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首の痛み

執筆者:

Peter J. Moley

, MD, Hospital for Special Surgery

最終査読/改訂年月 2018年 4月
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腰痛とともに、首の痛みは、外来受診の理由として非常に多いものの1つです。通常、これらの痛みは、筋骨格系の問題、つまり脊椎の骨(背骨、すなわち椎骨)やそれを支持する筋肉や靱帯など、脊椎に関係する問題から生じます。一部の病気では、首だけに痛みが生じます。首と腰に痛みが生じる病気もあります。ときとして、首の痛みは髄膜炎などの筋骨格系を侵さない病気の結果生じることがあります。

首は、その柔軟性のために、摩耗しやすく、むち打ち症のような頸部を過伸展させるけがが起こりやすい部位です。また首には、頭を支えるという非常に重要な役割があります。姿勢が悪いと、頭を支えることがより困難になります。したがって、首の痛みも腰痛 と同じくよくみられ、加齢とともにますます多くみられるようになります。首の前部の痛みについては、 のどの痛みを参照してください。

脊椎の首の部分(頸椎)は、7個の背骨(椎骨)で構成され、椎骨の間はゼリー状の物質と軟骨でできた椎間板で分けられています。頸椎の中には、脊髄が収容されています。脊髄に沿って、脊髄神経が椎骨同士の間から出て、全身の神経とつながっています。脊髄神経の脊髄に最も近い部分が脊髄神経根です。首の筋肉と靱帯が脊椎を支えています。

首の痛みには、骨、筋肉、椎間板、靱帯の損傷が関与していることがありますが、神経や脊髄の損傷が原因で痛みが起こることもあります。脊椎が損傷すると脊髄神経根が圧迫されることがあり、その結果、腕に痛みとときに筋力低下、しびれ、チクチク感が起こります。脊髄が圧迫されると、両腕と両脚のしびれや筋力低下、ときに尿失禁便失禁が起こることがあります。

原因

腰痛の原因となる病気の大部分は、首の痛みの原因にもなり、そのほとんどで脊椎、脊椎を支える組織、またはその両方が侵されます。

一般的な原因

首の痛みの最も一般的な原因は以下のものです。

  • 筋肉の挫傷と靱帯のねんざ

通常、この場合の首の痛みは完全に消失します。

その他の一般的な原因としては以下のものがあります。

頸部の筋肉のけいれんはよくみられ、けがの後に自然に発生することがあり、軽微なけがの場合でも可能性があります。

頸椎症では、頸部の椎骨とその間の椎間板が変性し、通常、変形性関節症がその原因です。その結果、椎骨から出る神経が締めつけられることがあります。ときとして脊柱管が狭くなり(頸部脊柱管狭窄症)、脊髄が圧迫されることがあります。

頸部脊柱管狭窄症は、脊柱管の中が狭くなる病気です。頸椎ではこれによって硬膜嚢、脊髄(よくみられる)、神経根が圧迫されます。通常の原因は、変形性関節症、椎間板の変性、首の軟部組織の肥厚が組み合わさったものです。

それぞれの椎骨の間にある椎間板は、丈夫な外殻と軟らかいゼリー状の中身から構成されています。椎間板が上下の椎骨に突然強く圧迫されると、外殻が裂けて(破裂して)痛みが起こることがあります。椎間板の中身がその裂け目から飛び出す(ヘルニアになる)ことがあります( 椎間板ヘルニア)。この飛び出た椎間板は、隣接する脊髄神経根を圧迫し、さらに損傷することがあります。まれに、椎間板が脊髄を圧迫します。

線維筋痛症は、痛み(ときに首の痛みを含む)の一般的な原因です。この病気は、頸部以外の場所の筋肉や他の軟部組織に慢性の広範囲にわたる痛みを引き起こします。

あまり一般的でない原因

あまり一般的でない原因で、重篤なものには、以下のものがあります。

  • 頸部の動脈の内層の裂け目(解離)

  • 脊髄の腫瘍または感染症

  • 心臓発作、または狭心症(心筋への血液供給不足による胸痛)

けい性斜頸もあまり一般的でない原因ですが、一部の原因ほど重篤ではありません。これは重いタイプの筋肉のけいれんで、頭部が異常な位置に傾いたり、回転したりします。ときとして、けいれんはリズミカルに起こり、頭部が小刻みにふるえることがあります。原因は不明なこともあれば、特定の薬や遺伝性疾患の場合もあります。

評価

以下では、医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。評価の際に、医師はまず重篤な病気がないか確認します。

警戒すべき徴候

首の痛みのある患者では、特定の徴候があれば注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 腕や脚の筋力低下または感覚低下—神経の損傷の症状である可能性

  • 発熱

  • 寝汗

  • 頭痛

  • 嗜眠または錯乱

  • 胸の不快感

  • 突然の発汗または呼吸困難

  • 痛みが運動で誘発されるか運動中にひどくなる

受診のタイミング

警戒すべき徴候があったり、ものを飲み込むのが難しかったり痛みを伴ったりする場合は、すぐに受診するべきです。警戒すべき徴候がなく、ひどい痛みがある場合は(特に痛みがアセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬[NSAID]で治まらない場合)、およそ1日以内に受診するべきです。それ以外の患者は、数日間受診を待ったり、主治医に電話して、どの程度すぐに受診する必要があるか話し合ったりすることができます。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問します。次に身体診察を行います。病歴と診察所見から、多くの場合、原因と必要な検査が推測できます( 首の痛みの主な原因と特徴)。

身体診察では、脊椎と神経系に重点を置き(神経学的診察)、神経根や脊髄の圧迫の徴候を探します。神経根の圧迫の徴候には、筋力低下、反射の異常(肘や手首の周辺の腱を軽くたたいて検査します)、頭部以外の体の部分的な感覚低下、尿が出ない尿失禁便失禁などがあります。患者に首を特定の方法で動かしてもらうこともあります。

痛みについての情報や患者の病歴、身体診察の結果から、以下のように、医師は最も可能性の高い原因を判断できることがあります。

  • 筋力低下や感覚低下は、頸椎から出ている脊髄や神経が損傷していることを示唆している可能性があります。

  • 通常、首の前方か左右片側の痛みは、脊髄の問題を原因として起こることはありません。

  • 通常、腕に放散する痛みは、脊髄神経根の圧迫を伴う頸椎の椎間板ヘルニアや頸椎症によって生じます。

  • 痛みがずっと続き、ひどい痛みで、だんだん悪化していき、安静にしても軽減しない場合、特に痛みで夜眠れず発汗を伴う場合は、がんまたは感染症が疑われることがあります。

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首の痛みの主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査

一般的であるもののあまり重篤ではない原因

以下のことに当てはまる痛み

  • 通常は脊椎の左右どちらか片側に起こる

  • 動かすとひどくなり、安静にしていると和らぐ

医師の診察

筋肉のけいれん

絶え間ない痛みとこわばり、それにより頭部を左右どちらか(ときに両方向)に回すのが困難か、痛みを伴う

神経系の機能異常の症状(神経症状)はない

医師の診察

変形性関節症(脊髄神経根の圧迫は伴わない)

以下のことに当てはまる痛み

  • ときとして絶え間なく続く

  • 動かすとひどくなる

手の指の関節や股関節、膝関節に関節炎がある人にしばしばみられる

医師の診察

ときに頸部のX線検査

頸椎症(脊髄神経根の圧迫を伴う)

以下のことに当てはまる痛み

  • しばしば腕へ、ときに手へと広がる

  • 通常は頸部そのものに起こる

ときに腕の筋力低下やしびれ

頸部のMRI検査

椎間板ヘルニア(一般的に脊髄神経根の圧迫を伴う; 椎間板ヘルニア

上の頸椎症と同じ

頸部のMRI検査

体の多数の部位(首だけに限らない)にみられる、うずくような痛みとこわばり

触れると痛みを感じる部位がある

よく眠れないことが多い

20~50歳の女性に最も多くみられる

医師の診察

一般的でないものの重篤な原因

首の動脈の内層が裂けている

通常は絶え間なく続く頭部、頸部、または顔面の痛み

平衡感覚や味覚の喪失、錯乱、体の左右片側にみられる腕と脚の筋力低下、嚥下困難、発声困難、視力障害など、通常は神経症状がみられる

MRA検査(首の動脈を見えるようにするための造影剤の注入を伴うMRI検査)

血管造影検査

脊椎の骨腫瘍

姿勢や動作にかかわらず、だんだんひどくなる絶え間ない痛み(夜間にも続く)

ときに寝汗または体重減少

MRI検査

ときに生検

骨や近くの組織の感染

姿勢や動作にかかわらず、だんだんひどくなる絶え間ない痛み(夜間にも続く)

ときに寝汗や発熱、体重減少

MRI検査

通常は感染組織のサンプルの培養検査

重度の頭痛

首の痛みが首を前に曲げたときに悪化するが、横にひねったときには悪化しない

通常は発熱や嗜眠、錯乱

腰椎穿刺と髄液の分析

突然でときに繰り返す発汗、呼吸困難、胸の不快感

通常は心疾患の危険因子がある

心電図検査、心臓の損傷をチェックするために心筋マーカーと呼ばれる物質を測定する血液検査、心臓カテーテル検査や負荷試験などの画像検査

*この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。

MRA = MRアンギオグラフィー、MRI = 磁気共鳴画像。

検査

大半の首の痛みはねんざや挫傷が原因で、これらは一般的に診察結果に基づいて診断できるため、しばしば検査は必要ありません。通常、検査は他の特定の病気が疑われる場合に行われます( 首の痛みの主な原因と特徴)。

筋力低下やしびれなど、神経系の機能異常の症状(神経症状)がみられる場合は、通常はMRI(磁気共鳴画像)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査が行われます。軟部組織(椎間板や神経など)については、CT検査よりMRI検査の方が鮮明な画像が得られます。CT検査では、単純X線検査よりも優れた骨の画像が得られます。しかしながら、よくみられる骨の異常(関節炎など)を単純X線検査で特定できることが多いため、そうした異常が疑われる場合は、最初にX線検査が行われることもあります。

ときに、神経根の圧迫の可能性を評価するために、筋電図検査や神経伝導検査が行われることがあります。

治療

具体的な病気を治療します。例えば、脊髄や脊髄神経が圧迫されている場合は、手術が必要になることがあります。

ほとんどの場合、原因はねんざや挫傷などの筋骨格系の損傷で、痛みを和らげるためにアセトアミノフェンやNSAIDなどの市販の鎮痛薬を使うだけで十分です。症状は通常完全に治ります。炎症が痛みの原因ではない場合(ねんざや挫傷といったけがの場合など)、アセトアミノフェンの方がNSAIDよりも安全だと考えられているため、通常はアセトアミノフェンが勧められます。氷冷や加温も役立つことがあります( 痛みと炎症の治療)。患者は首に負担がかからない立ち方、座り方、寝方を教わります。

症状を悪化させる行動、例えば長時間座り続けること(特にコンピュータや電話などの電子機器を使いながら)などを避けると役に立つことがあります。立ったり座ったり、寝たり、あらゆる行動の際に、姿勢を良くし、身体力学を正しく使うことが重要です。横向きの姿勢で眠る人は、枕で頭を支えて頭と首がまっすぐになるようにします(ベッドの方や天井の方に傾かないようにします)。あお向けの姿勢で眠る人は、枕で首と頭が高くなりすぎないように支えます。うつ伏せで眠るのは避けるべきです。医師や理学療法士が、ストレッチ運動と筋力強化運動(背中の上部を鍛える運動など)を推奨することがあります。

さらなる痛みの緩和が必要な場合、医師はオピオイド鎮痛薬を処方することがありますが、処方された場合、オピオイドの使用は短期間だけにするべきであり、長期間の使用は逆効果となることがあり、痛みに対する感度が高まってしまいます。ときにカリソプロドール、シクロベンザプリン(cyclobenzaprine)、ジアゼパム、メタキサロン(metaxalone)、メトカルバモールなどの筋弛緩薬が使用されますが、その有用性については意見が分かれています。筋弛緩薬は、高齢者では副作用が起こりやすく、勧められません。

片方の腕に放散する痛みがあり、神経の損傷による症状(腕や脚の筋力低下など)がある場合、より強力な治療が必要になることがあります。牽引が役に立ちます。コルチコステロイド(経口投与、ときに硬膜外注射)が症状を軽減するために用いられています。重度の筋力低下や痛みがある場合は手術が必要になることがあります。椎間板切除術と固定術が最も一般的な治療法です。成功率は、保存的治療か手術のどちらかを受けた患者で比較的高くなっています。手術は短期的な症状の緩和については優れており、1年経過後の結果は同じです。

けい性斜頸では、理学療法やマッサージにより、ときにけいれんを一時的に止められることがあります。経口薬または注射薬(抗てんかん薬のカルバマゼピンや、クロナゼパムのような一部の穏やかな鎮静薬など)により、通常は痛みを軽減できます。ただし、薬でけいれんを抑えられるのは多くとも全患者の3分の1に過ぎません。痛みがひどい場合や、姿勢がゆがんでいる場合は、ボツリヌス毒素(筋肉を麻痺させるのに使用する細菌毒素)を患部の筋肉に注射することがあります。

要点

  • 大半の首の痛みは、ねんざや挫傷が原因で、完全に消失します。

  • 腰痛の原因となる病気の大部分は、首の痛みの原因にもなります。

  • しびれや腕や脚の筋力低下など、警戒すべき徴候がみられる人は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

  • 大半の首の痛みは、市販の鎮痛薬や行動の修正で軽減できます。

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