(肝腫瘍の概要 肝腫瘍の概要 肝臓の腫瘍(肝腫瘍)には、がんではない良性腫瘍と、がんである悪性腫瘍があります。 肝臓の悪性腫瘍は、 原発性(肝臓から発生したもの)と 転移性(他の部位から肝臓に転移してきたもの)に分類されます。ほとんどの肝臓がんは転移性です。体の各部で発生した腫瘍から離れたがん細胞は、しばしば血流に入って全身に運ばれますが、肝臓では体全体に流れる血液の... さらに読む も参照のこと。)
通常は肉芽腫自体は問題を引き起こしませんが、肉芽腫の原因になった病気が問題を引き起こすことがあります。
肉芽腫の原因は様々です。最も多いのは以下のものです。
特定の薬
全身に影響を及ぼす特定の病気(多いのは、 結核 結核 結核は、空気感染する細菌である結核菌 Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、感染力の強い慢性感染症です。通常は肺が侵されます。 結核に感染するのは、主に活動性結核の患者によって汚染された空気を吸い込んだ場合です。 最もよくみられる症状はせきですが、発熱や寝汗、体重減少、体調不良を感じるこ... さらに読む
や 住血吸虫症 住血吸虫症 住血吸虫症は、住血吸虫という特定の扁形動物(吸虫)による感染症です。 この吸虫がいる水場(淡水)で泳いだり、水浴びをしたりすることで住血吸虫症に感染します。 症状はかゆみを伴う発疹が現れ、その数週間後に発熱、悪寒、筋肉痛、疲労、吐き気、腹痛のほか、感染した臓器に応じた症状が現れます。 便または尿のサンプル中に虫卵を特定することで住血吸虫症の診断が確定します。 この感染症の治療にはプラジカンテルが使用されます。 さらに読む などの感染症)
肉芽腫は肝疾患ではあまり生じませんが、 原発性胆汁性胆管炎 原発性胆汁性胆管炎(PBC) 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、肝臓内の胆管が炎症を起こし、進行性の瘢痕化が起こる病気です。最終的には胆管がふさがり(閉塞)、肝臓が瘢痕化して、肝硬変や肝不全を発症します。 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、おそらく自己免疫反応に起因して発生すると考えられています。 通常、この病気は、かゆみ、疲労、口腔乾燥とドライアイ、 黄疸を引き起こしますが、症状がみられない患者もいます。 通常は、特定の抗体を測定する血液検査で診断を確定できます。... さらに読む ではみられることがあります。
肉芽腫は、肝臓に免疫細胞が集まることで形成されますが、これは刺激物に対する反応、あるいは肝臓に入った異物から体を守るための防御反応として起こります。通常、肝機能は影響を受けませんが、肝臓に関連した血液検査で異常値が出ることがあります。薬や感染症などに反応して肝臓に広範な炎症が起こり、その際に肉芽腫が形成されることもあります。その場合、炎症が広範囲に及ぶと、肝臓は機能不全に陥ります。まれに、炎症により肝臓の瘢痕化や門脈(腸から肝臓に向かう静脈)の血圧上昇(門脈圧亢進症 門脈圧亢進症 門脈圧亢進症は、門脈(腸から肝臓に向かう太い静脈)とその分枝の血圧が異常に高くなる病気です。 欧米諸国で最も一般的な原因は、 肝硬変(瘢痕化により肝臓の構造が歪み、機能が損なわれること)です。 門脈圧亢進症は、腹部の膨隆( 腹水)、腹部の不快感、錯乱、消化管での出血につながります。 医師は、症状および身体診察の結果、ときには超音波検査、CT検査、MRI検査、または肝生検の結果に基づいて診断を下します。... さらに読む と呼ばれます)が生じることがあります。
症状
通常、肉芽腫自体は症状を引き起こしません。ただし、肝臓がわずかに腫大し、軽度の 黄疸 成人の黄疸 黄疸では、皮膚や白眼が黄色くなります。黄疸は、血中にビリルビン(黄色の色素)が多すぎる場合に起こります。この病態を高ビリルビン血症と呼びます。 ( 肝疾患の概要と 新生児黄疸も参照のこと。) 写真では、黄色に変色した眼と皮膚(黄疸)がみられます。 ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成されます。ビリルビンは、血流によって肝臓に運ばれ、そ... さらに読む (皮膚や白眼の部分が黄色くなる症状)がみられることがあります。その他の症状は、肉芽腫を引き起こした病気によって生じます。サルコイドーシスによって生じる肉芽腫は、自然に消失するか、目立った症状がみられないまま何年も持続することがあります。
特発性肉芽腫性肝炎(idiopathic granulomatous hepatitis)は、原因不明のまれな病気です。この病気では肉芽腫、発熱、筋肉痛、疲労が生じます。これらの症状は、しばしば長年にわたって断続的に生じます。
診断
肝臓の画像検査
ときに肝生検
医師が肉芽腫の原因になりうる薬の使用やその他の問題について質問します。さらに、 肝臓を評価する血液検査 肝臓の血液検査 肝臓の検査は血液検査として行われますが、これは肝疾患の有無をスクリーニングし(例えば、献血された血液に 肝炎があるかを調べる)、肝疾患の重症度や進行度と治療に対する反応を評価するための検査のうち、体への負担が少ない方法の代表例です。 臨床検査は、一般的に以下の目的に有効です。 肝臓の炎症、損傷、機能障害の検出... さらに読む のほか、超音波検査やCT検査、MRI検査などの 画像検査 肝臓と胆嚢の画像検査 肝臓、胆嚢、胆管の画像検査には、超音波検査、核医学検査、CT検査、MRI検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)検査、経皮経肝胆道造影検査、術中胆道造影検査、単純X線検査などがあります。 ( 肝臓と胆嚢の概要も参照のこと。) 超音波検査では、音波を利用して肝臓や胆嚢、胆管を画像化します。経腹超音波検査は、 肝硬変(肝臓の重度の瘢痕化)や 脂肪肝(肝臓に過剰な脂肪が蓄積している状態)など肝臓全体を一様に侵す異常よりも、腫瘍など肝臓の特... さらに読む も行います。しかし、それらの結果だけでは結論が得られず、診断を確定するために 生検 肝生検 肝臓の組織サンプルは、試験開腹中に採取することもありますが、多くの場合、皮膚から肝臓に中空の針を刺す方法で採取します。このタイプの生検は、経皮的肝生検と呼ばれます。また、経静脈的肝生検と呼ばれる生検の方法もあります。 肝生検では、他の検査で得られない肝臓の情報を検出することができます。肝生検は、肝臓の過剰な脂肪( 脂肪肝)、慢性的な肝臓の炎症( 慢性肝炎)、 ウィルソン病(銅が過剰に蓄積する病気)や... さらに読む (針で肝臓から小さな組織サンプルを採取して顕微鏡で観察する検査)が必要になる場合もあります。
原因を特定するには、培養検査など、その他の検査が必要になることもあります。
治療
基礎にある病気の治療
サルコイドーシスに対して、ときにコルチコステロイド
基礎疾患を治療します。通常は、肉芽腫を引き起こす薬の使用を中止したり、感染症を治療したりすることで、肉芽腫は消失します。
サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスとは、体の多くの器官に炎症細胞の異常な集積(肉芽腫[にくげしゅ])がみられる病気です。 サルコイドーシスは、一般に20~40歳で発生し、スカンジナビア系の人やアフリカ系アメリカ人に最も多くみられます。 多くの器官が侵される可能性がありますが、肺に最もよくみられます。... さらに読む の治療としてコルチコステロイドが使用されることがありますが、この治療で病気の進行が止まるかどうかは不明です。
さらなる情報
米国肝臓財団(American Liver Foundation)