この処置は、肺が虚脱しているとき(気胸 気胸 気胸とは、2層の胸膜(肺の外側と胸壁の内側を覆っている薄くて透明な膜)の間に空気が入り込むことによって、肺が部分的または完全につぶれてしまう病気です。 症状には、呼吸困難や胸痛などがあります。 胸部X線検査によって診断が下されます。 治療は通常、ドレーンやときに合成樹脂製のカテーテルを胸部に挿入して空気を抜くことです。 ( 胸膜疾患の概要も参照のこと。) さらに読む という病態)に、胸腔から空気を抜くために行われます。ときに、胸腔から液体(胸水 胸水 胸水とは、胸腔(厳密には2つの胸膜の間)に液体が異常にたまることや、その液体自体のことをいいます。 胸腔に液体がたまる原因としては、感染症、腫瘍、外傷、心不全、腎不全、肝不全、肺血管の血栓(肺塞栓症)、薬物など、数多くあります。 症状には、呼吸困難や胸痛などがあり、特に呼吸やせきをしたときに現れます。 診断には、胸部X線検査や胸水の検査が用いられ、CT血管造影検査もよく使用されます。... さらに読む
)を抜くためにこの処置が行われることもあります。胸腔に液体がたまり続けているために、1回で抜ききれないときには、この処置が特に有効です。特定の状況下では、胸腔ドレーンの挿入が緊急かつ救命処置として行われます。
胸腔ドレーンの挿入は患者の目が覚めている状態で行われますが、ときに鎮静薬が投与されることもあります。医師は、2本の肋骨の間に麻酔をかけ、小さく皮膚を切開して胸腔ドレーンを挿入します。ドレーンの他端は吸引器につなぎます。ドレーンを挿入した後は通常、胸部X線検査を行い、ドレーンが正しい位置に留置されているかを確認します。重度の合併症が起こることはまれです。合併症があるとすれば、胸痛、肺または横隔膜の穿刺、皮下への空気の貯留、感染症などです。数週間から数カ月の間たまっていた大量の液体が急速に抜き取られた場合、肺そのものの中に液体がたまることがあります(肺水腫)。ときに、ドレーンがねじれたり、ずれたり、血栓で詰まったりすることがあり、その場合は再度留置し直さなければなりません。
(肺疾患に関する病歴聴取と身体診察 肺疾患に関する病歴聴取と身体診察 まず医師は症状について尋ねます。胸の圧迫感または痛み、安静時または運動時の息切れ( 呼吸困難)、せき、 せきに伴うたんまたは血液の排出(喀血)、 喘鳴などがあれば、肺や気道の病気が疑われます。より全身的な症状、例えば発熱、筋力低下、疲労、全身のだるさや不快感(けん怠感)などが、肺や気道の病気を反映していることもあります。 次に、医師は以下の点について尋ねます。 肺疾患や肺感染症の既往... さらに読む も参照のこと。)