間質性肺疾患は、びまん性実質性肺疾患とも呼ばれ、間質腔が傷害されるいくつかの病気をまとめた総称です。間質腔とは、肺胞(肺にある空気の袋)の壁や、血管と細い気道の周りの空間を指します。間質性肺疾患は、肺組織に炎症細胞が異常に集積する結果、息切れやせきが生じる病気で、それぞれの病気の画像所見は似ていますが、それ以外の点で関連性はありません。間質性肺疾患の中には、極めてまれなものもあります。
間質性肺疾患の初期には、間質腔に 白血球 白血球 血液の主な成分 血漿(けっしょう) 赤血球 白血球 血小板 さらに読む やマクロファージ、タンパク質を豊富に含む液体が集積して炎症を引き起こします。炎症が持続すると、正常な肺組織が瘢痕化(線維化)した組織に置き換わることがあります。肺胞が進行性に破壊されるにつれて、肺胞部分に壁が厚くなった嚢胞(蜂の巣に似ているため、蜂巣肺と呼ばれます)が残ります。こうした変化によって生じた病気を肺線維症と呼びます。
間質性肺疾患には様々な病気があり、原因もそれぞれ異なっていますが、類似した特徴がいくつかみられます。いずれも、血液中に酸素を運搬する能力が低下し、肺の硬化や萎縮が生じるため、呼吸が困難になり、せきが出るようになります。しかし、血液中から二酸化炭素を除去する機能は、一般に影響を受けません。
診断
胸部X線検査とCT検査
肺機能検査
動脈血ガス検査
間質性肺疾患では、これよりはるかに一般的な病気(肺炎 肺炎の概要 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気が他にある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約200~300万人が肺炎を発症し、そのうち約6万人が死亡していま... さらに読む や 慢性閉塞性肺疾患 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患は、気道が狭くなる状態(閉塞)が持続する病気で、肺気腫や慢性閉塞性気管支炎、またはその両方に伴って発生します。 この病気の原因として最も重要なのは、紙巻タバコの喫煙です。 この病気になると、せきが出て、やがて息切れが現れます。 診断は、胸部X線検査と肺機能検査によって下されます。... さらに読む
[COPD]など)と同様の症状がみられるため、最初は間質性肺疾患が疑われないことがあります。間質性肺疾患が疑われる場合は、診断検査が行われます。検査は疑われる病気の種類によって異なることもありますが、一般的には似たような検査が行われる傾向にあります。
ほとんどの場合、 胸部X線検査 胸部の画像検査 胸部の画像検査には以下があります。 X線検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 シンチグラフィー さらに読む 、 胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査 胸部の画像検査 胸部の画像検査には以下があります。 X線検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 シンチグラフィー さらに読む 、 肺機能検査 肺機能検査 肺機能検査では、肺にためることができる空気の量、肺から空気を出し入れする能力、肺に酸素を取り込む能力を測定します。 肺機能検査は、肺疾患の具体的な原因を突き止めるというより、一般的なタイプや重症度を調べるのに適していますが、 喘息や 慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの特定の病気を診断するために使用されることもあります。... さらに読む が行われ、 動脈血ガス分析 動脈血ガス分析とパルスオキシメトリー 動脈血ガス検査では、動脈血中の酸素と二酸化炭素レベルを測定し、動脈血の酸性度(pH)を判定します。針で動脈から血液を採取する際は、数分の間不快感を伴うかもしれません。通常は、手首の動脈(橈骨動脈)から血液を採取します。肺がどの程度酸素を血液中に取り込めているか、どの程度二酸化炭素を血液中から排出できているかを知るには、酸素レベル、二酸化炭... さらに読む もよく使用されます。CT検査は、胸部X線検査より感度が高いため、より特異的な診断を下すのに有用です。また、分解能を最大限に高めた技術を用いたCT検査(高分解能CT検査)も行われます。肺機能検査では、多くの場合、肺に吸い込める空気の量が異常に少ないことが明らかになります。動脈血ガス検査では、動脈血中の酸素と二酸化炭素レベルを測定し、動脈血の酸性度(pH)を判定します。
医師は、診断を確定するために、気管支ファイバースコープと呼ばれる器具で肺の小さな組織片を採取し、顕微鏡で調べる検査(肺生検)を行うことがあります。この方法で行う肺生検を、 経気管支肺生検 気管支鏡による処置 と呼びます。これより大きな組織サンプルが必要になることもあり、その場合外科的に採取しなければならず、場合によっては胸腔鏡を使用すること(胸腔鏡下肺生検と呼ばれる方法)もあります。
血液検査が行われることもあります。通常、血液検査で診断を確定することはできませんが、他の類似疾患を調べる検査の一環として行われます。