呼吸器系も、他の器官と同様に、加齢によって最大機能が徐々に低下します。加齢に伴う肺の変化には以下のものがあります。
ピークフロー(どれだけ速く空気を吐き出せるか)とガス交換量の減少
肺の防御機構の減弱
(呼吸器系の概要 呼吸器系の概要 人間の体は生きていくために、十分なエネルギーを生み出す必要があります。このエネルギーは、酸化という過程で、食物中の分子を燃やす(食物中の分子が酸素と結合する)ことによって生み出されます。酸化の過程では、炭素と水素が酸素と結合し、二酸化炭素と水ができます。このように、酸素を消費し、二酸化炭素を生成することは生命維持に不可欠な働きです。そのた... さらに読む も参照のこと。)
健康な人では、これらの加齢に伴う変化によって、症状が現れることはほとんどありません。これらの変化は、高齢になると激しい有酸素運動(特にランニング、サイクリング、登山)ができなくなることの一因でもあります。しかし、こういった活動制限は、加齢に伴う心臓の機能の低下によるところの方が大きいと考えられています。
高齢者は細菌やウイルスの感染後に、 肺炎 肺炎の概要 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気が他にある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約200~300万人が肺炎を発症し、そのうち約6万人が死亡していま... さらに読む を起こすリスクが高くなります。そのため、高齢者では インフルエンザ インフルエンザ (流感) インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる肺と気道の ウイルス感染症です。感染すると、発熱、鼻水、のどの痛み、せき、頭痛、筋肉痛、全身のだるさ(けん怠感)が生じます。 ウイルスは、感染者のせきやくしゃみで飛散した飛沫を吸い込んだり、感染者の鼻の分泌物に直接触れたりすることで感染します。 まず悪寒が生じ、続いて発熱、筋肉痛、頭痛、のどの痛み、せき、鼻水、全身のだるさが生じます。... さらに読む や 肺炎球菌性肺炎 肺炎球菌感染症 肺炎球菌感染症は、肺炎レンサ球菌 Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)という グラム陽性の球状細菌(球菌)(図「 主な細菌の形」を参照)によって引き起こされます。この細菌は一般的に、肺炎、髄膜炎、副鼻腔炎、中耳に感染症を引き起こします。 肺炎球菌は、感染者がせきやくしゃみをすると空気中に撒き散らされます。 肺炎球菌感染症により、通常は発熱と全身のけん怠感や、感染部位に応じた他の症状が現れます。... さらに読む などの呼吸器感染症に対するワクチンを接種することが特に重要です。
重要なのは、加齢に伴う肺の変化が、心臓や肺の疾患の影響(特に喫煙の有害作用によって引き起こされる病気)によっていっそうひどくなるということです。