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線維筋痛症

(筋筋膜痛症候群、結合組織炎、線維筋炎)

執筆者:

Joseph J. Biundo

, MD, Tulane Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 4月
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線維筋痛症は、睡眠不足や疲労、意識障害のほか、軟部組織(筋肉、腱、靱帯など)に広がる、うずくような痛みとこわばりを特徴とします。

  • 睡眠不足、ストレス、挫傷、けが、場合によってはある種の性格上の特性によって、線維筋痛症のリスクが高まる可能性があります。

  • 痛みは広範囲にわたり、体の特定の部分を触ると圧痛があります。

  • 線維筋痛症の診断は、確立された基準と広範囲に及ぶ痛みや疲労などの症状に基づいて下されます。

  • 睡眠の改善、痛み止めの使用、運動、患部を温めること、マッサージが役に立つことがあります。

この病気は、以前は結合組織炎または線維筋炎症候群と呼ばれていました。しかし、炎症は存在しないため、「炎」は除かれて、線維筋痛症という名称になりました。

線維筋痛症はよくみられます。女性のほうが男性の約7倍多くみられます。通常は若い女性や中年の女性にみられますが、男性、小児、青年にも起こることがあります。

線維筋痛症は、危険な病気ではなく、生命を脅かす病気でもありません。しかしそれでも、長引く症状によって生活に大きな支障をきたすことがあります。

原因

線維筋痛症の患者は、痛みに対する感度が高くなっていると考えられます。つまり、患者でない人と比べて、脳の痛みを処理する部分が、痛みの感覚をより強く解釈しています。通常、線維筋痛症の原因は不明です。しかし、ある種の状態が、この病気を発症する一因となることがあります。要因として、睡眠不足、酷使等による繰り返しの体への負担、けがなどがあります。精神的ストレスが一因となることもあります。しかし、ストレス自体は問題ではないかもしれません。むしろ、そのストレスに患者がどう反応するかが問題となっている可能性があります。

一部の患者には、さらに 関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチは炎症性関節炎の1つで、関節(普通は手足の関節を含む)が炎症を起こし、その結果、関節に腫れと痛みが生じ、しばしば関節が破壊されます。 免疫の働きによって、関節と結合組織に損傷が生じます。 関節(典型的には腕や脚の小さな関節)が痛くなり、起床時やしばらく動かずにいた後に、60分以上持続するこわばりがみられます。 発熱、筋力低下、他の臓器の損傷が起こることもあります。... さらに読む 関節リウマチ(RA) 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 血算と自己免疫抗体の有無を調べる検査を行います。 活動性の全身性エリテマトーデスでは、コルチコステロイドやその他の免疫の働きを抑制する薬がしばしば必要となります。 全身性エリテマトーデスの患者の約70~90%は、妊娠可能な年齢の女性ですが、小児(... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) のような、結合組織疾患がみられることがあります。ときにはウイルス感染症や、それ以外の感染症( ライム病 ライム病 ライム病の原因はライム病ボレリア Borrelia burgdorferiという細菌で、通常はシカダニを介して人に感染します。 ほとんどの人は、ライム病がみられる山間地域での野外活動中に感染します。 通常は、大きな赤い斑点が咬まれた場所に現れ、ゆっくりと大きくなります。周囲にいくつか赤い輪ができることがよくあります。 ライム病を治療しないと、発熱、筋肉痛、関節の腫れが生じ、最終的には脳や神経の機能不全に関連する症状が起こります。... さらに読む ライム病 など)、トラウマになる出来事が線維筋痛症の引き金になることがあります。

症状

ほとんどの患者は、全身のうずき、こわばり、痛みを感じます。症状は全身に生じることがあります。どの軟部組織(筋肉、腱、靱帯など)も侵されることがあります。ただし、頸部、肩の上部、胸、胸郭、腰、太もも、腕、特定の関節の周辺の軟部組織が、特に痛みを起こしやすい部分です。それほど多くはありませんが、脚の膝から下、手、足に、痛みやこわばりがみられます。症状は断続的に起こる(再燃する)か、ほとんど常にみられます(慢性)。

痛みは強いこともあります。通常、痛みは疲労、緊張、使いすぎによって悪化します。特定の筋肉の領域が、指先で強く押すと圧痛を感じることがよくあります。このような領域を圧痛点と呼びます。再燃の際には、筋肉が硬くなったり、けいれんを起こすことがあります。

多くの患者は、熟睡できずに不安を感じ、ときに抑うつや緊張を感じます。集中力の低下や意識障害の全体的な感覚などの精神的な問題の場合と同様に、疲労がよくみられます。この病気の患者の多くが、完全主義者かA型気質です。さらに、 片頭痛 片頭痛 片頭痛は、中等度から重度の、脈打つような痛みやズキズキする痛みで、頭の片側または両側に生じます。身体活動、光、音、匂いなどによって悪化し、吐き気や嘔吐を伴ったり、音、光、匂いに過敏になったりします。 片頭痛は、睡眠不足、天候の変化、空腹、感覚への過度の刺激、ストレス、その他の要因が引き金となって発生します。 身体活動、光、音、または匂いによって悪化することがあります。 医師は典型的な症状に基づいて診断します。... さらに読む 緊張型頭痛 緊張型頭痛 緊張型頭痛は、通常は軽度から中等度の痛みで、頭がベルトで締めつけられるような感じがします。 あごや首の痛みが緊張型頭痛の引き金になることがあります。 頭痛の頻度は、月に数日のこともあれば、より多いこともあります。 診断は症状と身体診察の結果に基づいて下されますが、他の病気の可能性を否定するために画像検査を行うこともあります。 鎮痛薬、リラクゼーション、ストレス管理法などが役立つこともあります。 さらに読む 間質性膀胱炎 間質性膀胱炎 間質性膀胱炎は感染によらない膀胱炎です。 間質性膀胱炎では、痛みが膀胱の上部、骨盤内、下腹部に起こり、頻尿と尿意切迫が起き、ときに尿失禁もみられます。 内視鏡(観察用の柔軟な管状の機器)で膀胱の内部を観察し(膀胱鏡検査)、膀胱の生検を行う必要があります。 治癒が得られる治療法はありませんが、食事と排尿習慣の改善、痛みを軽減する薬、ペントサンにより症状を緩和することはできます。... さらに読む (排尿時に痛みを伴うタイプの膀胱の炎症)、 過敏性腸症候群 過敏性腸症候群(IBS) (便秘、下痢、腹部不快感、腹部膨満などのいくつかを伴う)もみられることがあります。チクチクする感じを覚えることがあり、典型的には体の両側で感じます。

線維筋痛症の発症の一因となっている状況は、症状を悪化させる状況でもあります。それらには、精神的ストレス、睡眠不足、けが、疲労などがあります。症状が重篤な病気の表れではないかとおそれることでも、症状が悪化する場合があります。医師、家族、友人にこの病気が「すべて気持ちの問題」だとほのめかされることでも、症状が悪化することがあります。患者は気分が悪いにもかかわらず「具合が良さそうに見える」としばしば言われるため、いらだちを感じることもあります。

診断

  • 確立された基準

  • 医師による診察と、他の病気の可能性を否定するための検査

以下の事象がみられる患者で線維筋痛症を疑います。

  • 全身の痛みおよび圧痛

  • 広範囲に及ぶ症状にもかかわらず臨床検査の陰性結果

  • 主な症状としての疲労

広範囲に及ぶ痛みが3カ月以上ある患者で線維筋痛症の診断を考慮します(特に疲労など様々な他の身体症状が伴う場合)。体の左側と右側、ウエストより上と下と、脊椎の1番上、胸壁か脊椎のなかほど、または腰に痛みがある場合に、痛みが広範囲であるとみなされます。

過去には、特定の18カ所の圧痛点のうちいくつかに圧痛があるということも踏まえて診断が下されていました。しかし現在では、圧痛点の数よりも、典型的な症状(特に広範囲の痛み)があることの方が重要であると考えられています。

医師は、別の病気( 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの分泌が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 (甲状腺の概要も参照のこと。) さらに読む 甲状腺機能低下症 リウマチ性多発筋痛症 リウマチ性多発筋痛症 リウマチ性多発筋痛症では、関節の内側に炎症が起こり、頸部、背中、肩関節、股関節の筋肉に激しい痛みとこわばりが生じます。 原因は不明です。 頸部、肩関節、股関節にこわばりと痛みを感じます。 血液検査や、ときには筋肉の生検が診断に役立ちます。 コルチコステロイドであるプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)を服用すると、大部分の患者で劇的な改善がみられます。 さらに読む 、その他の筋肉の病気など)によって症状が起きていないことを確認しようとしますが、これは多くの場合、血液検査で調べます。しかし、線維筋痛症の診断を確定できる検査はありません。

関節リウマチや全身性エリテマトーデスのある人では、これらの病気が疲労や筋肉や関節の痛みなど、線維筋痛症の症状に似た症状を引き起こすため、線維筋痛症が簡単には認識されない場合があります。

予後(経過の見通し)

線維筋痛症は、慢性である傾向がありますが、ストレスが減少すると、自然に回復することがあります。適切な治療を行った場合でも、大部分の患者では症状がある程度残ります。

治療

  • ストレッチ、温熱療法、マッサージ

  • ストレスの管理

  • 睡眠を改善する薬

  • 痛みを緩和する薬

適切に治療すると楽になります。通常、最も役に立つ対策としては、以下のものがあります。

睡眠の改善

睡眠の改善が不可欠です。例えば、夜はカフェインやその他の刺激物の摂取を控え、静かな暗い部屋で快適な寝具を使用して眠るようにします。ベッドで飲食したり、テレビを観るべきではありません。

医師は低用量の 三環系抗うつ薬 抗うつ薬 基礎疾患を治療することで、痛みを解消したり最小限に抑えたりできるケースがあります。例えば、骨折をギプスで固定することや、感染を起こした関節に抗菌薬を投与することは、鎮痛に役立ちます。しかし、痛みの基礎疾患が治療可能な場合でも、痛みに速やかに対処するために痛み止め(鎮痛薬)が必要になる場合もあります。 医師が鎮痛薬を選択する際、痛みのタイプと持続期間、それぞれの鎮痛薬の便益とリスクを考慮します。ほとんどの鎮痛薬は侵害受容性疼痛(通常の組織... さらに読む を処方することがあります。この種の薬は、就寝の1時間か2時間前に服用し、抑うつ状態の改善のためというよりも、睡眠の質を改善するという目的でのみ使用します。具体的には、トラゾドン、アミトリプチリン、ノルトリプチリンなどがあります。筋弛緩薬のシクロベンザプリン(cyclobenzaprine)も睡眠の助けになります。三環系抗うつ薬と同様に、シクロベンザプリン(cyclobenzaprine)も就寝時にのみ服用します。通常、これらの薬は、鎮静薬よりも安全です(鎮静薬のほとんどは依存を引き起こす可能性があります)。ただし、三環系抗うつ薬とシクロベンザプリン(cyclobenzaprine)には眠気や口腔乾燥などの副作用があり、特に高齢者でこのような副作用がみられます。就寝時以外にこれらの薬を服用すると、日中の眠気が生じることがあります。

痛みの緩和

鎮痛薬( アセトアミノフェン アセトアミノフェン 基礎疾患を治療することで、痛みを解消したり最小限に抑えたりできるケースがあります。例えば、骨折をギプスで固定することや、感染を起こした関節に抗菌薬を投与することは、鎮痛に役立ちます。しかし、痛みの基礎疾患が治療可能な場合でも、痛みに速やかに対処するために痛み止め(鎮痛薬)が必要になる場合もあります。 医師が鎮痛薬を選択する際、痛みのタイプと持続期間、それぞれの鎮痛薬の便益とリスクを考慮します。ほとんどの鎮痛薬は侵害受容性疼痛(通常の組織... さらに読む 非ステロイド系抗炎症薬 非オピオイド鎮痛薬 基礎疾患を治療することで、痛みを解消したり最小限に抑えたりできるケースがあります。例えば、骨折をギプスで固定することや、感染を起こした関節に抗菌薬を投与することは、鎮痛に役立ちます。しかし、痛みの基礎疾患が治療可能な場合でも、痛みに速やかに対処するために痛み止め(鎮痛薬)が必要になる場合もあります。 医師が鎮痛薬を選択する際、痛みのタイプと持続期間、それぞれの鎮痛薬の便益とリスクを考慮します。ほとんどの鎮痛薬は侵害受容性疼痛(通常の組織... さらに読む [NSAID]など)や、ときにトラマドールが役に立ちます。オピオイドは、依存を引き起こす可能性があり、使い続けるにつれて効果が弱くなるため、線維筋痛症の治療では避けるべきです。

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