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急性尿細管壊死

執筆者:

Navin Jaipaul

, MD, MHS, Loma Linda University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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急性尿細管壊死は、腎尿細管細胞(尿が形成される際に水分およびミネラルを再吸収する腎細胞)の損傷が原因で生じる腎障害です。

  • 一般的な原因は、腎臓への血流低下(血圧の低下によるものなど)、腎臓を損傷する薬物、重度の全身の感染症などがあります。

  • 腎障害が重度でない場合は、症状はみられません。

  • 診断は、主に臨床検査の結果に基づいて下されます。

  • 治療は原因を対象とし、腎臓を損傷する薬剤の中止、血圧を上昇させるための輸液、感染症の治療としての抗菌薬の投与などを行います。

腎尿細管細胞の損傷は、腎臓が血液をろ過する能力に悪影響を及ぼします。このため、尿素やクレアチニンなどの老廃物が血液中に蓄積します。

糸球体疾患の概要も参照のこと。)

原因

急性尿細管壊死は通常、重篤な病気にかかっている入院患者に発生します。最も一般的な原因は以下のものです。

  • 血圧の低下に起因した腎臓への血流量の不足

  • 腎臓を損傷する薬剤

  • 重篤な全身の感染症(敗血症

急性尿細管壊死につながる血圧低下の最も一般的な原因は、重度の失血(外傷または大手術に起因)、重篤な熱傷、重篤な全身感染症(敗血症)、膵炎です。

敗血症が腎臓を直接的に損傷することもあり、その場合には、敗血症に起因する血圧低下の影響がさらに悪化します。

腎障害を引き起こしやすい薬剤として、アミノグリコシド系抗菌薬(ゲンタマイシンやトブラマイシンなど)、アムホテリシンB(全身に広がった重度の真菌感染症に使用される薬剤)、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム(別の病気で入院した人に発生した感染症の治療に使用される薬剤)、バンコマイシン(他の抗菌薬に耐性をもった感染症の治療に使用される抗菌薬で、高用量で2週間以上使用すると腎障害を引き起こす可能性がある)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)などがあります。高齢者、大手術を受けた患者、または肝臓、胆嚢、胆管に重度の病気がある人では、おそらくアミノグリコシド系抗菌薬が原因です。まれに、画像検査での実施中に造影剤にさらされることで腎障害が引き起こされる場合があります(造影剤腎症)。

急性尿細管壊死が発生する可能性の高い人としては、高齢者、重症の患者、または基礎疾患として腎疾患、糖尿病、あるいはこの両方がある人などが挙げられます。

症状

急性尿細管壊死では通常、症状はありません。しかし、重症の場合は腎不全(腎機能がほぼ失われた状態)が起こり、尿の量が異常に減少します。腎不全が重度へと進行した場合、吐き気と嘔吐、筋力低下、筋肉の不随意の収縮、錯乱などが生じる可能性があります。

診断

  • 血液と尿の検査

急性尿細管壊死の引き金になりうる誘因(大手術、血圧の低下、腎臓を損傷する可能性がある薬剤など)にさらされたことのある人の血液検査で腎障害の徴候が認められた場合、この病態が疑われます。脱水症状の人でも同様の所見がみられる可能性があるため、急性尿細管壊死の診断を下すには、他の血液検査と尿検査を行います。

予後(経過の見通し)

予後(経過の見通し)は、急性尿細管壊死を起こしている病気がどの程度回復するかで決まります。この病気が治療に迅速に反応した場合、腎機能は通常1~3週間で正常に戻ります。24時間当たりの尿の量が400mLを超える場合、予後は通常良好です。より重篤な患者では死亡のリスクが上昇しており、特に集中治療室での治療が必要な患者ではその傾向が顕著です。

治療

  • 支持療法

腎臓を損傷する薬剤は使用を中止します。また腎臓への正常な血流を維持するため、必要に応じて輸液を行います。感染症などの基礎疾患を治療します。支持療法では効果が得られない人には、透析が必要になることがあります。

予防

極めて重症の場合は、腎臓への正常な血流を保持するため、輸液を行い、ときに血圧を維持する薬剤を投与します。腎臓を損傷する薬を使用している場合は、可能な限り中止します。そのような薬剤が必要な場合は、腎機能を綿密にモニタリングします。糖尿病患者の場合は、血糖値をコントロールします。

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