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陰嚢痛

執筆者:

Anuja P. Shah

, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA

医学的にレビューされた 2019年 9月
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本ページのリソース

陰嚢(精巣を包んで保護している袋)の痛みは、新生児から高齢者まで、あらゆる年齢の男性で起こる可能性があります。精巣は非常に感受性が高いため、軽度のけがでも痛みや不快感を起こす可能性があります。

原因

痛みは精巣に直接関連しているか、陰嚢、鼠径部、腹部の病気によって起こる場合があります。

一般的な原因

突然の陰嚢痛の最も一般的な原因としては以下のものがあります。

  • 精巣のねじれ(精巣捻転)

  • 精巣垂(精巣に接続している小さな組織片)のねじれ

  • 精巣上体の炎症(精巣上体炎)

精巣捻転 精巣捻転 精巣捻転(せいそうねんてん)とは、精巣が回転して精索がねじれてしまった状態で、精巣への血流が妨げられます。 精巣捻転が起きると、激しい痛みが突然起きた後、捻転が起きた側の精巣が腫れ上がります。 精巣捻転の診断には、医師による診察のほか、ときに超音波検査が必要になります。 治療は精巣のねじれを解除することです。 精巣捻転は通常、12歳から18歳くらいの男児に起こり、ときに乳児期にも起こりますが、どの年齢でも起こる可能性があります。精巣を覆... さらに読む は、精巣が精索を中心に回転したことで起こります。ねじれにより精巣への血流が遮断されることで、精巣に痛みが生じるほか、ときに精巣の壊死につながります。精巣捻転は新生児と思春期以降によくみられます。捻転は精巣垂(基本的に無機能の小さな組織片で、胎児の発達からの残異物)にも起こる可能性があります。精巣捻転と同様に、精巣垂の捻転も血流の遮断により痛みを引き起こす可能性があります。精巣垂の捻転は、7~14歳の男児でよくみられます。

精巣上体炎 精巣上体炎と精巣精巣上体炎 精巣上体炎とは精巣上体(精巣の上にあるコイル状の管で、精子が成熟するための空間と環境を作っている)の炎症のことで、精巣精巣上体炎とは精巣上体と精巣の両方に炎症が生じた場合のことをいいます。 患部の腫れと圧痛や痛みがみられます。 精巣上体炎と精巣精巣上体炎の診断は、身体診察と尿検査のほか、ときにドプラ超音波検査を行うことで下されます。... さらに読む は、精巣の上にあって精子が成熟する場になるコイル状の管(精巣上体)の炎症です。精巣上体炎は、成人における陰嚢痛の最も一般的な原因です。精巣上体炎の原因は通常は感染症で、典型的には性行為によって感染します。一方、感染症がない場合もときにあります。そのような場合は、おそらく、いきみ(重い物を持ち上げたなど)が原因で尿が精巣上体に逆流したことにより、精巣上体に炎症が起きたものと考えられます。

あまり一般的でない原因

あまり一般的でない原因もいくつかあり、具体的には以下のものがあります。

陰嚢痛を引き起こすことのある危険な病気としては、 腹部大動脈瘤 腹部大動脈瘤 腹部大動脈瘤とは、大動脈が腹部を通過する部分(腹部大動脈)の壁に膨らみ(拡張)が生じた状態のことです。 動脈瘤ができると、腹部に拍動が感じられることがあり、破裂した場合には体の深部の耐えがたい激痛や低血圧が起こり、死に至ります。 ほかの目的で行われた診察や画像検査で動脈瘤が見つかることがよくあります。 血圧を下げる薬を使用するほか、大きな動脈瘤や拡大しつつある動脈瘤では、外科手術やステントを動脈瘤の中に挿入する処置によって大動脈を修復し... さらに読む 腹部大動脈瘤 破裂および会陰部(性器と肛門の間の領域)の壊死性感染症(フルニエ壊疽と呼ばれます)があります。 精巣のがん 精巣腫瘍 精巣腫瘍は若い男性によくみられますが、通常は治癒させることが可能です。 通常は痛みのないしこりができます。 超音波検査と血液検査を実施します。 精巣を除去し、放射線療法または化学療法を行う場合や、さらに手術を行う場合があります。 精巣腫瘍の多くは40歳未満の男性に発生します。この腫瘍は若い男性に多い悪性腫瘍の1つで、毎年約9600人の男性に発生し、約410人が死亡しています。精巣に多くみられる悪性腫瘍には、セミノーマ(精上皮腫)、奇形腫... さらに読む 精巣腫瘍 が痛みを引き起こすことはまれです。

評価

以下では、どのようなときにすぐに医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

陰嚢痛がみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 突然のひどい痛み

  • 陰嚢または鼠径部が腫れ、特に押してもへこまない場合や激しい痛みまたは嘔吐を伴う場合

  • 陰嚢または陰茎と肛門の間の領域の水疱または赤色や黒色への変色

  • 重度の病気の症状で、高熱、呼吸困難、発汗、めまい、混乱など

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられるか激しい痛みを訴える男児または成人男性は、痛みの原因によっては精巣の壊死など重い合併症が発生する可能性があるため、直ちに医師の診察を受ける必要があります。警戒すべき徴候がない人は、1日か2日の間に医師の診察を受ける必要があります。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問し、次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、陰嚢痛の原因と必要になる検査を推測することができます(表「 陰嚢痛の主な原因と特徴 陰嚢痛の主な原因と特徴 陰嚢痛の主な原因と特徴 」を参照)。

医師は以下のことを質問します。

  • 痛む場所はどこか

  • 痛みはどのくらい続いているか

  • 鼠径部にけがはあるか

  • 男性の性交歴

  • 排尿時に問題はあるか(灼熱痛や分泌物など)

  • 痛みが鼠径部に走る病気があるか

身体診察では性器、鼠径部、および腹部に注目しますが、陰嚢の痛みを引き起こす可能性がある他の部位の病気の徴候も探します。直ちに治療が必要な病気を特定するために診察を行います。痛みの発症と特徴や患者の年齢が原因特定の手がかりになることがあります。

検査

検査が必要かどうかは、病歴聴取と身体診察の結果によって決まります。しかし、いくつかの検査は一般的に行われます。

治療

陰嚢痛の最もよい治療法は、痛みの原因に対する治療です。例えば、 精巣捻転 精巣捻転 精巣捻転(せいそうねんてん)とは、精巣が回転して精索がねじれてしまった状態で、精巣への血流が妨げられます。 精巣捻転が起きると、激しい痛みが突然起きた後、捻転が起きた側の精巣が腫れ上がります。 精巣捻転の診断には、医師による診察のほか、ときに超音波検査が必要になります。 治療は精巣のねじれを解除することです。 精巣捻転は通常、12歳から18歳くらいの男児に起こり、ときに乳児期にも起こりますが、どの年齢でも起こる可能性があります。精巣を覆... さらに読む 絞扼性ヘルニア 嵌頓(かんとん)と絞扼(こうやく) 腹壁ヘルニアは、腹壁の開口部や弱くなった部分に、腹腔の内容物が突出することによって生じます。 腹壁ヘルニアによって顕著な膨らみが生じますが、不快感はほとんどありません。 診断は身体診察のほか、ときに超音波検査またはCT(コンピュータ断層撮影)検査によって下されます。 治療としてはヘルニアを修復するための手術が行われます。 ( 消化管救急疾患の概要も参照のこと。) さらに読む 嵌頓(かんとん)と絞扼(こうやく) 壊死性感染症 皮膚の壊死性感染症 皮膚の壊死性感染症は、感染した部分の皮膚と組織が死んでしまうこと(壊死)を特徴とする重症の蜂窩織炎の一種で、壊死性 蜂窩織炎と壊死性筋膜炎がこのカテゴリーに含まれます。 患部の皮膚は赤くなって触れると熱く感じられ、ときに腫れることもあり、また皮膚の下に気泡が生じることがあります。 通常、患者は強い痛みを感じて非常に具合が悪くなり、高熱が出ます。 医師の診察、X線検査および臨床検査の結果に基づいて診断されます。... さらに読む 皮膚の壊死性感染症 では、手術を速やかに行う必要があります。

激しい痛みを和らげるため、非ステロイド系抗炎症薬やオピオイドなどの鎮痛薬を投与することもあります。

高齢者での重要事項

高齢男性では 精巣捻転 精巣捻転 精巣捻転(せいそうねんてん)とは、精巣が回転して精索がねじれてしまった状態で、精巣への血流が妨げられます。 精巣捻転が起きると、激しい痛みが突然起きた後、捻転が起きた側の精巣が腫れ上がります。 精巣捻転の診断には、医師による診察のほか、ときに超音波検査が必要になります。 治療は精巣のねじれを解除することです。 精巣捻転は通常、12歳から18歳くらいの男児に起こり、ときに乳児期にも起こりますが、どの年齢でも起こる可能性があります。精巣を覆... さらに読む はまれです。しかし発生した場合は、症状が通常と異なり、診断が難しくなる場合があります。精巣上体炎と精巣炎は高齢男性でよくみられます。 精巣上体炎 精巣上体炎と精巣精巣上体炎 精巣上体炎とは精巣上体(精巣の上にあるコイル状の管で、精子が成熟するための空間と環境を作っている)の炎症のことで、精巣精巣上体炎とは精巣上体と精巣の両方に炎症が生じた場合のことをいいます。 患部の腫れと圧痛や痛みがみられます。 精巣上体炎と精巣精巣上体炎の診断は、身体診察と尿検査のほか、ときにドプラ超音波検査を行うことで下されます。... さらに読む の原因として、性感染症の頻度は高くありません。ときに、高齢男性では 鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニアとは、太ももの付け根(鼠径部)にある腹壁の開口部から、腸管や他の腹部臓器の一部が突出した状態のことをいいます。 鼠径部または陰嚢(いんのう)に痛みのない膨らみができます。 診断にはCT(コンピュータ断層撮影)検査または超音波検査を使用できます。 女性の場合、症状がある場合、または絞扼(こうやく)や嵌頓(かんとん)がみられる場合は、手術が行われます。 ( 腹壁ヘルニアも参昭のこと。) さらに読む 鼠径ヘルニア 大腸穿孔 消化管穿孔 中空の消化器はいずれも穿孔(せんこう)が生じる可能性があり、穿孔が生じると消化管の内容物が漏出し、すぐに手術を行わなければ 敗血症(血流に起こる感染症で生命を脅かします)や死亡に至ることがあります。 症状としては胸部や腹部に突然重度の痛みが生じ、腹部に触れると圧痛がみられます。 診断はX線検査とCT検査によって下されます。 直ちに手術が必要です。 ( 消化管救急疾患の概要も参照のこと。) さらに読む 腎結石 尿路結石 結石は尿路のいずれかの部位で形成される硬い固形物で、痛み、出血、または尿路の感染や閉塞の原因となることがあります。 小さな結石の場合は症状がみられませんが、大きな結石が発生すると、肋骨と腰の間の部分に耐えがたい激痛が生じることがあります。 結石の診断では通常、画像検査と尿検査が行われます。... さらに読む 尿路結石 (腎仙痛)が陰嚢痛の原因になることがあります。

要点

  • 陰嚢痛が突然起きた場合、特に小児や青年では、精巣捻転の可能性をまず検討します。

  • 精巣上体炎は陰嚢痛の最も一般的な原因で、特に分泌物がみられる場合と排尿時に灼熱感や痛みがある場合には、その可能性が高くなります。

  • 精巣捻転が特に疑われる場合、画像検査をする代わりに手術をすることもあります。

  • 陰嚢痛は、腹部からの関連痛によって起こる可能性もあります。

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