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痛風

執筆者:

Brian F. Mandell

, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

医学的にレビューされた 2020年 10月
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やさしくわかる病気事典
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痛風は、尿酸の血中濃度が高いこと(高尿酸血症)が原因で、尿酸の結晶が関節に沈着し蓄積する病気です。結晶が蓄積することで、関節とその周辺に痛みのある炎症の発作が起きます。

  • 尿酸結晶が蓄積すると、関節や組織に激しい痛みや炎症が断続的に起こることがあります。

  • 痛風性関節炎の診断を確定するために、医師は関節から関節液を採取し、尿酸結晶の有無を調べます。

  • 発作による炎症や痛みを軽減する薬を投与し、また、別の薬を使用して(通常は生涯にわたって使用します)、尿酸の血中濃度を低下させることで、時間とともに尿酸の沈着を減らし発作の再発を防ぎます。

痛風は、女性よりも男性に多く発生します。通常は中年期の男性と閉経後の女性に発生します。若い人ではまれですが、30歳未満で発症した場合は比較的重症の場合が多くみられます。

痛風は、尿酸の血中濃度が高いこと(高尿酸血症)を原因として起こり、しばしば遺伝します。

メタボリックシンドローム メタボリックシンドローム メタボリックシンドロームは、腹部脂肪の過剰による大きいウエスト周囲長、高血圧、インスリンの作用への反応低下(インスリン抵抗性)または糖尿病、血液中のコレステロールなどの脂肪の異常な値(脂質異常症)を特徴とします。 腹部脂肪の過剰は 高血圧、 冠動脈疾患、 2型糖尿病のリスクを高めます。... さらに読む の人は、尿酸の血中濃度が高い傾向があります。メタボリックシンドロームの特徴は、ウエストが太いこと(過剰な腹部の脂肪が原因)、血圧が高いこと、インスリンの作用が効きにくい(インスリン抵抗性といいます)または血糖値が高いこと、血液中のコレステロールや他の脂肪の値が高いことです。

原因

尿酸の血中濃度が、異常に高くなる原因は、以下の通りです。

  • 腎臓での尿酸排泄の低下(最も一般的な原因)または消化器系での尿酸排泄の低下

  • プリン体を多く含む食べものやアルコールの過剰摂取(通常は比較的小さい要因)

  • 尿酸の過剰産生(まれ)

最も多いのは、腎臓が尿酸を尿に十分に排泄できず、尿酸の血中濃度が異常に高くなるケースです。これが原因となるかは通常、遺伝子によって決まります。血液中の尿酸が過剰になると、尿酸結晶が形成され、関節やその周辺に沈着します。腎臓が尿酸を排泄する能力を障害することがある状態には、以下のものもあります。

  • 一部の腎疾患

  • 特定の薬

  • 鉛中毒

プリン体を多く含む食品(肝臓、腎臓、アンチョビ、アスパラガス、コンソメ、ニシン、グレービーソースやブイヨン、キノコ類、ムール貝、イワシ、子牛や子羊の胸腺や膵臓など)を食べすぎると、尿酸の血中濃度が上昇することがあります。しかしながら、厳格な低プリン食にしても尿酸値は少ししか下がりません。過去の肉や魚が乏しかった時代には、痛風は、裕福な人々の病気と考えられていました。

プリン体を多く含む食事をアルコールや特に高果糖コーンシロップを含む飲みものと一緒に摂取すると、そのような飲みものはすべて尿酸の生成を促進し尿酸を排泄する腎臓の働きを妨げるため、事態が悪化します。

理由は不明ですが、尿酸の血中濃度が異常に高い(高尿酸血症の)人が、全員痛風を発症するわけではありません。そのため、血液検査だけでは痛風の診断は下されません。

痛風の発生の危険因子

知っていますか?

  • 過去の肉や魚(プリン体を多く含む食品)が乏しく、富裕層がワインやエールを大量に飲んでいた時代には、痛風は裕福な人々の病気と考えられていました。

血液中の尿酸値が高いと、しばしば関節内の尿酸値も高くなります。この過程が起こることによって、関節組織と関節内の体液(滑液)中に尿酸結晶が形成されます。

痛風は、足の関節に生じることが最も多く、特に足の親指の付け根に多くみられます(足の親指の腫れ、痛み、発赤はポダグラ[podagra]と呼ばれます)。しかし、痛風は、足首、足の甲、膝、手首、肘など、他の部位に生じることもよくあります。尿酸結晶は、温かい部位よりも冷たい部位でより容易に形成されるため、痛風はこれらの冷たい部位に発生する傾向があります。まれに、体の温かい中心部分の関節(例えば、脊椎の関節、股関節、肩関節)に発生します。

突然の激しい痛風発作(急性痛風性関節炎と呼ばれます)は、予告なしに起こることがあります。これは、以下のものに誘発されることがあります。

症状

発作時には、典型的に、1つまたは複数の関節に突然激しい痛みが生じ、これはしばしば夜間に起こります。夜間の痛みの原因は、おそらく、横になると、日中に関節内にたまった体液が尿酸よりも速く関節から出ていき、尿酸の濃度がさらに高まり、結晶ができやすくなるためです。痛みは次第に強くなり、しばしば耐えがたいほどで、特に関節を動かしたり、関節に触れたときに悪化します。

関節は炎症を起こし、腫れて熱をもち、その関節部の皮膚の見た目は、赤または紫の色合いを帯び、硬くなり、光沢がある場合があります。

発作の症状として、以下のものがみられることがあります。

  • 発熱

  • 心拍数の上昇(頻脈)

  • 全身のけん怠感

  • 悪寒(非常にまれ)

最初の数回の発作は、通常、1つの関節のみに起こり、数日から1週間続きます。

症状は徐々に消失し、関節の機能も回復し、次の発作が出現するまでは無症状です。しかし、痛風が進行すると、治療しなければ発作の持続時間が長くなり、頻度も増し、複数の関節が侵されます。治療せずにいると、後期の発作は最大3週間続くことがあります。発作が発生し、38.3℃を超える発熱、悪寒戦慄(寒気とふるえ)、またはその他の重度の症状(例えば、筋力低下、嘔吐、発疹、息切れなど)がみられる場合、特に過去の発作時にそれらを経験したことがないか今回が初めての発作の場合は、これらの症状は関節の感染症やまったく別の問題が原因であることもあるため、医師に連絡するか、救急外来を受診してください。

発作が繰り返されると、痛風は重症化するとともに持続的なものとなり、関節が変形することがあります。

時間が経つにつれて、関節や腱に尿酸結晶が沈着することによる損傷のために、関節の動きが制限されていきます。

痛風結節

尿酸結晶の硬いかたまり(痛風結節)が、最初に滑膜(関節の内側を覆っている膜)や軟骨、関節付近の骨に沈着し、そのうち関節周囲の皮膚の下にも沈着していきます。痛風結節は腎臓やその他の臓器、耳の皮膚の下にもできます。よくできる部位は、指、手、足、ふくらはぎの筋肉からかかとに延びる丈夫な腱(アキレス腱)、肘関節の周囲です。

通常、痛みはありませんが、炎症を起こし痛みを伴うことがあります。

痛風の合併症

診断

  • 関節液の顕微鏡検査

  • ときにX線検査や超音波検査、特殊なCT検査

痛風は、その独特の症状と侵された関節の診察結果から疑われます。以下の事象がみられれば、痛風の診断が示唆されます。

  • 足部痛風(ポダグラ)(足の親指に生じる突然の腫れ、痛み、発赤)

  • 繰り返し起こる足の甲の炎症

  • 突然出現し、自然に消失した過去の発作

多くの痛風患者は、血中尿酸値が上昇しています。しかし、尿酸値が正常な場合もあり、特に急性の発作が起こっている間は正常なことがあります。血中尿酸値が高くても痛風の発作が起こらない人もたくさんいるため、血液検査だけでは診断を下せません。

痛風は別のタイプの関節炎と似ていることがあり、ときには誤診されることもあります。

予後(経過の見通し)

早期に痛風が診断されれば、治療することでほとんどの患者が普通の生活を送れます。痛風が進行している患者の多くは、血中尿酸値を大幅に下げることで、痛風結節をなくし、関節の機能を改善することができます。

一部の患者は、治療しても十分に回復しません。その理由としては、処方通りに薬を飲まない、処方された薬の用量が少なすぎる、アルコール依存症である、などがあります。

治療

  • 炎症による痛みと腫れを緩和する薬

  • 安静、痛む関節の副子を用いた固定、氷冷

  • 尿酸値を下げ新たな発作を予防するための、食事の変化と体重の減量

  • 結晶による炎症を防ぐことで、発作を予防する薬

  • 尿酸値を下げ、結晶を溶かす薬(痛風を治癒し発作を止める最も効果的な方法ですが、すべての沈着を溶かすには時間がかかります)

痛風の治療には、次の3つの目標があります。

  • 炎症の急性発作を緩和する

  • 新たな発作を予防する

  • 血中尿酸値を下げ、尿酸が組織にそれ以上沈着するのを防ぐ

痛風の急性発作の緩和

NSAIDでの治療は、痛みと炎症が消失してからも、それらが再び出現する(再発と呼ばれます)のを防ぐために、数日間継続するべきです。これらの薬には、胃への刺激、抗凝固薬との相互作用、腎機能の一時的な低下に関連する懸念があります。

コルヒチンは、昔から最初の治療に最もよく使用されてきた薬ですが、現在ではそうではありません。通常はコルヒチンによる治療開始から12~24時間後に関節の痛みが治まり始め、ときに3~7日以内に消失することもあります。コルヒチンは通常、発作の症状が出始めてからできる限り速やかに2錠服用します。3錠目を1時間後に服用します。この治療法は次の日にも続き、1錠ずつを毎日1回または2回、7~10日間服用します。コルヒチンは下痢を引き起こすことがあります。

コルチコステロイド(プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]など)は、他の薬に耐えられない患者の関節の炎症や腫れを抑えるのに使用されることがあります。

侵されている関節が、1つか2つだけなら、テブト酸プレドニゾロンなどのコルチコステロイド懸濁液を、関節液を採取するときに使用するのと同じ針を使用して、関節に注入することができます。

NSAID療法やコルヒチン療法と同じように、再発を予防するために、コルチコステロイドの服用は、発作が完全に消失してからも数日間続けるべきです。

ときとして、これらの薬を組み合わせて投与されることもあります。

NSAID、コルヒチン、またはコルチコステロイドに加えて、痛みを軽減するために、他の痛み止め、安静、副子での固定、氷冷が利用できます。コルチコステロイド、コルヒチン、NSAIDの副作用に患者が耐えられない場合は、免疫系の働きと炎症を抑制する特定の薬(アナキンラ[anakinra]の連日の注射など)が使用できます。原因となっている問題(慢性腎臓病や消化性潰瘍など)がある場合、または患者が特定の薬(抗凝固薬など)を飲んでいる場合は、痛風に対する通常の治療を行わないか、または調整する必要があります。

さらなる痛風発作の予防

さらなる痛風発作の予防には以下の対策が役に立ちます。

  • アルコール飲料(ビール、リキュールなど)やノンアルコールビールを避ける

  • 体重を減らす

  • 血中尿酸値を上昇させるような薬は変更する

  • プリン体を多く含む食品の摂取量を減らす

  • 低脂肪の乳製品で他の食品を代用する

しかし、これらの対策だけで十分ということはめったにありません。

一次性痛風の患者は、ほとんどが太りすぎです。体重が徐々に減っていくにつれて、多くの場合は血中尿酸値が低下しますが、通常、尿酸の沈着が溶けるほどではありません。

激しい痛風発作が繰り返し起こる人には、毎日の予防的な薬物療法が必要になることがあります。発作を予防したり、発作の頻度を大幅に減らしたりするために、コルヒチンを毎日服用することがあります。NSAIDを毎日服用しても、発作を予防できます。これらの薬は、結晶によって炎症が生じ、発作が起こるのを予防するのに役立ちます。しかし、コルヒチンやNSAIDは、何らかの副作用を起こすこともあります。

痛風患者が、高血圧を治療するために、ヒドロクロロチアジドなどの利尿薬を飲んでいる場合は、血圧をコントロールするために、利尿薬ではなくロサルタンやそれに類似する薬を飲むようにすると、発作の回数が少なくなることがあります。ただし、利尿薬からロサルタンや別の高血圧の治療薬に切り替えることで発作を予防しても、痛風発作が出ていない間にも結晶が関節内に存在し続けるため、尿酸結晶によってすでに生じた関節の損傷が予防または治癒することはありません。また、このような代替薬には副作用がある可能性があります。最も重要なのは、血圧をコントロールし、脳卒中や心臓発作を予防するために利尿薬が必要になることです。

血中尿酸値の低下

血中尿酸値が高いと、痛風患者では問題が引き起こされ、それ以外の人では、腎疾患のリスクが増大する可能性があります。血中尿酸値を下げると、組織中の尿酸の沈着を溶かすのに役立ち、発作が予防されます。

特に血中尿酸値を下げる必要がある痛風患者は、以下に当てはまる人などです。

  • コルヒチンやNSAIDを服用しているにもかかわらず、激しい痛風発作が頻繁に起こる(年に3回以上)

  • 診察で痛風結節が発見された

  • 尿酸の腎結石がある

  • NSAIDやコルチコステロイドの使用が難しくなる状態(例えば、消化性潰瘍疾患、糖尿病、抗凝固薬による治療、慢性腎臓病)がある

高血圧患者が自分の血圧を知るべきであるように、血中尿酸値を低下させる薬を服用している人は、自分の尿酸値を知るべきです。薬物療法の目標は、尿酸値を1デシリットル当たり6ミリグラム(1リットル当たり0.4ミリモル)未満に下げることです。その値が維持されれば、尿酸が関節や軟部組織に沈着しなくなり、すでに存在する沈着もやがて溶けていきますが、これには数年間かかる場合があるます。血中尿酸値が1デシリットル当たり6ミリグラム(1リットル当たり0.4ミリモル)未満に下がると、耳、手、足のほとんどの痛風結節が、次第に小さくなります。

薬によって、体内の尿酸の生成が減少するか、尿酸の尿への排泄が増加して、血中尿酸値が低下します。血中尿酸値が低いほど、沈着は速く溶けていきます。沈着が溶け始めると、結晶が放出され、尿酸の移動による発作が発生します。このような発作は、薬が効いていて、薬の使用を止めるべきではないということを示しています。これらの薬は、長期間または生涯にわたって使用する可能性があります。

アロプリノールは、血中尿酸値を低下させるために最もよく用いられます。この薬は、体内の尿酸の生成を妨げます。しかし、アロプリノールは、胃の不調を引き起こすことがあり、ときに発疹、白血球数の減少、肝傷害、血管の炎症(血管炎)を起こすことがあります。アロプリノールは、初めて服用するときに、急性の発作を誘発することがあります(尿酸の移動による発作 尿酸の移動による発作(mobilization flare-up) 痛風は、尿酸の血中濃度が高いこと(高尿酸血症)が原因で、尿酸の結晶が関節に沈着し蓄積する病気です。結晶が蓄積することで、関節とその周辺に痛みのある炎症の発作が起きます。 尿酸結晶が蓄積すると、関節や組織に激しい痛みや炎症が断続的に起こることがあります。 痛風性関節炎の診断を確定するために、医師は関節から関節液を採取し、尿酸結晶の有無を調べ... さらに読む 尿酸の移動による発作(mobilization flare-up) )。このリスクは低用量のコルヒチン、またはNSAIDで減らせるため、通常は、アロプリノール(またはフェブキソスタット)の投与開始時に、これらの薬の1つを投与し、数カ月間継続します。

フェブキソスタットも、血中尿酸値を下げる薬の1つです。アロプリノールを服用できなかったり、アロプリノールで効果がなかった患者に特に有用です。アロプリノールと同じように、最初に血中尿酸値が下がったときに、発作が起こることがあります。

ペグロチカーゼ(pegloticase)は、重症の痛風患者の血中尿酸値を劇的に下げるために用いられる専用の薬です。2週間毎に静脈内に点滴投与し、長期にわたる痛風があり他の治療法が成功していない患者に主に用いられます。ペグロチカーゼ(pegloticase)は血中尿酸値を下げる他の薬とは併用しません。ペグロチカーゼ(pegloticase)の効果が得られると、痛風結節を含む沈着が溶け始め、数カ月かけて見えにくくなっていきます。

尿酸排泄促進薬(尿中への尿酸の排泄を促進する薬)も、腎機能が正常な人の血中尿酸値を下げるために使用できます。

プロベネシドは、尿酸排泄促進薬で、通常は1日2回服用し、アロプリノールかフェブキソスタットのいずれかを併用することがあります。

アスピリンはプロベネシドの作用を阻害する可能性がありますが、痛風患者は冠動脈疾患のリスクがかなり高いため、心臓を守る低用量(1日81ミリグラム)で使用を継続するべきです。低用量のアスピリンは、尿酸値をごくわずかに高めることがありますが(高尿酸血症)、一般に問題にはなりません。同様に、ヒドロクロロチアジドは血中尿酸値をわずかに高める可能性がありますが、血圧を下げるのに有効であれば、血中尿酸値を下げるために他の薬剤を使用する間も、一般に継続するべきです。

血圧を下げる薬であるロサルタンと中性脂肪(トリグリセリド)を下げる薬であるフェノフィブラートは、どちらも尿中への尿酸の排泄を引き起こします。これらの薬は、他の理由でこれらを使用している人の尿酸値を下げることができます。

尿酸の移動による発作(mobilization flare-up)

血中尿酸値を下げる治療は、どれも急性発作(尿酸の移動による発作)を誘発する可能性があります。この発作は、血中尿酸値を下げる薬の投与を開始した直後によくみられます。これは、薬がよく作用して、尿酸値が下がっている徴候とも考えられます。

この発作中も、尿酸値を下げる薬の服用を中止するべきではありません。

尿酸の移動による発作の予防に役立てるために、尿酸値を下げる薬の投与を開始してから数カ月間、低用量のコルヒチン、またはNSAIDが投与されることがあります。

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