象的な映像が見える幻覚)が生じます。

  • 前頭葉にある発語を制御する脳領域で異常放電が起こった場合は、話せなくなります。

  • 脳の両側の広い領域で異常放電が起こった場合は、全身けいれん(全身の筋肉がふるえたりガタガタと動いたりする症状)がみられます。

その他の症状としては、体の特定部位に生じるしびれまたはチクチク感や、短時間だけ持続する無反応、意識消失、錯乱などがあります。意識を消失した場合、嘔吐することもあります。筋肉を制御できなくなったり、尿失禁や便失禁がみられることもあります。舌を噛んでしまうこともあります。

症状は、発作が以下のいずれであるかによって異なります。

  • 部分発作

  • 全身発作

部分発作と全般発作には、いくつかの種類があります。

約70%の患者では、どれか1種類の発作だけが起こりますが、残りの患者では2種類以上の発作が起こります。

部分発作

脳の片側だけが影響を受けます。部分発作には以下の種類があります。

  • 単純性

  • 複雑性

単純部分発作では、異常放電が脳の狭い領域で始まり、その領域だけにとどまります。影響を受けるのが小さな脳領域に限られるため、症状はその領域で制御されている機能に関連したものだけにとどまります。例えば、左前頭葉の中で右腕の動きを制御している小さな領域に異常放電が起こると、右腕が不随意に(勝手に)持ち上がったり、頭部が持ち上がった腕の方に向いたりします。このとき意識は完全に保たれ、患者は周囲の状況も認識しています。単純部分発作が複雑部分発作に進行する場合もあります。

ジャクソン発作は単純部分発作の一種です。症状は体の1つの部位で始まりますが、次第に他の部位に広がります。例えば、最初は手または足に異常な動きが現れ、脳で起こっている電気的活動の範囲が拡大するに従って、異常な動きも腕または脚全体に広がります。患者は発作中の状況を完全に認識しています。

複雑部分発作では、異常放電が側頭葉または前頭葉の狭い領域で始まり、近くの他の領域に急速に広がります。複雑部分発作では通常、1~2分間の前兆がみられます。この前兆が起こっている間に、周囲との精神的な接触が失われ始めます。発作中、意識は障害されるものの、完全には失われません。発作中は以下のような症状がみられます。

  • じっと見つめる

  • 無意識に唇をかんだり鳴らしたりする

  • 手、腕、脚をやみくもに動かす

  • 声を出すが、意味を成さない

  • 他の人が言っていることを理解できない

  • 手助けを拒む

会話ができる人もいますが、その会話は自発性を欠き、内容もいくらか乏しくなります。錯乱や見当識障害がみられることもあります。この状態は数分間続きます。ときに、拘束されると激しくのたうつことがあります。

ほとんどの人は発作中に起こったことを覚えていません(発作後健忘と呼ばれる状態)。

この発作後、完全に回復する人もいますが、人によっては、異常放電が隣接する脳領域や脳の反対側に広がって、全般発作に至る場合もあります。部分発作から起こる全般発作は二次性全般化発作と呼ばれます。

持続性部分てんかんは、まれです。数秒から数分おきに発作が起こる状態が、数日から数年間続きます。典型的には、片方の腕、片方の手、または顔面の片側だけに異常がみられます。この種の発作は通常、成人では脳の限局的な損傷(脳卒中による瘢痕[はんこん]など)によって起こり、小児では脳の炎症(脳炎や麻疹[はしか]などの際に生じるもの)によって起こります。

全般発作

脳の両側の広い領域に異常放電が起こります。全般発作では、しばしば意識消失と異常な動きがみられ、通常は発作の開始直後からこれらの症状が現れます。意識を失っている時間は短い場合もあれば長い場合もあります。

全般発作には以下のものがあります。

  • 強直間代発作

  • 欠神発作

  • 強直発作

  • 脱力発作

  • ミオクロニー発作(若年性ミオクロニーてんかんを含む)

  • 点頭てんかんと熱性けいれん

全般性強直間代発作では、筋肉が収縮し(強直相)、その後収縮した状態と弛緩した状態が素早く入れ替わります(間代相)。全般性強直間代発作には以下の種類があります。

  • 一次性全般発作

  • 二次性全般化発作

どちらのタイプでも異常放電が脳の両側に広がると、一時的に意識が失われ、全身けいれんが起こります。

一次性全般発作は、脳の中央奥深くの異常放電で始まり、脳の両側に同時に広がります。前兆はありません。この発作は典型的には叫声とともに始まり、その後、意識を失います。

一次性全般発作の間、以下のような症状がみられることがあります。

  • 筋肉が素早く収縮と弛緩を繰り返し、全身の筋肉がふるえたりガタガタと動いたりする

  • 転倒する

  • 歯を食いしばる

  • 舌をかむ(しばしばみられる)

  • よだれが出る、または泡を吹く

  • 尿失禁や便失禁をきたす

発作は通常1~2分間続きます。発作が終わった後は、頭痛、一時的な錯乱、極度の疲労感などがみられます。これらの症状は数分から数時間続きます。ほとんどの人は発作中に起こったことを覚えていません。

二次性全般化強直間代発作(大発作)では通常、まず脳の片側の狭い領域で異常放電が生じて、単純部分発作または複雑部分発作が起こります。その後、放電が脳の両側に急速に広がり、脳全体が機能不全に陥ります。症状は、一次性全般発作の症状に似ています。

欠神発作には以下の種類があります。

  • 定型(小発作)

  • 非定型

定型欠神発作は、5~15歳の小児期に始まり、通常は成人期まで続くことはありません。しかし、ときとして成人にも定型欠神発作が起こることがあります。強直間代発作とは異なり、欠神発作では全身けいれんなどの劇的な症状はみられません。転倒、全身の脱力はなく、筋肉がガタガタと動くこともありません。発作中は、何かをじっと見つめ、まぶたがピクピクしたり顔面の筋肉がひきつったりします。典型的には意識を失い、周囲の状況がまったく認識できなくなります。これらの症状は10~30秒間続きます。発作が起こると、今までしていたことを突然止め、また突然に再開します。発作の影響は残らず、本人は発作が起こったことを覚えていません。治療を行わないと、多くの人は発作が1日に数回起こります。発作は静かに座っているときに起こる場合が多く、運動中に起こることはまれです。過換気(過呼吸)が発作の引き金となることがあります。

非定型欠神発作は以下の点で定型欠神発作と異なります。

  • よりまれである

  • より長く続く

  • れん縮やその他の動きがより顕著である

  • 患者は周囲の状況をより良く認識している

非定型欠神発作がみられる人の多くに、神経学的な異常や発達の遅れがみられます。発作は通常、成人期になっても続きます。

脱力発作は主に小児に起こります。一時的に筋緊張と意識が完全に失われるのが特徴です。地面に崩れ落ちるように倒れるため、けがを負うこともあります。

強直発作は、一般的に寝ている間に(通常は小児に)起こります。筋緊張が突然あるいは徐々に亢進し、筋肉が硬くなります。発作は通常10~15秒間しか続きませんが、立っているときに起こった場合には、地面に崩れ落ちるように転倒することもあります。ほとんどの人で意識は失われません。発作が長時間続いた場合は、発作が終わる際に筋肉が数回ガタガタと動くことがあります。

非定型欠神発作、脱力発作、強直発作は、通常レノックス-ガストー症候群と呼ばれる、4歳未満の小児に発生する重症てんかんの症状としてみられます。

ミオクロニー発作の特徴は、腕や脚または体幹が素早くビクッと動くことです。発作は短く意識も失われませんが、繰り返し起こることがあり、意識の消失を伴う強直間代発作に発展することがあります。

若年性ミオクロニーてんかんは、典型的には青年期に始まります。発作は通常、両腕の筋肉が素早くビクッと動くことで始まります。この種の発作の約90%は強直間代発作へと移行します。欠神発作を起こす人もいます。これらの発作は、多くの場合、朝目が覚めたとき(特に寝不足のとき)に起こります。さらに、飲酒により発作が起こりやすくなります。

点頭てんかん熱性けいれんは、小児に起こります。

てんかん重積状態

これは最も重篤なけいれん性疾患で、けいれん発作が止まらないため、緊急の治療を要します。脳のいたるところで放電が発生し、全般性強直間代発作を引き起こします。

てんかん重積状態は、次のいずれかまたは両方が発生すると診断されます。

  • 5分以上続く発作

  • 発作と発作の間に意識が完全に回復しない

強い筋収縮を伴う全身けいれんが起こり、十分な呼吸ができなくなります。体温も上昇します。迅速に治療しなければ、心臓と脳に過度の負荷がかかって永続的な損傷が残る可能性があり、ときに死に至ることもあります。

全身けいれん重積状態は、頭部外傷や抗てんかん薬の使用を突然やめるなど、多くのものが原因となります。

合併症

けいれん発作は、深刻な結果をもたらすおそれがあります。急激で強い筋肉の収縮によって骨折などのけがをすることもあります。突然の意識消失は、転倒や事故による深刻なけがにつながるおそれがあります。何度も発作が起こっても脳に重篤な損傷が生じない場合もあります。しかし、全身けいれんを伴う発作が何度も起こると、最終的に知的障害が生じることがあります。

発作をうまく管理できないと、運転免許の取得が難しくなる場合があります。仕事を続けることや、保険に加入することが困難になる場合もあります。不当な差別を受けることもあります。その結果、生活の質が大きく低下する可能性があります。

けいれん発作を完全に管理できない場合は、けいれん発作のない人と比べて死亡する可能性が2倍になります。少数ながら、予期しない突然死が起こる場合もあり、この合併症は「てんかん患者における予期せぬ突然死」と呼ばれています。

知っていますか?

  • けいれん発作の中には、全身けいれんや意識消失がみられない病型も数多く存在します。

  • 全身けいれんを起こしている人の口にスプーンなどを入れるのは、むしろ有害です。

診断

  • 医師による評価

  • 過去に発作を起こしたことがない患者では、血液検査やその他の検査、脳の画像診断、そして通常は脳波検査

  • すでにけいれん性疾患と診断されている患者では、通常、血液検査による抗てんかん薬の血中濃度測定

特に誘因のないけいれん発作が2回以上起こった場合、けいれん性疾患と診断されます。診断は症状と目撃者からの情報に基づいて下されます。けいれん発作を示唆する症状としては、意識消失、体がふるえるような筋肉の動き、尿失禁、突然の錯乱、注意散漫などがあります。しかし、こうした症状の原因がけいれん発作であることは、多くの人が考えているよりはるかに少なく、短時間の意識消失の多くは、けいれん発作ではなく失神によるものです。

診察は、救急外来で行われるのが普通ですが、すでにけいれん性疾患と診断されていて、発作から完全に回復している場合は、通常の診察室で行われることもあります。

病歴と身体診察

発作を目撃した人の話は非常に役立つ可能性があります。発作を起こした人は通常、何が起こったかを説明できませんが、目撃者は正確に説明できるからです。診断には、以下のような項目に関する正確な説明が必要になります。

  • 発作はどのくらい急に始まったか

  • 筋肉の異常な動き(頭部、頸部、顔面の筋肉のふるえやひきつりなど)、舌をかむ、よだれが出る、尿失禁または便失禁、筋肉の硬直などの症状はみられたか

  • 発作はどの程度続いたか

  • 回復するまでにどれくらいの時間がかかったか

速やかな回復は、発作ではなく失神を示唆します。意識回復後、数分から数時間続く錯乱は、発作を示唆します。

目撃者は驚きのあまり、発作中の様子を詳しくは覚えていないかもしれませんが、思い出せることは何でも役立つ可能性があります。発作の継続時間は、可能であれば時計などで正確に計っておくべきです。実際には1~2分間しか続いていない発作でも、永遠のように感じられることもあります。

医師は、発作前の状態も把握する必要があります。例えば、何か変わったことが今にも起こりそうだという予感や前兆がなかったか、音や点滅する光など発作の引き金になったと思われるものはないか、などの情報が必要です。

医師は、発作の考えられる原因について次のような質問を行います。

  • けいれん発作の原因になりうる病気(脳の感染症など)や頭部外傷がないか

  • 使用している薬剤や最近使用を中止した薬剤(アルコールを含む)

  • 発作をコントロールするために薬剤を服用している人では、指示された通りに薬剤を服用しているかどうか

  • 十分な睡眠をとっているかどうか(一部の患者では、睡眠が不十分であると発作が起こりやすくなります)

念入りな身体診察も行います。身体診察から症状の原因に関する手がかりが得られることもあります。

検査

けいれん発作と診断されたら、原因を特定するため、通常はさらなる検査が必要です。けいれん性疾患があることが分かっている人は、追加の検査が不要なこともあります。そうでない場合は、しばしば血液検査を行い、様々な物質(糖、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムなど)の血中濃度を測定するとともに、肝臓と腎臓が正常に機能しているかどうかを調べます。尿のサンプルを分析して、未報告のレクリエーショナルドラッグの使用がないか確認することもあります。これはレクリエーショナルドラッグがけいれん発作を誘発することがあるためです。

心電図検査を行い、不整脈の有無を確認することもあります。不整脈があると脳への血流が大きく減少して酸素の供給量が不足することがあるため、不整脈は意識消失のほか、ときにけいれん発作や、けいれん発作に似た症状を引き起こします。

通常、出血や脳卒中がないか確認するために脳の画像検査が直ちに行われます。典型的にはCT検査が行われますが、MRI検査が行われることもあります。いずれの検査でも、けいれん発作を引き起こしている可能性のある脳の異常を特定できます。MRI検査では脳組織のより鮮明で詳細な画像が得られますが、いつもすぐに利用できるとは限りません。

髄膜炎や脳炎などの脳の感染症が疑われる場合、通常は腰椎穿刺( 腰椎穿刺の方法)が行われます。

脳波検査は、けいれん性疾患の診断を確定するのに役立ちます。脳波検査は、脳の電気的活動を記録する検査で、痛みもなく安全な方法です。医師は脳波の記録を調べて、脳内に異常放電が起こっている証拠を探します。脳波の記録時間は限られているため、実際にはけいれん性疾患があっても、脳波検査では異常が見逃され、正常と判断されることもあります。異常放電は睡眠不足のときに起こりやすいため、18~24時間の断眠後に脳波検査を行うこともあります。

発作中の脳の電気的活動

脳波とは、脳の電気的活動を記録したものです。検査方法は簡単で痛みもありません。20個ほどの小さな電極を頭皮に貼り、まず普通の状態で脳の電気的活動を記録します。次に、明るい光や点滅する光などの様々な刺激を用いて、人為的に発作を誘発します。発作中は脳の電気的活動が加速し、ギザギザとした波形が現れます。このような記録は、けいれん性疾患の特定に役立ちます。波形は発作の種類によって異なります。

発作中の脳の電気的活動
発作中の脳の電気的活動

脳波検査は、1回目で見逃された原因が2回目(場合によっては3回目)に検出できる場合もあるため、繰り返し行うことがあります。

それでも診断がはっきりしないときは、てんかん治療の専門医療施設でビデオ脳波モニタリングなどの特殊な検査を行うこともあります。

ビデオ脳波モニタリングでは、2~7日間入院して、ビデオ録画をしながら脳波を記録します。抗てんかん薬を服用している場合は、発作が起こりやすくなるように服用を中止することもしばしばあります。発作が起こったら、発作中の脳波の記録とビデオ映像を見比べます。これにより、発作の種類と発作が始まった脳領域を特定できる可能性があります。

予後(経過の見通し)

治療により、3分の1の患者でてんかん発作が治癒し、さらに3分の1の患者で発作の頻度が50%以上減少します。薬剤によって発作を十分に管理できる人のうち、約60%が最終的に服薬を止め、発作のない状態を維持できるようになります。

てんかん発作が10年間発作が起こらず、その期間の最後の5年間、抗てんかん薬を服用していなかった場合に治癒したとみなされます。

治療

  • 可能であれば、原因の除去

  • 一般的な対策

  • けいれん発作をコントロールするための薬剤

  • ときに手術(薬剤で効果が得られない場合)

原因を特定して解消することができれば、それ以上の治療は必要ありません。例えば、血糖値の低下(低血糖)によってけいれん発作が起こっている場合は、ブドウ糖を投与し、低血糖を引き起こしている病気を治療します。治療可能なその他の原因としては、感染症、一部の腫瘍、血中ナトリウム濃度の異常などがあります。

けいれん性疾患がある場合は、一般的な対策と薬剤で通常は十分に治療できます。薬剤で効果が得られない場合は、手術が勧められることがあります。

一般的な対策

通常、運動することが望ましく、社会的な活動も奨励されます。ただし、けいれん性疾患のある人には、日常生活の調整が必要になる場合もあります。例えば、以下のことが推奨されます。

  • 飲酒を止めるか制限する

  • レクリエーショナルドラッグを使用しない

  • 突然意識を失った場合に重篤な外傷が起こるような活動(浴槽につかる、登山、水泳、または電動ドリルの使用など)を控える

これらの活動は、発作をコントロールできるようになってから(通常は6カ月以上)であれば、十分な予防措置を講じた上で行うことができます。例えば、水泳は監視員がいる場所でのみ行うべきです。

けいれん性疾患がある人の運転については、米国の大半の州では、発作のない期間が少なくとも6カ月から1年間続くまで法律で禁止されています。

患者の家族や親しい友人、同僚は、発作が起こったときの対処法を習っておくとよいでしょう。舌を保護するために口の中にスプーンなどを入れるのは、有益性よりリスクの方が大きいため、行うべきではありません。歯が折れたり、あごの筋肉が収縮して救助者がかまれたりする危険性があります。けいれん発作を目撃した人は、発作中以下のように対応します。

  • 患者が転倒しないようにする

  • 衣服の首の周りを緩める

  • 頭の下に枕を置く

  • 患者を横向きに寝かせる

枕がないときは、患者の頭の下に自身の足や衣服を置いてもよいでしょう。

患者が意識を失っている場合は、嘔吐物や唾液の誤嚥を予防し楽に呼吸ができるよう、横向きに寝かせます。嘔吐物や唾液を誤嚥すると、誤嚥性肺炎(口腔内の分泌物、胃の内容物、またはその両方を肺に吸い込んだ場合に発生する肺の感染症)につながることがあります。

発作後は、意識が完全に回復し、錯乱もなくなり、正常に動き回れるようになるまで、そばを離れないようにします。通常は主治医に知らせるべきです。

抗てんかん薬

抗てんかん薬は、けいれん発作が再発するリスクを減らします。通常、この種の薬が処方されるのは、発作が2回以上起こり、低血糖など治療可能な原因が否定されるか完全に是正された場合に限られます。全般発作が1回起こっただけの場合には、通常、抗てんかん薬は処方されません。

ほとんどの抗てんかん薬は経口薬です。

抗てんかん薬の使用により、けいれん発作がある人の3分の1では全般発作がまったく起こらなくなり、別の3分の1の人では発作頻度が大幅に低下します。抗てんかん薬で効果が得られた人の3分の2近くは、最終的に抗てんかん薬の使用を中止しても再発しなくなります。しかし、けいれん性疾患がある人の約10~20%は、抗てんかん薬が無効です。そのような人はけいれん発作の専門医療施設に紹介されて、手術が検討されます。

抗てんかん薬には、様々な種類があります。どの種類の薬剤で効果が得られるかは、発作の種類などの要因によって異なります。ほとんどの人は、最初または2番目に試した1つの抗てんかん薬だけで発作を管理できます。発作が再発する場合は、別の抗てんかん薬が試されます。そのような場合、有効な抗てんかん薬が判明するまでに数カ月かかることもあります。一部の人は複数の薬剤を服用する必要がありますが、その場合は副作用のリスクが高くなります。抗てんかん薬の中には、単独では使用されず、必ず別の抗てんかん薬と一緒に使用されるものもあります。

抗てんかん薬を処方する医師は、それぞれの患者に適した用量を慎重に決定します。最適な用量は、すべてのけいれん発作を止めることができ、かつ副作用が最も少ない、最小限の用量です。医師は副作用の状況について患者に質問し、必要に応じて用量を調節します。抗てんかん薬の血中濃度を測定することもあります。

抗てんかん薬は必ず処方通りに服用すべきです。けいれん発作を管理するために抗てんかん薬を服用している人は、薬剤の用量調整のため定期的に医師の診察を受ける必要があります。また米国では、けいれん性疾患の種類と服用している薬剤名を刻印した医療用のブレスレットを常に着用すべきとされています。

抗てんかん薬は他の薬剤の効果を妨げることがあり、その逆も起こりえます。したがって、抗てんかん薬の服用を始める際は、すでに服用しているすべての薬剤を主治医にきちんと伝える必要があります。市販薬も含めて、別の薬剤の使用を始める際は、前もって主治医やかかりつけの薬剤師に相談するべきです。

けいれん発作が管理できるようになっても、発作のない期間が最低2年間続くまで、抗てんかん薬を服用します。その後は薬剤の用量を徐々に減らし、最終的に使用を中止します。抗てんかん薬の使用を止めた後に発作が再発した場合は、抗てんかん薬を生涯服用しなければならないこともあります。再発は、起こるとすれば、2年以内に起こるのが通常です。以下のいずれかに該当する場合、再発の可能性が高まります。

  • 小児期からけいれん性疾患がある

  • 発作のない状態を維持するのに複数の抗てんかん薬を服用する必要がある

  • 抗てんかん薬を服用しているにもかかわらずけいれん発作が起こった

  • 部分発作またはミオクロニー発作がある

  • 前年に脳波検査で異常な結果が出た

  • 脳に構造的な損傷(例えば、脳卒中や腫瘍による損傷)がある

抗てんかん薬は非常に有効ですが、副作用もあります。多くの抗てんかん薬は眠気を引き起こしますが、なかには小児に多動を引き起こすものもあります。血液検査を定期的に行って、抗てんかん薬によって腎臓や肝臓の機能が障害されていないか、あるいは血球数(血液の細胞の数)が減少していないかを確認します。抗てんかん薬を使用している人は副作用があることに留意し、副作用の徴候が少しでも現れたら、直ちに主治医の診察を受ける必要があります。

けいれん性疾患のある女性が妊娠中に抗てんかん薬を使用すると、流産したり、脊髄、脊椎、または脳に先天異常(神経管閉鎖不全妊娠中に問題を引き起こす可能性がある主な薬剤 *)のある子どもが生まれたりするリスクが高まります。しかし、抗てんかん薬を中止すると母子双方にとってさらに有害になる場合もあります。妊娠中に全般発作が起こると、胎児のけがや死亡につながる可能性があります。したがって、抗てんかん薬の服用を継続することが通常は推奨されます( 妊娠中のけいれん性疾患)。出産可能年齢でかつ抗てんかん薬を服用しているすべての女性は、先天異常のある子どもが生まれるリスクを減らすため、葉酸のサプリメントを摂取するべきです。

知っていますか?

  • 出産可能年齢でかつ抗てんかん薬を服用しているすべての女性は、先天異常のある子どもが生まれるリスクを減らすため、葉酸のサプリメントを摂取するべきです。

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けいれん発作の治療に用いられる薬剤

薬剤

用途

副作用の例

アセタゾラミド

他の抗てんかん薬で効果が得られない欠神発作

腎結石、脱水、血液中の化学物質のバランスの乱れ

カルバマゼピン

部分発作と二次性全般化発作

白血球数の減少(顆粒球減少症)、血液細胞の産生減少(再生不良性貧血、ときに致死的)、血小板数の減少(血小板減少症)、発疹、消化器の不調、話し方が不明瞭になる(構音障害)、嗜眠、めまい、複視

クロバザム

欠神発作

他の抗てんかん薬で効果が得られない部分発作または全般発作

ときに、レノックス-ガストー症候群における強直発作または脱力発作*

眠気、便秘、協調運動障害、希死念慮(自殺を考えること)、薬剤への依存、易怒性、嚥下困難

クロナゼパム

脱力発作

レノックス-ガストー症候群における非定型欠神発作*

点頭てんかん

ミオクロニー発作

眠気、異常行動、協調運動障害、1~6カ月後に薬剤の効果が消失

ジバルプロエックス(divalproex)

欠神発作

熱性けいれん

全般性強直間代発作

点頭てんかん

若年性ミオクロニーてんかん

ミオクロニー発作

新生児けいれんまたは熱性けいれん

部分発作

レノックス-ガストー症候群における強直発作または脱力発作*

吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、一時的な眠気、めまい、振戦(ふるえ)、脱毛(回復可能)、体重増加、肝傷害

脊髄、脊椎、または脳の先天異常(神経管閉鎖不全)のリスクは、他の抗てんかん薬よりもやや高い

エスリカルバゼピン(eslicarbazepine

部分発作

めまいまたはふるえ、複視またはかすみ目、眠気、頭痛、吐き気、嘔吐、血中ナトリウム濃度低下、希死念慮(自殺を考えること)、発疹などの皮膚反応(ときに重篤)

エトスクシミド

欠神発作

吐き気、嗜眠、めまい、頭痛、発疹、(すべての種類の)血球数の減少

エゾガビン(ezogabine

他の抗てんかん薬で効果が得られない部分発作

尿閉(膀胱に尿がたまっても排尿できない状態)、錯乱、幻覚、希死念慮(自殺を考えること)、めまい、眠気、皮膚の青白い変色、網膜の色素の変化

フェルバメート(felbamate

他の抗てんかん薬で効果が得られない場合にのみ使用される

レノックス-ガストー症候群における非定型欠神発作*

部分発作

頭痛、疲労、肝不全、まれに再生不良性貧血(ときに致死的)

ホスフェニトイン

てんかん重積状態

強直間代発作

複雑部分発作

頭部外傷後の発作の予防

協調運動障害、眠気、めまい、頭痛、かゆみ、チクチク感

ガバペンチン

部分発作

二次性全般化強直間代発作

眠気、めまい、体重増加、頭痛

小児では、眠気、攻撃的行動、気分の変動、多動性

ラコサミド

部分発作

めまい、複視、希死念慮(自殺を考えること)

ラモトリギン

レノックス-ガストー症候群における全般発作*

部分発作

吐き気、嘔吐、消化不良、頭痛、眠気、めまい、不眠、疲労、協調運動障害、複視、振戦、月経異常、発疹

レベチラセタム

若年性ミオクロニーてんかん

ミオクロニー発作

部分発作

一次性全般性強直間代発作

めまい、筋力低下、疲労、協調運動障害、気分および行動の変化、感染リスクの増加

オクスカルバゼピン

部分発作

頭痛、腹痛、複視、眠気、めまい、疲労、吐き気、血中ナトリウム濃度の低下

ペランパネル

部分発作または一次性の全般性強直間代発作

攻撃性、気分と行動の変化、希死念慮(自殺を考えること)、めまい、眠気、吐き気、嘔吐、頭痛、腹痛、歩行の異常

フェノバルビタール

全般性強直間代発作

新生児けいれん

部分発作

てんかん重積状態

眠気、眼球運動の異常(眼振)、協調運動障害、貧血、発疹

小児では多動性と学習困難

フェニトイン

複雑部分発作

全般性強直間代発作

てんかん重積状態(フェニトインを静脈内投与した場合)

頭部外傷後の発作の予防

歯肉の腫れ、赤血球数の減少、骨密度の低下、過剰な体毛(男性型多毛症)、発疹、リンパ節の腫れ

フェニトインを高用量で使用した場合、協調運動障害、話し方が不明瞭になる、眼球運動の異常、嗜眠、錯乱、眠気

プレガバリン

部分発作

めまい、眠気、協調運動障害、かすみ目、複視、振戦、体重増加

プリミドン

全般性強直間代発作

部分発作

眠気、眼球運動の異常(眼振)、協調運動障害、貧血、発疹

小児では多動性と学習困難

チアガビン(tiagabine

部分発作

眠気、めまい、錯乱、思考の鈍り、腹痛、疲労、吐き気、振戦

トピラマート

非定型欠神発作

部分発作

一次性の全般性強直間代発作

錯乱、集中力の低下、言葉を選ぶのが困難、疲労、食欲不振、体重減少、しびれやチクチク感、発汗の減少、腎結石

バルプロ酸

欠神発作

熱性けいれん

全般性強直間代発作

点頭てんかん

若年性ミオクロニーてんかん

ミオクロニー発作

新生児けいれん

部分発作

レノックス-ガストー症候群における強直発作または脱力発作*

吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、体重増加、脱毛(回復可能)、一時的な眠気、振戦、まれに肝傷害

ビガバトリン

点頭てんかん

部分発作

眠気、めまい、頭痛、疲労、永続的な視覚障害

ゾニサミド

部分発作

ときに、レノックス-ガストー症候群における強直発作または脱力発作*

眠気、疲労、めまい、錯乱、言葉を選ぶのが困難、協調運動障害、腎結石、食欲不振、体重減少、吐き気

*非定型欠神発作、脱力発作、強直発作は、通常レノックス-ガストー症候群と呼ばれる、4歳未満の小児に発生する重症てんかんの症状としてみられます。

ジバルプロエックス(divalproex)とバルプロ酸は類似の薬剤です。

ホスフェニトインとフェニトインは類似の薬剤です。

緊急の治療

以下の場合、緊急の治療が必要になります。

  • てんかん重積状態

  • けいれん発作が5分以上続く

けいれん発作を止めるため、できるだけ速やかに、1つまたは複数の抗てんかん薬(ロラゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤から始めることが多い)が静脈内に大量投与されます。抗てんかん薬を早く投与するほど、けいれん発作を容易にかつ良好にコントロールできます。

けいれん発作が長引く場合は、けがを予防するための措置も講じられます。注意深く患者をモニタリングして、十分な呼吸があるかどうかを確認します。呼吸が十分でない場合は、呼吸を補助するため気管内に管が挿入されます(この処置は挿管と呼ばれます)。それでも発作が持続する場合は、発作を止めるために全身麻酔薬が投与されます。

手術

複数の抗てんかん薬を使用しても発作が再発する場合や、抗てんかん薬の副作用に耐えられない場合は、脳手術を行うこともあります。その場合は、てんかん治療の専門施設で検査を行い、手術が有用かどうかを判断します。以下のような検査が行われます。

  • 機能的MRI検査:脳のどの部分に発作の原因があるかを特定する検査です。

  • SPECT(単一光子放出型コンピュータ断層撮影)検査:けいれん発作の前後で血流が増えている領域を調べる検査で、これにより脳のどの領域に発作の原因があるかを特定できます。

  • 撮影用の磁気発生装置を併用する脳波検査(磁場源画像化[magnetic source imaging]):この検査でも、脳のどの領域に発作の原因があるかを特定することができます。

発作の原因になる異常(瘢痕など)が見つかり、それが狭い領域に限られている場合は、その部分を手術で切除することで、最大60%の人でけいれん発作が起こらなくなり、それ以外の人でも発作の重症度や発生頻度が低下する可能性があります。

脳の複数の領域から始まるけいれん発作や、脳全体へ急速に広がるけいれん発作には、左右の脳をつなぐ神経線維(脳梁)を切断する手術が有用となる場合があります。通常、この処置に伴う大きな副作用はありません。しかし、手術によって発作の重症度や頻度が低下した場合でも、多くの人は抗てんかん薬の使用を続ける必要があります。とはいえ、通常は用量や薬剤の数を減らすことができます。

手術の前後には、脳がどの程度正常に機能しているかを調べるため、心理学的評価と神経学的評価を行うことがあります。

迷走神経刺激療法

第10脳神経(迷走神経)への電気刺激により、部分発作のある人の約40%で発作の回数を半分以下に減らすことができます。抗てんかん薬を使用しても発作が続き、かつ手術を実施できない場合に、この治療法が用いられます。

迷走神経は、けいれん発作の原因になることの多い脳領域と間接的につながっていると考えられています。

この治療を行うには、心臓用のペースメーカーに似た装置(迷走神経刺激装置)を左側の鎖骨の下に埋め込み、電線を皮膚の下に通して、頸部にある迷走神経に接続します。装置を埋め込んだ部分は、皮膚が少し盛り上がります。手術は外来治療として行われ、手術時間は約1~2時間です。

この装置は迷走神経を周期的に刺激するよう設計されています。また、患者は磁石を渡され、けいれん発作が起こりそうだと感じたら、その磁石で迷走神経を刺激することができます。迷走神経刺激療法は抗てんかん薬と併用されます。

迷走神経刺激療法の副作用として、神経を刺激したときにせきが出たり、声がれが起こったり、声が太くなったりすることがあります。

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