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原発性胆汁性胆管炎(PBC)

(原発性胆汁性肝硬変)

執筆者:

Jesse M. Civan

, MD, Thomas Jefferson University Hospital

最終査読/改訂年月 2018年 8月
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原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、肝臓内の胆管が炎症を起こし、進行性の瘢痕化が起こる病気です。最終的には胆管がふさがり(閉塞)、肝臓が瘢痕化して、肝硬変や肝不全を発症します。

原発性胆汁性胆管炎(PBC)は35~70歳の女性に最もよくみられますが、男性やこれ以外の年齢層の女性にも発生します。家族内で発生する傾向があります。

胆汁は、緑がかった黄色の粘り気のある液体で、消化を助ける働きがあり、肝臓で作られます。また、特定の老廃物(主にビリルビンと過剰なコレステロール)や薬の副産物を体外に排出する働きもあります。胆管は胆汁の流れ道である細い管で、胆汁は胆管を通って肝臓から胆嚢へ、さらに小腸へと運ばれます。原発性胆汁性胆管炎は、肝臓内の小さな胆管とその近くの肝細胞にのみ影響を及ぼします。原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎では肝臓内外の胆管に炎症が生じ、瘢痕化や胆管の狭窄が進行します。最終的には影響を受けた胆管が完全に詰まります。肝硬変、肝不全、またときには胆管がんが発生します。 症状は徐々に現れ、疲労やかゆみの悪化がみられるほか、後に黄疸が生じます。 画像検査で診断を確定します。 治療では、症状の緩和に重点が置かれますが、肝移植によって余命を延長することも可能です。 (胆嚢と胆管の病気の概要も参照のこと。) さらに読む という別の炎症性疾患は、肝臓の内外の胆管に影響を及ぼします。

原発性胆汁性胆管炎は、胆管の炎症から始まります。この炎症によって、肝臓外への胆汁の流れが妨げられます。その結果、胆汁は肝細胞に残り、炎症を引き起こします。炎症が広がるにつれて、肝臓全体に格子状の瘢痕組織(線維化 肝臓の線維化 肝臓に異常に大量の瘢痕組織が形成されることを、線維化といいます。これは、肝臓が損傷した細胞を修復して新しい組織で置き換えようとする過程で生じます。 肝臓に損傷が起きる病態には多くのものがあります。 線維化自体は症状を引き起こしませんが、重度の瘢痕は肝硬変につながり、それが症状を引き起こす可能性があります。 医師は、血液検査と画像検査の結果に基づいて、線維化の診断と重症度の推定を行うことが多いものの、ときに肝生検が必要になることもあります... さらに読む )が出現します。瘢痕組織が肝臓の組織と置き換わるにつれて、肝臓の内部構造を破壊します(肝硬変を引き起こします)。

原因

原因ははっきりしていませんが、おそらく自己免疫反応 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がしばしば使用されます。 さらに読む (免疫系が自分自身の組織を攻撃する反応)が原因と考えられます。というのも、原発性胆汁性胆管炎は、関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチは炎症性関節炎の1つで、関節(普通は手足の関節を含む)が炎症を起こし、その結果、関節に腫れと痛みが生じ、しばしば関節が破壊されます。 免疫の働きによって、関節と結合組織に損傷が生じます。 関節(典型的には腕や脚の小さな関節)が痛くなり、起床時やしばらく動かずにいた後に、60分以上持続するこわばりがみられます。 発熱、筋力低下、他の臓器の損傷が起こることもあります。... さらに読む 関節リウマチ(RA) 強皮症 全身性強皮症 全身性強皮症は、皮膚、関節、内臓の変性変化と瘢痕化、および血管の異常を特徴とする、まれな慢性自己免疫リウマチ疾患です。 指が腫れる、間欠的に指が冷たくなり青く変色する、関節が永続的に(通常は曲がった状態で)固まる(拘縮)などの症状のほか、消化器系、肺、心臓、腎臓の損傷が発生することがあります。 多くの場合、患者の血液中には自己免疫疾患に特徴的な抗体が認められます。 全身性強皮症に対する根治的な治療法はありませんが、症状と臓器機能障害に対... さらに読む 全身性強皮症 シェーグレン症候群 シェーグレン症候群 シェーグレン症候群はよくみられる自己免疫リウマチ疾患で、眼や口などの粘膜の異常な乾燥を特徴とします。 白血球が、体液を分泌する腺に侵入して損傷を与えることがあり、ときには他の臓器に損傷が及ぶ場合もあります。 診断を助けるために確立された基準が用いられることがあり、検査により涙と唾液の分泌量を測定するとともに、血液中に異常な抗体が存在しないかを評価できます。 通常は、眼や口などの表面を乾燥させないようにする対策を講じるだけで十分です。... さらに読む シェーグレン症候群 自己免疫性甲状腺炎 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎は、甲状腺に慢性的な自己免疫性の炎症が生じる病気です。 橋本甲状腺炎は、体が自身の甲状腺の細胞を攻撃すること(自己免疫反応)で発生します。 最初、甲状腺は正常に機能していることもあれば、活動が不十分なこともあり(甲状腺機能低下症)、まれですが活動が過剰になっていること(甲状腺機能亢進症)もあります。 ほとんどの人が最終的に甲状腺機能低下症になります。 甲状腺機能低下症では通常、疲労を感じ、寒さに耐えられなくなります。 さらに読む といった自己免疫疾患の患者によくみられるためです。

また、原発性胆汁性胆管炎患者の95%以上で血液中に特定の異常抗体がみられることも、自己免疫反応が原因として疑われる理由の1つです。それらの抗体は、ミトコンドリア(細胞内でエネルギーを生成する小さな構造体)を攻撃しますが、胆管の破壊には関与しておらず、胆管は別の免疫細胞によって攻撃されます。何がこの攻撃を誘発するのかは不明ですが、ウイルスや有害物質への曝露が誘因である可能性があります。

症状

原発性胆汁性胆管炎は、非常にゆっくりと発生します。患者の約半数は、初期に症状がみられません。

初期症状としては、しばしば以下の症状がみられます。

  • かゆみ

  • 疲労

  • 口腔乾燥とドライアイ

その他の問題は、数カ月から数年経過するまで起こらないことがあります。

病気が進行するにつれて、かゆみが消えたり、黄色い隆起が小さくなったりする場合もあります。

最終的に、肝硬変の症状や合併症 症状 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的なアルコール乱用、慢性ウイルス性肝炎、飲酒によらない脂肪肝です。 食欲不振、体重減少、疲労、全身のだるさなどの症状が現れます。 腹部への体液の貯留(腹水)、消化管の出血、脳機能の異常など、多くの重篤な合併症が起こる可能性が... さらに読む 症状 が生じることがあります。脂溶性ビタミン(A、D、E、K)などの脂肪は、多くの場合吸収が不十分になります。ビタミンDの吸収が悪いと骨粗しょう症 骨粗しょう症 骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病態です。 加齢、エストロゲンの不足、ビタミンDやカルシウムの摂取不足、およびある種の病気によって、骨密度や骨の強度を維持する成分の量が減少することがあります。 骨粗しょう症による症状は、骨折が起こるまで現れないことがあります。... さらに読む 骨粗しょう症 が起こり、ビタミンKの吸収が悪いとあざや出血が生じやすくなります。体が脂肪を吸収できないと、便は色が薄く、柔らかくかさばり、脂っぽく異常な悪臭がするようになります(脂肪便)。

肝臓や脾臓が腫大することもあります。しかし瘢痕化の進行とともに肝臓は縮んで小さくなります。

診断

  • 肝機能検査での異常

  • ミトコンドリアに対する抗体

  • 画像検査

  • 生検

原発性胆汁性胆管炎が疑われる場合、肝機能検査と画像検査を行い、血液検査でミトコンドリアに対する抗体の有無を調べます。

画像検査 肝臓と胆嚢の画像検査 肝臓、胆嚢、胆管の画像検査には、超音波検査、核医学検査、CT検査、MRI検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査、経皮経肝胆道造影、術中胆道造影、単純X線検査などがあります。 超音波検査では、音波を利用して肝臓や胆嚢、胆管を画像化します。経腹超音波検査は、肝硬変(肝臓の重度の瘢痕化)や脂肪肝(肝臓に過剰な脂肪が蓄積している状態)など肝臓全体を一様に侵す異常よりも、腫瘍など肝臓の特定の部分だけを侵す構造的な異常の検出に優れています。これは、胆... さらに読む で、肝臓の外にある胆管に異常または閉塞がないか調べます。この検査として、胆管系のMRI検査(磁気共鳴胆管造影検査)や、しばしば超音波検査が行われます。これらの検査の結果がはっきりしなければ、内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査が行われることもあります。この検査では、口から胆管内まで挿入した内視鏡(観察用の管状の機器)を介して造影剤(X線画像に写る物質)を注入してから、X線撮影を行います。肝臓の外に閉塞がなければ、問題の部位は肝臓内にあることが示唆され、原発性胆汁性胆管炎の診断が支持されます。

予後(経過の見通し)

原発性胆汁性胆管炎は通常、徐々に進行しますが、進行の速度は人によって大きく異なります。症状は2年から最長で10~15年間現れないことがあります。一方、3~5年で急速に悪化することもあります。いったん症状が現れると、余命は約10年です。以下の特徴があれば、病気の進行が速いことが予想されます。

治療

現在のところ治癒をもたらす治療法はありません。以下のような治療が行われます、

  • 症状を緩和する薬(主にかゆみの症状に対して)

  • ウルソデオキシコール酸により、肝傷害の進行を遅らせる

  • オベチコール酸(obeticholic acid)は、原発性胆汁性胆管炎の治療薬として2016年に米国食品医薬品局の承認を受けた新しい薬です。この薬は、ウルソデオキシコール酸があまり効かない人に使用するものとされています。進行した肝疾患がある人には、よく注意して使用する必要があります。

  • 合併症の治療

  • 最終的には肝移植

アルコールは完全に断つべきです。肝臓に損傷を与える可能性のある薬の使用は中止します。

かゆみは、コレスチラミンでコントロールできる可能性があり、リファンピシン、ナルトレキソン(オピオイド)、セルトラリン、またはウルソデオキシコール酸と紫外線の併用でも同様の効果が期待されます。

ウルソデオキシコール酸は、特に病気が進行する前に用いた場合、肝傷害を抑制し、余命を延ばし、肝移植が必要になる時期を遅らせます。オベチコール酸(obeticholic acid)は、新たに米国食品医薬品局の承認を受けた薬で、ウルソデオキシコール酸のみでは治療効果が得られない原発性胆汁性胆管炎患者の多くで肝臓に関連した血液検査の結果を改善する効果が証明されています。

骨粗しょう症 骨粗しょう症 骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病態です。 加齢、エストロゲンの不足、ビタミンDやカルシウムの摂取不足、およびある種の病気によって、骨密度や骨の強度を維持する成分の量が減少することがあります。 骨粗しょう症による症状は、骨折が起こるまで現れないことがあります。... さらに読む 骨粗しょう症 を予防し、その進行を抑えるために、カルシウムとビタミンDのサプリメントを服用する必要があります。負荷がかかる運動やビスホスホネート、ラロキシフェンも、骨粗しょう症を予防し、進行を遅らせるために有用です。ビタミン欠乏症の是正のため、ビタミンA、D、E、Kのサプリメントが必要になることがあります。ビタミンA、D、Eは口から摂取できます。ビタミンKは注射で投与します。

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