肝生検

執筆者:Christina C. Lindenmeyer, MD, Cleveland Clinic
レビュー/改訂 2021年 9月
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肝臓の組織サンプルは、試験開腹中に採取することもありますが、多くの場合、皮膚から肝臓に中空の針を刺す方法で採取します。このタイプの生検は、経皮的肝生検と呼ばれます。また、経静脈的肝生検と呼ばれる生検の方法もあります。

肝生検では、他の検査で得られない肝臓の情報を検出することができます。肝生検は、肝臓の過剰な脂肪(脂肪肝)、慢性的な肝臓の炎症(慢性肝炎)、ウィルソン病(銅が過剰に蓄積する病気)やヘモクロマトーシス(鉄が過剰に蓄積する病気)などの代謝性肝疾患、肝移植後の合併症、転移性肝臓がん(肝臓に広がったがん)などを検出するために、広く利用されています。

肝臓かんぞう胆嚢たんのうのようす

経皮的肝生検

経皮的肝生検は、外来で行うことができます。医師は通常、超音波検査を行って肝臓の位置を確認し、異常のある領域の生検サンプルを採取するために、生検用の針を刺す位置と角度を決定します。望ましい生検部位を特定したら、皮膚に麻酔をかけてから、針を肝臓に挿入します。中空の針を抜くと、針の内部に肝臓の小さな組織片が得られます。

サンプルを採取した直後は、肝臓の出血などの合併症のリスクがわずかにあるため、3~4時間は病院の外来で安静にします。肝生検を受けてから15日間は出血が起こる可能性があるため、患者はその期間中、病院まで車で1時間以内の場所にいるように説明を受けます。肝生検に関連した合併症は、まれではあるものの、深刻な問題を起こすことがあり、検査を受けた人の1万人に1人が死亡しています。肝生検を受けた後には、右上腹部に軽い痛みを感じることが多く、ときに痛みが右肩に広がることもありますが、通常は鎮痛薬で軽減できます。

経静脈的肝生検

経静脈的肝生検と呼ばれる別の手技では、カテーテルを首の静脈に挿入して、心臓の中を通過させて肝臓から出ている肝静脈の1つに到達させます。それから、カテーテルの先端に付いている針を静脈の壁越しに肝臓に刺し入れます。この手技では、経皮的肝生検と比べて、肝臓を傷つける可能性が低いです。この手技は、どちらも重度の肝疾患の合併症である血液凝固異常や門脈圧亢進症がある患者で特に有用です。

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国肝臓財団、肝疾患の診断―肝生検と肝機能検査(American Liver Foundation, Diagnosing Liver Disease—Liver Biopsy and Liver Function Tests:):肝生検と肝機能検査によって肝臓の健康状態を確認し、肝臓の障害や病気を検出する方法に関する一般的な情報。

  2. 臨床検査オンライン(Lab Tests Online:):病気のスクリーニングと診断に用いられる様々な臨床検査。

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