Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

読み込んでいます

尿細管性アシドーシス(RTA)

執筆者:

L. Aimee Hechanova

, MD, Texas Tech University

最終査読/改訂年月 2017年 8月
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
本ページのリソース

尿細管性アシドーシスでは、腎臓の尿細管の機能障害により、血液の酸性度が異常に高くなります。

  • 特定の薬の使用や腎臓を侵す別の病気があると、血液中から酸を除去している尿細管が損傷を受けます。

  • この状態が長期間続くと、しばしば筋力低下と反射の低下がみられるようになります。

  • 血液検査では、酸性度の上昇と酸塩基平衡(酸とアルカリのバランス)の乱れが認められます。

  • 酸を中和させるために重曹(重炭酸ナトリウム)を水に溶かしたものを毎日飲む人もいます。

尿細管疾患に関する序も参照のこと。)

身体が正常に機能するためには、酸とアルカリ(炭素水素塩など)のバランスが取れていなければなりません。食物の分解によって体内で生成された酸は、血液中に入って体内を循環します。腎臓はこの酸を血液から取り除いて尿中に排泄しますが、この機能を主に担っているのが尿細管です。尿細管性アシドーシスでは、尿細管の機能障害により、次の仕組みのいずれかを通じて血液中の酸が上昇する傾向にあります(代謝性アシドーシス)。

  • 体内で作られる酸の排泄量が少なすぎるため、血中の酸の濃度が上昇する。

  • 尿細管でろ過された炭素水素塩のうち再吸収される量が少なすぎるため、炭素水素塩が過剰に尿中へ排出される。

尿細管性アシドーシスでは、電解質のバランスも崩れます。尿細管性アシドーシスでは、以下のような異常が発生します。

  • 血液中のカリウム濃度の低下または上昇

  • 腎臓の組織へのカルシウムの沈着とそれによる腎結石

  • 痛みを伴う骨の軟化と弯曲(骨軟化症、くる病

小児の尿細管性アシドーシスは、永続的な遺伝性の病気である場合があります。一方、糖尿病鎌状赤血球症、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど)など別の病気をもっている人で断続的に発生する場合もあります。さらに尿細管性アシドーシスは、尿路の閉塞や特定の薬(アセタゾラミド、アムホテリシンB、アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、体内のカリウムを保持する利尿薬[いわゆるカリウム保持性利尿薬]など)を原因とする一時的な異常として発生する場合もあります。

尿細管性アシドーシスが長引くと、尿細管が損傷を受け、慢性腎臓病に進展する可能性があります。

尿細管性アシドーシスには1~4型までの4種類があり、これらはアシドーシスを引き起こす腎機能の異常に基づいて分類されています。4種類とも多くない病気ですが、4型が最も多く、3型は極めてまれです。

icon

尿細管性アシドーシスの主な種類

種類

原因

背景にある異常

結果として発生する症状と代謝異常

1型

遺伝性の病気として発生するか、自己免疫疾患または特定の薬によって誘発される

原因は通常特定できない(特に女性の場合)

尿中に酸を排泄できなくなる

血液の酸性度の上昇

軽度の脱水

血液中のカリウム濃度の低下とそれによる筋力低下および麻痺

骨の脆弱化

骨の痛み

カルシウムの沈着とそれによる腎結石

2型

通常はファンコニ症候群、遺伝性フルクトース不耐症、ウィルソン病、眼脳腎症候群(ロウ症候群)などの遺伝性の病気によって引き起こされる

一方、多発性骨髄腫、重金属中毒、または特定の薬が原因で起こる場合もある

尿から重炭酸塩を再吸収できないため、過剰な量の重炭酸塩が体外に排泄される

血液の酸性度の上昇

骨の脆弱化

骨の痛み

軽度の脱水

血液中のカリウム濃度の低下

活性型ビタミンDの生産量の減少

4型

遺伝性ではない

糖尿病、自己免疫疾患、慢性腎臓病、または尿路の閉塞によって引き起こされる

カリウム保持性利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬などの特定の薬により悪化する

アルドステロン(腎臓でのカリウムとナトリウムの排泄を調節するホルモンである)の欠乏、またはアルドステロンに対する反応性の低下

血液の酸性度の緩やかな上昇とカリウム濃度の上昇がみられ、症状が出ることはまれ(ただし、血液中のカリウム濃度が異常に高い場合は、心拍異常と筋肉の麻痺がみられる)

注:3型は1型と2型が混在したもので、極めてまれです。

症状

多くの患者では症状がみられません。症状が現れるとしても、ほとんどが長期間経過した場合に限られます。最終的にどのような症状が現れるかは、尿細管性アシドーシスの種類によります。

1型および2型

1型と2型では、血液中のカリウム濃度が低くなるため、神経系の異常により筋力低下、反射の低下、さらには麻痺などがみられます。1型では、腎結石が発生することがあり、それにより腎臓の細胞が損傷を受け、慢性腎臓病に至る場合もあります。2型のほか、ときに1型では、成人の場合は骨の痛みと骨軟化症が、小児の場合はくる病が起こることがあります。

4型

4型では、典型的にはカリウム濃度の上昇がみられますが、症状を引き起こすほど高くなることは普通ありません。ただし濃度が非常に高くなると、不整脈や筋肉の麻痺が起こります。

診断

  • 血液検査

  • 尿検査

筋力の低下や反射の低下といった特徴的な症状がみられ、かつ検査結果で血液の酸性度が高く、重炭酸塩とカリウムの濃度が低い場合には、1型または2型の尿細管性アシドーシスの可能性が検討されます。

血液のカリウム濃度と酸性度が高く、重炭酸塩の濃度が低い場合には、通常は4型の尿細管性アシドーシスが疑われます。尿サンプルの検査とその他の検査が尿細管性アシドーシスの種類を特定する助けになります。

治療

  • 炭酸水素ナトリウム溶液を毎日飲む

治療法は尿細管性アシドーシスの種類によって異なります。

1型および2型

1型と2型では、体内で食物から生成される酸を中和するため、炭酸水素ナトリウム(重曹)を水に溶かして毎日飲みます。この治療は症状の軽減のほか、腎不全や骨の病気の発生や悪化の予防にもつながります。このほかにも治療用に特別に調製された溶液を使用することも可能で、カリウムの補充が必要になる場合もあります。

4型

4型では、アシドーシスが軽度であるために、炭酸水素ナトリウムは必要ない場合もあります。血液中のカリウム濃度が高い場合は、カリウムの摂取量を制限し、脱水を予防し、カリウムの排出を促す利尿薬を使用し、使用中の薬を別の薬に切り替えるか用量を調節することで、カリウム濃度を抑えることができます。

さらなる情報

ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP