腎臓中心部の尿を集める部分(腎盂[じんう])の内側を覆う細胞にがん(通常は移行上皮がんと呼ばれる種類のもの)が発生することや、腎臓から膀胱に流れる尿が通過する管(尿管)にがんが発生することがあります。腎盂がんと尿管がんは、腎臓や膀胱に発生するその他の泌尿器がんと比べると、はるかに少数です。これらのがんの米国における1年間の発症者数は、6000人未満と推定されています。
症状
診断
予後(経過の見通し)
治療
がんが腎盂または尿管の外部に広がっていない場合は、通常、がんが発生した方の腎臓全体と尿管を膀胱の一部分とともに切除する手術(腎尿管摘除術)が行われます。ただし、一部の状況(腎機能が低下している場合や腎臓が片方しか存在しない場合など)では、腎臓を摘出すると生涯にわたり透析が必要になるため、腎臓の摘出手術は通常行われません。
腫瘍の悪性度が高いか病期が進行している場合には、ときに手術の前に化学療法が行われます。
一部の腎盂がんと尿管がんには、レーザーでがん細胞を破壊する治療法や腎臓、尿管(がんの存在しない部分)、膀胱を残してがんの部分だけを切除する手術が行われることもあります。ときに、マイトマイシンCやBCG(カルメット-ゲラン桿菌―体の免疫機能を刺激して活性化させる物質)などの薬を尿管に注入したり、化学療法薬を投与したりすることもあります。これらのレーザー療法や薬剤注入が、どれくらい効果があるのかは明らかではありません。
これらの種類のがんになった人は膀胱にもがんが発生するリスクが高いことから、手術後、生涯にわたって定期的に膀胱鏡検査(内視鏡を挿入して膀胱の内部を観察する検査)を受けます。