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原発性悪性骨腫瘍

執筆者:

Michael J. Joyce

, MD, Cleveland Clinic Lerner School of Medicine at Case Western Reserve University;


Hakan Ilaslan

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2017年 3月
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最初から骨に発生する腫瘍は原発性骨腫瘍と呼ばれます。原発性骨腫瘍には、がんではない良性腫瘍と、がんである悪性腫瘍があります。

(「骨の腫瘍の概要」と「がんの概要」も参照のこと。)

軟骨肉腫

軟骨肉腫は、軟骨のがん細胞からなる腫瘍です。この腫瘍は高齢者に起こる傾向があります。この腫瘍は骨盤や肩甲骨といった骨によくみられますが、どの骨のどの部分にも発生する可能性があり、骨の周囲の組織にも発生することがあります。軟骨肉腫の多くは、増殖が遅いか、悪性度が低く、すなわち他の一部の腫瘍と比べて転移する可能性は低くなります。しかし、なかには増殖が速かったり悪性度が高かったりして、転移しやすいものもあります。

軟骨肉腫を診断するために、医師はX線検査を行い、採取した組織サンプルを顕微鏡で調べます(生検)。骨シンチグラフィーも行われることがあります。

悪性度の低い軟骨肉腫は、さじ状の器具で削り取り(掻爬)、液体窒素、フェノール、骨セメント(メチルメタクリレート)またはアルゴンビームを用いて、骨に埋まった表面の腫瘍細胞を死滅させて、骨から除去します。悪性度の低い腫瘍は、ほぼすべてこうした外科的治療によって治癒します。

悪性度が高いか増殖が速い侵攻性の軟骨肉腫は、他の一部の腫瘍よりも転移する可能性が高い腫瘍です。これらは腫瘍を傷つけることなく手術で完全に切除しなければならず、腫瘍が傷つくと、腫瘍細胞が漏れ出すリスクがあります。腫瘍細胞が漏れ出すと、がんが再発します。

軟骨肉腫は、どの悪性度でも化学療法や放射線療法には反応しません。まれに、手術による患部の腕や脚の切断が必要になります。

脊索腫

脊索腫はまれですが、悪性で、脊柱の端部に発生する傾向があり、通常は脊椎底部(仙骨)や尾骨の中央部、または頭蓋底の近辺にみられます。仙骨や尾骨の脊索腫では、痛みがほぼ継続して発生します。頭蓋底の脊索腫は、頭蓋底の神経(脳神経)の問題を起こすことがあります。診断がつくまでに症状が数カ月から数年も続くことがあります。脊索腫は、通常は他の骨に転移することはありませんが、治療後に再発することがあります。

脊索腫を診断するために、医師はMRI(磁気共鳴画像)検査を行います。

仙骨や尾骨の脊索腫は、手術による切除で治癒する可能性があります。頭蓋底の脊索腫は通常、手術では治癒しませんが、放射線療法が一時的に腫瘍を縮小させ痛みに対して役立つことがあります。

骨のユーイング肉腫

ユーイング肉腫は、女性よりも男性に多い悪性腫瘍で、10~25歳の人に最も多く発生します。腕や脚に発生するケースがほとんどですが、どの骨にも発生する可能性があります。最もよくみられる症状は、痛みと腫れです。腫瘍が非常に大きくなり、その骨全体が侵されることもあります。腫瘍に大量の軟部組織が含まれていることもあります。

ユーイング肉腫を診断するために、医師はX線検査を行います。X線検査はある程度詳細を示すことができますが、MRI(磁気共鳴画像)検査は腫瘍の正確な大きさを測定するのに役立ちます。診断を確定するには、採取した組織サンプルを顕微鏡で調べます(生検)。

ユーイング肉腫の治療は、手術が可能かどうか、あるいは実行した場合に成功したかどうかに応じて、手術、化学療法、放射線療法を様々に組み合わせて行います。このような治療の組合せによるユーイング肉腫の治癒率は、60%以上です。

骨の線維肉腫と未分化多形肉腫

骨の線維肉腫と未分化多形肉腫(以前は骨の悪性線維性組織球腫として知られていた)は、骨肉腫と同じ年齢層の人に発生し、外観、発生部位、症状が骨肉腫に類似しています。これらの悪性腫瘍には、がんの骨組織ではなく、がんの線維組織(結合組織)をつくる細胞があります。

治療と生存率は骨肉腫の場合と同様です。

骨のリンパ腫

骨のリンパ腫(以前は細網肉腫と呼ばれていた)は、通常、40代と50代の人に発生する悪性腫瘍です。あらゆる骨で発生することがあり、体内の他の場所で発生し、骨髄にびまん性に広がることもあります。通常、この腫瘍によって、痛み、腫れ、軟部組織の蓄積が生じます。損傷した骨は骨折しやすくなります。

骨のリンパ腫を診断するために、医師はX線検査を行います。

骨のリンパ腫の治療は、通常は化学療法の組合せによって行われ、放射線療法が併用される場合もあり、手術による腫瘍の切除と同程度の効果があるようです。まれに切断手術が必要になります。骨折する可能性があると考えられる場合は、骨折を予防するために手術で骨を固定することもあります。

悪性巨細胞腫

悪性巨細胞腫はまれですが、通常は長管骨(腕や太ももの骨)の最端部にできます。典型的には痛みと腫れを引き起こします。

悪性巨細胞腫を診断するために、医師はX線検査を行います。

悪性巨細胞腫の治療は、骨肉腫の場合と同様ですが、治癒率は低いです。

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫(多発性骨髄腫も参照)は、最も多くみられる原発性悪性骨腫瘍で、主に高齢者に発生します。ただし、これは骨を形成する硬い組織ではなく、骨髄(骨の空洞内にある造血組織)に発生するがんです。したがって、通常は骨そのものではなく骨髄のがんとみなされます。これは、骨を形成する硬い組織のがんよりも多くみられます。

がんになった骨髄細胞は、骨の喪失を引き起こす物質を分泌します。骨量の減少は広い範囲にわたる場合もありますが、よくみられるのは骨のX線画像に打ち抜き像として現れる場合です。

多発性骨髄腫は、1つまたは複数の骨を侵し、そのため、痛みは1カ所の場合もあれば、数カ所に生じる場合もあります。1つの骨だけが1つの腫瘍に侵されている場合は、形質細胞腫と呼ばれます。複数の腫瘍があるか骨髄が広く侵されている場合は、多発性骨髄腫と呼ばれます。

多発性骨髄腫を診断するために、医師はX線検査を行います。また、血液検査も行われます。多発性骨髄腫の診断を確定するために、医師は骨髄細胞を採取して検査します。

多発性骨髄腫の治療は複雑で、化学療法や、放射線療法、ときには手術が行われます。

骨肉腫(骨原性肉腫)

骨肉腫は、原発性悪性骨腫瘍の中では2番目に多くみられる種類です。主に10~25歳の人に発生しますが、どの年齢の人にも発生する可能性があります。高齢者で、骨パジェット病患者の場合、骨に放射線照射を受けている場合、または壊死した骨の領域(骨梗塞)やその他の病気がある場合に、この腫瘍が発生することがあります。骨肉腫は通常、膝の関節内、またはその周囲に発生しますが、どの部位の骨からも発生する可能性があります。骨肉腫は、肺や他の骨に転移する傾向があります。通常は、腫瘍によって痛みと腫れが起こります。

X線検査をしますが、骨肉腫の診断には、組織サンプルを採取して顕微鏡で検査(生検)する必要があります。肺に転移したがんを検出するには、胸部X線検査と胸部のCT検査が必要であり、別の骨に転移したがんを検出するには、骨シンチグラフィーが必要です。

化学療法を受けがんが転移していない場合、骨肉腫患者の65%以上が診断されてから5年以上生存します。化学療法でほぼすべてのがんを破壊すると、5年以上生存する確率は90%以上になります。手術技術の向上により、通常は腕や脚を温存し再建することができます。過去には、病巣のある腕や脚を、しばしば切断しなければなりませんでした。

通常、骨肉腫の治療は、化学療法と手術を併用して行います。通常は、化学療法を最初に行います。多くの場合、この段階で痛みは治まります。次に、腫瘍を傷つけることのないようにしながら、腫瘍全体を切除します。腫瘍を傷つけると腫瘍細胞が漏れ出し、同じ領域にがんが再発する可能性があります。

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