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滑液包炎

執筆者:

Joseph J. Biundo

, MD, Tulane Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 4月
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概要
本ページのリソース

滑液包炎は、滑液包(液体で満たされた平らな袋で、皮膚、筋肉、腱、靱帯と骨がこすれる部分で衝撃を吸収します)の痛みを伴う炎症です。

  • 動かすと通常は痛みがあり、皮膚に近い位置にある滑液包に炎症が起こると、腫れて圧痛がみられることがあります。

  • 滑液包の周囲に痛みがあれば、滑液包炎の診断が示唆されますが、滑液包から抜きとった滑液の分析や画像検査が必要な場合があります。

  • 通常、安静、副子(固定具)の使用、非ステロイド系抗炎症薬の投与、ときにはコルチコステロイドの注射で、症状は緩和されます。

滑液包は、正常であれば中に少量の液体が入っており、それがクッションの役割を果たしています。滑液包は、ある構造が別の構造にこすれる際に起こる摩擦を減らし、すり減るのを防いでいます。一部の滑液包は皮膚のすぐ下にあります(表在性の滑液包)。筋肉や腱の下にあるものもあります(深在性の滑液包)。けがをしたり使いすぎたりすると、滑液包が炎症を起こして、中に余分な体液がたまることがあります。

滑液包炎の通常の原因は以下のものです。

  • 異常な使われ方または使いすぎによる刺激

けが、痛風 痛風 痛風は、尿酸の血中濃度が高いこと(高尿酸血症)が原因で、尿酸の結晶が関節に沈着し蓄積する病気です。結晶が蓄積することで、関節とその周辺に痛みのある炎症の発作が起きます。 尿酸結晶が蓄積すると、関節や組織に激しい痛みや炎症が断続的に起こることがあります。 医師は関節から関節液を採取し、尿酸結晶の有無を調べます。... さらに読む 痛風 偽痛風 ピロリン酸カルシウム関節炎 ピロリン酸カルシウム関節炎(以前は偽痛風と呼ばれていた)は、ピロリン酸カルシウム二水和物の結晶が関節の軟骨に沈着することで生じる病気で、痛みを伴う間欠的な関節炎の発作、または関節リウマチに似た慢性関節炎が起こります。 結晶が、関節液や関節の軟骨に蓄積して、様々な程度の炎症や組織の損傷を起こします。 偽痛風の診断は、関節液中にピロリン酸カルシウムの結晶が見つかると確定します。 治療には、非ステロイド系抗炎症薬を用い、ときにコルチコステロイ... さらに読む 関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチは炎症性関節炎の1つで、関節(普通は手足の関節を含む)が炎症を起こし、その結果、関節に腫れと痛みが生じ、しばしば関節が破壊されます。 免疫の働きによって、関節と結合組織に損傷が生じます。 関節(典型的には腕や脚の小さな関節)が痛くなり、起床時やしばらく動かずにいた後に、60分以上持続するこわばりがみられます。 発熱、筋力低下、他の臓器の損傷が起こることもあります。... さらに読む 関節リウマチ(RA) 、一部の感染症(特に黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusによるもの)などが原因で起こることもあります。滑液包炎の原因は、多くの場合不明です。

滑液包炎が最も起こりやすい部位は肩関節ですが、肘、股関節(転子部滑液包炎)、骨盤、膝、足の指、かかと(アキレス腱滑液包炎 アキレス腱の滑液包炎 アキレス腱の滑液包炎は、液体で満たされた袋(滑液包)の炎症で、かかとの後方の皮膚とアキレス腱の間の滑液包(アキレス腱後方の滑液包炎)か、アキレス腱がかかとの骨に正面側で付着する部分の滑液包(アキレス腱前方の滑液包炎または果後部の滑液包炎)に起こるものです。 典型的な症状としては、腫れ、熱感、痛み、かかと後方の圧痛などがあります。 診断は、症状と診察結果のほか、ときにX線検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む )にもよく起こります。通常、肩関節の滑液包炎の患者では、肩関節周辺の腱の炎症がみられます(肩腱板腱炎 肩腱板腱炎 腱炎とは、腱の炎症です。腱鞘炎(腱鞘滑膜炎)は、腱の周りを保護している被膜(腱鞘)の炎症を伴う腱炎です。 原因は必ずしも分かるわけではありません。 腱が痛み、特に動かすと痛みを伴い、ときには腫れることがあります。 通常、診断は症状と身体診察の結果に基づいて下されます。 副子の使用、患部を温めること、または冷やすこと、非ステロイド系抗炎症薬の服用が役に立ちます。 さらに読む —肩関節を動かし、回旋させ、一定の位置に保持する腱などの構造を肩腱板と呼んでいます)。

症状

通常、滑液包炎は痛みを引き起こし、動きを制限する傾向がありますが、具体的な症状は炎症を起こした滑液包の位置によって異なります。例えば、肩の滑液包が炎症を起こすと、体の横から腕を上げる動作(ジャケットを着るときのような動作)をすると痛みがあり、腕を上げにくくなります。一方、肘に起こる滑液包炎では腫れが生じますが、不快感がほとんどないか、まったくないこともあります。

急性の滑液包炎は数時間ないし数日かけて発生します。炎症を起こしている部位を動かしたり触ったりすると、通常は痛みます。膝や肘のように滑液包が皮膚の表面付近に位置する場合、その上の皮膚が赤く腫れて見えることがあります。感染症や痛風 痛風 痛風は、尿酸の血中濃度が高いこと(高尿酸血症)が原因で、尿酸の結晶が関節に沈着し蓄積する病気です。結晶が蓄積することで、関節とその周辺に痛みのある炎症の発作が起きます。 尿酸結晶が蓄積すると、関節や組織に激しい痛みや炎症が断続的に起こることがあります。 医師は関節から関節液を採取し、尿酸結晶の有無を調べます。... さらに読む 痛風 が原因で起こる急性の滑液包炎は、特に痛みが強いことがあり、炎症を起こしている部位が赤くなって熱をもつことがあります。

慢性の滑液包炎は、急性の滑液包炎が繰り返したり持続したりすること、または損傷が繰り返されることが原因で起こります。ときには滑液包の壁が厚くなることがあります。損傷を受けた滑液包に異常な運動や緊張が起こると、炎症が悪化する傾向があります。痛みや腫れが長期間続くと関節を動かしにくくなり、筋力が低下します。慢性の滑液包炎の再燃は、数カ月続き、頻繁に繰り返すことがあります。

診断

  • 医師による評価

  • ときに滑液包の体液の検査

  • ときに画像検査

医師は、皮膚の近くにある滑液包の周囲を触ると痛む場合や、深い位置にある滑液包を動かしたりそれを圧迫したりするような特定の関節の動きに痛みを伴う場合に、滑液包炎を疑います。

皮膚に近い滑液包(特に膝や肘の滑液包)が明らかに腫れている場合、医師は針で滑液包から体液のサンプルを採取することがあります。サンプルを検査し、炎症の原因(感染症や痛風など)がないか調べます。

MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるような強力な磁場の中に置かれると、磁場... さらに読む MRI(磁気共鳴画像)検査 超音波検査 超音波検査 超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を用いて内臓などの組織の画像を描出する検査です。プローブと呼ばれる装置で電流を音波に変換し、この音波を体の組織に向けて発信すると、音波は体内の構造で跳ね返ってプローブに戻ります。これは再度、電気信号に変換されます。コンピュータが、この電気信号のパターンをさらに画像に変換してモニター上に表示するとともに、フィルムやビデオテープに記録するか、コンピュータ上のデジタル画像として記録します。超音波検査では... さらに読む 超音波検査 は、深部にある滑液包炎の診断確定に役立てるために用いることがあります。

治療

  • 痛み止め、抗炎症薬、安静

  • 痛風や感染症があればその治療

  • ときにコルチコステロイドの注射

急性の滑液包炎は、感染症が原因でなければ、通常は以下の方法で治療します。

ときには強力な痛み止めが必要になる場合もあります。しばしば、局所麻酔薬とコルチコステロイドを滑液包に直接注射することがあり、特に肩の滑液包炎に対して行います。この治療によって、注射後数日で症状が緩和されることがよくあります。この注射は、数カ月後に再度行わなければならない場合があります。滑液を針で取り除くことも痛みの緩和に役立つことがあります。

重い急性の滑液包炎の患者には、プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドを数日間経口投与することがあります。痛みが治まると、関節の可動域を広げるための特別な運動ができるようになります。

慢性の滑液包炎では、感染症によって引き起こされたものでなければ同様の治療が行われますが、安静と患部の固定はそれほど役に立ちません。まれに、滑液包を取り除く手術が行われることもあります。

感染している滑液包は排膿する必要があり、また適切な抗菌薬(しばしば黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusに有効なもの)を投与します。

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