肝疾患の概要
執筆者:
Steven K. Herrine, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
肝疾患は、様々な形で現れます。特徴的な症状や徴候には、以下のものがあります。
肝疾患では、ときに明白な症状や徴候がみられないことがあります。例えば、症状として疲労、全身のだるさ、食欲不振、軽度の体重減少などがありますが、患者がこうした症状に気づかない場合もあり、また、これらは他の多くの病気で一般的にみられる症状でもあります。そのため、肝疾患は見逃されやすく、特に早期には、その可能性が高くなります。

肝疾患でみられる主な特徴*
特徴 |
説明 |
皮膚や白眼の黄変 |
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胆汁の流れが減少または停止すること |
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肝腫大 |
肝腫大 |
腹腔内に体液が貯留することで、ときに腹部が膨張する |
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正常であれば、肝臓によって除去されるはずの有害物質が、血液中に蓄積することで脳機能が低下し、錯乱に陥ること |
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食道、または胃での出血(多くは静脈瘤と呼ばれる蛇行して拡張した静脈からの出血) |
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腸から肝臓に向かう静脈(門脈およびその分枝)の血圧が異常に高くなること |
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皮膚症状 |
顔面や胸部のくも状の血管 手のひらの赤み(手掌紅斑) 赤ら顔 かゆみ |
血液の異常 |
赤血球数の減少(貧血) 白血球数の減少(白血球減少症) 血小板数の減少(血小板減少症) 出血傾向(血液凝固障害) |
ホルモン異常 |
インスリン濃度が高くなる一方、インスリンに対する反応が低下する( インスリン抵抗性)ため、血糖値が上昇する 副腎の機能不全のため、立ちくらみ、疲労、ときに皮膚の黒ずみ 女性では、月経の停止と妊よう性の低下 男性では、勃起障害に加え、筋組織の減少、乳房の肥大、精巣の萎縮などの女性的特徴が現れる(女性化現象) |
心臓と血管の異常 |
心拍数と心拍出量の増加 血圧の低下(低血圧) |
全身症状 |
疲労 筋力低下 体重減少 食欲不振 吐き気 発熱 腹痛 |
*この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。 |