(不整脈の概要 不整脈の概要 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む も参照のこと。)
心臓のイオンチャネル病がある人の大半では、 心臓発作 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。心臓発作とは、血液供給がなくなることにより心臓の組織が壊死する病気です。 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。... さらに読む や 心臓弁膜症 心臓弁膜症の概要 心臓弁は、4つの心腔(心臓の上部にある比較的小さな丸い空洞である左右の心房と、心臓の下部にある比較的大きな円錐形の空洞である左右の心室)を通過する血液の流れを制御しています。それぞれの心室には、その入口側と出口側に、一方向に開く弁が1つずつあります。それぞれの弁は複数の薄い組織(弁尖)で構成され、一方向だけに開閉できるようになっています。... さらに読む
などの他の心疾患はありませんが、心臓の細胞膜にある小さな孔(チャネル)の構成や調節を決定する遺伝子に変異があり、不整脈が起こりやすくなっています。
最も一般的なイオンチャネル病では以下のものが生じます。
ほかに、よりまれな心臓のイオンチャネル病として以下のものがあります。
QT短縮症候群
J波症候群
カテコールアミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)
ブルガダ症候群
電気的な異常によって、ときに 心室頻拍 心室頻拍 心室頻拍は、心室(心臓の下側にある2つの部屋)を発生源とする不整脈の一種で、心拍数が毎分120回以上になるものです(正常な心拍数は毎分60~100回です)。 ほぼ常に動悸と 心不全の他の症状がみられます(息切れ、胸の不快感、失神など)。 診断は心電図検査によって下されます。 薬の投与と心室の異常な部分を破壊する処置を行うこともありますが、通常は自動式の植込み型除細動器が必要になります。... さらに読む (心拍が危険な水準まで速くなった状態)や 心室細動 心室細動 心室細動は、多数の無秩序な電気刺激によって心室(心臓の下側にある2つの部屋)が協調を失い、非常に速くふるえる結果、有効な収縮がみられなくなる不整脈で、死に至る可能性があります。 心室細動を起こした人は、数秒のうちに意識を失い、迅速に治療しなければ死に至ります。 心停止の原因が心室細動であることを確認するには、心電図検査が参考になります。 数分以内に心肺蘇生を開始し、続いて正常な心拍リズムを回復させるために除細動(胸部に電気ショックを与え... さらに読む
(心臓がまったく拍動しない状態)が起こることもあります。
症状
何の症状も現れないこともありますが、多くの場合、心室頻拍による失神が起こります。心室細動を起こした人は突然 心停止 心停止 心停止とは人が死ぬときに生じる状態です。心停止になると、心臓から、内臓、脳、組織に血液と酸素が送り出されなくなります。心停止が起こって数分以内であれば、ときに蘇生する可能性があります。しかし、時間が経過するほど蘇生する可能性は低くなり、助かったとしても脳に障害が残る可能性が高くなります。 心停止が5分を超えて続くと脳に障害が残る可能性が高くなり、8分を超えると死亡する可能性が高まります。そのため、心停止の場合、一刻も早く救命処置を始める... さらに読む に陥ります。
症状の誘因として発熱があり、また一部の抗不整脈薬や一部の抗うつ薬などの特定の薬によって誘発されることもあります。
診断
心電図検査
患者の家族に心臓の異常が原因で失神したことがある人や原因不明の死を(特に若年で)遂げた人がいる場合、医師はイオンチャネル病の可能性を考えます。
診断は 心電図検査 心電図検査 心電図検査は心臓の電気刺激を増幅して記録する検査法で、手早く簡単に行える痛みのない方法です。この記録は心電図と呼ばれ、以下に関する情報が得られます。 心臓の1回1回の拍動を引き起こしている、ペースメーカーとしての部分(洞房結節、洞結節) 心臓の神経伝導経路 心拍数や心拍リズム 心電図では、心臓が拡大していること(通常の原因は 高血圧)や、心臓に血液を供給する冠動脈の1つが閉塞しているために心臓に十分な酸素が行き届いていないことが示される... さらに読む によって下されます。しかし、心電図上の異常パターンが明確でないこともあります。そのようなケースでは、薬剤や運動によって不整脈の誘発を試みることで、診断が可能になる場合があります。