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病院で感染した肺炎

執筆者:

Sanjay Sethi

, MD, University at Buffalo SUNY

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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本ページのリソース

院内肺炎は、一般に入院して約2日以上経過した患者に発生する肺の感染症です。

  • 入院中の患者では、多くの細菌やウイルスに加えて、真菌も肺炎の原因となる可能性があります。

  • 肺炎で最もよくみられる症状は、たんがからんだせきですが、胸痛、悪寒、発熱、息切れなどもよくみられます。

  • 診断は、症状と、胸部のX線検査またはCT検査に基づいて下されます。

  • 肺炎の原因である可能性が最も高い微生物に応じて、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬が使用されます。

病院で発生する肺炎は、普段の生活環境で発生する市中肺炎に比べて一般に重症であり、これは病原体がより攻撃的な傾向にあるためです。このような病原体は、抗菌薬に反応しにくく(「耐性がある」といいます)、そのため治療もより困難です。さらに、入院患者は肺炎にかかっていなくても、普通に生活している人に比べて健康状態が悪い傾向にあるため、感染症に対する抵抗力が弱くなっています。

肺炎の概要も参照のこと。)

危険因子

入院中で病状が重く、特に人工呼吸器による補助を要する他の病気がある患者は、肺炎になるリスクが非常に高くなります。その他の危険因子には以下のものがあります。

  • 抗菌薬による治療歴

  • 心臓、肺、肝臓、腎臓などの機能障害が併存する

  • 年齢70歳以上

  • 腹部や胸部の最近の手術歴

  • 胃食道逆流症の治療のため、プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、またはパントプラゾール)を使用している可能性

  • 衰弱

健康な人にはめったに肺炎を引き起こさない微生物が、入院中の患者や衰弱した人に肺炎を引き起こすことがあります。このような人の多くは、感染症に抵抗する免疫系の機能が低下しているためです。最も可能性が高い原因微生物は、その病院にまん延している微生物の種類によって異なり、ときには患者が他にどのような病気をもっているのかによって変わることもあります。

原因

院内肺炎の原因で最も多いのは以下の細菌です。

MRSA、緑膿菌 P. aeruginosa、その他のグラム陰性腸内細菌には特定の抗菌薬に対する耐性がしばしばみられます。

症状

症状は一般に市中肺炎と同じで、具体的には以下のものがあります。

  • 全身のだるさ(けん怠感)

  • たん(粘り気が強いまたは変色した粘液)がからんだせき

  • 息切れ

  • 発熱

  • 悪寒

  • 胸痛

病院で感染する肺炎は、一般の生活環境で感染する肺炎と比べ、気づかれにくい場合があります。例えば、肺炎を発症する入院患者の多くが、高齢であったり、気管に挿管されて人工呼吸器をつけていたり、認知症であったり、極めて重篤な状態であったりして、胸痛、息切れ、脱力などの症状を訴えられない場合があります。そのような場合、しばしば発熱、呼吸数の増加、心拍数の増加に基づいて肺炎が疑われます。

肺炎の高齢者は、錯乱、食欲不振、落ち着きのなさや興奮、転倒、失禁(尿を漏らすこと)をきたすこともあります。

知っていますか?

  • 病院内で発生した肺炎は、市中肺炎よりもはるかに重症化する傾向があります。

診断

  • 医師による症状の評価

  • 胸部X線検査または胸部CT検査

  • ときに血液培養検査

  • ときに気管支鏡検査または胸腔穿刺

院内肺炎の診断は、症状に加え、胸部X線検査または胸部CT検査の結果に基づいて下されます。医師は通常は血液サンプルを採取し、検査室で細菌を増殖させる検査(培養検査)と特定を試みます。

院内肺炎の患者は病状が非常に重い場合もあるため、最適な治療法を決定するために肺炎の原因微生物の特定が必要になることもあります。このような理由から、原因微生物を特定するために医師は気管支鏡検査を行って肺そのものの中からサンプルを採取することがあります。気管支鏡検査では、気管支鏡(観察用の柔軟な管状の機器)を気管から肺へ挿入します。検査用のサンプルとして、膿や分泌物に限らず、肺の組織を採取することもあります。分泌物が見えない場合は、肺の一部を液で洗浄し、その洗浄液を回収して分析する検査(気管支肺胞洗浄と呼ばれる処置)を行うこともあります。液体が肺を覆う膜にたまっている場合(胸水と呼ばれる)、医師は胸部に針を刺してこの液体を採取し(胸腔穿刺と呼ばれる処置)、培養させることがあります。

予後(経過の見通し)

院内肺炎を発症した場合、最善の治療を受けたとしても高い割合で死亡します。ただし多くの場合、死亡は肺炎の発症を促したもともとの病気(例えば、広範囲に広がったがん)に関連しています。

加齢に関連する注意点:肺炎

肺炎は若い人より高齢者に多く発生し、高齢者では重症化しやすい傾向があります。高齢者の多くでは、感染が肺以外にも広がります。

高齢者では感染に対する防御機能が低下しており、気道から微生物を排除する仕組みが若い人ほど有効に働きません。筋力の低下によって、うまくせきができない場合もあります。年齢とともに免疫系の機能も低下します。次のような高齢者は、肺炎になるリスクが高くなります。

  • 喫煙や慢性閉塞性肺疾患によって肺が損傷を受けている人(喫煙は、肺の内面に炎症を起こすとともに、気道を掃除してきれいにしてくれる細胞の正常な働きを妨げます)

  • 最近、かぜなどの軽い感染症、特にインフルエンザに感染し、肺に炎症を起こしている人

  • せき反射がほとんどない人(過去の脳卒中の後遺症によるものなど)や、衰弱のため、あるいは最近受けた手術や事故で痛みがあるため力強いせきができない人

  • 栄養不良の人など、感染に対する抵抗力が弱まっている人

  • コルチコステロイドのような特定の薬剤を服用している人

  • 心不全や糖尿病などの病気がある人

  • 気管支内またはその近くにがんがある人(がんが気道をふさぎ、肺胞に到達した微生物を閉じ込めてしまうため)

  • 麻痺がある人(例えば、脊髄損傷または脳卒中のため)

  • 意識がはっきりしていない人(理由の1つとして、せきができないことでリスクが高まる)

肺炎を引き起こす一部の微生物に対しては、ワクチン接種で感染を予防することができます。そのため、65歳以上の高齢者には、肺炎球菌ワクチンを接種するよう勧められます。65歳未満であっても、肺炎のリスクが高まる病気がある人は、ワクチンを接種すべきです。インフルエンザウイルスも肺炎を引き起こしたり、そのきっかけとなったりすることがあるため、高齢者には特に、インフルエンザワクチンを毎年接種することが勧められます。

肺炎になった高齢者のほとんどは、入院して抗菌薬の静脈内投与による治療を受けます。肺炎を発症すると、高齢者は急激に状態が悪化する可能性があり、また高齢者では経口の抗菌薬による効果が得られにくい傾向があります。

治療

  • 抗菌薬

院内肺炎の治療では、最も可能性が高い原因微生物と、個々の患者の危険因子に基づいて抗菌薬が選択されます。重篤な患者は、集中治療室で治療を行うことがあり、場合によっては人工呼吸器を装着します。治療法には、抗菌薬の静脈内投与、酸素補給、輸液などがあります。

以下のものを始め、いくつかの抗菌薬が使用できます。

  • アズトレオナム

  • セフェピム

  • セフタジジム

  • ゲミフロキサシン

  • ゲンタマイシン

  • イミペネム

  • レボフロキサシン

  • リネゾリド

  • メロペネム

  • モキシフロキサシン

  • ピペラシリン + タゾバクタム

  • トブラマイシン

  • バンコマイシン

これらの薬剤は単独で使用されることもあれば、他の薬剤と併用されることもあります。

重篤な肺炎患者における終末期の問題

一部の院内肺炎患者では状態が非常に悪くなります。肺炎はしばしば強力な抗菌薬で治療され、必要であれば人工呼吸器が用いられます。死期を悟った患者がこれほど積極的な治療を望んでいない場合もあります。重症疾患または末期疾患である場合は、入院に際して、肺炎または他の重篤な合併症の治療に関する希望を主治医や家族に伝えておくとよいでしょう。

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