髄質海綿腎は通常、胎児の発育中に生じる、遺伝によらない異常が原因で発生します。ただし、ごくまれに遺伝性の異常が原因になる場合もあります。髄質海綿腎はほとんどの場合、何の症状も引き起こしませんが、この病気をもった人では、痛みを伴う 腎結石 尿路結石 結石は尿路のいずれかの部位で形成される硬い固形物で、痛み、出血、または尿路の感染や閉塞の原因となることがあります。 小さな結石の場合は症状がみられませんが、大きな結石が発生すると、肋骨と腰の間の部分に耐えがたい激痛が生じることがあります。 結石の診断では通常、画像検査と尿検査が行われます。... さらに読む 、 血尿 血尿 尿に血液が混じると(血尿)、血液の量や血液が尿に混入してからの経過時間や尿の酸性度などに応じて、尿の色がピンク、赤色、茶色に変化することがあります。混入した血液の量が少なく尿が変色しない場合(顕微鏡的血尿)でも、化学的な検査や顕微鏡による検査では検出することが可能です。別の理由で尿検査を受けた際に顕微鏡的血尿が発見される場合もあります。 血尿のある人は、血尿の原因に応じて、側腹部または背部の痛み、下腹部痛、尿意切迫感、排尿困難など、... さらに読む 、 腎臓の感染症 腎臓の感染症 腎盂腎炎とは、片方または両方の腎臓に生じた細菌感染症です。 尿路の感染が腎臓に波及する場合と、まれに血流中の細菌が腎臓に感染する場合があります。 症状としては、悪寒、発熱、背部痛、吐き気、嘔吐などがみられます。 腎盂腎炎が疑われる場合は、尿検査、ときに血液検査および画像検査を行います。 感染に対する治療としては抗菌薬が投与されます。 さらに読む などが起きやすくなります。この病気のある人の半数以上では、腎臓の組織にカルシウムの沈着が認められ、カルシウムの沈着が腎結石の形成につながる可能性があります。まれに、結石により尿路が塞がります(閉塞 尿路閉塞 尿路閉塞とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道など、尿が通過する経路(尿路)のどこかが詰まり、尿の流れが遮断された状態のことです。 完全な閉塞(完全閉塞)と部分的な閉塞(部分閉塞)があります。 閉塞が起きると、腎傷害、腎結石、感染症などの原因になる可能性があります。 症状としては、側腹部痛、尿量の減少または増加、夜間頻尿などがあります。... さらに読む )。
医師は症状と他の理由で行われた画像検査の結果から髄質海綿腎を疑います。腎臓にカルシウムが沈着していれば、画像検査で確認できます。診断は CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓を損傷します)が不要である... さらに読む の結果に基づいて下されるのが通常で、普通は腎臓へのカルシウムの沈着と集合管の拡張が認められます。
大半の人は治療を受けなくても問題ありません。しかし、感染が起きている場合や、髄質海綿腎が原因でカルシウムの沈着が生じ、そのために結石が繰り返し形成される場合には、治療が必要になることがあります。カルシウム結石に対する治療法は、大量の水分摂取(1日当たり2リットル以上)と食事療法(ナトリウムは制限、カルシウムは通常量、タンパク質は制限または通常量)です。ときに、尿中に排泄されるカルシウムの量を減少させるために、医師がサイアザイド系の利尿薬の服用を勧めることがあります。尿路の閉塞が起きた場合は、手術が必要になることもあります。感染症は抗菌薬で治療されます。