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骨粗しょう症

執筆者:

Marcy B. Bolster

, MD, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 12月
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概要
本ページのリソース

骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病態です。

  • 加齢、エストロゲンの不足、ビタミンDやカルシウムの摂取不足、およびある種の病気によって、骨密度や骨の強度を維持する成分の量が減少することがあります。

  • 骨粗しょう症による症状は、骨折が起こるまで現れないことがあります。

  • 骨折は、力がほとんどまたはまったくかかっていない場合にも起こり、軽い転倒で起こることもあります。

  • 骨折にはしばしば痛みが伴いますが、一部の脊椎の骨折では痛みは生じないものの、変形は生じることがあります。

  • 医師は、骨粗しょう症のリスクのある人に、骨密度の検査を行うことで診断します。

  • 骨粗しょう症は、危険因子を管理し、十分なカルシウムやビタミンDを確実に摂取するようにし、体重の負荷がかかる運動を行い、ビスホスホネート系薬剤などの薬を服用することで、通常は予防や治療ができます。

骨は強固ですが、絶えず変化している組織で、いくつかの機能を果たしています。まず、骨には人体を堅固に形づくるとともに、壊れやすい内臓を盾のように保護する役割があります。骨の中には骨髄が入っていて、骨髄では血球(血液の細胞)がつくられます。また、骨はカルシウムの貯蔵場所として働き、体内のカルシウムを一定量に保っています。小児では成長板と呼ばれ... さらに読む 骨 はカルシウムやリンなどのミネラル ミネラルの概要 体の細胞が正常に機能するには、ミネラルが必要です。体は、以下のものを比較的大量に必要とします。 カルシウム 塩化物 マグネシウム リン さらに読む を含み、これらの成分が骨を硬く、密にしています。骨密度(または骨量)を維持するためには、カルシウム 体内でのカルシウムの役割の概要 カルシウムは体内に存在する電解質の1つであり、血液などの液体に溶け込むと電荷を帯びるミネラルですが、体内のほとんどのカルシウムは電荷を帯びていません。(電解質の概要も参照のこと。) 体のカルシウムの99%は骨に蓄えられていますが、細胞(特に筋肉細胞)や血液中にもあります。カルシウムは以下の働きや過程に不可欠です。... さらに読む などのミネラルが体に十分供給されている必要があり、さらに副甲状腺ホルモン、成長ホルモン、カルシトニンエストロゲンテストステロンなどの数種類のホルモンが体内で適量作られていなければなりません。食物からカルシウムを吸収して骨に取り込むために、ビタミンDが十分に供給されていることが必要です。ビタミンDは、食事から吸収されるほか、太陽光によって皮膚でもつくられます(ビタミンD ビタミンD ビタミンDのうち、次の2種類が栄養として重要です。 ビタミンD2(エルゴカルシフェロール):この型は植物や酵母が作る前駆体から合成されます。高用量のサプリメントに通常使われる型でもあります。 ビタミンD3(コレカルシフェロール):この型はビタミンDの最も活性の高い型です。皮膚が直射日光にさらされたときに、皮膚内でつくられます。摂取源となる... さらに読む を参照)。

骨にかかる負荷の変化に対応できるように、骨を分解して新しく形成する再構築が常に行われています。この過程をリモデリングといいます( 骨は強固ですが、絶えず変化している組織で、いくつかの機能を果たしています。まず、骨には人体を堅固に形づくるとともに、壊れやすい内臓を盾のように保護する役割があります。骨の中には骨髄が入っていて、骨髄では血球(血液の細胞)がつくられます。また、骨はカルシウムの貯蔵場所として働き、体内のカルシウムを一定量に保っています。小児では成長板と呼ばれ... さらに読む を参照)。この過程では、常に骨組織の一部が取り除かれ、新しい骨が沈着します。リモデリングは、骨の形状と骨密度に影響を与えます。若いうちは体の成長に伴って骨の幅が広がり、軸方向へも伸長します。その後は、骨の幅や厚みが増すことはときにありますが、長さが伸び続けることはありません。

女性における骨密度の低下

女性の骨密度(または骨量)は、骨の強度が最大となる30歳頃までは増え続けます。その後は、骨密度が徐々に低下します。骨量の減少は閉経(平均で51歳頃に起こります)の後に加速します。

女性における骨密度の低下

成人でも若い頃は骨が分解される量よりも形成される量の方が多いため、骨の強度が最大となる30歳頃までは骨密度が徐々に増加します。その後、分解される量が形成される量を上回ると、骨密度は徐々に低下していきます。体内で十分な量の骨を形成し続けることができないと、骨密度が低下し続け、骨が次第にもろくなり、ついには骨粗しょう症になることがあります。

骨粗しょう症の種類

米国では、女性約800万人と男性約200万人が骨粗しょう症です。骨粗しょう症には、大きく分けて次の2種類があります。

  • 原発性骨粗しょう症

  • 続発性骨粗しょう症

原発性(一次性)骨粗しょう症は自然発生的に起こり、続発性(二次性)骨粗しょう症は別の病気や薬が原因となって起こります。

原発性骨粗しょう症

女性の骨粗しょう症の95%以上と、おそらく男性の骨粗しょう症の約80%が原発性です。ほとんどの場合、閉経後女性と高齢の男性に発生します。

骨粗しょう症の主な原因の1つはエストロゲンの不足で、特に閉経後 閉経 閉経とは、月経が永久に停止し、妊よう性がなくなることです。 閉経前後の数年間は、エストロゲン濃度が大きく変動して月経が不規則になり、ホットフラッシュ(ほてり)などの症状が起こります。 閉経後は骨密度が低下します。 女性に1年間月経がなければ閉経と診断されますが、確認するため血液検査を行うこともあります。... さらに読む 閉経 にみられるエストロゲンの急速な減少に起因します。50歳以上のほとんどの男性はエストロゲン値が閉経後の女性よりも高いのですが、この値も加齢とともに低下し、エストロゲン値が低いことが、男性、女性にかかわらず骨粗しょう症に関連しています。エストロゲンが欠乏すると骨の分解が増え、骨量が急速に減少します。男性では、男性ホルモンが少ないことも骨粗しょう症の一因です。カルシウムの摂取量やビタミンDの値が低いと、骨量の減少はさらに激しくなります。ビタミンDの値が低いと、カルシウムが欠乏し、副甲状腺の活動が亢進することで副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され(副甲状腺機能亢進症 副甲状腺機能亢進症 高カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が非常に高い状態をいいます。 カルシウム濃度の上昇は、副甲状腺の問題や、食事、がん、骨に影響を及ぼす病気が原因で発生します。 最初に消化管の不調、のどの渇き、多尿がみられ、重症化すると錯乱、やがて昏睡に至ることがあります。発見と治療が遅れると、生命を脅かすことがあります。... さらに読む 副甲状腺機能亢進症 を参照)、そのことがさらに骨の分解を促すことになります。理由は不明ですが、骨の作られる量も減少します。

女性では、特定の薬、タバコの使用、大量の飲酒、骨粗しょう症の家族歴(例えば、親が股関節の骨折を経験している)、身長が低いことなど、他のいくつかの因子によって、骨量が減少し、骨粗しょう症が発生するリスクが高まります。これらの危険因子は男性でも重要です。

続発性骨粗しょう症

女性の骨粗しょう症の5%未満と、男性の骨粗しょう症の約20%が続発性です。

続発性骨粗しょう症の原因となる病気の例としては、慢性腎臓病や内分泌疾患(特にクッシング病 クッシング症候群 クッシング症候群は、コルチコステロイドが過剰な状態で、通常は副腎のホルモン分泌過剰によるものです。 通常、クッシング症候群の原因は、副腎でのコルチコステロイドの過剰産生を引き起こす下垂体や副腎の腫瘍です。 クッシング症候群はまた、その他の部位(肺など)に腫瘍がある場合や、他の病気の治療のためにコルチコステロイドの投与を受けている人に起こる... さらに読む クッシング症候群 副甲状腺機能亢進症 副甲状腺機能亢進症 高カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が非常に高い状態をいいます。 カルシウム濃度の上昇は、副甲状腺の問題や、食事、がん、骨に影響を及ぼす病気が原因で発生します。 最初に消化管の不調、のどの渇き、多尿がみられ、重症化すると錯乱、やがて昏睡に至ることがあります。発見と治療が遅れると、生命を脅かすことがあります。... さらに読む 副甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が上昇します。 バセドウ病は甲状腺機能亢進症の原因として最もよくみられます。 心拍数と血圧の上昇、不整脈、過剰な発汗、神経質や不安、睡眠障害、意図しない体重減少などの症状がみられます。... さらに読む 甲状腺機能亢進症 性腺機能低下症 男性生殖器系への加齢の影響 男性の性機能は徐々に変化していきますが、これが加齢そのものによって生じるのか、それとも加齢に伴う病気などが原因なのかは明らかではありません。勃起の頻度、持続時間、硬さは、加齢とともに徐々に衰えていきます( 勃起障害(ED)を参照)。男性ホルモン(テストステロン)の値が低下する傾向があり、それにより性的欲求(性欲)が弱まります。陰茎(ペニス... さらに読む 、プロラクチン高値、糖尿病 糖尿病と糖代謝異常 さらに読む )があります。続発性骨粗しょう症は、多発性骨髄腫 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫は形質細胞のがんで、異常な形質細胞が骨髄や、ときには他の部位で、制御を失った状態で増殖する病気です。 骨の痛みや骨折が発生することが多く、腎臓障害、免疫機能の低下(易感染状態)、筋力低下、錯乱などがみられることもあります。 血液検査や尿検査で各種の抗体の量を測定することで診断が下され、骨髄生検によって確認されます。... さらに読む 多発性骨髄腫 など特定の種類のがんによって引き起こされることがあり、また関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチは炎症性関節炎の1つで、関節(普通は手足の関節を含む)が炎症を起こし、その結果、関節に腫れと痛みが生じ、しばしば関節が破壊されます。 免疫の働きによって、関節と結合組織に損傷が生じます。 関節(典型的には腕や脚の小さな関節)が痛くなり、起床時やしばらく動かずにいた後に、60分以上持続するこわばりがみられます。... さらに読む 関節リウマチ(RA) など他の慢性疾患によっても引き起こされることがあります。続発性骨粗しょう症を引き起こす可能性がある薬の例として、プロゲステロン、コルチコステロイド、甲状腺ホルモン、特定の化学療法薬、抗てんかん薬が挙げられます。喫煙も続発性骨粗しょう症の原因となったり、その一因となったりすることがあります。アルコールやカフェインの過剰摂取や喫煙は、骨粗しょう症を悪化させる可能性がありますが、骨粗しょう症を引き起こす可能性はあまりありません。

原発性骨粗しょう症の危険因子

  • 家族に骨粗しょう症の人がいる

  • カルシウムやビタミンDが少ない食生活

  • 体を動かさない生活習慣

  • 白人またはアジア系人種

  • 細身の体形

  • 早期の閉経

  • 喫煙

  • アルコールやカフェインの過剰摂取

特発性骨粗しょう症

特発性骨粗しょう症はまれなタイプの骨粗しょう症です。特発性という言葉は、単に原因が不明であることを意味しています。このタイプの骨粗しょう症は、閉経前女性や50歳未満の男性、小児や青年で、ホルモンやビタミンDの値が正常かつ骨が弱くなる明らかな原因がない人に起こります。

骨粗しょう症の症状

骨密度は非常にゆっくり低下するため、初期の骨粗しょう症では何の症状も起こりません。症状が一切出現しない患者もいます。しかし、骨粗しょう症によって骨折が起こると、骨折の種類に応じて痛みが出ることがあります。骨粗しょう症患者では骨折の治りが遅い傾向にあり、骨折によって脊椎の弯曲などの変形が生じることがあります。

通常、腕や脚などの長管骨では、骨の中央部よりも骨端部が骨折します。脊椎の骨(椎骨)は、特に骨粗しょう症が原因で骨折するリスクが高い骨です。通常は、背中の中ほどから腰にかけて骨折が起こります。

脊椎圧迫骨折(脊椎の骨折)は、どのタイプの骨粗しょう症の人にも起こります。この骨折は、骨粗しょう症が関連する骨折の中で最もよくみられるものです。もろくなった椎骨は自然に、またはささいなけがで骨折します。こうした脊椎圧迫骨折では、ほとんどの場合痛みがありません。しかし、痛みが生じることもあり、その場合通常は突然発生し、背中の特定の部分に持続し、立ったり歩いたりするとひどくなります。その部位に圧痛があることもあります。通常、この痛みと圧痛は、1週間経過すると徐々に消えていきます。ですが、長引く痛みが何カ月も続いたり、ずっと続いたりすることもあります。椎骨がいくつか骨折すると、脊椎の異常な弯曲(脊柱後弯)が生じることがあり、変形に加え、筋肉の挫傷や痛みが起こります。

過去に一度骨折しており、その一因が骨粗しょう症であった場合、その人がそのような骨折をさらに起こすリスクは非常に高くなります。

知っていますか?

  • 過去に一度骨粗しょう症に関連した骨折をしている場合、その人がそのような骨折をさらに起こすリスクは非常に高くなります。

骨粗しょう症の診断

  • 骨密度の検査

  • ビタミンDの値

  • 続発性骨粗しょう症の原因を調べる検査

以下の人で骨粗しょう症が疑われることがあります。

  • 65歳以上のすべての女性

  • 骨粗しょう症の危険因子をもつ閉経後から65歳までの女性

  • 男性、女性にかかわらず、たとえ若いときであっても、ほとんどまたはまったく力がかかることなく起こる骨折を過去に経験した人

  • 背中の痛みがあるか1.2インチ(約3センチメートル)以上身長が縮み、その原因が不明な65歳以上の成人

  • X線画像で骨が薄いように見えるか、X線画像で脊椎圧迫骨折がある人

  • 続発性骨粗しょう症の発生リスクが高い人

骨密度の検査

骨密度の検査を行えば、骨折が起こる前でも、骨粗しょう症が疑われる人を発見したり、そうした人で診断を確定することができます。手首やかかとで骨密度を測定する迅速なスクリーニング法がいくつか利用できます。しかし、最も有用な検査は二重エネルギーX線吸収法 二重エネルギーX線吸収法(DXA) 筋骨格系の病気は、病歴と身体診察の結果に基づいて診断することがよくあります。医師が診断を下したり確定したりするのを助けるために、臨床検査、画像検査、またはその他の診断方法が必要になることがあります。 臨床検査は、筋骨格系の病気の診断にしばしば役立ちます。例えば、赤血球沈降速度(赤沈)は、血液を試験管に入れたときに赤血球が沈む速度を測定する... さらに読む 二重エネルギーX線吸収法(DXA) (DXA)で、脊椎や股関節など、大きな骨折の起こりやすい部位の骨密度を測定します。この検査は痛みを伴わず、ごくわずかな放射線を利用して、10~15分で行うことができます。この検査は骨粗しょう症を診断するだけでなく、治療に対する反応をモニタリングするためにも有用となる場合があります。DXAによって、骨減少症(骨密度が低下するが骨粗しょう症ほど重くはない病気)もみつかることがあります。骨減少症でも骨折のリスクが高まります。

その他の検査

血液検査を行い、カルシウムとビタミンDの値を測定することもあります。骨粗しょう症に至った原因かもしれない、治療可能な状態がある可能性を否定するために、さらに検査が必要になることもあります。そのような状態が見つかれば、続発性骨粗しょう症と診断されます。

骨粗しょう症の予防

失われてしまった骨密度を回復するよりも、骨密度の低下を防ぐ方が簡単であるため、骨粗しょう症では、一般に治療よりも予防が成功します。骨粗しょう症の予防法には以下のものがあります。

  • 危険因子の管理(例えば禁煙したり、アルコールやカフェインの過剰摂取を控える)

  • 十分な量のカルシウムとビタミンDを摂取する。

  • 体重の負荷がかかる運動を行う(ウォーキング、階段を昇る、ウェイトトレーニングなど)

  • 特定の薬剤の使用(一部の人)

骨折の予防に役立つ対策を講じることができます。多くの高齢者では、協調運動の障害、視力低下、筋力低下、錯乱、立つときにふらつきを起こす薬の使用、錯乱を起こす薬の使用によって、転倒のリスクが高くなります。安全のために自宅の環境を改善し(予防 予防 転倒のほとんどは、身体的に動作またはバランス能力に支障をきたす状態の人が、環境内の障害物に遭遇したときに起きます。 多くの場合は転倒前に症状はないものの、めまいまたはその他の症状が現れている場合もあります。 転倒後、骨折または皮下出血がみられることがあります。 転倒の原因が病気か否かを判断するために、医師はしばしば検査を行います。... さらに読む 予防 を参照)、理学療法士と一緒に運動プログラムを作ることが役に立ちます。筋力を強化する運動がバランスの向上に役立つことがあります。

知っていますか?

  • ほとんどの高齢の女性は、1日当たり800~1000IU(国際単位)のビタミンDのサプリメントを摂取する必要があります。

骨粗しょう症の治療

  • カルシウムとビタミンD

  • 体重の負荷がかかる運動

  • 骨折の治療

骨粗しょう症の治療では、十分なカルシウムとビタミンDの摂取や、体重の負荷がかかる運動を行います。治療を受けている患者はすべて、薬を服用する必要があります。骨粗しょう症の治療では、医師は骨粗しょう症を悪化させる可能性がある状態や危険因子の管理も行います。

カルシウムとビタミンD

十分な量の栄養素、特にカルシウムとビタミンDを摂取することが役に立ち、特に骨密度が最大となる(30歳頃)以前から行うと効果的ですが、それ以降でも有用です。ビタミンDは体のカルシウムの吸収を助けます。

男性も女性もすべて、毎日1000ミリグラムのカルシウムを摂取するべきです。閉経後女性、高齢男性、思春期の小児、妊娠中または授乳中の女性は、毎日1200~1500ミリグラム摂取する必要がある場合があります。カルシウムを豊富に含む食べものとしては、乳製品(例えば牛乳やヨーグルト)、一部の野菜(例えばブロッコリー)、ナッツ類(例えばアーモンド)などがあります。

サプリメントよりも食事でカルシウムを摂取する方が適しています(主な食品に含まれるカルシウムの量の表 主な食品に含まれるカルシウムの量 骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病態です。 加齢、エストロゲンの不足、ビタミンDやカルシウムの摂取不足、およびある種の病気によって、骨密度や骨の強度を維持する成分の量が減少することがあります。 骨粗しょう症による症状は、骨折が起こるまで現れないことがあります。... さらに読む 主な食品に含まれるカルシウムの量 を参照)。しかし、推奨量を食事だけで摂取できない場合は、サプリメントを摂取する必要があります。カルシウムのサプリメントが多く市販されており、中にはビタミンDを含んでいるものもあります。一般的なサプリメントのほとんどは、炭酸カルシウムかクエン酸カルシウムです。オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬(胃酸の分泌を抑制するために用います)を服用している場合や、胃バイパス術を受けたことがある場合は、クエン酸カルシウムのサプリメントを服用するとよいでしょう。

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毎日800~1000IU(国際単位)のビタミンDのサプリメントを摂取するべきです。ビタミンD欠乏症 ビタミンD欠乏症 ビタミンDのうち、次の2種類が栄養として重要です。 ビタミンD2(エルゴカルシフェロール):この型は植物や酵母が作る前駆体から合成されます。高用量のサプリメントに通常使われる型でもあります。 ビタミンD3(コレカルシフェロール):この型はビタミンDの最も活性の高い型です。皮膚が直射日光にさらされたときに、皮膚内でつくられます。摂取源となる... さらに読む がある人はさらに高用量が必要な可能性があります。ときに医師は、服用すべきビタミンDのサプリメントの量を判断するために、血中のビタミンDの値を確認します。摂取源となる食品で最も一般的なのは、栄養強化食品(主にシリアルや乳製品)です。ビタミンDは、魚の肝油や脂の多い魚にも含まれています。ビタミンDのサプリメントは、通常は天然型ビタミンDのコレカルシフェロールとして投与されますが、植物由来の合成型であるエルゴカルシフェロールも投与されます。

体重の負荷がかかる運動

骨に体重の負荷を与える運動(ウォーキング ウォーキング 運動にはたくさんの種類があり、それぞれに長所と短所があります。他の運動(太極拳、ピラティス、スピニングなど)も開発されています。ジムや家(動画の動きをみながら行う運動など)といった屋内での運動を好む人もいれば、屋外での運動を好む人もいます。綿密に組み立てられたプログラムに従って運動する人もいますが、なるべく車を使わずに歩くとか、目的地から... さらに読む 、階段を昇るなど)は、骨密度を増加させます。水泳 水泳 運動にはたくさんの種類があり、それぞれに長所と短所があります。他の運動(太極拳、ピラティス、スピニングなど)も開発されています。ジムや家(動画の動きをみながら行う運動など)といった屋内での運動を好む人もいれば、屋外での運動を好む人もいます。綿密に組み立てられたプログラムに従って運動する人もいますが、なるべく車を使わずに歩くとか、目的地から... さらに読む などの体重の負荷がかからない運動では、骨密度は増加しませんが、体の中心部の筋力とバランスが強化され、転倒のリスクが低下します。多くの専門医が、体重の負荷がかかる運動を毎日約30分行うことを推奨しています。理学療法士は、安全な運動プログラムを作って、転倒や脊椎骨折のリスクを最小限にするために日常活動を安全に行う方法を実際に示すことができます。

興味深いことに、閉経前の女性が運動選手のするような激しい運動をすると、卵巣からのエストロゲン分泌が抑えられ、骨密度が若干低下することが実際に分かっています。

骨粗しょう症の予防と治療には、ほとんど同じ薬が使用されます。

ビスホスホネート(アレンドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン酸、ゾレドロン酸)は、すべてのタイプの骨粗しょう症の予防や治療に有用で、通常は最初に使用されます。ビスホスホネート系薬剤は、脊椎や股関節の骨密度を増やし、骨折のリスクを低下させることが分かっています。アレンドロン酸とリセドロン酸は内服(経口摂取)できます。ゾレドロン酸は静脈内注射により投与できます。イバンドロン酸は内服または静脈内注射で投与します。

内服のビスホスホネート系薬剤は、起床後の空腹時にコップ1杯の水(約240ミリリットル)で服用する必要があります。胃の中に食物があると薬の吸収が低下する可能性があるため、その後30~60分間は他の食べもの、飲みもの、薬は摂取しないようにするべきです。ビスホスホネート系薬剤は、食道粘膜を刺激するため、服用後少なくとも30分間(イバンドロン酸では60分間)は横にならないようにします。ものを飲み込みにくい 嚥下困難 飲み込みに障害が生じること(嚥下[えんげ]困難)があります。嚥下困難では、食べものや飲みものがのど(咽頭)から胃へと正常に移動しません。のどと胃をつなぐ管(食道)の途中で食べものや飲みものが動かなくなったように感じます。嚥下困難をのどのしこり(球感覚)と混同してはならず、球感覚ではのどにしこりがある感じがしますが、飲み込みに支障はありませ... さらに読む 人、胃腸症状(例えば、胸やけや吐き気)がある人、食道や胃に特定の病気がある人など、一部の人はビスホスホネート系薬剤を服用するべきではありません。そうした人には、イバンドロン酸またはゾレドロン酸の静脈内投与を行います。また、次に示す人は、ビスホスホネート系薬剤を服用するべきではありません。

  • 妊娠中や授乳中の女性

  • 血液中のカルシウム濃度が低い人

  • 重度の腎疾患のある人

今のところ、ビスホスホネート系薬剤をどのくらいの期間使用すべきかは分かっていません。ほとんどの人では3~5年の投与が必要で、一部の人では最大10年間必要になることがあります。役に立つ可能性の高い投与期間は、患者の医学的な状況と骨折の危険因子に基づいて、医師が判断します。通常、薬の使用をやめた後は、骨量が減っているかどうかを判断するために定期的に検査を行います。骨量が減っている場合は、ビスホスホネート系薬剤や別の薬による治療を再開することがあります。

ビスホスホネート系薬剤の投与を受けている人の一部に、まれに顎骨壊死 顎骨壊死 顎骨壊死(がっこつえし)は口腔の病気で、あごの骨が露出することもあります。 顎骨壊死は、抜歯、けが、放射線療法の後に起こることもあれば、はっきりした理由が分からない場合もあります。 顎骨壊死は、高用量のビスホスホネート系薬剤を静脈内投与されている患者の一部で起こっており、特にがんがあるか、口腔外科手術を受けた場合に発生しています。... さらに読む が起こることがあります。この病態では、あごの骨が破壊され、特に、広範囲な歯の処置を受けた人や、歯に広範囲の損傷を受けた人のほか、ビスホスホネート系薬剤の静脈内投与を受けている人や、がんの治療で頭頸部への放射線療法を受けたことがある人で最もリスクが高くなります。しかし、ビスホスホネート系薬剤が顎骨壊死を引き起こすかどうかや、実際そうである場合どの薬で最も起こりやすいかについては、完全に明らかになっているわけではありません。歯の処置を受ける前にビスホスホネート系薬剤の使用を中止することが役に立つという証拠はありません。ビスホスホネート系薬剤の投与を受けている人の顎骨壊死の発生リスクは非常に低く、骨折を予防するための治療で得られる可能性が高い便益の方が、潜在的な害をはるかに上回ります。

ビスホスホネート系薬剤を長期間使用すると、太ももの骨(大腿骨)に、まれな骨折が起こるリスクが増加する可能性があります。しかしながらビスホスホネート系薬剤は、処方通りに使用すれば、薬剤によって起こる骨折よりも、はるかに多くの骨折を予防します。

カルシトニンは、骨の分解を抑制する働きがあり、骨粗しょう症の治療に用いられる薬ですが、頻繁には使用されません。カルシトニンが骨折のリスクを低下させることは示されていませんが、脊椎骨折による痛みの緩和に役立ちます。通常、カルシトニンは鼻腔スプレーで投与します。使用すると血液中のカルシウム濃度が低下することがあるため、その値をモニタリングする必要があります。

ホルモン療法(例えば、エストロゲンによる)が女性の骨密度を維持するのに役立ち、骨粗しょう症の予防や治療のために用いられる可能性があります。この治療法は、閉経後4~6年以内に始めると最も効果的ですが、それ以降に始めても、骨量の減少を遅らせ、骨折のリスクを減らすことができます。ただし、ほとんどの女性にとって、ホルモン療法はその便益をリスクが上回るため、通常は骨粗しょう症の治療に用いられる選択肢ではありません。閉経後にエストロゲン補充療法を用いることについての判断は複雑なものです(閉経に対するホルモン療法 閉経に対するホルモン療法 閉経とは、月経が永久に停止し、妊よう性がなくなることです。 閉経前後の数年間は、エストロゲン濃度が大きく変動して月経が不規則になり、ホットフラッシュ(ほてり)などの症状が起こります。 閉経後は骨密度が低下します。 女性に1年間月経がなければ閉経と診断されますが、確認するため血液検査を行うこともあります。... さらに読む 閉経に対するホルモン療法 を参照)。

ラロキシフェンはエストロゲンと似た薬で、骨量減少の予防と治療に有用である可能性がありますが、エストロゲンの副作用の一部がラロキシフェンにはありません。この薬は、ビスホスホネート系薬剤を使用できない人や使用したくない人に使用されています。ラロキシフェンは脊椎骨折のリスクを減らすことができ、浸潤性乳がん 広がりの程度 乳がんは、乳房の細胞が異常をきたし制御不能に分裂することで発生します。通常は、乳汁を作る乳腺(小葉)または乳腺から乳頭(乳首)へ乳汁を運ぶ乳管にがんが発生します。 乳がんは、女性がかかるがんの中で発症数が最も多く、がんによる死亡の中では第2位を占めています。 通常、最初に現れる症状は痛みのないしこりで、自分で気づくことがほとんどです。... さらに読む 広がりの程度 のリスクを減らす可能性があります。

男性にはエストロゲンによる治療は利益がありませんが、テストステロン値が低い人では、テストステロン補充療法が有益な場合があります。

テリパラチドと呼ばれる合成副甲状腺ホルモンがあり、少量を毎日注射することができます。テリパラチドは、新しい骨の形成を促し、骨密度を増加させ、骨折の可能性を減らします。この治療法は次のような人で用いられることがあります。

  • ビスホスホネート系薬剤による治療中に、著しく骨量が減少したか骨折を起こした人

  • ビスホスホネート系薬剤を使用できない人

  • 非常に重度の骨粗しょう症か、多数の骨折(特に脊椎骨折)がある人

  • コルチコステロイドを原因とする骨粗しょう症がある人

デノスマブは比較的新しい薬です。骨粗しょう症の治療に用いられる他の薬の代替薬です。デノスマブは診療所で1年に2回、皮下注射で投与します。

痛みと骨折の治療

圧迫骨折が起こった椎骨は、椎体形成術と呼ばれる手術で修復することができます。この手術(各椎骨につき約1時間かかります)では、メチルメタクリレートという物質(アクリル樹脂の骨セメント)をつぶれた椎骨に注入し、痛みを和らげ骨の変形を軽減するのに役立てます。バルーン整復による椎体形成術(Kyphoplasty)もよく似た方法ですが、この手術では、整形外科用のバルーンでつぶれた椎骨を押し広げて正常な形に戻してからメチルメタクリレートを注入します。これらの椎体形成術によって、メチルメタクリレートを注入した椎骨の変形は軽減できますが、隣接する脊椎の骨や肋骨が骨折するリスクは減少せず、かえって増加することさえあります。その他のリスクとして、肋骨の骨折や、骨セメントの漏れ、心臓や肺の問題が起こる可能性などがあります。これらの手術をいつ行えばよいのかについては明確に決まっていません。

典型的には、医師は役に立つ治療を行い、骨折している患者の状態をモニタリングして骨粗しょう症の治療が十分行われていることを確認します。骨折している患者と、骨粗しょう症の危険因子があるもののまだ骨折もなく骨粗しょう症も発症していない患者は、その発症を避けるための予防策 骨粗しょう症の予防 骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病態です。 加齢、エストロゲンの不足、ビタミンDやカルシウムの摂取不足、およびある種の病気によって、骨密度や骨の強度を維持する成分の量が減少することがあります。 骨粗しょう症による症状は、骨折が起こるまで現れないことがあります。... さらに読む 骨粗しょう症の予防 を講じるべきです。

さらなる情報

全米骨粗しょう症財団( The National Osteoporosis Foundation

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