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喘息

執筆者:

Victor E. Ortega

, MD, PhD, Center for Genomics and Personalized Medicine Research, Wake Forest School of Medicine;


Emily J. Pennington

, MD, Wake Forest School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 10月
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喘息は、気道が何らかの刺激に反応して狭くなる(通常は可逆性)病態です。

  • 症状としては、特定の誘因に反応して生じる、せき、喘鳴(ぜんめい)、息切れなどが最もよくみられます。

  • 医師は、呼吸の検査(肺機能検査)を行って喘息の診断を確定します。

  • 喘息発作を防ぐためには、誘因となる物質を吸い込まないようにするとともに、気道の開口を保つ薬を服用する必要があります。

  • 喘息発作がみられる間は、気道がすぐに開くような薬を使用する必要があります。

小児の喘息乳幼児の呼気性喘鳴および妊娠中の喘息も参照のこと。)

米国では、喘息の患者数が2500万人を超えており、その数は増えつつあります。喘息が増えている理由はよく分かっていません。

喘息は、小児では最も多くみられる慢性疾患の1つですが、大人でも発症する可能性があり、高齢になってからでもみられます。米国では600万人を超える小児が喘息にかかっており( 小児の喘息)、男児では思春期前、女児では思春期後の発症が多くみられます。小児の喘息は最終的には治る可能性があります。ただし、治ったかのように思われた喘息が何年か後に再発することもときにあります。

喘息は、非ヒスパニック系の黒人やプエルトリコ人に多くみられます。喘息の患者数は増加していますが、喘息による死亡者数は減少しています。

喘息の最も重要な特徴は、気道が一時的に狭くなるものの、通常はまた元に戻ることです。肺の気道(気管支)は、基本的には筋肉の壁でできた管です。気管支の内面を覆っている細胞には、受容体と呼ばれる極めて小さな構造物があります。これらの受容体は特定の物質の存在を感知すると、その下にある筋肉を刺激して、収縮させたり、弛緩させたりし、それによって空気の流れが変わります。受容体には数多くの種類がありますが、喘息で重要なのは次の2つです。

  • ベータアドレナリン受容体:この受容体が アドレナリンという化学物質に反応すると、筋肉が弛緩するため、気道が広がり(拡張し)、気流が増加します。

  • アセチルコリン受容体:この受容体がアセチルコリンという化学物質に反応すると、筋肉が収縮するため、気流が減少します。

原因

喘息の原因は不明ですが、多くの遺伝子、環境条件、栄養状態の間の複雑な相互作用に由来する可能性が高いと考えられます。妊娠中、周産期および乳児期の環境条件は、小児期とその後の成人期における喘息の発症と関連しています。リスクが高いと考えられるのは、母親が若年で妊娠したケースや、妊娠中に栄養不良であったケースです。早産、低出生体重、非母乳哺育児の場合にもリスクが高くなるようです。家庭内のアレルゲン(チリダニ、ゴキブリ、ペットのフケなど)やその他の環境アレルゲンへの曝露などの環境条件も、年長児や成人の喘息の発症に関連付けられています。ビタミンCやE、オメガ3脂肪酸が少ない食事や肥満も喘息に関連しています。

先進国では、子どもの数が少ない少人数家庭、きれいな室内環境、予防接種や抗菌薬の使用によって、早い時期に環境中のアレルゲンへの抵抗力をつける能力が低下している可能性があり、これが先進国における喘息の増加の一因ではないかとする説があります(衛生仮説)。

気道狭窄の原因としてよくみられるのは、アセチルコリン受容体に関わる問題であり、この受容体の感受性が異常に高くなると、気道の筋肉が収縮すべきでないときに収縮し、気道が狭くなります。気道内面にある特定の細胞(特に肥満細胞)が、この収縮反応の開始に関与すると考えられています。気管支全体に分布している肥満細胞は、ヒスタミンやロイコトリエンといった物質を放出し、以下の作用をもたらします。

  • 平滑筋を収縮させる

  • 粘液の分泌量を増やす

  • 特定の白血球を近くに集める

好酸球は白血球の一種で、喘息患者の気道内にみられ、これが別の物質を放出することで、気道をさらに狭くします。

喘息の発作(ときに増悪と呼ばれます)が起こると、気管支の平滑筋が収縮して気管支が狭くなり(気管支収縮と呼ばれます)、炎症によって気道内面の組織が腫れ、気道内に粘液が分泌されます。気道内面の最上層が損傷を受けると、細胞が剥がれて、さらに気道の直径が狭くなることがあります。気道が狭くなると、呼吸する際に、さらなる力を要します。喘息では狭窄は可逆的で、自然に、または適切な治療を行うことにより、気道の筋肉の収縮が止まって炎症が治まり、その結果気道が再び開いて、肺への空気の出入りが正常化します。

気道が狭くなるメカニズム

喘息の発作が起こると、平滑筋の層がけいれんして、気道が狭くなります。炎症によって中央の層が腫れて、過剰な粘液が分泌されます。気道の一部に粘液のかたまりができて、気道が非常に狭くなったり、完全にふさがれたりします。

気道が狭くなるメカニズム

喘息の誘因

喘息のない人では通常影響を受けないような刺激(誘因)にも、喘息の患者では反応が現れて、気道が狭くなります。そのような誘因には以下のものがあります。

  • アレルゲン

  • 感染症

  • 刺激物

  • 運動(運動誘発喘息と呼ばれる)

  • ストレスや不安

  • アスピリン

様々なアレルゲン(花粉、チリダニの断片、ゴキブリの体液、羽毛の断片、動物の鱗屑[りんせつ]などのアレルギーの原因となる物質)を吸い込むことにより、喘息発作が起こることがあります。これらのアレルゲンが、肥満細胞の表面にある免疫グロブリンE(IgE、抗体の一種)と結びつくと、喘息を引き起こす化学物質が肥満細胞から放出されます。(このタイプの喘息をアレルギー性喘息と呼びます。)食物アレルギーで喘息を起こすことはまれですが、貝類やピーナッツなどの特定の食べものに敏感な人は、これらの食べものにより重度の喘息発作を起こすことがあります。

感染症が誘因である場合は、通常ウイルス性呼吸器感染症が多く、かぜ気管支炎のほか、頻度は下がりますが肺炎がきっかけで発作が起こることもあります。

喘息発作を誘発しうる刺激物には、タバコの煙、マリファナ、コカイン、煙霧(香水、洗剤、大気汚染などによるもの)、冷たい空気、胃食道逆流症(GERD)によって気道内に入り込んだ胃酸などがあります。大気汚染は喘息の発作と関連付けられています。

運動中に気道狭窄を起こす喘息患者もいます。このタイプの気道狭窄は、より乾燥した冷たい空気を運動中に吸い込むことに起因すると考えられています。

ストレスや不安が誘因となって、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出され、気道の平滑筋とつながっている迷走神経が刺激されることで、平滑筋が収縮して気管支が狭くなることもあります。

また、泣いたり、大笑いしたりすることで、症状が誘発されることもあります。

重度の喘息患者の約30%では、アスピリンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が誘因となりますが、喘息患者全体でみるとその割合は10%未満です。

反応性気道機能不全症候群(reactive airways dysfunction syndrome)

反応性気道機能不全症候群(reactive airways dysfunction syndrome、RADS)は、喘息の病歴がない人に起こる持続性の喘息のような病気です。環境性肺疾患の一種であり、一度に大量の窒素酸化物または揮発性有機化合物(一部の漂白剤や洗剤に含まれます)にさらされることが原因で起こります。せき、喘鳴、息切れなど、喘息に似た症状がみられます。治療も、通常の喘息の治療に似ています。

症状

喘息発作の頻度や重症度は様々です。喘息患者の中には、経過中ほとんど症状がなく、たまに短時間の軽い息切れがみられるだけの患者もいます。また、常にせきや喘鳴がみられ、ウイルス感染、運動、その他の誘因にさらされると、重度の発作を起こす患者もいます。

喘鳴は、息を吐くときに聞こえる楽器のような音です。患者によっては、症状としてせきしかみられないこともあります(せき喘息)。さらに、透明で、ときに粘り気の強い(粘液性の)たんが出ることもあります。

喘息発作が主に夜間に発生するという人もいます(夜間喘息)。夜間に起こる発作は、喘息のコントロール不良を示す可能性があります。

知っていますか?

  • せきは、喘息の唯一の症状であることがあります。

喘息の発作の症状

喘息の発作は、予防薬の効果が薄れ、気道狭窄を抑える能力が最も弱まる早朝に、最もよく発生します。

喘息の発作は、喘鳴、せき、息切れなどを伴って突然始まることがあります。また、発作がゆっくりと始まって、症状が徐々に悪化していくこともあります。いずれの場合も、最初に息切れ、せき、胸苦しさなどに気づくのが普通です。喘息の発作は数分間で治まることもあれば、数時間から数日間続くこともあります。特に小児では、初期症状として胸や首にかゆみが現れることがあります。また、夜間や運動中に乾いたせきが出るだけの場合もあります。

喘息の発作中に息切れが激しくなると、患者は強い不安を感じます。本能的に座って前かがみになり、首と胸の筋肉を使って呼吸を楽にしようとしますが、それでも息苦しさが続き、なんとか息をしようともがきます。呼吸努力と不安のために、発汗することもよくあります。心拍は通常速くなり、胸に激しい鼓動を感じることもあります。

非常に重い喘息発作が起こると、息を継がずには、ほんの二言三言しか話せなくなります。また、空気がほとんど肺に出入りしないため、喘鳴が実際に小さくなることがあります。錯乱、嗜眠、チアノーゼ(皮膚の色が青っぽく変化する症状)などが現れると、酸素の供給が著しく低下していることを示し、緊急の治療が必要になります。通常は、適切な治療を受けることで、どんなに重い喘息発作であっても完全に回復します。まれに、喘息発作があまりにも急に起こるために、自分で有効な治療を施す前に意識を失う人もいます。そのような人は、身元を確認できるもの(医療情報が刻印されたブレスレットやネックレスなど)を常に身に着け、助けを呼べるうちに救急車を呼べるように携帯電話を所持しておきましょう。

分類

高血圧(血圧という1つの要因により重症度と治療の有効性が決まる)とは異なり、喘息ではいくつかの症状と検査異常がみられます。また、喘息の症状は一般に時間とともに悪化したり改善したりします。医師は喘息の重症度を評価し、治療を開始してからは症状がどの程度コントロールされているかをモニタリングして薬剤を追加する必要があるかどうかを判断します。

喘息の重症度

重症度は病気がどれだけ悪いかの指標です。喘息の重症度は通常、治療を開始する前に評価されます。治療によく反応すると症状がほとんどなくなるためです。喘息の重症度は次のように分類されます。

  • 間欠型:症状がみられるのは週に2日以下で、日常生活を妨げない

  • 軽症持続型:症状は週に2回以上みられるが、日常生活への制限はわずかである

  • 中等症持続型:症状が毎日みられ、日常生活をある程度制限する

  • 重症持続型:症状が一日中みられ、日常生活を著しく制限する

重要度分類は、どの程度重い発作が生じるかを予測するものではないことを覚えておく必要があります。長期間症状がないか軽度にとどまり、肺機能が正常な軽い喘息の人でも、生命を脅かす重度の喘息発作を起こすことがあります。

喘息発作重積状態

喘息の中で、最も重いタイプを喘息発作重積状態と呼びます。これは、治療に反応しない重度の、激しい、長時間にわたる気道狭窄です。この喘息発作重積状態が起こると、肺から十分な酸素を体中に供給したり、二酸化炭素を十分に排出したりすることができなくなります。

酸素が不足すると、多くの器官が機能不全に陥ります。二酸化炭素が体内に蓄積すると、血液が酸性になるアシドーシスという状態になって、ほぼすべての器官の機能に影響が現れます。血圧が危機的なレベルに低下することもあります。気道が非常に狭くなるため、肺への空気の出入りが困難になります。

喘息発作重積状態では、口とのどから、肺へと続く主気道(気管)へ人工的な管を通し(気管挿管)、人工呼吸器を用いて呼吸を補助する必要があります。さらに、普段より高用量で数種類の薬剤を投与する必要もあります。

喘息のコントロール

コントロールとは、症状、日常生活への影響、重度の喘息発作のリスクが治療によって軽減される程度のことです。喘息のコントロールは重症度と似ていますが、治療開始後に評価されます。目標は、重症度にかかわらず、すべての人が喘息を良好にコントロールできるようになることです。コントロールは以下のように分類されます。

  • コントロール良好:症状がみられるのは週2回未満である

  • コントロール不良:症状は週2回以上みられるが、毎日ではない

  • 極めてコントロール不良:症状が毎日みられる

障害度

障害度(impairment)とは、症状のために日常生活が制限される程度のことです。喘息による障害度は以下の質問により決定されます。

  • どのくらいの頻度で症状がみられるか。

  • 夜間に何度目が覚めるか。

  • どのくらいの頻度で症状緩和のために短時間作用型ベータ2作動薬を使用しているか。

  • どのくらいの頻度で喘息により普段の活動が制限されているか。

肺機能の測定値、夜間に目覚める回数、標準的な質問票への回答、喘息治療薬などのその他の要因も、喘息の重症度、コントロール、障害度の判定に用いられます。

リスク

リスクは、将来の喘息発作、肺機能の低下、喘息をコントロールするための薬剤に関連する副作用が生じる可能性を意味します。医師は、経時的なスパイロメトリー(肺機能を測定する)や、特定のコルチコステロイドを内服したり喘息の症状コントロールのために入院したりする頻度などの要因によってリスクをモニタリングします。

診断

  • 医師による症状の評価

  • 呼吸の検査(スパイロメトリーなど)

医師は、主に患者が訴える特徴的な症状に基づき、喘息を疑います。そして、呼吸の検査(肺機能検査)により診断を確定します。中でも最も重要なのは、1秒間に吐き出すことのできる空気の量に関する測定値です。この肺機能検査は、ベータ作動薬(またはベータ刺激薬)と呼ばれる、気道狭窄を回復させる吸入薬の投与前と、投与後に行います。この薬剤の投与後の検査結果が、投与前に比べて明らかに良好であれば、喘息があると考えられます。

検査を行う時点で気道が狭くなっていない場合は、負荷試験を行うと、診断の確定に役立ちます。この負荷試験では、気道を狭くする化学物質(一般にはメサコリンが使用されますが、ヒスタミン、 アデノシン、またはブラジキニンを用いる場合もあります)を吸入する前と吸入した後に肺機能を測定します。投与する化学物質の量は少量であるため、肺が健康であれば影響を受けることはありませんが、喘息であれば気道が狭くなります。

時間の経過とともに繰り返し肺機能検査を行うことで、気道閉塞の重症度や治療効果を判定できます。

運動誘発喘息の検査を行う場合、肺機能検査を用いて、トレッドミルや自転車エルゴメーターによる運動の前後で、1秒間に吐き出せる空気の量を測定します。運動後にその空気の量が15%を超えて減少した場合、運動によって喘息が誘発されている可能性があります。

肺機能検査は、喘息の診断が明らかではなく、喘鳴や息切れが間質性肺疾患慢性閉塞性肺疾患、または上気道閉塞などの他の疾患による可能性がある場合にも有用です。

胸部X線検査は、通常喘息の診断には役立ちません。医師が胸部X線検査を行うのは、別の診断を考慮している場合です。ただし、重度の発作で入院が必要な場合は、しばしば胸部X線検査が行われます。

アレルギー検査による喘息の誘因の特定

喘息のきっかけとなる誘因を特定することは、多くの場合困難です。

喘息発作の誘因と考えられるものが回避できるもの(例えば、ネコの鱗屑への曝露など)であれば、アレルギー検査を行うのが適切です。喘息症状を誘発している可能性があるアレルゲンの特定には、皮膚テストが役立つことがあります。しかし、皮膚テストでアレルギー反応が起こっても、そのアレルゲンが必ずしも喘息の原因というわけではありません。それでも、喘息発作が起こるのが、このアレルゲンにさらされた後であるかどうかに注意する必要があります。特定のアレルゲンが疑われる場合は、血液検査を行って、そのアレルゲンに反応してつくられた抗体の血中濃度を測定し(放射性アレルゲン吸着試験[radioallergosorbent test:RAST])、そのアレルゲンに対する患者の感受性を判定することがあります。

喘息の発作の評価

重度の喘息発作が起こった患者は、血液中の酸素レベルが低下していることが多いため、指先や耳にセンサー(オキシメトリー)を取り付け、酸素レベルを確認することがあります。発作が重い場合は、血液中の二酸化炭素の量も測定する必要がありますが、この検査を行うには通常、動脈血(ときに静脈血)のサンプルを採取しなければなりません。しかし、患者の鼻または口の前にセンサーを取り付けて、二酸化炭素の量をモニタリングできることもあります。

スパイロメーター(肺内の空気の量を測定して記録する装置で、マウスピースとチューブがついています)またはピークフローメーターを用いて、肺機能を確認することもあります。通常、胸部X線検査は、喘息発作が重度で、他の重篤な病気(肺の虚脱など)を除外する必要がある場合にのみ行われます。

高齢者における喘息の診断

高齢者は、息切れの原因となる他の肺疾患(慢性閉塞性肺疾患など)を患っている可能性が高いため、医師は呼吸困難がどの程度喘息と関連し、適切な喘息治療でどの程度改善するかを判断する必要があります。高齢者の診断では多くの場合、病状が改善するかどうかを確認するために喘息治療薬が短期間試されます。

治療

喘息の予防薬と治療薬も参照のこと。)

  • 炎症を軽減する薬

  • 気道を広げる薬

成人または小児における喘息の予防と治療に対し、様々な薬剤が使用されます( 小児の喘息 : 治療)。医師は「レスキュー薬」や「維持療法」という言葉を使うことがありますが、前者は急性発作の治療、後者は発作を予防する治療を意味します。喘息発作の予防に用いられる薬のほとんどは、喘息発作の治療にも使用されますが、その場合、より高用量を投与したり、投与方法が異なったりします。患者によっては、予防や治療のために複数の薬剤が必要になることもあります。喘息の予防薬と治療薬については別の箇所でさらに詳しく説明されています。

治療は、次の2種類の薬剤を基本にして行われます。

  • 抗炎症薬

  • 気管支拡張薬

抗炎症薬は、気道が狭くなる原因である炎症を和らげます。抗炎症薬には、コルチコステロイド(吸入、内服、静脈内投与が可能)、ロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier)、肥満細胞安定化薬などがあります。

気管支拡張薬は、気道の緊張を緩め、気道を広げる(拡張する)のに役立ちます。気管支拡張薬には、ベータ作動薬(速やかに症状を和らげる短時間作用型と長期にわたって抑制する長時間作用型の2種類)、抗コリン薬、メチルキサンチン類などがあります。

重度の喘息には、免疫系に直接修飾を加える免疫調節薬という薬剤が用いられることがありますが、ほとんどの人ではこの薬剤が必要になることはありません。このような薬剤は、炎症を引き起こす体内の物質をブロックします。

喘息発作の予防法や治療法について学ぶことは、すべての喘息患者にとって有益であり、多くの場合、家族にとっても有益です。治療の効果を上げるには、吸入器を正しく使用しなければなりません。患者や家族は、次のことを知っておく必要があります。

  • 発作の誘因

  • 発作の予防に役立つ方法

  • 薬剤の正しい使い方

  • いつ病院に行くべきか

家庭での喘息のモニタリング

患者の多くが携帯型のピークフローメーターを用いて呼吸状態を調べ、症状が重症化する前に治療が必要かどうかを判断しています。重度の喘息発作を頻繁に起こす患者は、すぐに助けが呼べるよう備えておく必要があります。

ピークフローメーターという小型携帯用測定器を用いて、最大呼気流量(息を深く吸って一気に吐き出す際の最大の流速)を測定できます。この検査を自宅で行って、喘息の重症度をモニタリングします。一般に、ピークフロー値は、午前4時から6時の間に最も遅く、午後4時に最も速くなります。このような時間帯にピークフロー値を測定し、一日のうちで30%を超える差があれば、中程度から重度の喘息がある証拠とみなされます。中等度から重度の喘息患者、特に症状をコントロールするために毎日の治療を必要とする人は、しばしばピークフローメーターによる測定を行い、自己最良値と比較して喘息の悪化や発作の徴候に気づくことができるようにしておきます。

喘息のある人は皆、主治医と協同で治療行動計画を作成するとよいでしょう。こうしたプランを作成することによって、自分自身で治療を管理できるため、喘息で救急外来を受診しなければならない回数が減少することが明らかになっています。

喘息発作の治療

喘息発作は、本人だけでなく、周囲の人もびっくりさせることがあります。症状が比較的軽くても、不安や恐怖感を引き起こします。重度の喘息発作は生命を脅かす緊急事態であり、直ちに医師による高度な治療を受ける必要があります。十分な治療が迅速に行われないと、重度の喘息発作により死亡することもあります。

薬剤によって喘息がコントロールされている人にみられる急性発作は増悪と呼ばれます。

軽度の発作

一般に、軽度の喘息発作であれば、医療従事者に助けを求めることなく、自力で対処できます。通常は、吸入器を使用して、サルブタモールなどの短時間作用型ベータ作動薬を一定量吸入し、空気が新鮮な場所に移動して(タバコの煙などの刺激物から離れ)、座って安静にします。吸入器は、必要であれば20分間隔で3回使用できます。発作は普通5~10分で治まります。吸入器を3回使っても発作が治まらなかったり、悪化したりする場合は、医師の監督下で追加の治療が必要になる可能性が高くなります。

重度の発作

重度の症状が現れた場合、直ちに救急外来を受診すべきです。重度の発作に対し、医師はネブライザーという器具で吸入ベータ作動薬という気管支拡張薬を頻回に(ときに継続的に[休みなく])投与します。医師はときにこれらの気管支拡張薬と合わせて抗コリン薬も投与します。また、プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドも経口または静脈内投与します。発作が起こっている間は、酸素投与を行うこともあります。

一般に、重度の喘息発作が起こり、ベータ作動薬の吸入やコルチコステロイドの内服または静脈内投与を行っても肺機能に改善が認められない場合は、入院することになります。また、血中酸素レベルの深刻な低下や二酸化炭素の量の上昇がみられる場合も、入院する必要があります。

肺の感染症が疑われる場合は、抗菌薬が必要になることもあります。しかし、こうした感染症のほとんどはウイルスによるものであるため、少数の例外を除けば、治療法はありません。

喘息発作が非常に重度であれば、口からのどへ人工的な気道を通して(気管挿管)、人工呼吸器を取り付けなければならないこともあります。

喘息発作の予防

喘息は完治しない慢性的な病気ですが、多くの場合、個々の発作を予防することができます。予防対策は、喘息発作の頻度や発作を誘発する刺激によって異なります。

一般に、喘息発作の誘因となる刺激を特定し、それを排除または回避することで、発作を予防できます。

  • 刺激性の煙霧:喘息の患者は、タバコの煙などの刺激性の煙霧を避けるべきであり、また上気道感染症患者に近づかないようにすべきです。

  • チリダニ:ほこりやアレルゲンが誘因であれば、エアフィルターや防御策(マットレスカバーを用いて、空気中に漂うチリダニの断片の量を減らすなどの対策)がかなり有効です。床一面に敷き詰めたじゅうたんやカーテンは外し、夏にはエアコンを使用して相対湿度を(できれば50%未満に)下げることによって、チリダニとの接触を減らすことができます。

  • 動物の鱗屑:動物の鱗屑への曝露を減らすためには、多くの場合、毛がある動物(ネコやイヌが最も一般的です)を遠ざける必要があります。そのほかにも、特定の部屋でのみペットを飼ったり、可能であれば屋外で飼ったりするとよいかもしれません。ペットを週1回洗うのも効果的です。

  • 薬剤:アスピリンや他のNSAIDが喘息の誘因となっている患者では、これらの薬剤を避けることが、発作の予防に役立ちます。ベータ作動薬の効果を妨げる薬(ベータ遮断薬と呼ばれる薬)は、喘息を悪化させることがあります。一部の錠剤や食品に使われるタートラジンという黄色の着色剤も、発作を誘発することがあります。

  • 運動:運動によって誘発される喘息発作は、多くの場合、事前に喘息薬を服用することで防ぐことができます。

  • 寒冷:寒い日に屋外で活動する場合、鼻や口を覆うスキー用マスクやマフラーを着用することで、呼吸する空気の温度や湿度を高く保つことができます。

  • 亜硫酸塩:感受性の高い人が、亜硫酸塩(保存料としてよく食品に添加されます)を含む食品を食べたり、ビールや赤ワインを飲むと、発作が誘発されることがあります。亜硫酸塩は食事に注意を払うことで回避できます。

アレルゲン注射を用いたアレルギー脱感作は、アレルギーによって喘息が誘発される患者において、発作の予防に役立つ可能性があります。医師の監視のもとに行う脱感作プログラムは、アスピリンやNSAIDによって喘息が誘発される患者にも用いられることがあります。

ほとんどの喘息患者が、コルチコステロイドの吸入薬もしくは内服薬、ロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier)、長時間作用型ベータ作動薬、メチルキサンチン類、抗ヒスタミン薬、または肥満細胞安定化薬などの薬剤を発作の予防に使用しています。少数ではありますが、コントロールできない重度の喘息患者もおり、治療を複数組み合わせても繰り返し発作が生じます。このような場合には、アレルギー性炎症を引き起こす物質をブロックする免疫調節薬が有益となる可能性があります。

予後(経過の見通し)

小児期を過ぎると喘息は治ることが多いですが、喘鳴が成人期まで持続するか、喘息が後にぶり返すこともあります。女性であること、喫煙、低い発症年齢、チリダニへのアレルギーは、喘息が持続または再発するリスクを高めます。

重度の喘息発作により死に至ることもありますが、これらの死のほとんどは治療で予防することができます。したがって、十分な治療を受けることができ、服薬スケジュールを遵守していれば予後は良好です。

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