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骨壊死

(阻血性骨壊死、無菌性壊死、虚血性骨壊死)

執筆者:

Marvin E. Steinberg

, MD, Perelman School of Medicine at the University of Pennsylvania

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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本ページのリソース

骨壊死は、血液供給が障害されることで骨の一部分が死んでしまうことです。

  • この病気は、けがが原因で起こることも、また自然に起こることもあります。

  • 典型的な症状としては、痛み、患部の関節可動域の制限、足を引きずること(脚に発生した場合)などがあります。

  • 診断は、症状、骨壊死のリスク、X線検査およびMRI検査の結果に基づいて下されます。

  • 禁煙、節酒、コルチコステロイドの使用回数を最小限に抑えるか用量を減らすことによって、骨壊死が発生するリスクが低下します。

  • 安静や理学療法、鎮痛薬など、手術以外の方法で症状が軽減しない場合には、様々な手術を行うことがあります。

米国では毎年、約20,000人が骨壊死を発症しています。股関節に発生することが最も多く、次いで膝関節と肩関節によく起こります。手首や足首にはあまり起こりません。骨壊死が肩関節など頻度の低い部位だけに起きることはまれで、そのような部位に起きた場合は、同時に股関節も侵されるのが一般的です。ただし、顎骨壊死は顎の骨だけに起こります。

骨壊死の原因

骨壊死は、1つの特定の病気を意味するものではなく、特定の(限局した)部位に骨の壊死が1つまたは複数みられる状態を意味します。骨壊死は、次の2つに大きく分けられます。

  • 外傷性骨壊死(けがの後に起こるもの)

  • 非外傷性骨壊死

外傷性骨壊死が骨壊死の中で最も多くみられます。外傷性骨壊死の最も一般的な原因は転位骨折(骨折部が分離している)であり、中でもほとんどの場合は股関節の転位骨折で、これは高齢者に起こります。転位骨折によって、太ももの骨の上端(大腿骨頭、股関節の一部)に血液を供給する血管が損傷することがあり、結果的にこの部分の骨の壊死が起こることがあります。このような骨の壊死が体の別の部位で起こることはそれほど多くありません。

骨壊死の主な危険因子

外傷性骨壊死

  • 骨折と脱臼

非外傷性骨壊死

非外傷性骨壊死は直接の外傷や損傷なしに起こるものです。このタイプは、骨の特定の領域に血液を供給する細い血管を閉塞させる病気や状態が原因で起こります。骨壊死が最も起こりやすい部位は、股関節の一部である大腿骨頭や、膝関節、肩関節の上腕骨頭などです。男性および30~50歳で起こることが最も多く、しばしば両股関節や両肩関節に起こります。最も一般的な原因は以下の通りです。

  • コルチコステロイド(高用量を長期間投与する場合)

  • 長期的な過度の飲酒(1日3ドリンク以上を数年間)

その他の原因もいくつか特定されていますが、はるかに低い頻度でしか発生しません。そうしたものには、一部の血液凝固障害、鎌状赤血球症、肝疾患、腫瘍、ゴーシェ病、放射線療法、減圧症(ダイバーが浮上するのが速すぎると起こる)などがあります。高用量のコルチコステロイドで治療されるいくつかの病気(全身性エリテマトーデスなど)にも、骨壊死が合併することがあります。この場合、原因がその病気そのものか、コルチコステロイドであるかが明らかでないことがあります。

骨壊死の患者の約20%では原因が不明です。

ある骨に非外傷性骨壊死がある場合、体の反対側の対をなす骨にも、たとえ症状がなくても骨壊死が起きていることがあります。例えば、片側の股関節に骨壊死があれば、60%は反対側の股関節にも骨壊死があります。

特発性膝骨壊死は、骨壊死の特定の危険因子がない高齢女性(ときに男性)に起こることがあります。この骨壊死は他のタイプの骨壊死とは異なります。脆弱性骨折が原因と考えられています。脆弱性骨折は、骨粗しょう症に侵されている骨が、普通に摩耗することで発生します。特発性膝骨壊死は、直接的な外傷も損傷もなしに起こります。

骨壊死の症状

骨壊死が進行するにつれて、小さな骨折が次々と起こることがあり、特に股関節など体重を支える骨にみられます。結果として、血液供給が途絶えて数週間ないし数カ月後に、通常は骨がつぶれてしまいます。ほとんどの場合、骨がつぶれ始めると徐々に痛みが発生します。しかし、ときには痛みが突然現れることがあり、それは骨の患部やその周辺にかかる圧力の増加に関連していることがあります。痛みの始まり方にかかわらず、患部の骨を動かすと痛みが強くなり、安静にすると一般に痛みが和らぎます。患者は痛みを最小限に抑えようとして関節を動かさなくなります。

脚の骨が侵されると、立っていたり歩いたりすると痛みが強くなり、足を引きずるようになります。

股関節の骨壊死では、痛みは通常、鼠径部に現れ、太ももや殿部に広がることもあります。

特発性膝骨壊死では、急激な痛みが膝の内側部分に沿って生じます。この領域に圧痛があることもあり、膝関節が過剰な体液で腫れることがよくあります。膝を曲げると痛み、足を引きずるようになることがあります。

肩関節の骨壊死では、股関節や膝関節に起こる骨壊死よりも、症状が少ないことがよくあります。

変形性関節症は、骨の大部分がつぶれた後に、時間が経つにつれて起こります。

骨壊死の診断

  • X線検査

  • MRI検査

骨壊死は最初、痛みがないことが多いため、最も初期の段階では診断できないことがあります。骨折した後に十分な改善が認められない場合、骨壊死が疑われます。股関節、膝関節、または肩関節に説明のつかない痛みが生じている患者でも疑われ、特に骨壊死の危険因子がある場合に疑われます。

骨壊死は、最も初期の段階でない限り、通常は患部のX線検査で明らかになります。ただし、X線画像が正常にみえても、通常はMRI検査を行います。これは、普通のX線検査で変化が現れる前の、早期の骨壊死を検出するための最良の検査は、MRI検査であるためです。X線検査とMRI検査では、骨がつぶれているかどうか、壊死の進行度、変形性関節症の有無についても分かります。片側の股関節に非外傷性の骨壊死が発見された場合、X線検査またはMRI検査でもう一方の股関節も検査します。

原因となっている病気(血液凝固障害など)を発見するために血液検査を行うこともあります。

骨壊死の予防

医師は、コルチコステロイドが原因で骨壊死が発生するリスクを最小限にするために、コルチコステロイドは必要なときだけ使用し、必要最低限の用量で、できるだけ短期間処方します。

減圧症による骨壊死を予防するために、潜水時や高圧環境下で働くときには減圧についての公認の規定に従うべきです(減圧症の予防安全なダイビングのための予防措置と潜水障害の予防を参照)。

過度の飲酒や、喫煙は避けるべきです。

リスクが高い人の骨壊死の予防を目的として、様々な薬(血栓を予防する薬、血管を拡張させる薬、脂質濃度を下げる薬など)の評価が行われています。

骨壊死の治療

  • 症状を緩和する対策

  • 手術

  • 人工股関節置換術

骨壊死の中には、手術以外の方法だけで症状を軽減できるものがあります。手術による治療が必要になる場合もあります。

手術以外の方法

骨壊死による症状を治療するために、手術以外の方法がいくつかあります。抗炎症薬や他の鎮痛薬を服用したり、運動や負荷(骨壊死のある股関節や膝関節で体重を支えるなど)を最小限にしたり、理学療法を受けたりすることが、症状を和らげる方法ですが、これらを行っても骨壊死を治癒させたり、経過を変えたりすることはできません。しかし、肩関節や膝関節、特発性膝骨壊死、股関節の小さな領域の骨壊死(治療なしでも自然に治癒することがあります)の治療にはこれらの方法で十分な場合があります。骨壊死は、初期の段階で診断され、壊死が起こっている部位が小さければ、治療をしなくても約80%の人で治癒します。

SPONKは通常、手術なしで治療し、痛みは通常、消失します。

手術

骨壊死の進行を遅らせたり場合によっては防いだりする手術法が、いくつかあります。このような手術は、関節を温存するために行い、まだ骨がつぶれるまで進行していない早期の骨壊死(特に股関節のもの)に対して最も効果的です。骨がつぶれている場合は、痛みを軽減し機能を改善するために、ある種の人工関節置換術を行うことがあります。

骨内の減圧術(core decompression)は最も単純かつ最もよく行われる手術で、骨の中の圧力を減らす試みとして、患部から骨を栓状に1カ所または複数カ所除去したり、小さな溝や穴(穿孔)を患部に多数作ったりします。骨内の減圧術で痛みが軽減され、治癒が促されることがよくあります。この方法によって、65%の患者で人工股関節全置換術が必要になるのを遅らせるか防ぐことができます。若い患者の場合は、すでに骨がわずかにつぶれていても、骨内の減圧術を行うことがあります。この手術法は比較的単純で、合併症の発生率が低く、約6週間松葉杖を使う必要があります。全体としてほとんどの人で満足または良好な結果が得られます。しかし、特定のケースでは結果の予測が難しくなることがあります。約20~35%の人で、人工股関節全置換術が必要になります。

骨移植(ある場所から別の場所への骨の移植)も手術法の1つです。股関節の骨壊死に対し、この方法では骨の死んだ領域を除去して、体の別の部位から取った正常な骨と交換することがあります。この移植骨は、骨の弱くなった部分を支え、患部で新たに生きた骨を形成するように刺激します。

骨切り術も、骨壊死のある関節を温存する手術法の1つです。この方法は特に股関節で用いられ、骨がすでにある程度つぶれていて、骨内の減圧術やその他の方法が適さない若い患者に向いていると考えられます。通常、骨壊死は、大腿骨頭の体重の負荷のかかる部分にみられます。骨切り術では、骨の位置を変え、体重を大腿骨頭のつぶれた部分ではなく正常な部分で支えるようにします。

しかし、骨移植と骨切り術は難しい方法であり、米国ではあまり行われません。術後は最大6カ月、松葉杖を使う必要があります。最もよい結果を得るために、これらの手術は、手術の経験と設備がある限られた施設でのみ行われています。

人工関節全置換術や他のタイプの人工関節置換術(関節形成術)は、骨壊死により関節がかなりつぶれ、変形性関節症を起こしている場合に、痛みを和らげ、運動能力を回復させる唯一の効果的な方法です。約95%の人で、股関節または膝関節の全置換術による便益が得られます( 人工股関節置換術を参照)。現代の技術と機器により、3カ月以内にほとんどの日常的な活動を再開できるようになり、ほとんどの人工関節は15~20年以上の耐久性があるはずです。

骨壊死がある若い患者では、後に人工関節を修正または交換しなければならないことがあります。したがって、一部の外科医は、若い患者の股関節の骨壊死に対する治療に、表面置換型人工股関節置換術と呼ばれる、より部分的な方法を選ぶことがあります。この方法では、標準的な人工股関節全置換術のように関節全体を置換するのではなく、大腿骨頭に金属製のカップをかぶせます。股関節の受け皿側も骨壊死を起こしている場合は、受け皿側にも金属製のカップを入れます。しかし、これらの手術は、局所的な合併症(関節やその周囲で起こる問題)や人工関節の不具合(置換した関節がうまく機能し続けられなくなる)が増えていることや、金属製のカップから剥がれ落ちた金属の粒子が血液や周囲の組織に入ることによる、長期的な副作用についての医師の懸念から、数年前と比較して行われることが減っています。

ときに、肩関節に手術以外の治療で軽くならない進行した骨壊死があり、痛みが極めて強い場合には、部分置換術または全置換術が必要になることがあります。

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