ネフロン癆と常染色体優性尿細管間質性腎疾患は、遺伝子異常が受け継がれることによって発生します。
症状としては過度の排尿や強いのどの渇きなどがみられますが、それらはネフロン癆では小児期または青年期から、常染色体優性尿細管間質性腎疾患では青年期または成人期から始まります。
診断は家族歴のほか、臨床検査、画像検査、遺伝子検査の結果に基づいて下されます。
どちらの病気も治療法は腎機能の変化をコントロールすることですが、小児では栄養補助食品と成長ホルモン製剤の使用が必要になる場合もあります。
腎不全に対処するために 透析 透析 透析とは、体内の老廃物や過剰な水分を機械的に取り除く処置のことで、腎臓が十分な機能を果たさなくなったときに必要になります。 透析が必要になる理由はいくつかありますが、最も多いのは、腎臓が血液から老廃物を十分にろ過できなくなること(腎不全)です。腎臓の機能は急速に低下することもあれば(... さらに読む
または 腎移植 腎移植 腎移植とは、生きている人または死亡した直後の人から健康な腎臓を摘出し、末期腎不全の患者に移植することです。 ( 移植の概要も参照のこと。) 不可逆的 腎不全(腎臓が機能せず、治療しても治らない)の患者にとって、年齢にかかわらず腎移植は透析に代わる救命法です。米国では2019年には23,401件の腎移植が行われました。最も多いタイプの臓器移植です。 腎移植は以下の病気がある場合に必要になります。... さらに読む
が必要になる場合もあります。
ネフロン癆と常染色体優性尿細管間質性腎疾患は遺伝性の疾患群であり、腎臓の深部にあって尿の濃縮とナトリウムの再吸収を担っている微細な管(尿細管)の発達が障害されます。その結果、過剰な量のナトリウムが尿中に排出されるため、身体および血液中のナトリウムが不足します。また血液の酸性度が異常に高まることもあります。尿細管に損傷が生じて炎症や瘢痕化が起き、最終的には重度の 慢性腎臓病 慢性腎臓病 慢性腎臓病では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が、数カ月から数年かけて徐々に低下します。 主な原因は糖尿病と高血圧です。 血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなります。 症状としては、夜間の排尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のひきつりやけいれん、食欲不振、錯乱、呼吸困難、体のむくみ(主に脚)などがあります。 診断は、血液検査と尿検査の結果により下されます。 さらに読む が生じ、結果として 末期腎不全(ESRD、末期腎臓病) 慢性腎臓病 慢性腎臓病では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が、数カ月から数年かけて徐々に低下します。 主な原因は糖尿病と高血圧です。 血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなります。 症状としては、夜間の排尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のひきつりやけいれん、食欲不振、錯乱、呼吸困難、体のむくみ(主に脚)などがあります。 診断は、血液検査と尿検査の結果により下されます。 さらに読む になります。これらの病気は似ていますが、いくつかの重要な違いがあり、特に遺伝パターンと慢性腎臓病が重症化する年齢が異なります。
ネフロン癆は、常染色体劣性疾患であるため、両親から異常遺伝子を1つずつ受け継いだ場合にのみ発症します。症状は小児期、または青年期の初期から始まり、通常は青年期の初期に腎不全に至ります。
常染色体優性尿細管間質性腎疾患は、常染色体優性遺伝疾患ですので、片方の親から異常遺伝子が受け継がれるだけで発症し、通常は成人期に最初の症状が現れます。ときに、腎疾患の家族歴がない人に発生する場合もあります。そのような場合については、新たな突然変異(明らかな理由なしに遺伝子が異常なものに変化すること)として遺伝子異常が発生したか、あるいは遺伝子異常はそもそも存在していたが両親の片方または両方で認識されていなかったという可能性が考えられます。
症状
腎臓での尿の濃縮やナトリウムの保持ができなくなるため、尿が過剰に作られるようになり、極めて強いのどの渇きがみられます。
ネフロン癆では、症状は小児期の1歳以降に始まります。成長が遅れ、骨の脆弱化を伴う場合があります。ネフロン癆の患者には、眼の病気、肝臓の病気、知的障害(精神遅滞)などがみられます。以降の小児期には、慢性腎臓病により貧血、高血圧、吐き気、筋力低下などが生じます。
常染色体優性尿細管間質性腎疾患では、症状は青年期または成人期の初期から始まります。強いのどの渇きと過剰な尿の生成は、ネフロン癆ほど重度ではありません。高血圧になる場合もあります。腎臓以外の臓器は侵されません。通常は30~70歳で慢性腎臓病が起こります。 痛風 痛風 痛風は、尿酸の血中濃度が高いこと(高尿酸血症)が原因で、尿酸の結晶が関節に沈着し蓄積する病気です。結晶が蓄積することで、関節とその周辺に痛みのある炎症の発作が起きます。 尿酸結晶が蓄積すると、関節や組織に激しい痛みや炎症が断続的に起こることがあります。 痛風性関節炎の診断を確定するために、医師は関節から関節液を採取し、尿酸結晶の有無を調べ... さらに読む を発症する場合もあります。
診断
家族歴
この種類の腎疾患に関する家族歴が診断上の重要な手がかりになります。臨床検査では、腎機能の低下と尿の希釈のほか、ときに血液中のナトリウムまたはカリウム濃度の低下や尿酸濃度の上昇が認められます。
嚢胞の検出に通常使用される画像検査は、 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓を損傷します)が不要である... さらに読む と 超音波検査 超音波検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓を損傷します)が不要である... さらに読む です。遺伝子検査で診断を確定する場合もあります。
治療
高血圧のコントロール
貧血の管理
ナトリウムおよび尿酸の血中濃度の適切な水準での維持
治療法は、 高血圧 高血圧 高血圧とは、動脈内の圧力が恒常的に高くなった状態のことです。 高血圧の原因は不明のことも多いですが、腎臓の基礎疾患や内分泌疾患によって起こる場合もあります。 肥満、体を動かさない生活習慣、ストレス、喫煙、過度の飲酒、食事での過剰な塩分摂取などはすべて、遺伝的に高血圧になりやすい人の高血圧の発症に何らかの形で関与しています。... さらに読む や 貧血 貧血の概要 貧血とは、赤血球の数が少ない状態をいいます。 赤血球には、肺から酸素を運び、全身の組織に届けることを可能にしているヘモグロビンというタンパク質が含まれています。赤血球数が減少すると、血液は酸素を十分に供給できなくなります。組織に酸素が十分に供給されないと、貧血の症状が現れます。... さらに読む を抑えるほか、体内のナトリウムや尿酸の量をコントロールすることなどです。発育が遅れている小児では、栄養補給や成長ホルモンの投与が必要になることがあります。痛風を発症した人にはアロプリノールが投与される場合があります。特にネフロン癆の場合、ナトリウムが過剰に排泄され、薄い尿が多量に作られるため、毎日大量の水分と塩分(ナトリウム)を摂取することによって、過剰に排泄される分を補う必要があります。 慢性腎臓病 慢性腎臓病 慢性腎臓病では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が、数カ月から数年かけて徐々に低下します。 主な原因は糖尿病と高血圧です。 血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなります。 症状としては、夜間の排尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のひきつりやけいれん、食欲不振、錯乱、呼吸困難、体のむくみ(主に脚)などがあります。 診断は、血液検査と尿検査の結果により下されます。 さらに読む から末期腎不全になると、 透析 透析 透析とは、体内の老廃物や過剰な水分を機械的に取り除く処置のことで、腎臓が十分な機能を果たさなくなったときに必要になります。 透析が必要になる理由はいくつかありますが、最も多いのは、腎臓が血液から老廃物を十分にろ過できなくなること(腎不全)です。腎臓の機能は急速に低下することもあれば(... さらに読む
または 腎移植 腎移植 腎移植とは、生きている人または死亡した直後の人から健康な腎臓を摘出し、末期腎不全の患者に移植することです。 ( 移植の概要も参照のこと。) 不可逆的 腎不全(腎臓が機能せず、治療しても治らない)の患者にとって、年齢にかかわらず腎移植は透析に代わる救命法です。米国では2019年には23,401件の腎移植が行われました。最も多いタイプの臓器移植です。 腎移植は以下の病気がある場合に必要になります。... さらに読む
が必要になる場合があります。