胸部の理学療法
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呼吸療法士は、体位ドレナージ、吸引、呼吸訓練など、様々な方法を用いて、肺疾患の治療を補助します。どの方法を用いるかは、基礎にある病気の種類や患者の全身状態に基づいて決定します。
体位ドレナージ
体位ドレナージとは、肺から分泌物を吐き出しやすい角度に体を傾けたり、そのまま支えたりすることです。また、分泌物が出やすいように、カップ状に手を丸めて胸や背中を軽くたたくこともあります(軽打法と呼ばれます)。そのほかに、呼吸療法士が胸部用の振動装置を使ったり、その使用方法を家族に指導したりすることもあります。
これらの方法は、嚢胞性線維症、気管支拡張症、または肺膿瘍など、たんが大量に出る病気を抱える患者に対しては定期的に行われます。高齢者、筋力が低下している人、手術やけが、あるいは重い病気からの回復期にある人などにみられるように、たんがうまく吐き出せない場合にもこの方法が行われることがあります。
体位ドレナージを行うことができないのは、たんを吐き出すのに必要な姿勢を維持できない人、抗凝固薬を服用中の人、最近血を吐いたことがある人、最近肋骨や脊椎を骨折した人、重度の骨粗しょう症の人などです。また、分泌物を産生できない人にも行うべきではありません。
吸引
呼吸訓練
呼吸訓練は、肺を膨らませたり縮ませたりする筋力の強化に役立ちますが、肺の機能を直接改善するわけではありません。それでも、ヘビースモーカーやその他の肺疾患がある患者では、呼吸訓練により手術後に肺の合併症を起こす可能性が低下します。このような呼吸訓練は、慢性閉塞性肺疾患などのために日頃あまり運動をしない人や、人工呼吸器を取り外したばかりの人に特に有効です。
呼吸訓練では、インセンティブ・スパイロメーターという訓練機器がよく使用されます。手持ち式の合成樹脂製の容器に付いているチューブから、できるだけ深く息を吹きこみます。容器の中にはボールが入っており、1回呼吸する毎にボールが持ち上がります。起きている間、1時間に5~10回続けてこの動作を行うのが理想的です。病院では、手術の前と後にこの器具が日常的に使用されています。しかし、インセンティブ・スパイロメーターを用いた自主的な呼吸訓練よりも、看護師や呼吸療法士に促されて行う深呼吸訓練の方が、効果が高いと考えられます。
口すぼめ呼吸は呼吸方法の1つであり、慢性閉塞性肺疾患の患者において、気道の狭窄、パニック、または運動により、肺が過度に膨らんでしまったときに役立ちます。また、呼吸リハビリテーションを行っている患者にとっても、補助的な呼吸訓練として有効なことがあります。口笛を吹く前のように、半分口を閉じて(唇をすぼめて)息を吐くように教わります(あるいは、患者が自分でこの方法を見つけることもしばしばあります)。この方法により気道内の圧が高まり、気道がつぶれるのを防ぐことができます。口すぼめ呼吸に悪影響はなく、教わらなくても自然にそういった呼吸をしている患者もいます。口すぼめ呼吸をするときに、前かがみになることで呼吸が楽になることもあります。前かがみになるには、テーブルなどに腕や手をついて体を支えます。この姿勢により、最も重要な呼吸筋である横隔膜が動きやすくなり、息切れが軽減します。
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