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骨粗しょう症

執筆者:

Marcy B. Bolster

, MD, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 12月
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骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病態です。

  • 加齢、 エストロゲンの不足、 ビタミンDやカルシウムの摂取不足、およびある種の病気によって、骨密度や骨の強度を維持する成分の量が減少することがあります。

  • 骨粗しょう症による症状は、骨折が起こるまで現れないことがあります。

  • 骨折は、力がほとんどまたはまったくかかっていない場合にも起こり、軽い転倒で起こることもあります。

  • 骨折にはしばしば痛みが伴いますが、一部の脊椎の骨折では痛みは生じないものの、変形は生じることがあります。

  • 医師は、骨粗しょう症のリスクのある人に、骨密度の検査を行うことで診断します。

  • 骨粗しょう症は、危険因子を管理し、十分なカルシウムや ビタミンDを確実に摂取するようにし、体重の負荷がかかる運動を行い、ビスホスホネート系薬剤などの薬を服用することで、通常は予防や治療ができます。

はカルシウムやリンなどのミネラルを含み、これらの成分が骨を硬く、密にしています。骨密度(または骨量)を維持するためには、カルシウムなどのミネラルが体に十分供給されている必要があり、さらに副甲状腺ホルモン、成長ホルモン、 カルシトニン エストロゲン テストステロンなどの数種類のホルモンが体内で適量作られていなければなりません。食物からカルシウムを吸収して骨に取り込むために、 ビタミンDが十分に供給されていることが必要です。 ビタミンDは、食事から吸収されるほか、太陽光によって皮膚でもつくられます(ビタミンDを参照)。

骨にかかる負荷の変化に対応できるように、骨を分解して新しく形成する再構築が常に行われています。この過程をリモデリングといいます(を参照)。この過程では、常に骨組織の一部が取り除かれ、新しい骨が沈着します。リモデリングは、骨の形状と骨密度に影響を与えます。若いうちは体の成長に伴って骨の幅が広がり、軸方向へも伸長します。その後は、骨の幅や厚みが増すことはときにありますが、長さが伸び続けることはありません。

女性における骨密度の低下

女性の骨密度(または骨量)は、骨の強度が最大となる30歳頃までは増え続けます。その後は、骨密度が徐々に低下します。骨量の減少は閉経(平均で51歳頃に起こります)の後に加速します。

女性における骨密度の低下

成人でも若い頃は骨が分解される量よりも形成される量の方が多いため、骨の強度が最大となる30歳頃までは骨密度が徐々に増加します。その後、分解される量が形成される量を上回ると、骨密度は徐々に低下していきます。体内で十分な量の骨を形成し続けることができないと、骨密度が低下し続け、骨が次第にもろくなり、ついには骨粗しょう症になることがあります。

骨粗しょう症の種類

米国では、女性約800万人と男性約200万人が骨粗しょう症です。骨粗しょう症には、大きく分けて次の2種類があります。

  • 原発性骨粗しょう症

  • 続発性骨粗しょう症

原発性(一次性)骨粗しょう症は自然発生的に起こり、続発性(二次性)骨粗しょう症は別の病気や薬が原因となって起こります。

原発性骨粗しょう症

女性の骨粗しょう症の95%以上と、おそらく男性の骨粗しょう症の約80%が原発性です。ほとんどの場合、閉経後女性と高齢の男性に発生します。

骨粗しょう症の主な原因の1つは エストロゲンの不足で、特に閉経後にみられるエストロゲンの急速な減少に起因します。50歳以上のほとんどの男性は エストロゲン値が閉経後の女性よりも高いのですが、この値も加齢とともに低下し、 エストロゲン値が低いことが、男性、女性にかかわらず骨粗しょう症に関連しています。 エストロゲンが欠乏すると骨の分解が増え、骨量が急速に減少します。男性では、男性ホルモンが少ないことも骨粗しょう症の一因です。カルシウムの摂取量や ビタミンDの値が低いと、骨量の減少はさらに激しくなります。 ビタミンDの値が低いと、カルシウムが欠乏し、副甲状腺の活動が亢進することで副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され(副甲状腺機能亢進症を参照)、そのことがさらに骨の分解を促すことになります。理由は不明ですが、骨の作られる量も減少します。

女性では、特定の薬、タバコの使用、大量の飲酒、骨粗しょう症の家族歴(例えば、親が股関節の骨折を経験している)、身長が低いことなど、他のいくつかの因子によって、骨量が減少し、骨粗しょう症が発生するリスクが高まります。これらの危険因子は男性でも重要です。

続発性骨粗しょう症

女性の骨粗しょう症の5%未満と、男性の骨粗しょう症の約20%が続発性です。

続発性骨粗しょう症の原因となる病気の例としては、慢性腎臓病や内分泌疾患(特にクッシング病副甲状腺機能亢進症甲状腺機能亢進症性腺機能低下症、プロラクチン高値、糖尿病)があります。続発性骨粗しょう症は、多発性骨髄腫など特定の種類のがんによって引き起こされることがあり、また関節リウマチなど他の慢性疾患によっても引き起こされることがあります。続発性骨粗しょう症を引き起こす可能性がある薬の例として、プロゲステロン、コルチコステロイド、甲状腺ホルモン、特定の化学療法薬、抗てんかん薬が挙げられます。喫煙も続発性骨粗しょう症の原因となったり、その一因となったりすることがあります。アルコールやカフェインの過剰摂取や喫煙は、骨粗しょう症を悪化させる可能性がありますが、骨粗しょう症を引き起こす可能性はあまりありません。

原発性骨粗しょう症の危険因子

  • 家族に骨粗しょう症の人がいる

  • カルシウムやビタミンDが少ない食生活

  • 体を動かさない生活習慣

  • 白人またはアジア系人種

  • 細身の体形

  • 早期の閉経

  • 喫煙

  • アルコールやカフェインの過剰摂取

特発性骨粗しょう症

特発性骨粗しょう症はまれなタイプの骨粗しょう症です。特発性という言葉は、単に原因が不明であることを意味しています。このタイプの骨粗しょう症は、閉経前女性や50歳未満の男性、小児や青年で、ホルモンやビタミンDの値が正常かつ骨が弱くなる明らかな原因がない人に起こります。

骨粗しょう症の症状

骨密度は非常にゆっくり低下するため、初期の骨粗しょう症では何の症状も起こりません。症状が一切出現しない患者もいます。しかし、骨粗しょう症によって骨折が起こると、骨折の種類に応じて痛みが出ることがあります。骨粗しょう症患者では骨折の治りが遅い傾向にあり、骨折によって脊椎の弯曲などの変形が生じることがあります。

通常、腕や脚などの長管骨では、骨の中央部よりも骨端部が骨折します。脊椎の骨(椎骨)は、特に骨粗しょう症が原因で骨折するリスクが高い骨です。通常は、背中の中ほどから腰にかけて骨折が起こります。

脊椎圧迫骨折(脊椎の骨折)は、どのタイプの骨粗しょう症の人にも起こります。この骨折は、骨粗しょう症が関連する骨折の中で最もよくみられるものです。もろくなった椎骨は自然に、またはささいなけがで骨折します。こうした脊椎圧迫骨折では、ほとんどの場合痛みがありません。しかし、痛みが生じることもあり、その場合通常は突然発生し、背中の特定の部分に持続し、立ったり歩いたりするとひどくなります。その部位に圧痛があることもあります。通常、この痛みと圧痛は、1週間経過すると徐々に消えていきます。ですが、長引く痛みが何カ月も続いたり、ずっと続いたりすることもあります。椎骨がいくつか骨折すると、脊椎の異常な弯曲(脊柱後弯)が生じることがあり、変形に加え、筋肉の挫傷や痛みが起こります。

体の他の部位の骨が骨折することもあり、比較的軽い負荷や転倒によってよく起こります(脆弱性骨折と呼ばれます)。股関節の骨折は、最も重篤な骨折の1つで、高齢者に身体的な障害をもたらし、自立が失われる主な原因となっています。手首の骨折がよく起こり、特に骨粗しょう症がある閉経後女性に多くみられます。

過去に一度骨折しており、その一因が骨粗しょう症であった場合、その人がそのような骨折をさらに起こすリスクは非常に高くなります。

知っていますか?

  • 過去に一度骨粗しょう症に関連した骨折をしている場合、その人がそのような骨折をさらに起こすリスクは非常に高くなります。

骨粗しょう症の診断

  • 骨密度の検査

  • ビタミンDの値

  • 続発性骨粗しょう症の原因を調べる検査

以下の人で骨粗しょう症が疑われることがあります。

  • 65歳以上のすべての女性

  • 骨粗しょう症の危険因子をもつ閉経後から65歳までの女性

  • 男性、女性にかかわらず、たとえ若いときであっても、ほとんどまたはまったく力がかかることなく起こる骨折を過去に経験した人

  • 背中の痛みがあるか1.2インチ(約3センチメートル)以上身長が縮み、その原因が不明な65歳以上の成人

  • X線画像で骨が薄いように見えるか、X線画像で脊椎圧迫骨折がある人

  • 続発性骨粗しょう症の発生リスクが高い人

骨粗しょう症が疑われ、X線検査を受けていない場合、X線検査を行うことがあります。X線検査における特定の所見によって骨粗しょう症が疑われますが、骨粗しょう症の診断は骨密度の検査によって確定します。

骨密度の検査

骨密度の検査を行えば、骨折が起こる前でも、骨粗しょう症が疑われる人を発見したり、そうした人で診断を確定することができます。手首やかかとで骨密度を測定する迅速なスクリーニング法がいくつか利用できます。しかし、最も有用な検査は二重エネルギーX線吸収法(DXA)で、脊椎や股関節など、大きな骨折の起こりやすい部位の骨密度を測定します。この検査は痛みを伴わず、ごくわずかな放射線を利用して、10~15分で行うことができます。この検査は骨粗しょう症を診断するだけでなく、治療に対する反応をモニタリングするためにも有用となる場合があります。DXAによって、骨減少症(骨密度が低下するが骨粗しょう症ほど重くはない病気)もみつかることがあります。骨減少症でも骨折のリスクが高まります。

その他の検査

血液検査を行い、カルシウムと ビタミンDの値を測定することもあります。骨粗しょう症に至った原因かもしれない、治療可能な状態がある可能性を否定するために、さらに検査が必要になることもあります。そのような状態が見つかれば、続発性骨粗しょう症と診断されます。

骨粗しょう症の予防

失われてしまった骨密度を回復するよりも、骨密度の低下を防ぐ方が簡単であるため、骨粗しょう症では、一般に治療よりも予防が成功します。骨粗しょう症の予防法には以下のものがあります。

  • 危険因子の管理(例えば禁煙したり、アルコールやカフェインの過剰摂取を控える)

  • 十分な量のカルシウムと ビタミンDを摂取する。

  • 体重の負荷がかかる運動を行う(ウォーキング、階段を昇る、ウェイトトレーニングなど)

  • 特定の薬剤の使用(一部の人)

骨折の予防に役立つ対策を講じることができます。多くの高齢者では、協調運動の障害、視力低下、筋力低下、錯乱、立つときにふらつきを起こす薬の使用、錯乱を起こす薬の使用によって、転倒のリスクが高くなります。安全のために自宅の環境を改善し(予防を参照)、理学療法士と一緒に運動プログラムを作ることが役に立ちます。筋力を強化する運動がバランスの向上に役立つことがあります。

知っていますか?

  • ほとんどの高齢の女性は、1日当たり800~1000IU(国際単位)のビタミンDのサプリメントを摂取する必要があります。

骨粗しょう症の治療

  • カルシウムとビタミンD

  • 体重の負荷がかかる運動

  • 骨折の治療

骨粗しょう症の治療では、十分なカルシウムと ビタミンDの摂取や、体重の負荷がかかる運動を行います。治療を受けている患者はすべて、薬を服用する必要があります。骨粗しょう症の治療では、医師は骨粗しょう症を悪化させる可能性がある状態や危険因子の管理も行います。

カルシウムとビタミンD

十分な量の栄養素、特にカルシウムと ビタミンDを摂取することが役に立ち、特に骨密度が最大となる(30歳頃)以前から行うと効果的ですが、それ以降でも有用です。ビタミンDは体のカルシウムの吸収を助けます。

男性も女性もすべて、毎日1000ミリグラムのカルシウムを摂取するべきです。閉経後女性、高齢男性、思春期の小児、妊娠中または授乳中の女性は、毎日1200~1500ミリグラム摂取する必要がある場合があります。カルシウムを豊富に含む食べものとしては、乳製品(例えば牛乳やヨーグルト)、一部の野菜(例えばブロッコリー)、ナッツ類(例えばアーモンド)などがあります。

サプリメントよりも食事でカルシウムを摂取する方が適しています(主な食品に含まれるカルシウムの量の表を参照)。しかし、推奨量を食事だけで摂取できない場合は、サプリメントを摂取する必要があります。カルシウムのサプリメントが多く市販されており、中にはビタミンDを含んでいるものもあります。一般的なサプリメントのほとんどは、炭酸カルシウムかクエン酸カルシウムです。オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬(胃酸の分泌を抑制するために用います)を服用している場合や、胃バイパス術を受けたことがある場合は、クエン酸カルシウムのサプリメントを服用するとよいでしょう。

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主な食品に含まれるカルシウムの量

食品

1サービングの量

カルシウムの量(ミリグラム)

アーモンド(焙煎、薄皮をむいていないもの)

約30グラム

80

ルッコラ(生)

1カップ

125

チンゲンサイ(生、刻んだもの)

1カップ

74

パン(カルシウム強化*)

1切れ

150~200

パン(白)

1切れ

73

パン(全粒)

1切れ

30

ブリーチーズ

約30グラム

50

ブロッコリー(加熱調理)

1カップ

180

ブロッコリー(生)

½カップ

21

バターミルク(低脂肪)

240ミリリットル

284

Carnation®粉ドリンクミックス

小袋1包

250

シリアル(カルシウム強化*)

1カップ

100~1000

フダンソウ(加熱調理)

1カップ

100

チェダーチーズ

約43グラム

307

コラードグリーン

1カップ

50

カッテージチーズ

1カップ

138

クリームチーズ(レギュラー)

大さじ1杯

14

イチジク(乾燥、非加熱)

1カップ

300

フローズンヨーグルト(バニラ、柔らかくしたもの)

½カップ

103

グリュイエールチーズ

約30グラム

270

ハードチーズ(チェダーチーズやジャックチーズなど)

約30グラム

200

ホットココア(カルシウム強化*)

小袋1包

320

アイスクリーム(バニラ)

½カップ

84

ケール(新鮮なもの、加熱調理)

1カップ

94

ケール(生、刻んだもの)

1カップ

100

サバ(缶詰)

約85グラム

250

糖蜜(廃糖蜜)

大さじ1杯

135

モッツァレラチーズ

約30グラム

200

カラシナ

1カップ

40

脱脂粉乳

大さじ5杯

300

無脂肪乳

240ミリリットル

299

オートミール(インスタント)

1袋

100~150

オクラ(加熱調理)

1カップ

100

オレンジジュース(カルシウム強化*)

約170グラム

261

パルメザンチーズ

大さじ1杯

70

低脂肪乳(2%)

240ミリリットル

293

サケ(缶詰、骨つき)

約85グラム

181

イワシ(油漬けの缶詰、骨つき)

約85グラム

325

ゴマ(いりごま)

約30グラム

280

サワークリーム(低脂肪、発酵させたもの)

大さじ2杯

31

豆乳(カルシウム強化*)

240ミリリットル

299

スイスチーズ

約30グラム

270

豆腐(硫酸カルシウムを使用して作られた固いもの)

½カップ

253

豆腐(硫酸カルシウムを使用して作られた柔らかいもの)

½カップ

138

カブの葉(生またはゆで)

½カップ

99

全乳

240ミリリットル

276

ヨーグルト(ドリンク)

約360ミリリットル

300

ヨーグルト(プレーン、低脂肪)

1カップ

415

*カルシウム強化食品とは、カルシウムが添加された食品のことです。

毎日800~1000IU(国際単位)のビタミンDのサプリメントを摂取するべきです。ビタミンD欠乏症がある人はさらに高用量が必要な可能性があります。ときに医師は、服用すべきビタミンDのサプリメントの量を判断するために、血中のビタミンDの値を確認します。摂取源となる食品で最も一般的なのは、栄養強化食品(主にシリアルや乳製品)です。ビタミンDは、魚の肝油や脂の多い魚にも含まれています。ビタミンDのサプリメントは、通常は天然型ビタミンDのコレカルシフェロールとして投与されますが、植物由来の合成型であるエルゴカルシフェロールも投与されます。

体重の負荷がかかる運動

骨に体重の負荷を与える運動(ウォーキング、階段を昇るなど)は、骨密度を増加させます。水泳などの体重の負荷がかからない運動では、骨密度は増加しませんが、体の中心部の筋力とバランスが強化され、転倒のリスクが低下します。多くの専門医が、体重の負荷がかかる運動を毎日約30分行うことを推奨しています。理学療法士は、安全な運動プログラムを作って、転倒や脊椎骨折のリスクを最小限にするために日常活動を安全に行う方法を実際に示すことができます。

興味深いことに、閉経前の女性が運動選手のするような激しい運動をすると、卵巣からの エストロゲン分泌が抑えられ、骨密度が若干低下することが実際に分かっています。

骨粗しょう症の予防と治療には、ほとんど同じ薬が使用されます。

ビスホスホネート(アレンドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン酸、ゾレドロン酸)は、すべてのタイプの骨粗しょう症の予防や治療に有用で、通常は最初に使用されます。ビスホスホネート系薬剤は、脊椎や股関節の骨密度を増やし、骨折のリスクを低下させることが分かっています。アレンドロン酸とリセドロン酸は内服(経口摂取)できます。ゾレドロン酸は静脈内注射により投与できます。イバンドロン酸は内服または静脈内注射で投与します。

内服のビスホスホネート系薬剤は、起床後の空腹時にコップ1杯の水(約240ミリリットル)で服用する必要があります。胃の中に食物があると薬の吸収が低下する可能性があるため、その後30~60分間は他の食べもの、飲みもの、薬は摂取しないようにするべきです。ビスホスホネート系薬剤は、食道粘膜を刺激するため、服用後少なくとも30分間(イバンドロン酸では60分間)は横にならないようにします。ものを飲み込みにくい人、胃腸症状(例えば、胸やけや吐き気)がある人、食道や胃に特定の病気がある人など、一部の人はビスホスホネート系薬剤を服用するべきではありません。そうした人には、イバンドロン酸またはゾレドロン酸の静脈内投与を行います。また、次に示す人は、ビスホスホネート系薬剤を服用するべきではありません。

  • 妊娠中や授乳中の女性

  • 血液中のカルシウム濃度が低い人

  • 重度の腎疾患のある人

今のところ、ビスホスホネート系薬剤をどのくらいの期間使用すべきかは分かっていません。ほとんどの人では3~5年の投与が必要で、一部の人では最大10年間必要になることがあります。役に立つ可能性の高い投与期間は、患者の医学的な状況と骨折の危険因子に基づいて、医師が判断します。通常、薬の使用をやめた後は、骨量が減っているかどうかを判断するために定期的に検査を行います。骨量が減っている場合は、ビスホスホネート系薬剤や別の薬による治療を再開することがあります。

ビスホスホネート系薬剤の投与を受けている人の一部に、まれに顎骨壊死が起こることがあります。この病態では、あごの骨が破壊され、特に、広範囲な歯の処置を受けた人や、歯に広範囲の損傷を受けた人のほか、ビスホスホネート系薬剤の静脈内投与を受けている人や、がんの治療で頭頸部への放射線療法を受けたことがある人で最もリスクが高くなります。しかし、ビスホスホネート系薬剤が顎骨壊死を引き起こすかどうかや、実際そうである場合どの薬で最も起こりやすいかについては、完全に明らかになっているわけではありません。歯の処置を受ける前にビスホスホネート系薬剤の使用を中止することが役に立つという証拠はありません。ビスホスホネート系薬剤の投与を受けている人の顎骨壊死の発生リスクは非常に低く、骨折を予防するための治療で得られる可能性が高い便益の方が、潜在的な害をはるかに上回ります。

ビスホスホネート系薬剤を長期間使用すると、太ももの骨(大腿骨)に、まれな骨折が起こるリスクが増加する可能性があります。しかしながらビスホスホネート系薬剤は、処方通りに使用すれば、薬剤によって起こる骨折よりも、はるかに多くの骨折を予防します。

カルシトニンは、骨の分解を抑制する働きがあり、骨粗しょう症の治療に用いられる薬ですが、頻繁には使用されません。カルシトニンが骨折のリスクを低下させることは示されていませんが、脊椎骨折による痛みの緩和に役立ちます。通常、カルシトニンは鼻腔スプレーで投与します。使用すると血液中のカルシウム濃度が低下することがあるため、その値をモニタリングする必要があります。

ホルモン療法(例えば、エストロゲンによる)が女性の骨密度を維持するのに役立ち、骨粗しょう症の予防や治療のために用いられる可能性があります。この治療法は、閉経後4~6年以内に始めると最も効果的ですが、それ以降に始めても、骨量の減少を遅らせ、骨折のリスクを減らすことができます。ただし、ほとんどの女性にとって、ホルモン療法はその便益をリスクが上回るため、通常は骨粗しょう症の治療に用いられる選択肢ではありません。閉経後にエストロゲン補充療法を用いることについての判断は複雑なものです(閉経に対するホルモン療法を参照)。

ラロキシフェンは エストロゲンと似た薬で、骨量減少の予防と治療に有用である可能性がありますが、 エストロゲンの副作用の一部がラロキシフェンにはありません。この薬は、ビスホスホネート系薬剤を使用できない人や使用したくない人に使用されています。ラロキシフェンは脊椎骨折のリスクを減らすことができ、浸潤性乳がんのリスクを減らす可能性があります。

男性にはエストロゲンによる治療は利益がありませんが、 テストステロン値が低い人では、テストステロン補充療法が有益な場合があります。

テリパラチドと呼ばれる合成副甲状腺ホルモンがあり、少量を毎日注射することができます。テリパラチドは、新しい骨の形成を促し、骨密度を増加させ、骨折の可能性を減らします。この治療法は次のような人で用いられることがあります。

  • ビスホスホネート系薬剤による治療中に、著しく骨量が減少したか骨折を起こした人

  • ビスホスホネート系薬剤を使用できない人

  • 非常に重度の骨粗しょう症か、多数の骨折(特に脊椎骨折)がある人

  • コルチコステロイドを原因とする骨粗しょう症がある人

デノスマブは比較的新しい薬です。骨粗しょう症の治療に用いられる他の薬の代替薬です。デノスマブは診療所で1年に2回、皮下注射で投与します。

痛みと骨折の治療

脊椎圧迫骨折による背部痛は、痛み止めのほか、ときに温熱マッサージや補助器具(体幹装具など)によって治療する必要があります。脊椎骨折による痛みを減らすためにカルシトニンを投与することがあります。背部の筋肉を強化する運動は、慢性の背部痛を軽減させることに役に立ちます。通常、床上安静や重い物を持ち上げることは避けるべきです。体重の負荷がかかる運動を行うべきです。

骨粗しょう症によって起こった骨折には、治療が必要です。股関節の骨折では、通常は関節を固定し、しばしば股関節の一部または全部を人工関節で置き換える手術を行います(人工股関節置換術を参照)。手首の骨折では、手術をするか、骨折部位をギプスで固定することが必要です。

圧迫骨折が起こった椎骨は、椎体形成術と呼ばれる手術で修復することができます。この手術(各椎骨につき約1時間かかります)では、メチルメタクリレートという物質(アクリル樹脂の骨セメント)をつぶれた椎骨に注入し、痛みを和らげ骨の変形を軽減するのに役立てます。バルーン整復による椎体形成術(Kyphoplasty)もよく似た方法ですが、この手術では、整形外科用のバルーンでつぶれた椎骨を押し広げて正常な形に戻してからメチルメタクリレートを注入します。これらの椎体形成術によって、メチルメタクリレートを注入した椎骨の変形は軽減できますが、隣接する脊椎の骨や肋骨が骨折するリスクは減少せず、かえって増加することさえあります。その他のリスクとして、肋骨の骨折や、骨セメントの漏れ、心臓や肺の問題が起こる可能性などがあります。これらの手術をいつ行えばよいのかについては明確に決まっていません。

典型的には、医師は役に立つ治療を行い、骨折している患者の状態をモニタリングして骨粗しょう症の治療が十分行われていることを確認します。骨折している患者と、骨粗しょう症の危険因子があるもののまだ骨折もなく骨粗しょう症も発症していない患者は、その発症を避けるための予防策を講じるべきです。

さらなる情報

全米骨粗しょう症財団(The National Osteoporosis Foundation

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