腎臓や尿路の病気(腎・泌尿器疾患)とは、腎臓(片側または両側)、尿管(片側または両側)、膀胱、尿道、さらに男性では前立腺、精巣(片側または両側)、精巣上体に生じる病気を指します。男性の生殖器系の異常は、多くの場合、 陰嚢痛 陰嚢痛 陰嚢(精巣を包んで保護している袋)の痛みは、新生児から高齢者まで、あらゆる年齢の男性で起こる可能性があります。精巣は非常に感受性が高いため、軽度のけがでも痛みや不快感を起こす可能性があります。 ( 尿路症状の概要を参照のこと。) 痛みは精巣に直接関連しているか、陰嚢、鼠径部、腹部の病気によって起こる場合があります。... さらに読む 、 陰嚢の腫れ 陰嚢の腫れ 片方または両方の陰嚢(精巣を包んで保護している袋)の腫れは、 尿路疾患の症状である場合があります。腫れは、わずかで陰嚢を入念に触診して初めて検出できる場合もあれば、極めて大きくなり外見から明らかな場合もあります。陰嚢の腫れを引き起こす病気には、同時に 陰嚢痛を引き起こすものもあります。... さらに読む 、 精液中の血液 血精液症 血精液症(精液中に精子とともに血液が混入すること)は、不安にさせる症状ですが、通常は重篤な異常の徴候ではありません。血精液症は、通常はがんの徴候ではなく、性機能にも影響を及ぼしません。 精液は、精巣上体からの精子と精嚢、前立腺、小さな粘液腺(精子に栄養を与える体液を供給する)からの体液で構成されています。そのため、これらの構造のいずれかが... さらに読む 、または 持続勃起症 持続勃起症 持続勃起症(プリアピズム)とは、性欲や性的興奮を伴わない状況で痛みのある異常な勃起が長時間続く状態です。5~10歳の男児と20~50歳の成人男性に最も多くみられます。( 尿路症状の概要も参照のこと。) 陰茎は、空洞のある3つの円筒形の組織で構成されていて、その中を血液が流れるようになっています(勃起組織と呼ばれます)。そのうち大きい方の2... さらに読む として現れます。
尿路の病気の中には、問題が深刻化するまで症状が現れにくいものもあります。具体的には以下のものがあります。
症状が現れても、非常にありふれた症状やあいまいな症状であるなど、腎臓との関連性が常に明らかであるとは限りません。例えば、進行した腎不全で、全身のだるさ(けん怠感)、食欲不振、吐き気などが唯一の症状になる場合があります。高齢者では、感染症や腎不全で最初に認識される症状が精神錯乱になる場合もあります。
腎臓や尿路に問題がある可能性が高い症状としては、以下のものがあります。
足や下肢のむくみ
排尿の問題 排尿のコントロール 腎臓では絶えず尿が作られており、尿は2本の管(尿管)を通って膀胱に流れ込み、そこで一時的に貯められます(図「 尿路の構造」を参照)。膀胱の一番下の頸部と呼ばれる部分は尿道括約筋という筋肉に囲まれていて、普段はこの筋肉が収縮した状態を維持することによって、尿が体外に排出される通路(尿道)が閉鎖されているため、膀胱が満杯になるまで尿を貯めるこ... さらに読む (血尿 血尿 尿に血液が混じると(血尿)、血液の量や血液が尿に混入してからの経過時間や尿の酸性度などに応じて、尿の色がピンク、赤色、茶色に変化することがあります。混入した血液の量が少なく尿が変色しない場合(顕微鏡的血尿)でも、化学的な検査や顕微鏡による検査では検出することが可能です。別の理由で尿検査を受けた際に顕微鏡的血尿が発見される場合もあります。... さらに読む 、 尿の色や匂いの変化 尿の色や匂いの変化 ( 尿路症状の概要を参照のこと。) 正常な状態では、薄い尿はほぼ無色となり、濃縮された尿は濃い黄色をしています。一方、黄色以外の色をしている場合は異常です。 異常な変色の原因は通常、顕微鏡での尿サンプルの観察か化学的な検査によって特定できます。 薬物は尿を様々な色(茶色、黒、青、緑、オレンジ色、赤など)に変色させます。... さらに読む 、 尿量または排尿回数の増加 排尿回数の増加 1日当たりの排尿回数は大半の人で約4~6回(主に日中)です。健康な成人の1日当たりの排尿量は700ミリリットルから3リットル程度です。排尿の増加とは以下のいずれかを意味します。 尿の量が増加している(多尿) 尿の量は正常ながら、排尿の回数が増加している(頻尿) 両方 頻尿に強い尿意(... さらに読む 、 尿中のガス 気尿 まれな症状として、尿中に空気の混入がみられることがありますが、このような場合は通常、尿路と腸管(正常な状態でガスがある)との間に瘻孔(ろうこう)と呼ばれる異常な通路が形成されている可能性が疑われます。この瘻孔は、 憩室炎や腸に発生した炎症、膿瘍、がんなどの合併症として発生することがあります。一方、膀胱と腟が瘻孔でつながった場合にも、尿中に... さらに読む 、 排尿時の痛みまたは灼熱感 排尿時の痛みまたは灼熱感 排尿時の灼熱感または痛み(排尿困難)は、尿道口または(まれに)膀胱の全体(骨盤内[恥骨のすぐ上の下腹部])にわたって感じられます。排尿時の灼熱感または痛みは、成人女性で極めて一般的な症状ですが、成人男性でも起こる可能性があり、年齢を問わず発生します。 ( 尿路症状の概要も参照のこと。)... さらに読む 、 切迫感 尿意切迫 尿意切迫とは、耐えがたい尿意を覚える症状のことで、ほぼ絶え間なく続く苦痛を伴ういきみ(しぶり腹またはテネスムス)のように感じられる場合もあり、膀胱への刺激によって発生することがあります。すぐに排尿しなければ、 尿失禁につながることもあります。尿意切迫は 膀胱の感染症が原因で生じることがあります。カフェインやアルコールの摂取も尿意切迫の一因... さらに読む 、 尿が出にくい、排尿時にいきむ必要がある、排尿後に少量の尿が漏れる 遷延性排尿、排尿時のいきみ、排尿後尿滴下 排尿を始める際に尿が出づらい(遷延性排尿)、いきむ必要がある、排尿中の勢いが弱い、排尿を終えた後に少量の尿が漏れる(排尿後尿滴下)などの症状は、いずれも尿道に部分的な閉塞がある場合によくみられます。成人男性の場合、 前立腺の肥大による尿道の圧迫が原因である場合が多いですが、まれに... さらに読む など)
失禁 成人の尿失禁 尿失禁とは、自分では意図せずに尿が漏れることです。 尿失禁は、男女とも年齢を問わず起きる可能性がありますが、女性と高齢者でより多くみられ、高齢女性の約30%、高齢男性の約15%が尿失禁を起こしています。尿失禁は高齢者でより多くみられるものの、加齢に伴う正常な変化の一部ではありません。尿失禁は、利尿効果のある薬を服用した場合のように突然で一... さらに読む は、排尿をコントロールできない状態のことで、様々な原因で発生します。
(腎臓と尿路の生物学 尿路の概要 人体には通常、2つの 腎臓があります。尿路の残りの部分は以下の要素で構成されています。 2本の 尿管(それぞれ左右の腎臓を膀胱につなぐ管) 膀胱(拡張して尿を貯めておくことのできる筋肉でできた袋状の臓器) 尿道(膀胱から出て体外に開口する管) 尿は2つの腎臓で絶えず作られていて、尿管を通って緩やかに膀胱に流れ込みます。そして膀胱から尿道を... さらに読む も参照のこと。)